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第43話 461さん、スキルツリーを開示する
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外周後はリレイラさんの用意してくれた弁当を囲みながら、お互いスキルツリーを確認することになった。
渋谷の攻略というのはジーク達にも魅力的だったようだ。俺がスキルツリーを開示すると言った所、2人ともすぐに了承してくれた。
確認の結果判明したのはジークリードは閃光による速度100%強化と波動斬による特化型の成長構築、ミナセは物理攻撃、防御、魔法攻撃、防御、速度強化に光属性魔法……明らかにジークをサポートする為だけの成長をしていた。
「これ……成長が歪すぎないか?」
2人のスマホ……スキルツリーを見て愕然とする。
俺が過去にリレイラさんから教えて貰ったのは「バランス良く、どんな状況にも対応できるうに、生き残れるように」という物だった。それはダンジョン管理局としての方針でもあったはずだ。
それなのに……あまりにその基本から逸脱している。
「誰かに言われたのか? こんな風に成長させるように」
「いや?」
ジークが不思議そうに首を傾げた。
「俺達は探索者としては第2世代。ダンジョン学校教育も受けていないから第1世代探索者の成長方式を取り入れているのだが?」
「第1とか第2ってなんだ?」
聞き慣れない単語にリレイラさんを見てしまう。彼女は端末のメモアプリを立ち上げて何かを書き込んで行く。そこにはダンジョン出現から今までを簡単にまとめた図があった。
「ダンジョン出現から12年。初めてダンジョンへと挑んだ探索者達を第1世代という。これはヨロイ君が属するグループだ。ジーク君達、教育を受けていない層が第2世代。アイル君のような教育を受けた者が第3世代だ」
「へ~鎧さんって第1世代なんだ。それであんな風に戦えたんだねぇ~」
ミナセが弁当からおかずを皿に乗せて配ってくれる。その横でアイルは無心で弁当を食べていた。そんな腹減ってたのか?
「配信者としてはルーキーだが……ということか」
何か合点の言ったように頷くジークとミナセ。正直俺は訳が分からなかった。
「待てよ。第1世代って俺の他にもいるんだろ?」
「今の東京にはヨロイ君ともう1人しか第1世代探索者はいない。引退して地方に移った者や亡くなった者ばかりだ」
「もう1人って?」
会話の輪に入ろうとしていたのか、アイルが喰い気味に会話に割り込んで来た。
「モグッ!? その人ダンジョン配信者よ!」
「配信者? 第1世代で?」
「そう。史上初のダンジョン配信者ね。探索者名は鯱女王。伝説の配信者! それにA級の上、S級探索者の称号を持ってるの!」
伝説の配信者……S級? 色んな称号付きすぎて全然分からないぞ。
混乱していると、ジークが咳払いをした。
「今の俺達のスキル特化型ビルドは全て鯱女王が広めた物だ。強力なスキルに特化し、敵を圧倒する。そうすれば被害を最小限に抑えて攻略ができると」
「そうそう! 実際そのおかげでここ5年は死者が出てないよね~」
ジークにミナセ……それに恐らく今まで会った配信者達もみんなその鯱女王ってヤツの影響を受けてるのか。
リレイラさんが端末から女探索者のプロフィールを出す。
「探索者名「鯱女王」、元日本政府の雇われの探索者だ。ダンジョン探索用ドローン開発に携わっていたが……ある日、攻略の様子をDチューブに配信。彼女のスキル特化による蹂躙とも言える攻略映像は一気に世界中に広まった」
「み~んな鯱女王の強さを分析したんだって~! それで判明したの。スキル一点特化によるビルドをすれば、厄介なモンスターやボス相手に無双できるって!」
「ジーク君達はその先人ノウハウを元にスキルツリーを解放したということだ。1つのスキルを最大にまで育てると、その人物は超人の如き力を振るうことができる」
リレイラさんが寂しげな顔を浮かべる。
「だが、それは同時に本来積むはずだった経験を放棄したことに他ならない。第二世代の要素を取り入れたダンジョン教育を受けたアイル君達も同様。だからこそ、生態系が変わった今のダンジョンの攻略は……困難を極めるんだ」
なるほどなぁ。A級のジークがクイーンスパイダーに勝てなかったのもそういう背景があるのか。だがその反面、探索者達は短期間で超人的な能力を手に入れた……と。複雑な気分だな。
「鎧。お前のスキルツリーも見せてくれ」
「気になる~!」
スマホを取り出すとジークとミナセが覗き込んで来る。おにぎりを食べていたアイルが不敵な笑みを浮かべた。
「ヨロイさんのスキルツリーはすごいわよ」
なんでお前が偉そうなんだよ。
アプリを起動し、スキルツリー画面を開く。
「な、なんだと……!?」
「き、基本スキルしか、持ってない……?」
リレイラさんがギラリと目を光らせた。
「だが、その数を見てみろ」
ジークが手を差し出すのでスマホを渡す。2人はスクロールしながら食い入るように画面を見つめた。そんなに見られると恥ずかしいんだが……。
「剣、短剣、大剣、ナイフ、槍、斧、盾に探索用魔法……基本スキルだけだが、非常にバランスが取れている、いや……これは、網羅しているのか?」
「常在スキルも……全部30パーセントあるね。全部の好スキルが少しずつだけど、ツリーが扇みたいに広がってる~!」
「そうやってビルドしておけばダンジョンに合わせて装備も戦法も変えられる。東京に来てからは他の武器は使ってないがいつでもスイッチできるのは便利だぜ」
だが俺の場合、ここまでツリーを育てるのに12年という時間が必要だった。短期間で超人になったジーク達と長期間かけて自力を上げた俺……こう見ると真逆のビルドだな。
「なぜ特殊技スキルを解放していないんだ?」
「波動斬みたいな特殊技スキルねぇんだよ俺。そういうスキルツリーみたいだ」
「ほ、本当だ……っ!? 特殊技のスキルが、無い……」
そう。なぜか俺のスキルツリーは特殊技が現れない。基本スキルに便利スキルばかりっていう謎ツリーだ。あ、謎と言えばもう一つあるか。
「この『探索者の心』という常在スキルはなんだ? 効果が書いていないぞ」
「へ~この常在スキル解放しないと他のスキル解放できなかったツリーなんだね」
ジークとミナセが不思議そうな顔をして見て来る。なんと答えるか迷っていると、リレイラさんが口を開いた。
「私もずっと調べているのだが……分からないんだ」
「分からない?」
「鎧さんだけが持つ常在スキル~?」
俺自身もこれがどういう効果を発揮しているのか全く分からない。解放する以前と異なるのは敵のモーションを見極めやすくなったくらいか?
「でもスキルツリー見て分かったでしょ? ヨロイさんのツリーは綺麗なの。こんな綺麗なツリー授業でも見たことないわ!」
アイルがふんぞり返る。いや、だからなんでお前が偉そうなんだよ……。
まぁ、いいか。これで全員の能力は共有できたしな。
ジークやミナセもチームで見ればバランスが取れてるとも言えるしな。高難度の渋谷もチームならと思ったが間違いじゃなさそうだ。それぞれの役割をしっかり考えないとな。
渋谷の攻略というのはジーク達にも魅力的だったようだ。俺がスキルツリーを開示すると言った所、2人ともすぐに了承してくれた。
確認の結果判明したのはジークリードは閃光による速度100%強化と波動斬による特化型の成長構築、ミナセは物理攻撃、防御、魔法攻撃、防御、速度強化に光属性魔法……明らかにジークをサポートする為だけの成長をしていた。
「これ……成長が歪すぎないか?」
2人のスマホ……スキルツリーを見て愕然とする。
俺が過去にリレイラさんから教えて貰ったのは「バランス良く、どんな状況にも対応できるうに、生き残れるように」という物だった。それはダンジョン管理局としての方針でもあったはずだ。
それなのに……あまりにその基本から逸脱している。
「誰かに言われたのか? こんな風に成長させるように」
「いや?」
ジークが不思議そうに首を傾げた。
「俺達は探索者としては第2世代。ダンジョン学校教育も受けていないから第1世代探索者の成長方式を取り入れているのだが?」
「第1とか第2ってなんだ?」
聞き慣れない単語にリレイラさんを見てしまう。彼女は端末のメモアプリを立ち上げて何かを書き込んで行く。そこにはダンジョン出現から今までを簡単にまとめた図があった。
「ダンジョン出現から12年。初めてダンジョンへと挑んだ探索者達を第1世代という。これはヨロイ君が属するグループだ。ジーク君達、教育を受けていない層が第2世代。アイル君のような教育を受けた者が第3世代だ」
「へ~鎧さんって第1世代なんだ。それであんな風に戦えたんだねぇ~」
ミナセが弁当からおかずを皿に乗せて配ってくれる。その横でアイルは無心で弁当を食べていた。そんな腹減ってたのか?
「配信者としてはルーキーだが……ということか」
何か合点の言ったように頷くジークとミナセ。正直俺は訳が分からなかった。
「待てよ。第1世代って俺の他にもいるんだろ?」
「今の東京にはヨロイ君ともう1人しか第1世代探索者はいない。引退して地方に移った者や亡くなった者ばかりだ」
「もう1人って?」
会話の輪に入ろうとしていたのか、アイルが喰い気味に会話に割り込んで来た。
「モグッ!? その人ダンジョン配信者よ!」
「配信者? 第1世代で?」
「そう。史上初のダンジョン配信者ね。探索者名は鯱女王。伝説の配信者! それにA級の上、S級探索者の称号を持ってるの!」
伝説の配信者……S級? 色んな称号付きすぎて全然分からないぞ。
混乱していると、ジークが咳払いをした。
「今の俺達のスキル特化型ビルドは全て鯱女王が広めた物だ。強力なスキルに特化し、敵を圧倒する。そうすれば被害を最小限に抑えて攻略ができると」
「そうそう! 実際そのおかげでここ5年は死者が出てないよね~」
ジークにミナセ……それに恐らく今まで会った配信者達もみんなその鯱女王ってヤツの影響を受けてるのか。
リレイラさんが端末から女探索者のプロフィールを出す。
「探索者名「鯱女王」、元日本政府の雇われの探索者だ。ダンジョン探索用ドローン開発に携わっていたが……ある日、攻略の様子をDチューブに配信。彼女のスキル特化による蹂躙とも言える攻略映像は一気に世界中に広まった」
「み~んな鯱女王の強さを分析したんだって~! それで判明したの。スキル一点特化によるビルドをすれば、厄介なモンスターやボス相手に無双できるって!」
「ジーク君達はその先人ノウハウを元にスキルツリーを解放したということだ。1つのスキルを最大にまで育てると、その人物は超人の如き力を振るうことができる」
リレイラさんが寂しげな顔を浮かべる。
「だが、それは同時に本来積むはずだった経験を放棄したことに他ならない。第二世代の要素を取り入れたダンジョン教育を受けたアイル君達も同様。だからこそ、生態系が変わった今のダンジョンの攻略は……困難を極めるんだ」
なるほどなぁ。A級のジークがクイーンスパイダーに勝てなかったのもそういう背景があるのか。だがその反面、探索者達は短期間で超人的な能力を手に入れた……と。複雑な気分だな。
「鎧。お前のスキルツリーも見せてくれ」
「気になる~!」
スマホを取り出すとジークとミナセが覗き込んで来る。おにぎりを食べていたアイルが不敵な笑みを浮かべた。
「ヨロイさんのスキルツリーはすごいわよ」
なんでお前が偉そうなんだよ。
アプリを起動し、スキルツリー画面を開く。
「な、なんだと……!?」
「き、基本スキルしか、持ってない……?」
リレイラさんがギラリと目を光らせた。
「だが、その数を見てみろ」
ジークが手を差し出すのでスマホを渡す。2人はスクロールしながら食い入るように画面を見つめた。そんなに見られると恥ずかしいんだが……。
「剣、短剣、大剣、ナイフ、槍、斧、盾に探索用魔法……基本スキルだけだが、非常にバランスが取れている、いや……これは、網羅しているのか?」
「常在スキルも……全部30パーセントあるね。全部の好スキルが少しずつだけど、ツリーが扇みたいに広がってる~!」
「そうやってビルドしておけばダンジョンに合わせて装備も戦法も変えられる。東京に来てからは他の武器は使ってないがいつでもスイッチできるのは便利だぜ」
だが俺の場合、ここまでツリーを育てるのに12年という時間が必要だった。短期間で超人になったジーク達と長期間かけて自力を上げた俺……こう見ると真逆のビルドだな。
「なぜ特殊技スキルを解放していないんだ?」
「波動斬みたいな特殊技スキルねぇんだよ俺。そういうスキルツリーみたいだ」
「ほ、本当だ……っ!? 特殊技のスキルが、無い……」
そう。なぜか俺のスキルツリーは特殊技が現れない。基本スキルに便利スキルばかりっていう謎ツリーだ。あ、謎と言えばもう一つあるか。
「この『探索者の心』という常在スキルはなんだ? 効果が書いていないぞ」
「へ~この常在スキル解放しないと他のスキル解放できなかったツリーなんだね」
ジークとミナセが不思議そうな顔をして見て来る。なんと答えるか迷っていると、リレイラさんが口を開いた。
「私もずっと調べているのだが……分からないんだ」
「分からない?」
「鎧さんだけが持つ常在スキル~?」
俺自身もこれがどういう効果を発揮しているのか全く分からない。解放する以前と異なるのは敵のモーションを見極めやすくなったくらいか?
「でもスキルツリー見て分かったでしょ? ヨロイさんのツリーは綺麗なの。こんな綺麗なツリー授業でも見たことないわ!」
アイルがふんぞり返る。いや、だからなんでお前が偉そうなんだよ……。
まぁ、いいか。これで全員の能力は共有できたしな。
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