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魔王の果実Ⅲ【砂の棺】第4話
しおりを挟む「少し休むとするか…ラナリュも魔法を再度練り直してくれないか」
倒れこむメヒスト。
「ふぇ~しんど~」
ベルルの言葉に状況が変わらないのが歯痒いと感じるラナリュ。
「ああそうだね。付け焼き刃でいくら試したって魔力の無駄使いだしなぁ、一番効率的な方法を考えてみるよ」
「あとは…わしが何とかせねばな…」
考え込むベルルを察したラナリュ。
「難しく考えない!カルムは身体で覚えてね、おばさん!ほらほら“シュン!”」
店前に二人で現れる。
「どう? 何かつかんだ? 」
「ラナリュ…二人だから話そう…ミハエルからこれを預かった…」
マキシブレスを差し出すベルル。
「何?これ」
「これを使えば…わしとメヒストが元の一人に戻れると…」
「ふーん…おばさんはどうしたいんだい?確かに今の状態じゃハクアには歩が悪いけど…おばさんはメヒストのオッサンのこと考えてるんだね?まあ今じゃ自分の意思じゃないからね…あとはおばさん次第じゃない?」
ベルルは感じていた。ラナリュの本音は自分がこのままの状態ではラナリュの足手まといになってしまう。しかしラナリュの口からメヒストを消せと言えないもどかしさがあることを。
そんな中、空が割れる。
“ビシッ!“
ベルルもラナリュも異様な気に空を見上げる。
「おばさん!この感じ!?」
「うむ。まさしくハクアの気じゃ…いよいよ人間界に来たか…」
「でも何か変な感じだ。この気…動いてる…おばさん!裏山に向かってる!メヒストが危ない!戻るんだ!俺に捕まって!“シュン!”」
裏山に戻るとそこにはメヒストの首を締め上げるハクアの姿が。
「ほう…空間移動魔法か…ベルルの気を追って来たつもりだったが…何故こやつがお前と同じ気を持っているのだ?」
「止めろハクア!お主の目的は魔神であろう!」
「クックッ…魔神を復活させるのも一興だがな…マドリアと言う女がどうして成し遂げられなかったか確認したくてな…やはりベルル…お前だったか…それとその小僧…貴様…その魔力は王族だな…」
「だからなんだ!この殺人鬼め!メヒストのオッサンを離しやがれ!」
ニヤリと笑うハクア。
「実力を見てやろう…いでよ!バーバリアン!ハァアア!」
ハクアが呪文を唱えると次元の渦から斧を持った巨人が現れる。
“グォオオオ!”
「そんな…詠唱なしに召喚魔法を?おばさんから聞いていたけど…マドリアなんて足元にも及ばないな…でも負けられないよ!いくぜ!聖なる雷よ我が手に集いし、敵をを貫け“ヴォルティス!”ハァア!」
”ピシャッ!ズバーン!“
続く
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