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第1章
敗戦後の戦士が死に場所を求めるの、良いよね
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アダンとツマリの兄妹が追い詰められる十数分ほど前。
荒野にポツンとある小さな林の中で、クレイズは元配下だった兵士たちと共に昼食を取っていた。
「クレイズ隊長。これであっしらの食料は無くなっちまいましたね」
そう言うと、一人の男がクレイズと呼ばれた青年に声をかけた。
「ああ、ありがとう、セドナ」
セドナはクレイズが率いる軍の副官だった男だ。
彼はわずかな野菜を放り込んだ粗末なスープをクレイズに手渡した。
「ん、なんか少し量が多くないか?」
「ああ、あっしは食欲がないんで、大将に食ってもらおうと思いやしてね」
「そうか……。そう言えば、お前が食事を摂るところを見たことはない気もするが……」
「え?……へへ、あっしは一人で食うのが好きなんで、お構いなく……」
クレイズはそれ以上は問い詰めず、スープをゆっくりとすすった。
「元四天王軍……と言っても、これじゃあ形無しだな」
そう言いながらクレイズは周りを見回した。
残っている兵士たちは20人ほどで、セドナを除き負傷していないものはいなかった。
クレイズ自身も例外ではなく、袈裟懸けに大きな傷がついており、包帯から血がにじみ出ている。
「まさか、陛下がこんな形で命を落とすとはな……」
「ええ、あの『勇者兄妹』ってのがあんなに強いってなあ、想定外でやしたね……」
「ああ……。人格的にはどうあれ『天才』ではあったのだがな……」
人間は他種族に比べ個体差が大きく、特に一部の『天才』と呼ばれる個体が稀に発生する。
竜族をも戦慄させる力を持つ『天才』の存在は、たびたび大陸を混乱に陥れる。
このことに対する恐怖もまた、人間が大陸で迫害され、個体数を著しく落とした原因である。
なお、幸か不幸か人間とエルフの間に子は出来ないので、この世界において最も肩身が狭くなるであろう『ハーフエルフ』に該当するものはいない。
「四天王で残ったのも、隊長だけでした。他の方々は……」
「そうか……」
当然、帝国側も黙っていたわけではない。
クレイズたち『四天王』は勇者兄妹に立ち向かったが、それでも歯が立たなかった。
そして廃墟と化した王城の中で、唯一四天王の中で息があったクレイズはセドナや僅かに生き残っていた将兵たちと共に王国から脱出したのである。
……それが、数週間ほど前の話であった。
非常用に用意していた糧秣も、今日の食事で底をついた。
「で、あっしらは……これからどうしやす?」
「……そうだな……」
そう言いながら、クレイズはうつろな笑みを浮かべた。
「……死に場所探し、かな……」
「そう言うと思いやした。……あっしはそう言うのは認めたくないんすけど、とりあえず目標は無いといけねえっすからね」
そう断りつつも、セドナは続けた。
「で、死に場所って、どこっすか?」
「……できれば、あの兄妹のような豪傑と、もう一度……戦える場……だな……」
「はあ……。やっぱりそれっすか」
それを聞き、セドナは呆れたように苦笑した。周りの将兵たちも『やっぱりクレイズさんっすね』『この戦闘狂!』と笑いながら野次を飛ばす。
「あの時の戦いは……夢のようだった……」
クレイズも元々は帝国内でも指折りの剣士であった。
魔法が使えず槍や弓も苦手と言うことで四天王の中では最弱の立ち位置ではあったが、単純な剣の腕であれば、周辺国から『魔王』と称された帝王にすら負けない自信はあった。
しかし、自身の剣はその双子には及ばなかった。
「初めに見た時には、幼くも勇敢な双子兄妹……そんな印象だったが……あの剣は初めて見る動きだった」
「確かに、ありゃ初見殺しっすね。あんなに可愛い二人……まあ、夢魔が可愛いのは当然でしょうが……が化け物みたいに強いなんてわかりやせんよ」
セドナの発言に、クレイズはうなづいた。
「ああ。4本の腕、4本の足が一つになって私に襲ってくるようだった……」
そう言いながら、まるで恋の熱に浮かされた少女のようにその時の光景を思い出していた。
「互いの死角を互いが庇う足さばき、まるで魂の半身を映し分けたかのような息の合う剣さばき、そして何より、あの交差斬りは……一寸のずれのない、完璧なものだった……。双子だからこそ、合わせられる奇跡の神技……そんな気がするほどだったからな……」
クレイズはそう言うと、感嘆するようにため息をついた。
「そして互いの持つ二つの剣が1つに交わった瞬間、私の剣は叩き折られ、そして刃が私を貫き、切り伏せられていた……。あのような戦いをまた味わいたい……」
「隊長って、いっつもそれっすよね。戦うことばっか考えてやすね。結婚して奥さんと家庭を作ることとか、考えたことってないんすか?」
「ハハハ、私は戦ってばかりいたからな。それに、人間である私を好きになる物好きなど、そうそういるものじゃないからな」
そう言いながらクレイズは皮肉る。
個体数が少ない上に『天才』の存在から他種族に恐れられていることに加え、人間の種族は他種族の視点だと『短命なうえに老いやすい種族』と言うことで、どの種族からも敬遠されやすい。
その為人間は、同種である人間と子をなすことが殆どである。
「あきらめちゃ駄目っすよ! 何ならあっしが誰か……ん?」
そこまで言うと、セドナは急にまじめな表情になり、耳を地面につけた。
「なんか東の丘で音が聞こえやす……」
「追手か……他に分かることはあるか?」
自分たちを追ってきた残党狩りだろう、と思い覚悟を決めた表情でクレイズは剣を構える。
「……いや、おかしいっすね。こちらに近づいてくるわけじゃない……仲間割れしているのかもしれない……。ちょっと見てきやす」
そう言うとセドナがひょい、と体を起こすと暗闇に消えていった。
それから数分後、セドナは驚いた表情で戻ってきた。
「ちょ、おかしいっす!」
「どうしたんだ!」
「仲間割れしてたのはたしかっすけど……。襲われてんのは勇者兄妹です!」
「なに!」
それを聞き、クレイズは勿論、他の兵士たちも表情を変えた。
「どんな事情があったのかはわかりやせんが……二人だけで、1個大隊を相手にしていやす!しかも連中、精鋭ぞろいなんで、いくら無敵の二人でも、後10分も持ちやせん!……あっしらまで見つからないうちに、逃げやしょう!」
「……戦が終わったらサキュバスやインキュバスは用済みってわけかい?まったくエルフ様のお家芸じゃないか!」
近くに居たドワーフの兵士は、そう毒づいた。彼女も過去にエルフに『使い捨て』の兵士として利用された経験があったことが発言からうかがえる。
そこまで聴き、クレイズは振り向いた。
「……すまない、これからする話は狂人のたわごとだと思ってくれ」
セドナ以外の兵士たちはその発言でクレイズの言いたいことを理解したのか、にやりと笑った。
「……聴くまでもないですが、どうぞ、クレイズ様」
「あの兄妹を助けに行く。お前たちは今のうちに逃げてくれ」
「はあ!?何言ってんすか、大将!あの二人は大将にとって敵では?」
唯一発言を想定できなかったセドナは、素っ頓狂な声を上げた。
「その通りだ。……だが、私にとってあの二人は最後に与えてくれる『死に場所』だと思っている。……私の最後は、あの二人の剣で終わりにしてほしいと思う」
「あっしには理解できやせん!殺されるために助けるなんて、どうかしていやす!」
「……だろうな。……世話になったな、セドナ」
「あ、大将!」
そう言うと、クレイズは馬にまたがり、兵士たちを置いて駈け出した。
その様子を見て、呆れながら兵士たちも立ち上がり身支度を始めた。
「まったくしょうがない隊長だな……。けどま、あのまま死なせちゃ可哀そうだな」
「ハハハ、それが人間の言う『情』ってやつかい?あたしらドワーフにゃちょっと分かんねえけど……。ま、いいさ。付き合ってやるよ」
「あ、みんな!ちょっと待ってくだせえ!」
当たり前のようにクレイズを追いかけていく兵士たちを見て、セドナも慌てて馬に飛び乗った。
荒野にポツンとある小さな林の中で、クレイズは元配下だった兵士たちと共に昼食を取っていた。
「クレイズ隊長。これであっしらの食料は無くなっちまいましたね」
そう言うと、一人の男がクレイズと呼ばれた青年に声をかけた。
「ああ、ありがとう、セドナ」
セドナはクレイズが率いる軍の副官だった男だ。
彼はわずかな野菜を放り込んだ粗末なスープをクレイズに手渡した。
「ん、なんか少し量が多くないか?」
「ああ、あっしは食欲がないんで、大将に食ってもらおうと思いやしてね」
「そうか……。そう言えば、お前が食事を摂るところを見たことはない気もするが……」
「え?……へへ、あっしは一人で食うのが好きなんで、お構いなく……」
クレイズはそれ以上は問い詰めず、スープをゆっくりとすすった。
「元四天王軍……と言っても、これじゃあ形無しだな」
そう言いながらクレイズは周りを見回した。
残っている兵士たちは20人ほどで、セドナを除き負傷していないものはいなかった。
クレイズ自身も例外ではなく、袈裟懸けに大きな傷がついており、包帯から血がにじみ出ている。
「まさか、陛下がこんな形で命を落とすとはな……」
「ええ、あの『勇者兄妹』ってのがあんなに強いってなあ、想定外でやしたね……」
「ああ……。人格的にはどうあれ『天才』ではあったのだがな……」
人間は他種族に比べ個体差が大きく、特に一部の『天才』と呼ばれる個体が稀に発生する。
竜族をも戦慄させる力を持つ『天才』の存在は、たびたび大陸を混乱に陥れる。
このことに対する恐怖もまた、人間が大陸で迫害され、個体数を著しく落とした原因である。
なお、幸か不幸か人間とエルフの間に子は出来ないので、この世界において最も肩身が狭くなるであろう『ハーフエルフ』に該当するものはいない。
「四天王で残ったのも、隊長だけでした。他の方々は……」
「そうか……」
当然、帝国側も黙っていたわけではない。
クレイズたち『四天王』は勇者兄妹に立ち向かったが、それでも歯が立たなかった。
そして廃墟と化した王城の中で、唯一四天王の中で息があったクレイズはセドナや僅かに生き残っていた将兵たちと共に王国から脱出したのである。
……それが、数週間ほど前の話であった。
非常用に用意していた糧秣も、今日の食事で底をついた。
「で、あっしらは……これからどうしやす?」
「……そうだな……」
そう言いながら、クレイズはうつろな笑みを浮かべた。
「……死に場所探し、かな……」
「そう言うと思いやした。……あっしはそう言うのは認めたくないんすけど、とりあえず目標は無いといけねえっすからね」
そう断りつつも、セドナは続けた。
「で、死に場所って、どこっすか?」
「……できれば、あの兄妹のような豪傑と、もう一度……戦える場……だな……」
「はあ……。やっぱりそれっすか」
それを聞き、セドナは呆れたように苦笑した。周りの将兵たちも『やっぱりクレイズさんっすね』『この戦闘狂!』と笑いながら野次を飛ばす。
「あの時の戦いは……夢のようだった……」
クレイズも元々は帝国内でも指折りの剣士であった。
魔法が使えず槍や弓も苦手と言うことで四天王の中では最弱の立ち位置ではあったが、単純な剣の腕であれば、周辺国から『魔王』と称された帝王にすら負けない自信はあった。
しかし、自身の剣はその双子には及ばなかった。
「初めに見た時には、幼くも勇敢な双子兄妹……そんな印象だったが……あの剣は初めて見る動きだった」
「確かに、ありゃ初見殺しっすね。あんなに可愛い二人……まあ、夢魔が可愛いのは当然でしょうが……が化け物みたいに強いなんてわかりやせんよ」
セドナの発言に、クレイズはうなづいた。
「ああ。4本の腕、4本の足が一つになって私に襲ってくるようだった……」
そう言いながら、まるで恋の熱に浮かされた少女のようにその時の光景を思い出していた。
「互いの死角を互いが庇う足さばき、まるで魂の半身を映し分けたかのような息の合う剣さばき、そして何より、あの交差斬りは……一寸のずれのない、完璧なものだった……。双子だからこそ、合わせられる奇跡の神技……そんな気がするほどだったからな……」
クレイズはそう言うと、感嘆するようにため息をついた。
「そして互いの持つ二つの剣が1つに交わった瞬間、私の剣は叩き折られ、そして刃が私を貫き、切り伏せられていた……。あのような戦いをまた味わいたい……」
「隊長って、いっつもそれっすよね。戦うことばっか考えてやすね。結婚して奥さんと家庭を作ることとか、考えたことってないんすか?」
「ハハハ、私は戦ってばかりいたからな。それに、人間である私を好きになる物好きなど、そうそういるものじゃないからな」
そう言いながらクレイズは皮肉る。
個体数が少ない上に『天才』の存在から他種族に恐れられていることに加え、人間の種族は他種族の視点だと『短命なうえに老いやすい種族』と言うことで、どの種族からも敬遠されやすい。
その為人間は、同種である人間と子をなすことが殆どである。
「あきらめちゃ駄目っすよ! 何ならあっしが誰か……ん?」
そこまで言うと、セドナは急にまじめな表情になり、耳を地面につけた。
「なんか東の丘で音が聞こえやす……」
「追手か……他に分かることはあるか?」
自分たちを追ってきた残党狩りだろう、と思い覚悟を決めた表情でクレイズは剣を構える。
「……いや、おかしいっすね。こちらに近づいてくるわけじゃない……仲間割れしているのかもしれない……。ちょっと見てきやす」
そう言うとセドナがひょい、と体を起こすと暗闇に消えていった。
それから数分後、セドナは驚いた表情で戻ってきた。
「ちょ、おかしいっす!」
「どうしたんだ!」
「仲間割れしてたのはたしかっすけど……。襲われてんのは勇者兄妹です!」
「なに!」
それを聞き、クレイズは勿論、他の兵士たちも表情を変えた。
「どんな事情があったのかはわかりやせんが……二人だけで、1個大隊を相手にしていやす!しかも連中、精鋭ぞろいなんで、いくら無敵の二人でも、後10分も持ちやせん!……あっしらまで見つからないうちに、逃げやしょう!」
「……戦が終わったらサキュバスやインキュバスは用済みってわけかい?まったくエルフ様のお家芸じゃないか!」
近くに居たドワーフの兵士は、そう毒づいた。彼女も過去にエルフに『使い捨て』の兵士として利用された経験があったことが発言からうかがえる。
そこまで聴き、クレイズは振り向いた。
「……すまない、これからする話は狂人のたわごとだと思ってくれ」
セドナ以外の兵士たちはその発言でクレイズの言いたいことを理解したのか、にやりと笑った。
「……聴くまでもないですが、どうぞ、クレイズ様」
「あの兄妹を助けに行く。お前たちは今のうちに逃げてくれ」
「はあ!?何言ってんすか、大将!あの二人は大将にとって敵では?」
唯一発言を想定できなかったセドナは、素っ頓狂な声を上げた。
「その通りだ。……だが、私にとってあの二人は最後に与えてくれる『死に場所』だと思っている。……私の最後は、あの二人の剣で終わりにしてほしいと思う」
「あっしには理解できやせん!殺されるために助けるなんて、どうかしていやす!」
「……だろうな。……世話になったな、セドナ」
「あ、大将!」
そう言うと、クレイズは馬にまたがり、兵士たちを置いて駈け出した。
その様子を見て、呆れながら兵士たちも立ち上がり身支度を始めた。
「まったくしょうがない隊長だな……。けどま、あのまま死なせちゃ可哀そうだな」
「ハハハ、それが人間の言う『情』ってやつかい?あたしらドワーフにゃちょっと分かんねえけど……。ま、いいさ。付き合ってやるよ」
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