優しきジゼル

ニチカ

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ルークと、ノアと、リオは3人で湖のある山に登っていた。ジゼルに「行くのはやめた方がいいですよ」と言われたが3人とも好奇心が勝った。

「ジゼル、あの3人大丈夫なの?カルロスは家に帰ってきてすらいないし」

「カルロスは1人が好きなんですよ。それに3人とも好奇心旺盛なのはいいことです」

ジゼルはそう言って、ランプを持った。

「アンナ、ルイーズとビクトリアをお願いします」

アンナは垂れ耳をピクっと上に上げてから「うん」としょうがなさそうに笑った。



3人とも、山で湖を眺めていたが全く来る様子もない。リオは持ってきた小さな本を開いた。

「風の精が来る時はいつも強い風が吹くらしいよ。それで、風の精は湖が好きなんだ」

「なんで湖が好きなの?」
 
「本には、風に揺れる水面、月が映り、まるで自分の手の中にあるようだから…まるで意味がわからないね」

リオは読んでから首を傾げた。

「それ風の精に聞いたの?」

「さぁ、どうだろうな」

ルークが湖の方を見ていると、急に「シー」と人差し指を立てて言った。

建物が揺れるような建物大きな風が吹くと、3人は目を丸くした。

湖の傍で座る髪の綺麗な女性が座っていた。白い服を着て、黒いズボンを履いた後ろ姿が綺麗な女性だった。

リオが「綺麗…」と呟いた。ルークは眉間に皺を寄せ「あれが風の精?」と一言。

「ルークは、風の精があれじゃ、不満なのか?」

「不満じゃないけど、なんかおかしい」

ルークは目を細めた。ノアはルークを不思議そうに見て枯れ枝に手をやった時、パキッと折れた。風の精は揺るがなかった。だが風が轟々と吹き始め、3人を地面から引き剥がした。

「うわぁぁ!!」

3人は段々と空へ浮かんでいった。ノアは叫び、ノアは泣き、ルークはただただ、じっと風の精を見ていた。

「だから、やめておいた方がいいと言ったんですよ」

そうジゼルの声が聞こえた途端、3人とも上空から落下した。強い圧が顔に当たり、感覚という感覚がおかしくなった。

「うぁぁぁぁ!!」

ノアとリオはジゼルにキャッチされ、ルークは自分の足で着地した。

「あ…わわ」

「大丈夫ですか?」

ジゼルは半泣きのノアと、号泣しているリオに聞いた。対してルークは風の精を指さし「おい、なんてことするだ」と言った。

「ルーク、やめてください」

ジゼルはノアとリオを地面におろし、ルークの肩を掴んだ。

風の精は急に立ち上がり4人の方を見た。

「バーバラ、うるさいのは嫌い。さようならジゼル」

そう言い、一瞬にして消えていった。

「もっと神秘的だと思ったのに」

ルークはそう言い肩を落としていた。ジゼルは風の精が帰った方を眺めていた。

「そろそろ、夜の姫が来そうですね。急いで帰りましょうか」








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