461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第135話 新宿迷宮攻略メンバー

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 ~461さん~

 ──洋食屋「冒険家B」

 モモチーが帰ってしばらくした後。カランと扉の開く音がした。入り口を見みると、そこにはパーカーとハーフパンツ姿のジークが立っていた。

「あれ? ミナセは?」

「今日はユイの修行を見ている」

「あ~特訓かぁ。シィーリア忙しそうだしな」

「昼明けまで俺が見ていたんだが……後半少しやりすぎてしまった。ユイもキル太も泣きが入りそうだったからミナセに任せてきたんだ」

 少し……か。ジークの少しは容赦無さそうだな。

 この様子じゃ、ユイとキル太がダンジョンに行けるようになるのはもう少し先かな。反面、ジークにとっては良い影響がありそうだ。

 先ほどからユイの戦闘のクセを話すジークは何だか嬉しそうに見える。それに……通常なら気付かないような動きにも言及。ユイに教えることで、ジーク自身も基礎を振り返っている気がする。

 しばらく上機嫌で話していたジーク。彼はアイスコーヒーを注文し、声のトーンを落とした。

「それで、話とは?」

「新宿迷宮の件だ」

 新宿のワードを出した瞬間、ジークが待っていましたと言わんばかりに笑みを浮かべた。

「ふっ。鎧ならそのことだと思っていたぞ。俺とミナセなら既に仕上がっている」

「頼もしいじゃん。管理局からの通知は見たってことだよな?」

「無論だ」


 ……。


 リレイラさんから連絡を貰った時、思わず飛び跳ねそうになった。何せ、未開のダンジョンである新宿迷宮ラビリンスへ挑んでいいなんて話だからな。興奮しない方がおかしいぜ。


 だが、それには1つ条件があった。


 それが管理局の試験をクリアすること。


 攻略情報が全くないダンジョンは生還率が非常に低い。今のダンジョンの生還率が高いのはスキル特化による成長構築ビルド、それと豊富な攻略情報によるものだろう。攻略情報が無い中での探索。その厳しさは俺も12年前に散々味わった。だからこそ、この条件は妥当だと思う。

 そして、試験があるなら今のうちにジーク達に伝えておかなければならないことがある。

「今回の攻略に関してはもう1人パーティメンバーが欲しい」

「もう1人? 俺達では力不足なのか?」

「いや、俺達のパーティは戦闘面ではかなり安定している。今回はそれに加えて長期攻略に必要な人材が欲しい」

「どういうことだ?」

「新宿迷宮・・と名付けられたダンジョンだぜ? 1日でクリアできると思うか? そんな時、何が1番重要になって来ると思う?」

「長期攻略に重要なもの、か」

 ジークが考え込むように腕を組んだ時、ナーゴがアイスコーヒーを運んで来た。


「にゃ! アイスコーヒーお待たせしましたにゃ~♡」


 猫の着ぐるみがパチパチとその目を瞬きさせる。それをジッと見つめるジーク。彼は、何かを察したように声をあげた。

「なるほど。確かに必要だな」

「だろ?」

「にゃにゃ? なんで2人ともナーゴのこと見てくるにゃ?」

 ナーゴは、不思議そうに首を傾げた。




◇◇◇

「にゃっ!? ナーゴが新宿迷宮に!?」

 ナーゴをパーティに誘うと、驚いたように着ぐるみの眉が持ち上がる。

「今回行く新宿迷宮は全く攻略情報が無いんだ。加えて「迷宮ラビリンスという名称。長期戦になるのは確実だ。そこで1番必要になる物……もう分かったよな? ジーク」

「食事だろう」

「そう。それもただの食事じゃない。食材を現地調達して調理できる人材が必要だ。俺の知っている中でナーゴ以外に適任者はいない」

 先程モモチーにオリジナルドリンクを入れていることで確信した。異世界産の食材を調理できるナーゴは、今回の新宿攻略の鍵と言っても過言じゃない。

「ナーゴ。お前の知る食材ってただ味が良いだけじゃないよな? 体力回復や魔力回復なんて効果も持ってるだろ?」

「にゃにゃ!? なんで分かったにゃ!?」

「ナーゴの食事を食ってれば分かるぜ。どうだ? 新宿迷宮、一緒に攻略しないか?」

 ナーゴの腕があれば、食事と共に回復薬すら現地調達できることになる。当然ダンジョンの宝の中には回復薬はあるだろうが……他の探索者と奪い合いになる可能性も否定できないからな。


「確かに未開のダンジョンにある食材も気になるにゃ。でもにゃあ~ナーゴDランクだし……」

 お、ナーゴも新宿迷宮自体には興味はあるのか。なら話は早いな。

「当然戦闘にも参加して貰うことになるが、ナーゴにはアイテムを使用した回復役を任せたい。そうすれば戦闘での危険度も減るはずだ。いいだろジーク?」

「俺は構わないぞ。戦闘は俺達の役割だ」

「そ、それなら行ってみたいにゃ!」

「よし! 決まりだな!」

 ナーゴが両手を構えて気合いを入れる。眉もキリッと凛々しく……ってなんだか昔見た教育番組の人形劇みたいな表情だな。ほんと、どんな仕組みになってるんだ?

 そんな事を考えていると、向かいのジークが悩ましい顔をした。

「後は管理局の試験をどうクリアするかだな」

「そうだにゃ。ナーゴは戦闘能力は高くないからクリアできるかにゃあ……」

 新宿解放まで一ヶ月。管理局の試験が行われるのは1週間後。リレイラさんからパーティでの試験も実施されると聞いた。なら、すぐにでもコンビネーションの訓練はした方がいいな。

 まずは全員に集まる時間、場所を連絡か。リレイラさんが試験準備で忙しくなってしまったからその辺りは俺がやらないと。こういう時にリレイラさんのありがたみが分かるよなぁ。

「ヨロさん黙り込んじゃったにゃ」
「訓練の方法を検討しているんだろう。そっとしておこう」
「ジーさんは考えないのかにゃ?」
「じ、ジーさん……俺は年寄りか」
「ゴメンにゃ~でもジークリードさんだと長すぎるし、ジークさんもよそよそしくないかにゃ?」
「ま、まぁ、好きに呼べばいい……」

 ジークとナーゴが何か話している。聞こえてくる会話を頭から追い払う。集中集中。周囲の音は気にするな。

 今回も俺が盾役をやって……あ、そうだ。アスカルオを使うから装備していても剣を両手持ちできる盾がいるな。

 ジークにあのアイテムも持たせておいた方がいい。今のジークなら使いこなせるだろうし。いや、アレは試験をクリアしてから慣れさせた方がいいな……。

「そういえばジーさんはハンターシティで何やってたのにゃ? モニター見てたけど最後の方しか映ってなかったにゃ」
「それを話すと長くなるな……」
「パーティメンバーなんだから聞きたいにゃ♡」
「あれはまだ初夏の頃だった……出かけていたミナセが俺の元に……」
「にゃ!? エチエチな話かにゃ!? ナーゴそういうのは免疫無いにゃ!」
「ち、違う! 真面目な話だ!」


 めちゃくちゃ話すじゃん。この2人……。




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