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ハーピオンの略奪者編
第74話 ハーピオンの序列 ーザビーネー
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ハーピーの国、ハーピオン。
——女王の間。
「リイゼルとザビーネはこちらへ」
リイゼルと2人、女王バアルの前へと跪く。
女王バアルはリイゼルを見つめ肩を落とした。
「リイゼルよ。私はお前の力量と統率力を信じて魔神竜の復活阻止を命じたはずですが?」
「も、申し訳ございません……」
リイゼルが弁論するが、女王は蔑んだような目で彼女を見つめた。
「あの場にはヒューメニアだけで無くグレンボロウもおりました。その中には見たこともない武器を使う手だれも……これはヒューメニアだけの計画では無い気が致します」
「しかし、ヒューメニア自身が封印を解いたのは事実。そうでしょう?」
「それは……はい。確かにヒューメニア兵が封印を解くところを……この目で」
「エルフェリアからの人身売買の情報。あれのウラは取りました。ヒューメニア人の本性はあの頃から何も変わっておりません。そのような下賎な輩と外交を結ぼうとしたことは恥ずべき行為です」
リイゼルが項垂れる。
「そしてそのような者達ならば、魔神竜を手にして力を誇示しようとしていたとしても何らおかしくはありません」
リイゼルはそれ以上何も言えないという様子で地面を見つめ続けていた。
「故にリイゼルの失態は2つ。人間を信じたこと。魔神竜復活を阻止できなかったこと。特に2つ目はハーピオンそのものを危機へ陥れる失態です。許されるものではありません」
「じょ、女王様! なんとか私に挽回の余地を!」
「聞きません。女王より命じます。リイゼルは序列3位へ降格。以降2位の地位はザビーネが引き継ぎなさい」
「ザビーネに? せ、せめて他の者へ……」
「なんだぁ? リイゼルはアタシが出世するのが不満なのかよ?」
「お前は……!?」
何かを言おうとしたリイゼルだったが、その言葉は女王に遮られた。
「ザビーネは元々序列3位。貴方の次に2位に上がる資格があると思いますが?」
「しかし、女王様……」
「序列3位のリイゼル。お前には既に女王へ意見する資格はありません。下がりなさい」
「は、はい。大変失礼致しました」
リイゼルはそれ以上何も言わず、女王の間を出て行った。
……。
リイゼルのヤツ、いつもいつもアタシのやり方に口を出して来やがったからな。アタシが出世するのが気に入らないのかも。
「バアル様。アタシはリイゼルのような緩いやり方は取りません。ハーピオンの邪魔となる者は徹底的に潰してみせます」
「……ヒューメニアの本性が分かった今。貴方の力強さが必要だと考えます。ハーピオンの為に全力を尽くしなさい」
「おまかせ下さいバアル様」
バアルに頭を下げ部屋を出る。
◇◇◇
王宮から出ると、リイゼルが階段で待っていた。
「ああ? テメェまだ何か用かよ?」
「……ザビーネ。お前に忠告があって待っていた」
「心配すんなって。アタシがアンタの分も国を背負ってやるからよ」
「お前のやり方は敵を作りすぎる。敵の文化背景、歴史、政治状況をもっと知って……」
「知った結果がこの失態かよ?」
「くっ……」
リイゼルが悔しそうに顔を歪める。
クカカッ。気持ちいい~。散々アタシのこと馬鹿にしてやがったからなぁ。
「まぁいいや。忠告したいなら1つだけ教えろ。お前が阻まれたっていう猛者、何か特徴は無かったか?」
「……」
「おい、序列が下の分際で2位のザビーネ様に情報を与えないなんて言わねぇよなぁ?」
リイゼルは唇を噛むと、静かに話し出した。
「見たことも無い双剣を使っていた。古代文字が刻まれていて、装飾も特徴的で……」
古代文字が刻まれた双剣。そんな武器は世界に1つしか無い。ハーピオンの伝説を調べ尽くしたアタシなら分かる。神殺しの武器。その1つ。
そして双剣にあたる武器ってことは、バイス王国の宝刀のはずだ。
ということは……。
ククッ。魔神竜復活を企てたのは魔王国か。
「何か言ったか?」
「いやぁ? アタシはやることができたからしばらく国を開ける。リイゼルはその間ハーピオンを守りな」
「……分かった」
リイゼルの間抜けは一瞬だけ顔を曇らせると、また端正な顔立ちに戻った。
アタシに命令されるのがよほどプライドを傷付けたのか……まぁいい。
魔王国が何の為に魔神竜復活を企てたのかは知らん。だが、これはアタシにとってチャンスでもある。
恐らく、魔神竜を倒したことに神殺しの武器も関わっている。
ということは、我が国の伝説である神殺しの大剣もその力は失われていないということだ。
いいぞ。幼き頃より伝説の剣を調べ尽くした甲斐があった。
過去にハーピオンが供養した神殺しの大剣を回収に行く。あの村にはずっと目を付けていたからな。
あまり目立ちたくは無い。部隊は30人ほどで良いか。
……クク。クカカカカカッ。
来た。アタシの時代。あの糞リイゼルを黙らせられる地位も手に入った。
ハーピオンは力無くして高い序列を手に入れることはできない。しかし、リイゼルも女王も、持ち前の力を生かさず政治ばかりに傾倒している。だからヒューメニアの人間共を信じようなどと誤った判断を下すんだ。だからリイゼルは地位を失うことになったんだ。
孤児として生まれ、実力のみで生き抜いて来たアタシはリイゼル達とは違う。権力者の子として温室で育てられたヤツらとは。
アタシは欲しい物はどんなことをしても手に入れてみせる。目障りなものは全て叩き伏せる。
幼き頃より願ってやまなかった力……伝説の大剣「グラム」を手にしてみせる。一振りで空間ごと切断し、大地に亀裂を発生させるという武器を。
そうすれば後は……。
女王バアル。お前だけだ。
アタシはハーピオンの全てを手に入れてみせる。
——女王の間。
「リイゼルとザビーネはこちらへ」
リイゼルと2人、女王バアルの前へと跪く。
女王バアルはリイゼルを見つめ肩を落とした。
「リイゼルよ。私はお前の力量と統率力を信じて魔神竜の復活阻止を命じたはずですが?」
「も、申し訳ございません……」
リイゼルが弁論するが、女王は蔑んだような目で彼女を見つめた。
「あの場にはヒューメニアだけで無くグレンボロウもおりました。その中には見たこともない武器を使う手だれも……これはヒューメニアだけの計画では無い気が致します」
「しかし、ヒューメニア自身が封印を解いたのは事実。そうでしょう?」
「それは……はい。確かにヒューメニア兵が封印を解くところを……この目で」
「エルフェリアからの人身売買の情報。あれのウラは取りました。ヒューメニア人の本性はあの頃から何も変わっておりません。そのような下賎な輩と外交を結ぼうとしたことは恥ずべき行為です」
リイゼルが項垂れる。
「そしてそのような者達ならば、魔神竜を手にして力を誇示しようとしていたとしても何らおかしくはありません」
リイゼルはそれ以上何も言えないという様子で地面を見つめ続けていた。
「故にリイゼルの失態は2つ。人間を信じたこと。魔神竜復活を阻止できなかったこと。特に2つ目はハーピオンそのものを危機へ陥れる失態です。許されるものではありません」
「じょ、女王様! なんとか私に挽回の余地を!」
「聞きません。女王より命じます。リイゼルは序列3位へ降格。以降2位の地位はザビーネが引き継ぎなさい」
「ザビーネに? せ、せめて他の者へ……」
「なんだぁ? リイゼルはアタシが出世するのが不満なのかよ?」
「お前は……!?」
何かを言おうとしたリイゼルだったが、その言葉は女王に遮られた。
「ザビーネは元々序列3位。貴方の次に2位に上がる資格があると思いますが?」
「しかし、女王様……」
「序列3位のリイゼル。お前には既に女王へ意見する資格はありません。下がりなさい」
「は、はい。大変失礼致しました」
リイゼルはそれ以上何も言わず、女王の間を出て行った。
……。
リイゼルのヤツ、いつもいつもアタシのやり方に口を出して来やがったからな。アタシが出世するのが気に入らないのかも。
「バアル様。アタシはリイゼルのような緩いやり方は取りません。ハーピオンの邪魔となる者は徹底的に潰してみせます」
「……ヒューメニアの本性が分かった今。貴方の力強さが必要だと考えます。ハーピオンの為に全力を尽くしなさい」
「おまかせ下さいバアル様」
バアルに頭を下げ部屋を出る。
◇◇◇
王宮から出ると、リイゼルが階段で待っていた。
「ああ? テメェまだ何か用かよ?」
「……ザビーネ。お前に忠告があって待っていた」
「心配すんなって。アタシがアンタの分も国を背負ってやるからよ」
「お前のやり方は敵を作りすぎる。敵の文化背景、歴史、政治状況をもっと知って……」
「知った結果がこの失態かよ?」
「くっ……」
リイゼルが悔しそうに顔を歪める。
クカカッ。気持ちいい~。散々アタシのこと馬鹿にしてやがったからなぁ。
「まぁいいや。忠告したいなら1つだけ教えろ。お前が阻まれたっていう猛者、何か特徴は無かったか?」
「……」
「おい、序列が下の分際で2位のザビーネ様に情報を与えないなんて言わねぇよなぁ?」
リイゼルは唇を噛むと、静かに話し出した。
「見たことも無い双剣を使っていた。古代文字が刻まれていて、装飾も特徴的で……」
古代文字が刻まれた双剣。そんな武器は世界に1つしか無い。ハーピオンの伝説を調べ尽くしたアタシなら分かる。神殺しの武器。その1つ。
そして双剣にあたる武器ってことは、バイス王国の宝刀のはずだ。
ということは……。
ククッ。魔神竜復活を企てたのは魔王国か。
「何か言ったか?」
「いやぁ? アタシはやることができたからしばらく国を開ける。リイゼルはその間ハーピオンを守りな」
「……分かった」
リイゼルの間抜けは一瞬だけ顔を曇らせると、また端正な顔立ちに戻った。
アタシに命令されるのがよほどプライドを傷付けたのか……まぁいい。
魔王国が何の為に魔神竜復活を企てたのかは知らん。だが、これはアタシにとってチャンスでもある。
恐らく、魔神竜を倒したことに神殺しの武器も関わっている。
ということは、我が国の伝説である神殺しの大剣もその力は失われていないということだ。
いいぞ。幼き頃より伝説の剣を調べ尽くした甲斐があった。
過去にハーピオンが供養した神殺しの大剣を回収に行く。あの村にはずっと目を付けていたからな。
あまり目立ちたくは無い。部隊は30人ほどで良いか。
……クク。クカカカカカッ。
来た。アタシの時代。あの糞リイゼルを黙らせられる地位も手に入った。
ハーピオンは力無くして高い序列を手に入れることはできない。しかし、リイゼルも女王も、持ち前の力を生かさず政治ばかりに傾倒している。だからヒューメニアの人間共を信じようなどと誤った判断を下すんだ。だからリイゼルは地位を失うことになったんだ。
孤児として生まれ、実力のみで生き抜いて来たアタシはリイゼル達とは違う。権力者の子として温室で育てられたヤツらとは。
アタシは欲しい物はどんなことをしても手に入れてみせる。目障りなものは全て叩き伏せる。
幼き頃より願ってやまなかった力……伝説の大剣「グラム」を手にしてみせる。一振りで空間ごと切断し、大地に亀裂を発生させるという武器を。
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アタシはハーピオンの全てを手に入れてみせる。
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