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覚醒
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人との契約が完了した瞬間――
神殿の天蓋から、まばゆい光が降り注いだ。
「……っ!」
レイナの身体が宙に浮き上がる。
髪が舞い、肌が発光し、身体中に刻まれた3つの契約紋が共鳴を始める。
「なに、これ……あたたかい……」
彼女の中心から広がる光が、空間全体を包み込んでいく。
暴走していた聖女の力は、もう暴れない。ただ静かに、世界を癒やしていく。
「レイナ……!」
ライアスが、カインが、ジークが、それぞれ手を伸ばす。
その手が、彼女の足元に触れた瞬間――
3人の魂と、レイナの力が完全に繋がった。
神殿の外まで届くその光は、枯れた木々に緑を戻し、
病に伏せた人々の苦しみを洗い流し、
この国全体に、神の祝福をもたらした。
「これが……聖女の“本当の力”……」
ミリアが涙を浮かべながら呟いた。
「神に選ばれたのではない。自ら選び、自らの愛で奇跡を起こしたんだ……!」
それから数ヶ月後――
騎士団領の離宮にて。
レイナは花の咲く中庭で、カップを手に微笑んでいた。
「レイナ、午後の訓練終わったぞ。水、くれ」
「もう、ジーク様。汗だくのまま来ないでって言ってるのに」
「……じゃあ、拭いてくれたらいいじゃん?」
いたずらっぽく笑いながら、彼は膝枕を強引に奪う。
「……君はほんと手がかかる」
その横でカインが手を引き、彼女の指にそっとキスを落とす。
「昼寝したくなってきたな……レイナ、お前の膝貸せ」
「ちょ、私ひとりしかいないんですけどっ」
「なら俺の膝に寝ればいい。お前が」
……と言いながら、ライアスはレイナの腰を抱き寄せてきた。
「ほら、3人で取り合うと大変なんだから。順番守ってくださいってば……!」
笑いながら言ったその顔は、ほんの少しだけ泣きそうだった。
嬉しくて、幸せで、満ち足りていて――
“誰かを選べなかった自分”を、もう責めていなかった。
「こんな日が来るなんて、思わなかった」
「……来させたのはお前自身だ」
ライアスが、耳元で囁く。
「俺たちを信じてくれた、お前の強さが……この幸せを連れてきたんだ」
「……ライアス……ううん、みんな……ありがとう」
心からの言葉だった。
そして、レイナは3人に順番にキスをして、微笑んだ。
「これが、私の選んだ世界」
(愛されるだけじゃなく、ちゃんと愛してる。私が、私として、生きられる場所。
18禁乙女ゲームの中だけど、本当の自分を出せる場所。)
中庭に、鳥が舞い、光が降り注ぐ。
“幻想騎士団”とその聖女の物語はーー
これからも、続いていく。
-----------------------Fin
【番外編】夢の中の君は、もう戻らない
深夜1時のオフィスビル。
人が去ったフロアに、唯一明かりが灯っていた。
「……くそっ」
キーボードに指を叩きつけながら、男は声を漏らす。
宮下 悠(みやした・ゆう)。
玲奈の1つ上の先輩であり、密かに想いを寄せていた同僚だった。
いつも無理をして笑っていた玲奈の、本当の顔に気づいていた。
だが何もできなかった。――いや、しなかった。
彼女が消えた日から、何度も夢を見るようになった。
夢の中の玲奈は、もう“玲奈”ではなかった。
透き通るようなドレスをまとい、緑の中庭で男たちに囲まれ、笑っていた。
その笑顔は、かつて自分にだけ見せてくれたものとは、まるで違った。
「……誰だよ、あの男たち……」
目が覚めるたび、胸が焼けるように痛む。
◇
ある晩――また夢を見た。
神殿のような場所で、玲奈……いや「レイナ」が、まばゆい光を浴びていた。
その肌に刻まれた不思議な紋様。
隣に立つ3人の男。
そして、微笑んで、彼女は言った。
「これが、私の選んだ世界」
その言葉が、耳の奥に刺さった。
◇
「……なんで、俺じゃなかったんだよ」
目覚めた宮下は、うつ伏せに机に突っ伏したまま、動けなかった。
彼女がいなくなった世界で、自分はまだ同じ場所に縛られている。
目の前の画面に向かって、同じような日々を繰り返している。
でも、彼女はもう、自分が知っていた“玲奈”じゃない。
「……もう二度と会えないのか?」
返事のない夜に、ただ風が吹いた。
そのとき――
机の上の観葉植物が、ふわりと葉を揺らした。
どこからともなく、やさしい光の粒がひとつ、彼の手の甲に落ちる。
「……ありがとう」
そう言ったような気がした。
◇
彼女の幸せを、嫉妬しながらも、祝福するしかない自分。
手を伸ばしても、もう届かない場所にいる人を、今も想い続けている。
だから彼は、もう一度ペンを取る。
彼女が消えたあとも残る日報の“メモ欄”に、そっと一言だけ。
「今日の空、綺麗だった。お前も見てるか?」
伝わらないとわかっていても、書かずにはいられなかった。
「会いたい……もう一度だけでいい」
数年後、宮下がレイナの世界に転移して追いかけるのは、また別の話。
神殿の天蓋から、まばゆい光が降り注いだ。
「……っ!」
レイナの身体が宙に浮き上がる。
髪が舞い、肌が発光し、身体中に刻まれた3つの契約紋が共鳴を始める。
「なに、これ……あたたかい……」
彼女の中心から広がる光が、空間全体を包み込んでいく。
暴走していた聖女の力は、もう暴れない。ただ静かに、世界を癒やしていく。
「レイナ……!」
ライアスが、カインが、ジークが、それぞれ手を伸ばす。
その手が、彼女の足元に触れた瞬間――
3人の魂と、レイナの力が完全に繋がった。
神殿の外まで届くその光は、枯れた木々に緑を戻し、
病に伏せた人々の苦しみを洗い流し、
この国全体に、神の祝福をもたらした。
「これが……聖女の“本当の力”……」
ミリアが涙を浮かべながら呟いた。
「神に選ばれたのではない。自ら選び、自らの愛で奇跡を起こしたんだ……!」
それから数ヶ月後――
騎士団領の離宮にて。
レイナは花の咲く中庭で、カップを手に微笑んでいた。
「レイナ、午後の訓練終わったぞ。水、くれ」
「もう、ジーク様。汗だくのまま来ないでって言ってるのに」
「……じゃあ、拭いてくれたらいいじゃん?」
いたずらっぽく笑いながら、彼は膝枕を強引に奪う。
「……君はほんと手がかかる」
その横でカインが手を引き、彼女の指にそっとキスを落とす。
「昼寝したくなってきたな……レイナ、お前の膝貸せ」
「ちょ、私ひとりしかいないんですけどっ」
「なら俺の膝に寝ればいい。お前が」
……と言いながら、ライアスはレイナの腰を抱き寄せてきた。
「ほら、3人で取り合うと大変なんだから。順番守ってくださいってば……!」
笑いながら言ったその顔は、ほんの少しだけ泣きそうだった。
嬉しくて、幸せで、満ち足りていて――
“誰かを選べなかった自分”を、もう責めていなかった。
「こんな日が来るなんて、思わなかった」
「……来させたのはお前自身だ」
ライアスが、耳元で囁く。
「俺たちを信じてくれた、お前の強さが……この幸せを連れてきたんだ」
「……ライアス……ううん、みんな……ありがとう」
心からの言葉だった。
そして、レイナは3人に順番にキスをして、微笑んだ。
「これが、私の選んだ世界」
(愛されるだけじゃなく、ちゃんと愛してる。私が、私として、生きられる場所。
18禁乙女ゲームの中だけど、本当の自分を出せる場所。)
中庭に、鳥が舞い、光が降り注ぐ。
“幻想騎士団”とその聖女の物語はーー
これからも、続いていく。
-----------------------Fin
【番外編】夢の中の君は、もう戻らない
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人が去ったフロアに、唯一明かりが灯っていた。
「……くそっ」
キーボードに指を叩きつけながら、男は声を漏らす。
宮下 悠(みやした・ゆう)。
玲奈の1つ上の先輩であり、密かに想いを寄せていた同僚だった。
いつも無理をして笑っていた玲奈の、本当の顔に気づいていた。
だが何もできなかった。――いや、しなかった。
彼女が消えた日から、何度も夢を見るようになった。
夢の中の玲奈は、もう“玲奈”ではなかった。
透き通るようなドレスをまとい、緑の中庭で男たちに囲まれ、笑っていた。
その笑顔は、かつて自分にだけ見せてくれたものとは、まるで違った。
「……誰だよ、あの男たち……」
目が覚めるたび、胸が焼けるように痛む。
◇
ある晩――また夢を見た。
神殿のような場所で、玲奈……いや「レイナ」が、まばゆい光を浴びていた。
その肌に刻まれた不思議な紋様。
隣に立つ3人の男。
そして、微笑んで、彼女は言った。
「これが、私の選んだ世界」
その言葉が、耳の奥に刺さった。
◇
「……なんで、俺じゃなかったんだよ」
目覚めた宮下は、うつ伏せに机に突っ伏したまま、動けなかった。
彼女がいなくなった世界で、自分はまだ同じ場所に縛られている。
目の前の画面に向かって、同じような日々を繰り返している。
でも、彼女はもう、自分が知っていた“玲奈”じゃない。
「……もう二度と会えないのか?」
返事のない夜に、ただ風が吹いた。
そのとき――
机の上の観葉植物が、ふわりと葉を揺らした。
どこからともなく、やさしい光の粒がひとつ、彼の手の甲に落ちる。
「……ありがとう」
そう言ったような気がした。
◇
彼女の幸せを、嫉妬しながらも、祝福するしかない自分。
手を伸ばしても、もう届かない場所にいる人を、今も想い続けている。
だから彼は、もう一度ペンを取る。
彼女が消えたあとも残る日報の“メモ欄”に、そっと一言だけ。
「今日の空、綺麗だった。お前も見てるか?」
伝わらないとわかっていても、書かずにはいられなかった。
「会いたい……もう一度だけでいい」
数年後、宮下がレイナの世界に転移して追いかけるのは、また別の話。
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