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「ねぇ。クっ…じゃなくて…あれ?」

(やっべー。危うくクズって呼ぶところだったー!
というか僕クズの名前知らないぞ!)


「あの。……君の名前って?」
と言ってこてんと首を傾げてみた。


そしたらクズはボンッ!と真っ赤っかになって
「おおおおおおおっおれの俺の名前は
高木 涼紀!よっよろしくっっ!」

と勢いよく手を出してきた。


握れってこと?

はっ。

クズの汚ならしい手なんか握れるかっ!


いっいっちゃんの手だったら握りたい!
握らせてほしい!
手の香りを嗅ぎながら手をニギニギしたい♡
あぁっ♡そんなことできたら夢のようだ!


そンな感じで途中からいっちゃんのことを
思い浮かべてポッと頬を染めながら浸っていたら
急に手に衝撃が…。

えっ?何?と思い自分の手を見ると…。


ナント言うことでショウ。


クズの手が。
僕の手を両手で握り顔を真っ赤にして
はぁはぁしているではないか⁉︎


えっ。やめて。
普通に気持ち悪いよ。
クズに手握られてはぁはぁされる趣味ないから。

仮に仮に愛しのいっちゃんがしてくれるんであれば
大歓迎だけれどね。
考えてみて、クズにはぁはぁされてこの僕が喜ぶとでも?


ほら、皆んなの想像でもありえなかったでしょ?


だから見た瞬間振り払ったよ……うん。
振り払ったつもりだよ?
僕の最高の腕力で……。
ただ問題はクズの手が 全く外れていないことだ。


くっ何故だ。はーなーせー!
ブンブン!高速振り払い!

クズはまだはぁはぁ。
しかも足をもぞもぞさせている。
気持ち悪すぎる。

「ちょっちょっと高木くん離してください」
ちょっと眉を下げて困り顔で言ってみた。
これで離してくれるといいんだけど。

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