461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

文字の大きさ
45 / 302

第43話 461さん、スキルツリーを開示する

しおりを挟む
 外周後はリレイラさんの用意してくれた弁当を囲みながら、お互いスキルツリーを確認することになった。

 渋谷の攻略というのはジーク達にも魅力的だったようだ。俺がスキルツリーを開示すると言った所、2人ともすぐに了承してくれた。

 確認の結果判明したのはジークリードは閃光による速度100%強化と波動斬による特化・・型の成長構築ビルド、ミナセは物理攻撃、防御、魔法攻撃、防御、速度強化に光属性魔法……明らかにジークをサポートする為だけ・・の成長をしていた。

「これ……成長がいびつすぎないか?」

 2人のスマホ……スキルツリーを見て愕然がくぜんとする。

 俺が過去にリレイラさんから教えて貰ったのは「バランス良く、どんな状況にも対応できるうに、生き残れるように」という物だった。それはダンジョン管理局としての方針でもあったはずだ。

 それなのに……あまりにその基本から逸脱いつだつしている。

「誰かに言われたのか? こんな風に成長させるように」

「いや?」

 ジークが不思議そうに首を傾げた。

「俺達は探索者としては第2世代。ダンジョン学校教育も受けていないから第1世代探索者の成長方式を取り入れているのだが?」

「第1とか第2ってなんだ?」

 聞き慣れない単語にリレイラさんを見てしまう。彼女は端末のメモアプリを立ち上げて何かを書き込んで行く。そこにはダンジョン出現から今までを簡単にまとめた図があった。

「ダンジョン出現から12年。初めてダンジョンへと挑んだ探索者達を第1世代という。これはヨロイ君が属するグループだ。ジーク君達、教育を受けていない層が第2世代。アイル君のような教育を受けた者が第3世代だ」

「へ~鎧さんって第1世代なんだ。それであんな風に戦えたんだねぇ~」

 ミナセが弁当からおかずを皿に乗せて配ってくれる。その横でアイルは無心で弁当を食べていた。そんな腹減ってたのか?

「配信者としてはルーキーだが……ということか」

 何か合点の言ったように頷くジークとミナセ。正直俺は訳が分からなかった。

「待てよ。第1世代って俺の他にもいるんだろ?」

「今の東京にはヨロイ君ともう1人・・・・しか第1世代探索者はいない。引退して地方に移った者や亡くなった者ばかりだ」

「もう1人って?」

 会話の輪に入ろうとしていたのか、アイルが喰い気味に会話に割り込んで来た。

「モグッ!? その人ダンジョン配信者よ!」

「配信者? 第1世代で?」

「そう。史上初のダンジョン配信者ね。探索者名は鯱女王オルカ。伝説の配信者! それにA級の上、S級探索者の称号を持ってるの!」

 伝説の配信者……S級? 色んな称号付きすぎて全然分からないぞ。

 混乱していると、ジークが咳払いをした。

「今の俺達のスキル特化型ビルドは全て鯱女王オルカが広めた物だ。強力なスキルに特化し、敵を圧倒する。そうすれば被害を最小限に抑えて攻略ができると」

「そうそう! 実際そのおかげでここ5年は死者が出てないよね~」

 ジークにミナセ……それに恐らく今まで会った配信者達もみんなその鯱女王オルカってヤツの影響を受けてるのか。


 リレイラさんが端末から女探索者のプロフィールを出す。

「探索者名「鯱女王オルカ」、元日本政府の雇われの探索者だ。ダンジョン探索用ドローン開発に携わっていたが……ある日、攻略の様子をDチューブに配信。彼女のスキル特化による蹂躙とも言える攻略映像は一気に世界中に広まった」

「み~んな鯱女王オルカの強さを分析したんだって~! それで判明したの。スキル一点特化によるビルドをすれば、厄介なモンスターやボス相手に無双できるって!」

「ジーク君達はその先人ノウハウを元にスキルツリーを解放したということだ。1つのスキルを最大にまで育てると、その人物は超人の如き力を振るうことができる」

 リレイラさんが寂しげな顔を浮かべる。

「だが、それは同時に本来積むはずだった経験を放棄したことに他ならない。第二世代の要素を取り入れたダンジョン教育を受けたアイル君達も同様。だからこそ、生態系が変わった今のダンジョンの攻略は……困難を極めるんだ」

 なるほどなぁ。A級のジークがクイーンスパイダーに勝てなかったのもそういう背景があるのか。だがその反面、探索者達は短期間で超人的な能力を手に入れた……と。複雑な気分だな。

「鎧。お前のスキルツリーも見せてくれ」

「気になる~!」

 スマホを取り出すとジークとミナセが覗き込んで来る。おにぎりを食べていたアイルが不敵な笑みを浮かべた。

「ヨロイさんのスキルツリーはすごいわよ」


 なんでお前が偉そうなんだよ。


 アプリを起動し、スキルツリー画面を開く。


「な、なんだと……!?」

「き、基本スキルしか、持ってない……?」

 リレイラさんがギラリと目を光らせた。

「だが、その数を見てみろ」

 ジークが手を差し出すのでスマホを渡す。2人はスクロールしながら食い入るように画面を見つめた。そんなに見られると恥ずかしいんだが……。

「剣、短剣、大剣、ナイフ、槍、斧、盾に探索用魔法……基本スキルだけだが、非常にバランスが取れている、いや……これは、網羅しているのか?」

「常在スキルも……全部30パーセントあるね。全部の好スキルが少しずつだけど、ツリーが扇みたいに広がってる~!」

「そうやってビルドしておけばダンジョンに合わせて装備も戦法も変えられる。東京に来てからは他の武器は使ってないがいつでもスイッチできるのは便利だぜ」

 だが俺の場合、ここまでツリーを育てるのに12年という時間が必要だった。短期間で超人になったジーク達と長期間かけて自力を上げた俺……こう見ると真逆のビルドだな。


「なぜ特殊技スキルを解放していないんだ?」

「波動斬みたいな特殊技スキルねぇんだよ俺。そういうスキルツリーみたいだ」

「ほ、本当だ……っ!? 特殊技のスキルが、無い……」

 そう。なぜか俺のスキルツリーは特殊技が現れない。基本スキルに便利スキルばかりっていう謎ツリーだ。あ、謎と言えばもう一つあるか。

「この『探索者の心』という常在スキルはなんだ? 効果が書いていないぞ」

「へ~この常在スキル解放しないと他のスキル解放できなかったツリーなんだね」

 ジークとミナセが不思議そうな顔をして見て来る。なんと答えるか迷っていると、リレイラさんが口を開いた。

「私もずっと調べているのだが……分からないんだ」

「分からない?」
「鎧さんだけが持つ常在スキル~?」

 俺自身もこれがどういう効果を発揮しているのか全く分からない。解放する以前と異なるのは敵のモーションを見極めやすくなったくらいか?

「でもスキルツリー見て分かったでしょ? ヨロイさんのツリーは綺麗なの。こんな綺麗なツリー授業でも見たことないわ!」

 アイルがふんぞり返る。いや、だからなんでお前が偉そうなんだよ……。

 まぁ、いいか。これで全員の能力は共有できたしな。

 ジークやミナセもチームで見ればバランスが取れてるとも言えるしな。高難度の渋谷もチームならと思ったが間違いじゃなさそうだ。それぞれの役割をしっかり考えないとな。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...