6 / 14
第一章 鍼術修行
呂鋼(りょこう)
しおりを挟む
そもそも余杭一帯は、大小の水路や沼が散在する水の多い土地である。
地面を掘れば水が湧いてきて沼ができてしまう。
裏庭の沼もそうして作られた沼のひとつであろう。ただし祖先が作ったものであり、相当に古い。
水はやや濁っており、水草や周囲に生えた葦が邪魔をして、水底まで見通すことはできない。小石を投げ入れて沈んでゆくところを見ると、かなりの水深があるとわかる。
この沼で釣りをするようになったのは幼馴染の呂鋼の影響である。
呂鋼は彩牌楼の長男である。
長男とは言っても、実子ではないらしい。呂家には長らく子が生まれず、どこからかもらい受けたのが呂鋼なのだそうだ。
しかし育て親は呂鋼を可愛がり、好きなものを好きなだけ食べさせて育てた。そのせいか、呂鋼は同い年の子供たちの中でも一番太っている。
肉付きのよい顔は丸く、二重の大きな目に愛嬌がある。屈託のない笑顔は大人たちを和ませ、呂鋼はまるで福の気に包まれているかのようであった。
ところが呂家の主に妾腹の男子が生まれ、噂好きの連中の間では、ちょっとした話題となっていたらしい。
両親と血のつながりがない呂鋼、実子である次男、次男を生んだ妾、実子のいない正妻。
こうしたことが、来るべき波乱の予兆とみなされていたようだ。
しかし、当の呂鋼にはそのような話を気に病む様子はなかった。
呂鋼は崔翔海よりも数段朗らかで快活であった。
家庭の話をするときも、いつも楽しげであり、崔翔海からすれば、実の親子ではないにせよ、母と呼べる人がいる呂鋼が羨ましく思われたものである。
地面を掘れば水が湧いてきて沼ができてしまう。
裏庭の沼もそうして作られた沼のひとつであろう。ただし祖先が作ったものであり、相当に古い。
水はやや濁っており、水草や周囲に生えた葦が邪魔をして、水底まで見通すことはできない。小石を投げ入れて沈んでゆくところを見ると、かなりの水深があるとわかる。
この沼で釣りをするようになったのは幼馴染の呂鋼の影響である。
呂鋼は彩牌楼の長男である。
長男とは言っても、実子ではないらしい。呂家には長らく子が生まれず、どこからかもらい受けたのが呂鋼なのだそうだ。
しかし育て親は呂鋼を可愛がり、好きなものを好きなだけ食べさせて育てた。そのせいか、呂鋼は同い年の子供たちの中でも一番太っている。
肉付きのよい顔は丸く、二重の大きな目に愛嬌がある。屈託のない笑顔は大人たちを和ませ、呂鋼はまるで福の気に包まれているかのようであった。
ところが呂家の主に妾腹の男子が生まれ、噂好きの連中の間では、ちょっとした話題となっていたらしい。
両親と血のつながりがない呂鋼、実子である次男、次男を生んだ妾、実子のいない正妻。
こうしたことが、来るべき波乱の予兆とみなされていたようだ。
しかし、当の呂鋼にはそのような話を気に病む様子はなかった。
呂鋼は崔翔海よりも数段朗らかで快活であった。
家庭の話をするときも、いつも楽しげであり、崔翔海からすれば、実の親子ではないにせよ、母と呼べる人がいる呂鋼が羨ましく思われたものである。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる