14 / 302
第14話 461さん、美女と美少女に押しかけられる。
しおりを挟む
~探索者461さん~
ジークリードに会った日の夜。ヤツの条件をリレイラさんへ報告した。するとすぐに電話がかかって来て、俺の家にリレイラさんが来ることになってしまった。
何故かアイルも一緒に。
「へ~ここがヨロイさんの家なんだ! 意外に近い所に住んでたのね!」
「アイルはどこに住んでるんだよ?」
「御徒町」
「徒歩圏内じゃん」
「……」
ん?
4人がけのテーブルに座るリレイラさんを横目で見ると、彼女は何も言わずにジッと俺達のことを見ていた。
「どれどれ~?」
アイルが俺の部屋の物色を始める。アイテム整理部屋の棚を開けるだけならまだしも、何故かベッドの下も覗き込む。
「ちょ、勝手に漁るなよ」
「いいじゃない。もしかして女子に見られたらマズイ物でもあるのぉ?」
「俺はガキか」
「コホン!」
「うぉ!?」
「ひっ!?」
リレイラさんの鋭い目付き。その威圧感に俺もアイルも自然と正座になってしまう。
「それで? ダンジョン管理局に断りも無くそのような条件を出したのか?」
リレイラさんの雰囲気がいつもと違う。怒りというよりブチギレだ。
「あの~条件を出したのはジークリードなんだけど。そっちを処罰してくれないかしら?」
「できるか! ジークリード達は部長の担当なんだぞ!?」
(というか初対面なのにどうして私が怒られないといけないのよ……)
(俺に言うなよ。アイルがジークリードの勝負受けたからだろ?)
(う……それは悪いと思ってるけど、だ、だってチャンスだって思ったんだもん!)
「私の前で内緒話するなぁ!!」
涙目でテーブルをバンバン叩くリレイラさん。
い、いつもと様子が違う。
「せっかくヨロイ君と再びコンビを組んでダンジョンに挑もうという時にこんな邪魔が入るなんて……100歩譲って小娘がパーティに入ることは受け入れたが今度は引退だと? 部長めどんな教育を探索者にしているんだ。私の喜びをぶち壊すなどと上司と言えど許すことはできん。そうだ今までのヤツのハラスメントを全部労基にタレ込んでやろうか。そうすればヤツを排除して私とヨロイ君だけのダンジョンライフをいやしかしまずは今回の一件を片付けなければヨロイ君が引退しては元も子もな」
「リレイラさん……?」
「なんだかこの人目がキマってるけど大丈夫……?」
ブツブツ何かを呟くリレイラさん。心配になって彼女を見ていると、リレイラさんは急にハッとした顔になる。
「う、コホン……君達とジークリードの会話は多数の目撃者がいたようでな。今SNSは君達とジークリードの話で持ち切りだ。もはや我々では止めることはできない」
彼女は鞄を漁ると、中からタブレット端末を取り出した。
「だから、せめて六本木ヒルズの情報だけでも伝えたいのだが……いいかな? その、管理局的には敵の詳しい情報は伝えられないのだが」
リレイラさんは、目を伏せてチラチラと俺を見た。
「君が、探索者を辞めてしまったら……私は、悲しいよ……」
リレイラさん……。
俺を必死でサポートしてくれるなんて、なんて素晴らしい人なんだ。やっぱり、俺の担当はリレイラさんが1番だぜ。
「ありがとうリレイラさん。アドバイスとして聞かせてもらうよ」
「なんだか、私が置いてけぼりなんだけど」
アイルはなぜか頬を膨らませた。
……。
なんでこんな居心地が悪いんだ?
◇◇◇
「朝にも言った通り、六本木ヒルズはこの世界の建物の形状、内観がそのまま残っているタイプのダンジョンだ。その代わり……他と比べてモンスターが多い」
リレイラさんが端末を俺達に見せる。そこには大型のクモ型モンスターが写っていた。
「ボスは2体。入り口を守るマザースパイダーと最上階に君臨するファザースパイダー。普通に攻略するならボス戦、雑魚戦、再度のボス戦になる」
「ボスが2体。最初のマザースパイダーにどうやって対処するかだな……リレイラさん。そのマザースパイダーとの戦闘は必然ですか?」
「それはダンジョン管理局としては答えられない」
答えられない……か。なら戦闘の回避方法があるってことだな。後でマップをもう一度見るか。
「建物内の電気は生きてるの?」
「いや、残念ながら死んでいる。入り口自体は開かれたまま。侵入は可能だ」
「最上階の53階まで階段を登る必要があるのか」
53階と聞いてアイルが身震いする。
「53階も!? うぇぇ……キツそうね……」
確かにこの華奢な身体に53階分の階段を登らせて最上階のボスと戦わせるのはキツイか。
「なら良いアイテムがあるぜ」
隣の部屋のアイテム倉庫。その中からアクセサリが保管された棚を漁る。
「確かにこの辺に……あれはメリカリには出してなかったはず……っとこれだ」
棚にあった腕輪を取り出す。銀色に輝く本体に緑の宝石が装飾された腕輪を。
「持久の腕輪。装備してから24時間で効力を失うが、スタミナの回復を補助してくれるアイテムだ」
「へぇ! 使っていいの?」
アイルの顔がパッと明るくなる。腕輪を手に取り天井のライトにかざす。腕輪の宝石がライトに照らされキラリと光った。
「いいぜ。最上階で動けなくなっても困るしな」
「ありがとヨロイさん!」
「ただアクセサリ系は2つまでしか装備できないから気を付けろよ。それ以上付けると効果を相殺するから」
「大丈夫よ。この前ヨロイさんに貰った指輪と合わせて2つだけ装備するわ」
「指輪……だと?」
後ろから物凄いプレッシャーが襲いかかる。振り返ると笑顔のリレイラさんが俺を見ていた。
なんだか怖かった。
……。
その後は、ダンジョン管理局の情報を貰った。六本木ヒルズに入るためのルートに雑魚敵の基本情報。流石に体力や詳しい攻撃モーションなんかは明かされていなかったが。
約束の日まで数日。幸いリフレクションソードは間に合いそうだ。準備は怠らないようにしないとな。
◇◇◇
~天王洲アイル~
ヨロイさんの家から帰ろうとしたら、ダンジョン管理局のリレイラが家まで送ると言ってきた。
湯島のヨロイさんのマンションを出て御徒町方面へ歩いていく。真っ暗な道の中をリレイラがついて来る。
「……付いてこなくて大丈夫なんだけど?」
「さっき言ったろ? 君の担当も私になった。気にもする」
「ホントに大丈夫だって」
「この辺りは治安が良くないだろ。女子ならば夜の1人歩きはやめておけ」
「リレイラだって女子じゃない。私を送ってくれるのはいいけど帰り1人で大丈夫なの?」
リレイラが急に固まる。なんか変なこと言ったかなと考えていたら、リレイラが言いづらそうに口を開いた。
「……私は魔族、だし。というか、ダンジョン管理局の人間は皆魔族だって知ってるだろ?」
「? 知ってるけど?」
「じゃ、じゃあなんでそんな普通の人間のように心配を……」
「私の担当になったんでしょ? これから仲良くしてこうって時にさ、アンタに何かあったら寝覚め悪いじゃない」
振り返って見ると、リレイラはなんとも言えない表情をしていた。何かを言おうとしては口ごもる。しばらく彼女が何を言うのか待っていると、彼女は諦めたように俯いた。
「……ありがとう。なら、気にせず普通に接するよ」
「ヨロイさんの前では普通だったじゃない」
「それは……っ!? そう、だな……そうだったかも……」
リレイラがモゾモゾ喋る。それがなんだか同じくらいの女の子に見えて笑ってしまった。
「わ、笑うな……!」
……。
その後はヨロイさんの昔話を聞きながら帰った。引きこもりだったこと。クレジットカードで良い装備を買ってしまって、ダンジョンで良いアイテムを手に入れないとブラックリストに載るとかで、必死になってダンジョンに潜ったこと。
今のヨロイさんからはちょっと想像付かなかった。今度ヨロイさんをからかってやろうかな。
そんな時、ずっと疑問に思っていたことが浮かんだ。
「ねぇ。なんでヨロイさんの探索者名って『461さん』なの?」
「なぜそれが気になる?」
「いや、なんとなく。聞いちゃダメ?」
「別に構わないよ。君は彼のパーティだしな。ふふっ」
意味深長に笑うリレイラ。彼女は思い出すように空を見上げた。
「元々はな、彼は本名を入れようとしたそうだ。だが、それは既に登録されてたらしくてな。何パターン試してもエラー。本名を数字にして、それでもダメで最後はヤケクソで『さん』付けにしたらしい」
「それで461さん?」
「そう。本当は461さんなんだよ」
シライ……白井?
「本人はそれが恥ずかしいらしくてヨロイと呼んでるみたいだがな。ま、彼の見た目的には合っているんじゃないか?」
「ふふっ。何それ。ゲームの名付けみたい」
「そういうヤツなんだよヨロイ君は」
思わず笑ってしまう。それにつられたようにリレイラも笑う。でも、しばらく笑った後、急にリレイラが静かになった。
「先程はすまなかった」
「え?」
「私も気が気じゃなくてな。君に当たってしまった」
「別にいいって。私のせいだし」
「……私はヨロイ君に引退なんてさせたくない。私が管理局の人間だからじゃない。彼が彼らしく生きられるのがダンジョンだからだ」
リレイラが俯く。さっきの話を聞いても、ヨロイさんはずっとダンジョンに潜り続けてきたって分かる。
ダンジョン探索者じゃないヨロイさん、か。全然想像付かないな。
……悪い事したな。勝手に話進めちゃって。
リレイラの瞳を真っ直ぐ見つめる。今の私に言える状況じゃないけど、真剣だっていう気持ちは伝えたいから。
「頑張る。私には、これしか言えないけど……でも私、頑張るから。ヨロイさんと、貴方の為に」
「……頼む」
俯いていたリレイラがそっと手を差し出してくる。それをしっかりと握った。
私が、がんばらないと。
ジークリードに会った日の夜。ヤツの条件をリレイラさんへ報告した。するとすぐに電話がかかって来て、俺の家にリレイラさんが来ることになってしまった。
何故かアイルも一緒に。
「へ~ここがヨロイさんの家なんだ! 意外に近い所に住んでたのね!」
「アイルはどこに住んでるんだよ?」
「御徒町」
「徒歩圏内じゃん」
「……」
ん?
4人がけのテーブルに座るリレイラさんを横目で見ると、彼女は何も言わずにジッと俺達のことを見ていた。
「どれどれ~?」
アイルが俺の部屋の物色を始める。アイテム整理部屋の棚を開けるだけならまだしも、何故かベッドの下も覗き込む。
「ちょ、勝手に漁るなよ」
「いいじゃない。もしかして女子に見られたらマズイ物でもあるのぉ?」
「俺はガキか」
「コホン!」
「うぉ!?」
「ひっ!?」
リレイラさんの鋭い目付き。その威圧感に俺もアイルも自然と正座になってしまう。
「それで? ダンジョン管理局に断りも無くそのような条件を出したのか?」
リレイラさんの雰囲気がいつもと違う。怒りというよりブチギレだ。
「あの~条件を出したのはジークリードなんだけど。そっちを処罰してくれないかしら?」
「できるか! ジークリード達は部長の担当なんだぞ!?」
(というか初対面なのにどうして私が怒られないといけないのよ……)
(俺に言うなよ。アイルがジークリードの勝負受けたからだろ?)
(う……それは悪いと思ってるけど、だ、だってチャンスだって思ったんだもん!)
「私の前で内緒話するなぁ!!」
涙目でテーブルをバンバン叩くリレイラさん。
い、いつもと様子が違う。
「せっかくヨロイ君と再びコンビを組んでダンジョンに挑もうという時にこんな邪魔が入るなんて……100歩譲って小娘がパーティに入ることは受け入れたが今度は引退だと? 部長めどんな教育を探索者にしているんだ。私の喜びをぶち壊すなどと上司と言えど許すことはできん。そうだ今までのヤツのハラスメントを全部労基にタレ込んでやろうか。そうすればヤツを排除して私とヨロイ君だけのダンジョンライフをいやしかしまずは今回の一件を片付けなければヨロイ君が引退しては元も子もな」
「リレイラさん……?」
「なんだかこの人目がキマってるけど大丈夫……?」
ブツブツ何かを呟くリレイラさん。心配になって彼女を見ていると、リレイラさんは急にハッとした顔になる。
「う、コホン……君達とジークリードの会話は多数の目撃者がいたようでな。今SNSは君達とジークリードの話で持ち切りだ。もはや我々では止めることはできない」
彼女は鞄を漁ると、中からタブレット端末を取り出した。
「だから、せめて六本木ヒルズの情報だけでも伝えたいのだが……いいかな? その、管理局的には敵の詳しい情報は伝えられないのだが」
リレイラさんは、目を伏せてチラチラと俺を見た。
「君が、探索者を辞めてしまったら……私は、悲しいよ……」
リレイラさん……。
俺を必死でサポートしてくれるなんて、なんて素晴らしい人なんだ。やっぱり、俺の担当はリレイラさんが1番だぜ。
「ありがとうリレイラさん。アドバイスとして聞かせてもらうよ」
「なんだか、私が置いてけぼりなんだけど」
アイルはなぜか頬を膨らませた。
……。
なんでこんな居心地が悪いんだ?
◇◇◇
「朝にも言った通り、六本木ヒルズはこの世界の建物の形状、内観がそのまま残っているタイプのダンジョンだ。その代わり……他と比べてモンスターが多い」
リレイラさんが端末を俺達に見せる。そこには大型のクモ型モンスターが写っていた。
「ボスは2体。入り口を守るマザースパイダーと最上階に君臨するファザースパイダー。普通に攻略するならボス戦、雑魚戦、再度のボス戦になる」
「ボスが2体。最初のマザースパイダーにどうやって対処するかだな……リレイラさん。そのマザースパイダーとの戦闘は必然ですか?」
「それはダンジョン管理局としては答えられない」
答えられない……か。なら戦闘の回避方法があるってことだな。後でマップをもう一度見るか。
「建物内の電気は生きてるの?」
「いや、残念ながら死んでいる。入り口自体は開かれたまま。侵入は可能だ」
「最上階の53階まで階段を登る必要があるのか」
53階と聞いてアイルが身震いする。
「53階も!? うぇぇ……キツそうね……」
確かにこの華奢な身体に53階分の階段を登らせて最上階のボスと戦わせるのはキツイか。
「なら良いアイテムがあるぜ」
隣の部屋のアイテム倉庫。その中からアクセサリが保管された棚を漁る。
「確かにこの辺に……あれはメリカリには出してなかったはず……っとこれだ」
棚にあった腕輪を取り出す。銀色に輝く本体に緑の宝石が装飾された腕輪を。
「持久の腕輪。装備してから24時間で効力を失うが、スタミナの回復を補助してくれるアイテムだ」
「へぇ! 使っていいの?」
アイルの顔がパッと明るくなる。腕輪を手に取り天井のライトにかざす。腕輪の宝石がライトに照らされキラリと光った。
「いいぜ。最上階で動けなくなっても困るしな」
「ありがとヨロイさん!」
「ただアクセサリ系は2つまでしか装備できないから気を付けろよ。それ以上付けると効果を相殺するから」
「大丈夫よ。この前ヨロイさんに貰った指輪と合わせて2つだけ装備するわ」
「指輪……だと?」
後ろから物凄いプレッシャーが襲いかかる。振り返ると笑顔のリレイラさんが俺を見ていた。
なんだか怖かった。
……。
その後は、ダンジョン管理局の情報を貰った。六本木ヒルズに入るためのルートに雑魚敵の基本情報。流石に体力や詳しい攻撃モーションなんかは明かされていなかったが。
約束の日まで数日。幸いリフレクションソードは間に合いそうだ。準備は怠らないようにしないとな。
◇◇◇
~天王洲アイル~
ヨロイさんの家から帰ろうとしたら、ダンジョン管理局のリレイラが家まで送ると言ってきた。
湯島のヨロイさんのマンションを出て御徒町方面へ歩いていく。真っ暗な道の中をリレイラがついて来る。
「……付いてこなくて大丈夫なんだけど?」
「さっき言ったろ? 君の担当も私になった。気にもする」
「ホントに大丈夫だって」
「この辺りは治安が良くないだろ。女子ならば夜の1人歩きはやめておけ」
「リレイラだって女子じゃない。私を送ってくれるのはいいけど帰り1人で大丈夫なの?」
リレイラが急に固まる。なんか変なこと言ったかなと考えていたら、リレイラが言いづらそうに口を開いた。
「……私は魔族、だし。というか、ダンジョン管理局の人間は皆魔族だって知ってるだろ?」
「? 知ってるけど?」
「じゃ、じゃあなんでそんな普通の人間のように心配を……」
「私の担当になったんでしょ? これから仲良くしてこうって時にさ、アンタに何かあったら寝覚め悪いじゃない」
振り返って見ると、リレイラはなんとも言えない表情をしていた。何かを言おうとしては口ごもる。しばらく彼女が何を言うのか待っていると、彼女は諦めたように俯いた。
「……ありがとう。なら、気にせず普通に接するよ」
「ヨロイさんの前では普通だったじゃない」
「それは……っ!? そう、だな……そうだったかも……」
リレイラがモゾモゾ喋る。それがなんだか同じくらいの女の子に見えて笑ってしまった。
「わ、笑うな……!」
……。
その後はヨロイさんの昔話を聞きながら帰った。引きこもりだったこと。クレジットカードで良い装備を買ってしまって、ダンジョンで良いアイテムを手に入れないとブラックリストに載るとかで、必死になってダンジョンに潜ったこと。
今のヨロイさんからはちょっと想像付かなかった。今度ヨロイさんをからかってやろうかな。
そんな時、ずっと疑問に思っていたことが浮かんだ。
「ねぇ。なんでヨロイさんの探索者名って『461さん』なの?」
「なぜそれが気になる?」
「いや、なんとなく。聞いちゃダメ?」
「別に構わないよ。君は彼のパーティだしな。ふふっ」
意味深長に笑うリレイラ。彼女は思い出すように空を見上げた。
「元々はな、彼は本名を入れようとしたそうだ。だが、それは既に登録されてたらしくてな。何パターン試してもエラー。本名を数字にして、それでもダメで最後はヤケクソで『さん』付けにしたらしい」
「それで461さん?」
「そう。本当は461さんなんだよ」
シライ……白井?
「本人はそれが恥ずかしいらしくてヨロイと呼んでるみたいだがな。ま、彼の見た目的には合っているんじゃないか?」
「ふふっ。何それ。ゲームの名付けみたい」
「そういうヤツなんだよヨロイ君は」
思わず笑ってしまう。それにつられたようにリレイラも笑う。でも、しばらく笑った後、急にリレイラが静かになった。
「先程はすまなかった」
「え?」
「私も気が気じゃなくてな。君に当たってしまった」
「別にいいって。私のせいだし」
「……私はヨロイ君に引退なんてさせたくない。私が管理局の人間だからじゃない。彼が彼らしく生きられるのがダンジョンだからだ」
リレイラが俯く。さっきの話を聞いても、ヨロイさんはずっとダンジョンに潜り続けてきたって分かる。
ダンジョン探索者じゃないヨロイさん、か。全然想像付かないな。
……悪い事したな。勝手に話進めちゃって。
リレイラの瞳を真っ直ぐ見つめる。今の私に言える状況じゃないけど、真剣だっていう気持ちは伝えたいから。
「頑張る。私には、これしか言えないけど……でも私、頑張るから。ヨロイさんと、貴方の為に」
「……頼む」
俯いていたリレイラがそっと手を差し出してくる。それをしっかりと握った。
私が、がんばらないと。
97
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる