全寮制の学園に行ったら運命の番に溺愛された話♡

白井由紀

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ハロウィン編

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ネタバレを含む可能性があります。
それでもいいよって方はお進み下さいませ。

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不気味な空気の朝…。

今日はこの学園に何が起こるんだろう…。
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ゆずはいつも通り、朝、学園に来てかおりくんとたわいもない話をしていた

「ゆず!今日は何の日でしょう!」とかおりくんが聞いてくる

今日?

「10月31日…だけど?」

「なんの日って聞いてんの!」

え?なんの日って…。必死に考えたけど出てこない

「31日でしょ?」

「うん!」

「……」なんにも思い浮かばない…。

こうなったら!当たりそうなものを言っていこう

「海の日?スポーツの日?」

「違う!それ祝日!」

「違ったかぁ~」

かおりくんはいつまで待っても正解が来ないことに痺れを切らしたのか「ハロウィン!」と怒りながら言ってきた

あぁ~ハロウィンね…。

「ハロウィンがどうかしたの?」

「実はね!」

「今、午前中じゃん?」

「うん」

「午後からハロウィンパーティーがあるの聞いてない!?」

ハロウィンパーティー?

「聞いてないけど…」

「じゃあ!仮装は?」

「持ってないけど?」

「もう!ゆずのおバカさん!」

えっ?

仮装持ってないだけでおバカさん扱いされるの?

「今回は!二着用意してあるから!ゆずは黒猫ね!」

く、黒猫…

「僕はミニスカポリス!」

「え?スカート履くの!?」

かおりくんは女の子の顔っぽいけど、さすがにびっくりした

「似合わないと思ってるの!?」

「いや、別に…似合うと思うよ」

「ほんと!?これで先輩に!ムフフってさせるぞ!」

かおりくんが言っている先輩はサッカー部の先輩のこと。最近いい感じらしい

「予備で持ってきて良かったぁ~」

でも、黒猫って…。

「制服でやっちゃダメなの?」

「ダメってことは無いけど、お菓子が貰えなくなっちゃうよ」

お菓子ごときなら…。

「しかもさ!そのお菓子は有名なお店の〇〇学園のためだけに作られたスーパーウルトラ限定商品なんだよ!?」

限定…。

「しかも!トップ4様がくれるんだ」

「は?」

まじか…。あの意地悪集団

「じゃあ、行かないとくよ」

「なんでよ!ゆずとせっかく回ろうと思ったのに…」

そ、それは…

「わかったよ!行く!」

「やった!やった!お菓子沢山もらおうね!」

気分は乗らないけど「う、うん…」と答えておいた

そして、昼放課…

かおりくんと一緒に更衣室に向かう

ここはお金持ち学園なので、クラスに1個更衣室がある

もちろん、地獄クラスもある

そこはまぁ、嬉しかった

更衣室に入り、かおりくんから渡された紙袋を開けた

紙袋の中身は猫耳が着いたカチューシャに猫のしっぽが着いたフリフリスカートの短いドレス、黒いタイツも入っていた

こ、これを履くなんて…。

スペシャル限定お菓子のため!ここは我慢しよう!それに好意で貸してもらったものだ!

よし!と気合いを入れて着替え始めた

結構時間がかかったけど、着替えれた!

どうかな…。

自分じゃ似合ってるか分からないからかおりくんに聞いてみることに

「かおりくん!これどうかな!」

「おお!似合ってる!似合ってる!」    

「にゃん!って言ってみて!」とキラキラした顔でこっちを見てくる

「…にゃん…」とつぶやくように言ったけどかおりくんは聞こえてたみたいで「かわいい~!」と抱きついてきた

く、苦しい…。死ぬかも…と思った瞬間に離れられた

ホッ…。それより重かった…死ぬかと思ったよ…

「それでトップ4様にあったらイチコロだよ!」

そうだった…まだ、かおりくんには運命の番って言ってなかったんだよね…。もう隠し通すしかなくなってるけど…。

そ、そんなことはどうでもいい!

「ていうかさ、唯はなんの仮装すんだろう!」

唯くん…。トップ4と関わりたくないと思うし、たぶん制服な気がって…

ゆずが考えているうちにかおりくんが唯くんの元に…

僕も気になる!唯くんがどんな仮装をしてるのか!

「唯!」

「ひゃ…ひゃい!」

「仮装なんだ!?」と近づくと聞こえた

唯くんはまだ、かおりくんの元気さに慣れてないんだよね…。

「ぼ、僕の仮装はおばけです」

「「お、おばけ!?」」と思わずかおりくんとハモってしまった

「えっ…えっ…お金ないんで、白い布に穴を開けてお化けに…」と困惑しながらも理由を喋ってくれた

「ただ、みんな凝っていて恥ずかしいから未だに着れてないんです」と自分の制服を見ながら言う

するとかおりくんが「大丈夫だよ!ゆずだってこんな恥ずかしい格好してるんだし!」

は、恥ずかしい格好って!かおりくんが貸してくれたんじゃん!

ま、貸してくれたからいいんだけどさ…。

唯くんは僕の仮装を見て「そ、そうだね…」と気まずそうに答える

いや!唯くん!否定していいんだよ!いや!否定して欲しいんだけど!?

「じゃあさ!ゆず!」と急に呼ばれびっくりしながらも「ん?」と答える

「唯の着替え手伝お!」

「そ、そんな…かおりくん、ゆずくん自分でできるからいいよ」と言い着替え始める

それでも強引に手伝おうとするかおりくんをじっと見つめる

手伝わない方がよっぽど早く出来ると思うけど…

かおりくんのせいで結構時間がかかっちゃったけど、何とか着替えれた

「よし!ゆず!唯!いざ!出陣だ!」とかおりくんは乗り気だったけどゆずと唯は「「お、おー?」」と乗り気ではなかった

何せ、トップ4がいるのだから…。


かおりくんは更衣室を出た後に「僕先輩のところに行ってくるから!また後でね!」と言い先に行ってしまった

それを遠目で見ている

かおりくん、騒がしいんだけど優しいし、でも唯くん怖がってたよね…。

「唯くん…大丈夫だった?」

「う、うん」 

「悪気はないんだと思うんだ」

「わかってるよ、ゆずくん…ただ合わせられなくて…」

「唯くん…合わせなくていいんだよ、合わせたら友達じゃ無くなっちゃう!僕も唯くんのこと友達って思ってるからさ!」

「え!は、初めてできた!友達!」

「なんか嬉しいな!へへへっ」と笑顔を見せてくれたけど布で見えない

「というか!時間!」と僕が大きな声を出し唯くんの手を引っ張ってオメガアルファ共同の踊り場に来た

「はぁ~はぁ~ねぇ!ゆずくん時間って?」

走ってきたから息が上がってしまう

「トップ4に限定お菓子を貰える時間!数分しかないんだから!」

「そ、そんなのいいよ…」と遠慮する

「唯くん!〇〇学園限定の有名お菓子ブランドだよ!一生に1度しか食べられないかもしれないんだから!例え嫌いな人からでも貰おうよ!」

「ん~…一生に1度…」

もう時間が迫ってるし…

「我慢しよ!ね!?」

「ん…う…」

とまだ渋ってるから手を握って痛くない程度に引っ張り走った

ま、まずは…うげぇ~結構並んでるな…。並んでても時間で締め切られるし、一条様のお菓子は豪華って聞いたけど、一条様は避けたいから…と思っていたら

「ゆず!」と聞き覚えのある声で僕の名前を叫ばれた

逃げよ

「唯くんごめん!逃げる!」

「ちょ!えっ!?ま、待って!」と唯くんが手を離れず逃げようと唯くんの手を振り払って逃げようとした瞬間に肩をトンと叩かれてしまった

決して振り返らない

「ゆず…どうしてそんなに逃げるんだ?」

「に、逃げてなんかいませんよ」

ほ、ほんとは逃げてるけど…

「発情したくないだけです」

「そうか…それより、仮装似合ってるな」

「あなたに褒められたって全然嬉しくないです!」

「ハッ…」と苦笑いした声がする

「それより、ゆず…お菓子は欲しくないのか?」

「ほ、欲しいです…」

「じゃあ、トリックワートリートお菓子をくれなきゃイタズラするぞって言え」

「…ト、トリックワートリートお菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ…でいいですか?」

「お菓子をあげなきゃイタズラしないんだろ?じゃあイタズラしてくれ」

「はぁ!?」と思わず振り返りそうになる

言ってることとやってることが違うことに気づいてるのかな?この人…

「この黒猫にイタズラされたって痛くも痒くもない」と後ろから僕のほっぺたをぷにっと触ってきた

思わず、恥ずかしくて下を向く

「さ、触らないでぐださい」

「じゃあ、ただお菓子あげるのもなにか面白みがないだろ?」

「お、面白みって…」

「この吸血鬼に血を吸わせてくれたらお菓子をあげます、どうですか?私はあなたの血が欲しくて欲しくてたまらない」

さっきちらっと見えたけど吸血鬼だったんだ…。

ちが!それより!と否定しようとした瞬間にパサっと一条様が着ているであろうマントを僕の体に巻き付けられ

「欲しいんだ、ゆずの血が…」

ん~…ってハッ!僕って一瞬迷った!?

あげるわけない!

「無理です!貧血になる!」

「…ならない程度に吸う」

「無理なもんは無理!早くくれ!お菓子!」

「はぁ~仕方ない」

「黒猫は難しいな」

そ、そうなんですよ!難しいんです!プンプン!

「今年は我慢する」

「だが、来年は吸わせてくれ」と言い僕の首筋にチクリと痛みが走った

「い、痛ったぁ~」

「今回はキスマで勘弁してやる」

は!?そっちの方がダメだわ!何してくれてんの?

ムカ!

そんな僕の怒りも知らず「じゃあな、ハッピーハロウィン」と言いながら僕の手にお菓子を置いて暗闇へと去っていった





ハロウィン編 終わり









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後日 体育の着替えにて

「ゆず!どうしたの!その赤いキスマ!」とかおりくんが更衣室内に響き渡る声で喋る

「し~っ!し~っ!」と僕が静かにしてと言う

「じゃあ、何さ!キスマってさ!」とクイクイと肩で押された

「こ、これは…その…」

か、考えるんだ!ゆず!バレない方法を…!

赤いもの…り、りんご!ち、違う

確かキスマって吸われたよな?

吸う…赤い…

ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!

キスマしていいなんて許可とってないのに!あいつしやがって!

もう!

「あっ…蚊に刺されたとか?」

そ、それだ!

「そ、そうそう!蚊に刺されちゃって…痒いんだよね…アハハ…」と何とか誤魔化した
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