催眠アプリで恋人を寝取られて「労働奴隷」にされたけど、仕事の才能が開花したことで成り上がり、人生逆転しました

フーラー

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第5章 寝取りクソ野郎が、破滅するまで

5-3 寝取りクソ野郎は現代知識で『逆無双』をしたようです

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それから1年ほど経過した。


「ご主人様~? そろそろ起きませんか~?」
「うーん……。ま、そうだね。起きよっか」

ボクは社長だから、好きな時間に出社することが出来る。
ボクはヨアンの元妻、性奴隷4号ちゃんの声に起こされて目を覚ました。
彼女はハーフリングで小さいから、ボクの抱き枕代わりに最近は愛用している。


「う……」

ボクは最近体を起こそうとすると、体が重くなっているのを感じた。
それとよく目がかすむようになってきたような気がする。
まあ、ちょっとご飯を食べすぎたのかもしれないが、一時的なものだと思い気には止めなかった。


「ご主人様、ご飯はこちらです!」

性奴隷1号ちゃんの作った料理を僕はさっそく口にした。

「うん、美味しいねえ!」

たっぷりのハッシュポテトと大量のベーコンを口に運びながら僕はつぶやく。
そして一緒に食べるのはラードをたっぷり使ったスクランブルエッグ。

「それとこいつっと……」

さらに先日、こいつに合いそうな赤ワインを見つけたので、ボクはそれで流し込んだ。
そうこうしていると、ニルセンの元妻、性奴隷2号ちゃんが答えた。


「そういえば、今日は新しいゲーム『リマ・ニューワールド』の発売日なんですよね?」
「うん。……きっと大ヒットするんだろうなあ……」
「ええ、楽しみですよね!」


……だが、会社に出社した後ボクはそれが大きな勘違いだと分かった。



「社長! どうしましょう!」
「大変です!」
「ん? どうしたのさ」


会社に着くなり、ボクは社員たちが驚いた表情でボクに尋ねてきたので驚いた。


「大変です……苦情が山ほどきているんです、ご主人様のゲーム!」
「え? どうしてさ。ボクの最新ゲーム『リマ・ニューワールド』が? どうしたんだよ」
「それが……」


そして一呼吸おいて、答える。



「ゲームが複雑すぎて、全然理解できないって言われたんです!」



なんだ、そんなことか。

「それはプレイヤーがバカなんだろ?」
「いえ……同種の質問がいくつもいくつも出ています!」
「そんなに多いの?」
「はい。というか買ったプレイヤーの方の殆どがそう言ってまして……ルールも分からないし、ゲームを始めても、どこに行けばいいかも理解できないって……」
「アイテムも、わざわざ素材を探すのが大変だし、面倒なことをさせるなと言う苦情も数多く来ています……」

そこでボクは気が付いた。

……そもそもこの世界のゲーマーたちは、割と単純なルールのゲームばかりやってきた。
特にRPGなどは基本的に一本道のゲームばかりで『自分で何をするかを決められる』タイプのゲームは理解できないのだろう。

アイテムクラフトなども同様だ。
ボクの作ったゲームは、アイテムクラフトを適切に行わないと絶対にクリアできないようになっている。

しかし、ストーリーを楽しむことに主眼を置くゲームばかりやっていた彼らにとっては、自分でアイテムを作らないといけないようなシステムは『時間を浪費させられている』と思うのだろう。



そう、ボクが『オープンワールド』のゲームを楽しめたのは、単にボク自身の感性にそのゲームがあっていたからじゃない。


……先人たちがたゆまぬ努力をして、ボクを『複雑なゲームを遊べるプレイヤー』に育成してくれていたからだったのだ。



「特に、獣人の方々からはその意見が多くあります!」
「リザードマンの方々はもう、ゲームを壊したという話まで……」

さらに、そこにもう一つの誤算があった。
この世界には様々な種族がおり、すべてのプレイヤーが人間と同じ感覚でプレイするわけではない。

中には『古き良き時代の、単純なゲーム』こそが『複雑で難解なゲーム』にも感じるようなものもいたのだろう。

ボクはそのことを見落としていた。



だけど、ボクにはもう一つの作戦があった。
そう『フルボイス』という斬新なシステムだ。

「け、けどさ? エルフとか人間の種族にはゲームができるだろ? それにさ、フルボイスのゲームなんてすごいだろ? だからその評判は良いんじゃないか?」

だが、部下はがっくりと肩を落として話をする。

「それが……。声が聴きとりづらくて何言っているか分からない……ということです」
「はあ?」
「容量が音声は大量にとるので……。それにボイスを無理に入れたので、ストーリーも短くなってしまって……。恐らく近日中にそのクレームも来るかと……」


その時、またボクは誤算をしていたことに気が付いた。
そう、ボクが考えた『最新のゲーム』は『最新の技術』があってはじめて成り立つものだった。


この世界のゲームの容量では、きれいな音声を入れることが出来ない。さらに、無理に入れても容量を圧迫する。

『フルボイス』のゲームがこの世界に存在しなかったのは、クリエイターに発想力がなかったからじゃない。

……それを行うための技術力が不十分であり『やりたかったけどしなかった』だけだったのだ。


「くそ……」

現代日本で、容量に余裕があるゲームばかりやってきたボクは、そんなことをすっかり忘れていた。

こんなことなら、毎朝しっかり起きてゲームの開発状況を確認するべきだった。
そもそもこの世界には『修正パッチ』なんてものを作ることも出来ない。その為、一度発売した後に後悔しても、もう遅いのだ。


だが、ボクには起死回生の手段がある。


「た、確かにボクのゲームは穴も多いかもしれないけどさ! けど売り上げが少なくても大丈夫なんだよ!」
「どうしてですか?」
「少しでもヘビーユーザーが居ればさ! 課金システムがあるからきっと……」


だが、それを言い終わる前に、会社の前で抗議をする人たちの声があった。




「おい、ふざけるな、社長!」
「そうだ、そうだ! お前の会社のゲームのやり方、許せねえぞ!」

「ひい! 一体何が起きたんだ!」

どうやらゲームを購入したと思しき人たちが良かった様子で門番に食って掛かっている。
見たところ、血の気の多いリザードマン達が中心のようだ。
彼らから意見を聞いてきたのであろう、部下の一人がボクの元に息を切らせてやってきた。


「す、すみません! 怖い人たちが……」
「おい、てめえ!」
「うわあ!」

そうやって、1人のリザードマンがオフィスに怒鳴り込んできた。
明らかに体が大きい彼が、おそらくリーダーなのだろう。

「てめえが社長か!」
「あ、あの……」
「はいそうです! 彼が今の社長『リマ』さんです!」


こいつ、ボクを売りやがったな!
後でクビにしてやるから覚悟しておけよ!

だが、今は目の前のこいつと話をつけなくては。


「てめえ、なんだよこの『カキンシステム』とかいうのは!」
「課金システムがどうしたっていうんだよ……ですか?」


しまった、ここ最近敬語を使わず命令ばかりしていたから、正しい言葉遣いが思い出せない。


「ゲームってのは買ったら終わりだろ? なんで買った後も金をとるんだって話だよ!」
「だって、それはその、課金システムだから……」
「だからその、カキンシステムってのが汚えって言うんだよ! 売るんなら最初から全部の機能つけてから売りやがれ!」


バン! とその男は近くにあった机をたたいた。
リザードマンの力で叩いたら、当然机は真っ二つに壊れた。


「ひ、ひいい……」
「てめえ、こんな詐欺みてーな売り方しやがって……覚悟できてんだろうな?」


そこでボクは3つ目の失敗を犯したことに気が付いた。

……そう、そもそもこの世界には課金システムのあるゲーム自体が存在しない。
そのような世界に突然現代のシステムを売りに出しても理解されることがなく、批判されてしまうのだ。



……ボクは、自分が身に着けた『現代知識』があれば無双できると思ってた。
だが、違った。


知識というのは、その背景にある膨大なまでの技術や失敗、徒労の積み重ねの上にあって初めて役に立つものだったのだ。
その中には『価値観の積み重ね』『概念の理解促進』なども含まれる。


そのような基盤も無い世界で、現代日本の技術や価値観を形だけ持ってきても、こんな結果になるということだったのだ。


「歯あ食いしばんな……」

そう言ってそのリザードマンの男はボクの胸倉をつかみ上げた。
……仕方ない、最後の手段だ。

ボクは右手に『催眠アプリ』を呼び出し、命令した。


「命令だ! 『ボクの作ったゲームは正しいってことを理解し、それを否定する奴をやっつけろ!』」

キイイイン……と音が鳴り、そのリザードマンは放心した。
そしてその直後、

「……はい……分かりました……」

どうやら、この男に催眠は効いたようだった。
そのリザードマンはそのまま外に出ると、他の抗議をしている連中に対して二言三言話をしたかと思うと、そのまま会社から去っていった。


これで催眠をかけられる相手はあと一人になったが、仕方ない。


「ふう……」

ボクは一息つき、社長室に戻った。
こういう日は、性奴隷ちゃんを使って憂さ晴らしするのが一番だ。
そう思っていると、経理部の男に対して声をかけている女さんがいた。

「ん? ……なんだろう、あの女……」


かなり珍しい種族であり、ボクは彼女を見ても種族が分からなかった。
だが、名前は確か記憶にある。

……クーゲル、とかいったな。

あまり可愛くないから性奴隷にする気もなかったが、社内での評判は相当良いようだ。
彼女は経理部にいるサイクロプスから資料を貰った後、『男爵』と呼ばれるヴァンパイアにそれを渡していた。

……まあ、気にすることはないな。


そう思ったボクは、社長室で出迎えてくれる性奴隷ちゃんを想い、胸を躍らせた。
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