二度目の冒険は『低レベル縛り』でいきましょう~『自称』ドMの女勇者ちゃんと一緒に、魔王になったヤンデレ妹を討伐します~

フーラー

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第4章

4-4 筆者の作品では恒例のキャラ『セドナ』です

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「よし、いけ!」
「やれ、そこよ! セドナ様、かっこいい~!」


外では、大勢の炭鉱夫達がワーワーと騒ぎながら人だかりを作っていた。
その中央にいるのは、


「よし、かかってごらん?」
「ああ、今日こそお前に勝たせてもらうぞ?」


若草色の服に茶色のマントに身をまとった若く秀麗な女性と、いかにも力自慢といった印象を与える男がいた。


「頑張れよ、リオール! 今日くらいは勝ってみろよ!」
「そうだそうだ! いつもセドナに負けっぱなしだろ?」


外見の印象からすると、明らかにリオールと言われた男のほうが強そうに見える。
だが、周囲の口ぶりから考えて明らかに、セドナと呼ばれた女が『チャンピオン』側だということが理解できた。


「へへ……今日こそは、勝つぜ! お前に勝てば、好きにしていいんだろ?」
「ハハハ、いいよ。そういう約束をしたんだろ?」


……なるほど、よくあるあれか。
セドナと呼ばれた女性は、恐らく自分の体を賭けて喧嘩をしているということだろう。
そして、周囲の炭鉱夫は彼女から金を巻き上げられているということか。

それをマルティナは興味津々といった表情で見やる。


「あのセドナって人……お姉さんっぽくてカッコいいね……シイルはああいう女性は好き?」
「え? ……どうだろうな……」


正直、俺は昔からロナのことで頭が一杯で、色恋沙汰は頭に入る余裕がない。
……というより、ロナをあれだけ傷つけた俺が恋愛をして幸せになる資格はないと思っている。


「あまり興味ないかな……仲間としては別だけどな……」


そう答えると、なぜかマルティナは嬉しそうな表情を見せて笑顔を向けた。

「へへ、そうなんだね……。あ、はじまるみたい!」
「俺から行くぞ、うおりゃ!」


その男はどかどかと走り出し、そして腰の入ったパンチを打ち込む。
……とはいえ、予備動作の大きいテレフォンパンチだ。恐らくリオールは今まで正規の訓練を受けたことがなく、身体能力だけで喧嘩に買ってきたタイプだろう。

その一撃をセドナはそれを難なくかわす。

(あ、バカ! 手を引き戻せ、リオール!)
「それ!」

俺がそう思った瞬間そしてセドナはその男の伸びきった手を掴むと、


「やあ!」

後ろに回り込んでぐい、と下に引き込む。
……正直、人間の反応速度じゃない。


「ぐは!」

その一撃でリオールは地面にたたきつけられた。

(あれ、今の動き……)

俺はその動きに違和感を感じた。それは元の世界で元カノが見せてくれた技だったからだ。


「どう、まだやるかい?」

セドナは見たところ手加減はしていたようだが、リオールはしたたかに腰を打ったようでふらふらとしていた。

「い、いや……これ以上やったら明日の仕事に響くし、今夜はお前とアレだからな」
「わかった。それじゃ、手当したげる」


そういうと慣れた手つきでセドナは治療薬を腰に塗ってあげる。
……彼女は優しいところがあるようだな。
セドナは少し呆れながら呟く。


「これでリオル、あんたの0勝10敗だね。まったく、なんで人間はそう無理するかなあ……」
「うっせーな。男ってのは壁があったら乗り越えたいもんなんだよ。つーか、マジ強えよな、セドナは」
「はは、ありがと。それじゃ、約束通り時間の変更はなしだね? 深夜2時にあんたの部屋に行くから、体洗って待ってな」
「ああ、3日ぶりにあんたを抱けるんだ。楽しみにしてるよ」


……ん?
セドナは『自分の身体』を賭けてたんじゃないのか?
勝ち負けに関わらずリオールの相手をするのか? どう見てもあの二人は恋人同士でもなさそうだが……


だが、あまり性的な話題はマルティナの前ではするべきじゃない。
そのことは一度置いておくことにした。

それより、彼女のような『格闘術』を使えるものは一番仲間に引き入れたい。低レベルクリアを行うためには、必須の人材だからだ。


「なあマルティナ? セドナさんを仲間に誘ってみるのはどうだ?」
「え? セドナさんを? うーん……けど、鉱山の人と仲よさそうだし、仲間になってくれるかなあ……それにあの人も綺麗だし……」


だが、やはり女性ということが気になるのか、マルティナはあまりいい顔をしなかった。


「女性だけど、彼女なら実力も十分だと思うからダメもとで聞いてみよう、な?」
「……正直気は進まないけど、シイルがそこまでいうなら……どうせ断られると思うけどね」


しばらくして、周囲がセドナから離れていったタイミングで俺は尋ねた。




「はじめましてセドナさん! 今の戦い、凄かったですね!」
「うん! 見ててドキドキしちゃった!」


セドナは俺たちにそう尋ねられると、人懐こそうな笑顔を見せた。


「おや、あたしと同じ旅人かい? ……そう言ってくれると嬉しいね。それとあたしはセドナでいいよ。さんづけはどうも嫌いでね」
「そうなの? じゃあよろしく、セドナ! あたしはマルティナ!」
「俺はシイルといいます」
「……へえ……」

俺たちの名前を知っているのか、その言葉を聞いて少し驚いたような表情をセドナが見せた。


「……こんな早く会えるなんてラッキーだな」


そうセドナはいうと、宿屋のマスターを呼びつける。


「親父さん、折角だからこの二人に夕飯食わせてやってくれるかい? 代金はあたしがだすからさ」
「え? ……いや、あんたにはいつも世話になってるからな。せめてお礼に奢らせてくれ」


そういうと、マスターは暖かい※チリビーンズを俺たちによそってくれた。
(※当然ですが『チリ』という国はこの世界にはありません。シイルが勘違いしているだけで、マスターが出したのは別の料理です)


「いいんですか?」
「ああ、まあお近づきの印ってことでね」

そう苦笑するセドナ。
出された食事にふーふーと息を吹きかけて冷ましながら、マルティナは不思議そうに尋ねる。


「敬語が嫌いなのって……よそよそしいのが苦手ってこと?」
「ううん。あたしは人間に奉仕するのは好きだけどさ。人間を支配するのは大嫌いでね。命令されるくらいのが性に合ってんだ」
「そうなの? ……じゃあ、あたしと一緒だ! あたしも『ドM』だから、奉仕するの好き! 気が合うね!」


そういうと、急にマルティナはセドナに興味を持ったらしく、先ほどまでと打って変わって、柔らかい表情になった。

俺は一瞬敬語で話しそうになるも、それを改めていくつか質問を頭の中でまとめた。


「ところでさ、セドナ。いくつか聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「え? ああ、いいよ。何でも聞きな」


正直彼女の言動は不可解な部分が多い。
そこでまず俺は一番気になるこの質問から尋ねてみた。


「まず、最初に使った技……あれってさ……『四方投げ』じゃないか?」
「しほーなげ?」

マルティナはきょとんとした顔をしたが、セドナが先ほど使っていたのは、合気道で用いられる四方投げだった。

元カノも合気道を学んでいたので練習しているのは見たことがあるが、実際合気道を実戦で使うのは困難であり、俺もあれほど綺麗に決めるのは初めて見た。
その俺の質問に、セドナは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐにフフ……と笑った。


「へえ……それが分かるってことは……シイルにクイズね。……犬、猿ときたら?」
「雉だろ? ってことはセドナも……」
「そう、お仲間だね」
「え、なになに? なんで犬が猿でそのあとが雉なの?」


マルティナは驚いたように俺たちを交互に見やる。


「はは。……まあ、今度ゆっくり説明してやるよ。……けど、分かった。セドナは俺と同じ『転移者』なんだな」

そういうとセドナはにっこりと可愛らしく笑った。


「そ。まああたしは……人間じゃないけどね」
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