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第1章 暴力による報復を好むものは、いつだって安全地帯の傍観者
1-6 「自分が被害者にならないための優しさ」は優しさじゃない
しばらくして未夏は彼女たちの近くに迫る。
だが、その前にウノーのほうが先に未夏に気が付く。
そして先ほどまでの怒りの表情が一瞬で消え、すぐに親指を自分に向けて笑みを浮かべた。
(あの仕草は……原作と同じね……)
あれは「俺に任せておけ」という意味だ。
彼のその動作は、原作でもとても頼りになったことをよく覚えている未夏は、それを見て心強く思い、うなづいた。
(ウノー様がそういうなら……任せても大丈夫よね……)
万一暴力に訴えようとした時に備えて、一応護身用の薬品も持ってきている。
そう考えた未夏はウノーを見守ることにした。
「よう、楽しそうじゃんか!」
「ウ、ウノー様?」
突然声をかけられて女性陣はおどろいた表情を見せた。
「同じ留学仲間のオルティーナのことで盛り上がってるみたいだな。……あの方のこと、あんたらは嫌いなのか?」
「え? ……えっと……」
その発言に、彼女たちは一瞬口ごもる。
まあ、冷静に考えれば他国の伯爵令嬢の陰口を行ったことを彼女の幼馴染でもある次期辺境伯であるウノーにいうわけにも行かないだろう。
それを口にしたら、最悪無礼打ちされる可能性すらあるのだから。
だが、それを見てニコニコとウノーは笑みを浮かべた。
「……あはは、まあ俺の前では言いたくないよな。……けどさ、カルナ?」
「な、なに?」
自身の行動を咎められると思ったのか、カルナと呼ばれた少女は少し身構えるような表情を見せた。
だが、ウノーはにこやかな笑みで答える。
「カルナはさ、この間の課外授業で、足をくじいたクラスメイトを手当してただろ? そのことをみんなに話したらさ、すごいいい奴だよなって、お前のこと褒めてたよ」
「そ、そう……」
その発言に、カルナは少しだけ頬を嬉しそうに染める。
更にウノーは続けた。
「あと、マグネス? マグネスはこの間さ。俺が魔導試験の追試だった時、勉強教えてくれただろ? あれ、すっげー助かったんだよな。そのこと、ナットに話したら『いい子なんだな』っていってたしさ」
「え、そ、そうだったんだ……」
「べリウスもありがとな。この間振られて泣いてた俺の友達を励ましてくれてたんだってな。……優しいんだな、べリウスは」
「あ、あれ、その話知ってるんだ……?」
そこまで話した後に、少し悲しそうな表情で右耳のイヤリングを触りながらつぶやく。
……つまり、本心からの発言ということだ。
「で……。正直さ、みんなすごいいい奴だから、俺はこの留学生活、楽しくてしょうがないんだよ。……だから俺は……みんなを嫌いになりたくないんだ。オルティーナの悪口はさ。言わないでくれないか?」
「う……うん……」
そういわれて反省したようで、3人の女性陣は口をつぐむ。
だが、まだ悪口を言い足りないのか、不満そうな表情も見せている。
「後さ。今度うちの屋敷でティーパーティ開くんだ。ナットやルームスも来るから、その際にデートに誘ってみたらどうかな?」
ナットとルームスは確かウノーの友人だったはずだ。
彼らも容姿と家柄が優れているためクラスの女子には人気が会ったことを覚えている。
恐らく彼らを狙っていたのだろう、女性陣が色めきだつ。
「え? で、デートに?」
「ああ。3人とも優しくていい奴だって、俺のほうからアピールするからさ。なんなら、あいつらの好きなデートスポットも教えてやってもいいけど……」
「うん! ……いいの、本当に?」
「あんたらの話したら、向こうもすげー乗り気だった! あいつらもいい奴だからさ。今度みんなで海にでも行こうぜ?」
「いいね! ひょっとして企画とかもウノー様がやってくれるの?」
「当然! 楽しい夏にしないとな!」
そしてウノー本人は意識していないようだったが、イヤリングから手を離してつぶやく。
「……だからオルティーナのこと、よろしくな。俺はあいつの大切な幼馴染だからさ……」
「分かったわ。……あんたのためなら協力してあげる」
だが、その行動には特に意識せず女性陣はうなづいた。
(へえ……原作とは性格が変わっているのね、ウノーは……)
未夏はその一連の動きを見て、少し意外な気持ちになった。
もともと彼は社交性が高く、来る人全員を魅了するような魅力がある。
未夏はゲーム本編のそれでは単に「イケメンで爽やかだからそうだった」としか思っていなかった。
だが、彼の本当の魅力は「仲間の良いところを積極的に探せるところ」と「好みや性格をしっかり把握していること」そして何より「みんなで幸せになろう」という考えを少なくとも今世では持っているところだろう。
(『俺さえ彼女が出来れば、友人はひとり身で構わない』『彼氏が出来たら、友人づきあいは面倒だからしない』みたいな考えを持つ輩も結構いるから……ああいう考えは素敵ね……)
そう思い、未夏は彼の言動に好意を持つと同時に疑問を感じた。
(確か本編での彼は……けんかっ早くてすぐ手が出る性格だったのに……ああやって平和的解決をするようになったのは意外ね……。剣の腕が伸びなくて『弱者側』になったからかなあ……)
そうは思ったが、すぐに未夏は心の中で否定した。
彼の行動は『自分が被害者にならないための優しさ』ではなく『他人を加害者にしないための優しさ』だと感じたからだ。そういう優しさを持つ人間はきわめて稀だし、弱者の側になったというだけで持てるものじゃない。
(けど、正直……剣や闘気術が使えなくても……私は今のウノー様の方が好きかな……)
未夏はそう思ったが、同じようなことを彼女たち女性陣も思っているようだった。
「それじゃ、また今度な。改めて連絡するよ」
「うん、よろしく!」
そういってウノーが去ったあと、彼女たちは小声で彼の行動についての批評を行っていた。
「ウノー様ってさ。最初は剣も魔法も使えない『ハズレ』だと思ったけど……」
「うん。話してみると素敵な人よね……。案外、ああいう人と結婚するのもいいかもね。人間関係の面倒ごととか、全部やってくれそうだし!」
「だよね! ……けど絶対さ、あいつオルティーナのこと好きだよね?」
「間違いないよね! はあ、いいよなあ、天才は……」
ゲーム本編では、彼の爽やかな外見や辺境伯という家柄、そして何より剣や闘気術に優れた成績を持つ『有望株』として人気が高かった。
だが今世のウノーは剣も闘気術も使えないし、戦争が休戦したことで辺境伯の立場も弱くなった。そんな彼は周りをつないでくれる『一人の人間』として慕われているようだった。
「ま、オルティーナのことは置いといてさ。ウノー様が開いてくれるパーティだけど何着てく?」
「え? あたしは新作のドレスがあるんだ!」
「何それ? いつ買ったの?」
また、ウノーにたしなめられたことや、悪口よりも『楽しみな未来』に興味を持っていかれたのだろう。彼女たちはそれ以上オルティーナの悪口では言わず、デートで行きたいところや最近の流行ファッションのことなど、とりとめのない話題に変化していた。
彼女たちに興味を失った未夏は、ふと明日の予定について思い出した。
(あ、そういえばウノー様の従者が、明日あたり薬を取りに来る予定だったわね……)
当然だが、未夏がこの国に招聘されたことはウノーも知っている。
そのため、彼の従者(ウノーは単身ではなく数人の護衛を兼ねた使用人も連れてきている)から鎮静剤をまた作ってほしいと連絡を受けている。
だが、ちょうど今鎮静剤は手元にある。
(どうせ渡すなら、従者じゃなくて本人に渡しても変わらないわよね。……)
勿論これは、『あわよくば学校でウノーと会ったら、薬を手渡すということを口実に二人っきりで話をしたい』という下心があってのものだ。
(確か原作では、こういう時は校舎裏にいたわよね……)
ここは原作に出てきた学校とは異なるが、PCキャラの行動パターンは割と原作に準拠していることが分かった。
そう思った未夏は、原作で彼が一人になりたいときにどこに行くのかを思い出した。
だが、その前にウノーのほうが先に未夏に気が付く。
そして先ほどまでの怒りの表情が一瞬で消え、すぐに親指を自分に向けて笑みを浮かべた。
(あの仕草は……原作と同じね……)
あれは「俺に任せておけ」という意味だ。
彼のその動作は、原作でもとても頼りになったことをよく覚えている未夏は、それを見て心強く思い、うなづいた。
(ウノー様がそういうなら……任せても大丈夫よね……)
万一暴力に訴えようとした時に備えて、一応護身用の薬品も持ってきている。
そう考えた未夏はウノーを見守ることにした。
「よう、楽しそうじゃんか!」
「ウ、ウノー様?」
突然声をかけられて女性陣はおどろいた表情を見せた。
「同じ留学仲間のオルティーナのことで盛り上がってるみたいだな。……あの方のこと、あんたらは嫌いなのか?」
「え? ……えっと……」
その発言に、彼女たちは一瞬口ごもる。
まあ、冷静に考えれば他国の伯爵令嬢の陰口を行ったことを彼女の幼馴染でもある次期辺境伯であるウノーにいうわけにも行かないだろう。
それを口にしたら、最悪無礼打ちされる可能性すらあるのだから。
だが、それを見てニコニコとウノーは笑みを浮かべた。
「……あはは、まあ俺の前では言いたくないよな。……けどさ、カルナ?」
「な、なに?」
自身の行動を咎められると思ったのか、カルナと呼ばれた少女は少し身構えるような表情を見せた。
だが、ウノーはにこやかな笑みで答える。
「カルナはさ、この間の課外授業で、足をくじいたクラスメイトを手当してただろ? そのことをみんなに話したらさ、すごいいい奴だよなって、お前のこと褒めてたよ」
「そ、そう……」
その発言に、カルナは少しだけ頬を嬉しそうに染める。
更にウノーは続けた。
「あと、マグネス? マグネスはこの間さ。俺が魔導試験の追試だった時、勉強教えてくれただろ? あれ、すっげー助かったんだよな。そのこと、ナットに話したら『いい子なんだな』っていってたしさ」
「え、そ、そうだったんだ……」
「べリウスもありがとな。この間振られて泣いてた俺の友達を励ましてくれてたんだってな。……優しいんだな、べリウスは」
「あ、あれ、その話知ってるんだ……?」
そこまで話した後に、少し悲しそうな表情で右耳のイヤリングを触りながらつぶやく。
……つまり、本心からの発言ということだ。
「で……。正直さ、みんなすごいいい奴だから、俺はこの留学生活、楽しくてしょうがないんだよ。……だから俺は……みんなを嫌いになりたくないんだ。オルティーナの悪口はさ。言わないでくれないか?」
「う……うん……」
そういわれて反省したようで、3人の女性陣は口をつぐむ。
だが、まだ悪口を言い足りないのか、不満そうな表情も見せている。
「後さ。今度うちの屋敷でティーパーティ開くんだ。ナットやルームスも来るから、その際にデートに誘ってみたらどうかな?」
ナットとルームスは確かウノーの友人だったはずだ。
彼らも容姿と家柄が優れているためクラスの女子には人気が会ったことを覚えている。
恐らく彼らを狙っていたのだろう、女性陣が色めきだつ。
「え? で、デートに?」
「ああ。3人とも優しくていい奴だって、俺のほうからアピールするからさ。なんなら、あいつらの好きなデートスポットも教えてやってもいいけど……」
「うん! ……いいの、本当に?」
「あんたらの話したら、向こうもすげー乗り気だった! あいつらもいい奴だからさ。今度みんなで海にでも行こうぜ?」
「いいね! ひょっとして企画とかもウノー様がやってくれるの?」
「当然! 楽しい夏にしないとな!」
そしてウノー本人は意識していないようだったが、イヤリングから手を離してつぶやく。
「……だからオルティーナのこと、よろしくな。俺はあいつの大切な幼馴染だからさ……」
「分かったわ。……あんたのためなら協力してあげる」
だが、その行動には特に意識せず女性陣はうなづいた。
(へえ……原作とは性格が変わっているのね、ウノーは……)
未夏はその一連の動きを見て、少し意外な気持ちになった。
もともと彼は社交性が高く、来る人全員を魅了するような魅力がある。
未夏はゲーム本編のそれでは単に「イケメンで爽やかだからそうだった」としか思っていなかった。
だが、彼の本当の魅力は「仲間の良いところを積極的に探せるところ」と「好みや性格をしっかり把握していること」そして何より「みんなで幸せになろう」という考えを少なくとも今世では持っているところだろう。
(『俺さえ彼女が出来れば、友人はひとり身で構わない』『彼氏が出来たら、友人づきあいは面倒だからしない』みたいな考えを持つ輩も結構いるから……ああいう考えは素敵ね……)
そう思い、未夏は彼の言動に好意を持つと同時に疑問を感じた。
(確か本編での彼は……けんかっ早くてすぐ手が出る性格だったのに……ああやって平和的解決をするようになったのは意外ね……。剣の腕が伸びなくて『弱者側』になったからかなあ……)
そうは思ったが、すぐに未夏は心の中で否定した。
彼の行動は『自分が被害者にならないための優しさ』ではなく『他人を加害者にしないための優しさ』だと感じたからだ。そういう優しさを持つ人間はきわめて稀だし、弱者の側になったというだけで持てるものじゃない。
(けど、正直……剣や闘気術が使えなくても……私は今のウノー様の方が好きかな……)
未夏はそう思ったが、同じようなことを彼女たち女性陣も思っているようだった。
「それじゃ、また今度な。改めて連絡するよ」
「うん、よろしく!」
そういってウノーが去ったあと、彼女たちは小声で彼の行動についての批評を行っていた。
「ウノー様ってさ。最初は剣も魔法も使えない『ハズレ』だと思ったけど……」
「うん。話してみると素敵な人よね……。案外、ああいう人と結婚するのもいいかもね。人間関係の面倒ごととか、全部やってくれそうだし!」
「だよね! ……けど絶対さ、あいつオルティーナのこと好きだよね?」
「間違いないよね! はあ、いいよなあ、天才は……」
ゲーム本編では、彼の爽やかな外見や辺境伯という家柄、そして何より剣や闘気術に優れた成績を持つ『有望株』として人気が高かった。
だが今世のウノーは剣も闘気術も使えないし、戦争が休戦したことで辺境伯の立場も弱くなった。そんな彼は周りをつないでくれる『一人の人間』として慕われているようだった。
「ま、オルティーナのことは置いといてさ。ウノー様が開いてくれるパーティだけど何着てく?」
「え? あたしは新作のドレスがあるんだ!」
「何それ? いつ買ったの?」
また、ウノーにたしなめられたことや、悪口よりも『楽しみな未来』に興味を持っていかれたのだろう。彼女たちはそれ以上オルティーナの悪口では言わず、デートで行きたいところや最近の流行ファッションのことなど、とりとめのない話題に変化していた。
彼女たちに興味を失った未夏は、ふと明日の予定について思い出した。
(あ、そういえばウノー様の従者が、明日あたり薬を取りに来る予定だったわね……)
当然だが、未夏がこの国に招聘されたことはウノーも知っている。
そのため、彼の従者(ウノーは単身ではなく数人の護衛を兼ねた使用人も連れてきている)から鎮静剤をまた作ってほしいと連絡を受けている。
だが、ちょうど今鎮静剤は手元にある。
(どうせ渡すなら、従者じゃなくて本人に渡しても変わらないわよね。……)
勿論これは、『あわよくば学校でウノーと会ったら、薬を手渡すということを口実に二人っきりで話をしたい』という下心があってのものだ。
(確か原作では、こういう時は校舎裏にいたわよね……)
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