69 / 201
第69話 僕の思い
しおりを挟む
矢野先輩の手に引かれ、
僕達は佐々木先輩達から離れた所へやって来た。
僕は少し、佐々木先輩に対して
後髪ひかれる思いだった。
矢野先輩と去る姿を
佐々木先輩には見てほしくなかった。
きっと今頃どんな思いで
僕と矢野先輩の後ろ姿を見ているんだろう?
嫉妬深い先輩はきっと今頃
いっぱい、いっぱいかも知れない。
僕と矢野先輩が、
どんな話をしているのか気が気ではないだろう。
でも、僕のそんな思いとは裏腹に、
矢野先輩は僕の方を振り向いて、
僕の肩に頭を乗せて、
「見苦しい所を見せてごめん……」
と泣きそうな声で言った。
そんな矢野先輩の声に
僕の胸は詰まってしまった。
頑張って佐々木先輩との関係を
ふみだそうと決めたのに、
矢野先輩のこういった姿を見てしまうと、
どうしても自分の心が矢野先輩へと
引き戻されてしまう。
思いも、心も自分の物なのに、
どうして心って
簡単にコントロール出来ないのだろう?
「先輩、顔を上げて下さい。
僕は、先輩が僕を庇ってくれて、
とても嬉しかったです。
でも、その為に先輩の大事な幼馴染みの
先輩達と気不味くなったりしないで下さい。
そうなってしまうと、心が痛いです」
僕がそう言うと、
先輩は僕の肩を両手で掴んで、
「要君、僕は要君が
一番大事って言ったでしょう?
君の事守るって約束したでしょう?」
と僕の瞳を見つめながら真剣にそう言った。
僕は頷きながらも、少し戸惑った。
何故矢野先輩はここまでして僕に
気を使ってくれるのだろう?
何故小さい時から
一緒に育ってきた
幼馴染みである先輩達にも
敵対できるのだろう?
僕にそんな価値があるとは思えない。
何故?
何故?
何故?
そう言う思いばかりが
頭の中を堂々巡りしている。
先輩は佐々木先輩の言う様に
僕の事が……
イヤイヤ、それはまず無いだろう。
じゃあ、どうして?
分からない。
分からない。
分からない。
相変わらず僕の考えはまとまらない。
「要君?」
「要君? 大丈夫?
ボーっとしてるよ」
先輩の呼びかけにハッとして
先輩の方を見上げた。
「あつ、すみません、
先輩の親切心を考えてたら
ちょっとグルグルしちゃって……」
「僕の行動は要君に取って重い?
僕は要君の中に入りすぎてる?」
先輩が心配そうに
僕の瞳を覗き込んだ。
「そんな事ありません。
先輩は沢山僕に幸せをくれます。
先輩が僕の為にやってくれることは
本心、とても嬉しいです。
ただ、どうして
そこまでしてくれるんだろうと……」
僕がそう言うと、先輩は真剣に僕を見つめて、
「それは要君が大好きだからだよ」
と言った。
またこの人は勘違いさせるようなことを!
先輩の意図は分かっていたけど、
僕はもう一度聞き返した。
「それって……どういう意味ですか?
先輩が僕を好きって言う意味は……?」
僕達は佐々木先輩達から離れた所へやって来た。
僕は少し、佐々木先輩に対して
後髪ひかれる思いだった。
矢野先輩と去る姿を
佐々木先輩には見てほしくなかった。
きっと今頃どんな思いで
僕と矢野先輩の後ろ姿を見ているんだろう?
嫉妬深い先輩はきっと今頃
いっぱい、いっぱいかも知れない。
僕と矢野先輩が、
どんな話をしているのか気が気ではないだろう。
でも、僕のそんな思いとは裏腹に、
矢野先輩は僕の方を振り向いて、
僕の肩に頭を乗せて、
「見苦しい所を見せてごめん……」
と泣きそうな声で言った。
そんな矢野先輩の声に
僕の胸は詰まってしまった。
頑張って佐々木先輩との関係を
ふみだそうと決めたのに、
矢野先輩のこういった姿を見てしまうと、
どうしても自分の心が矢野先輩へと
引き戻されてしまう。
思いも、心も自分の物なのに、
どうして心って
簡単にコントロール出来ないのだろう?
「先輩、顔を上げて下さい。
僕は、先輩が僕を庇ってくれて、
とても嬉しかったです。
でも、その為に先輩の大事な幼馴染みの
先輩達と気不味くなったりしないで下さい。
そうなってしまうと、心が痛いです」
僕がそう言うと、
先輩は僕の肩を両手で掴んで、
「要君、僕は要君が
一番大事って言ったでしょう?
君の事守るって約束したでしょう?」
と僕の瞳を見つめながら真剣にそう言った。
僕は頷きながらも、少し戸惑った。
何故矢野先輩はここまでして僕に
気を使ってくれるのだろう?
何故小さい時から
一緒に育ってきた
幼馴染みである先輩達にも
敵対できるのだろう?
僕にそんな価値があるとは思えない。
何故?
何故?
何故?
そう言う思いばかりが
頭の中を堂々巡りしている。
先輩は佐々木先輩の言う様に
僕の事が……
イヤイヤ、それはまず無いだろう。
じゃあ、どうして?
分からない。
分からない。
分からない。
相変わらず僕の考えはまとまらない。
「要君?」
「要君? 大丈夫?
ボーっとしてるよ」
先輩の呼びかけにハッとして
先輩の方を見上げた。
「あつ、すみません、
先輩の親切心を考えてたら
ちょっとグルグルしちゃって……」
「僕の行動は要君に取って重い?
僕は要君の中に入りすぎてる?」
先輩が心配そうに
僕の瞳を覗き込んだ。
「そんな事ありません。
先輩は沢山僕に幸せをくれます。
先輩が僕の為にやってくれることは
本心、とても嬉しいです。
ただ、どうして
そこまでしてくれるんだろうと……」
僕がそう言うと、先輩は真剣に僕を見つめて、
「それは要君が大好きだからだよ」
と言った。
またこの人は勘違いさせるようなことを!
先輩の意図は分かっていたけど、
僕はもう一度聞き返した。
「それって……どういう意味ですか?
先輩が僕を好きって言う意味は……?」
10
あなたにおすすめの小説
僕の追憶と運命の人-【消えない思い】スピンオフ
樹木緑
BL
【消えない思い】スピンオフ ーオメガバース
ーあの日の記憶がいつまでも僕を追いかけるー
消えない思いをまだ読んでおられない方は 、
続きではありませんが、消えない思いから読むことをお勧めします。
消えない思いで何時も番の居るΩに恋をしていた矢野浩二が
高校の後輩に初めての本気の恋をしてその恋に破れ、
それでもあきらめきれない中で、 自分の運命の番を探し求めるお話。
消えない思いに比べると、
更新はゆっくりになると思いますが、
またまた宜しくお願い致します。
〔完結済〕この腕が届く距離
麻路なぎ
BL
気まぐれに未来が見える代わりに眠くなってしまう能力を持つ俺、戸上朱里は、クラスメイトであるアルファ、夏目飛衣(とい)をその能力で助けたことから、少しずつ彼に囲い込まれてしまう。
アルファとかベータとか、俺には関係ないと思っていたのに。
なぜか夏目は、俺に執着を見せるようになる。
※ムーンライトノベルズなどに載せているものの改稿版になります。
ふたりがくっつくまで時間がかかります。
僕と貴方と君と
五嶋樒榴
BL
カッコいい&可愛い年下ふたりに翻弄されてます。
柊木美峰は28歳。
不動産屋に勤務する宅地建物取引士。
顔見知りの24歳の融資担当の銀行員、葉山優星から食事に誘われ、そのまま自宅に招待される。
優星のマンションに着くと、そこには優星の年の離れた異母弟、小学2年生の明星が居て………。
恋愛に臆病な主人公が、ふたりの年下男子に振り回されるハートフルML。
君に会いに行こう
大波小波
BL
第二性がアルファの九丈 玄馬(くじょう げんま)は、若くして組の頭となった極道だ。
さびれた商店街を再開発するため、玄馬はあるカフェに立ち退きを迫り始める。
ところが、そこで出会ったオメガの桂 幸樹(かつら こうき)に、惹かれてしまう。
立ち退きを拒むマスターの弱みを握ろうと、幸樹に近づいた玄馬だったが、次第に本気になってゆく……。
たしかなこと
大波小波
BL
白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。
ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。
彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。
そんな彼が言うことには。
「すでに私たちは、恋人同士なのだから」
僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。
すれ違い夫夫は発情期にしか素直になれない
和泉臨音
BL
とある事件をきっかけに大好きなユーグリッドと結婚したレオンだったが、番になった日以来、発情期ですらベッドを共にすることはなかった。ユーグリッドに避けられるのは寂しいが不満はなく、これ以上重荷にならないよう、レオンは受けた恩を返すべく日々の仕事に邁進する。一方、レオンに軽蔑され嫌われていると思っているユーグリッドはなるべくレオンの視界に、記憶に残らないようにレオンを避け続けているのだった。
お互いに嫌われていると誤解して、すれ違う番の話。
===================
美形侯爵長男α×平凡平民Ω。本編24話完結。それ以降は番外編です。
オメガバース設定ですが独自設定もあるのでこの世界のオメガバースはそうなんだな、と思っていただければ。
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる