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第172話 最強パーティ、さらに強くなってしまう。【配信回】
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~461さん~
俺達は勝者マンを加えてあの植物ボスの所まで戻ってきた。
「……ということだ。勝者マン、アンタにはナーゴと一緒に3本目のツボミ触手の破壊を頼みたい。タイミングを合わせられるか?」
「勝者! ……」
勝者マンは何かを言おうとして、諦めたようにコクリと頷いた。先ほどからずっとこの調子だ。勝者〇〇と話そうとしては日常会話は思い付かないようで黙り込んでしまう。まぁ、会話にはならないが意思疎通は取れるから問題はないだろう。
「ナーゴ、勝者マンに指示してやってくれるか?」
「にゃ、にゃあ……がんばるにゃあ……」
(笑顔)
勝者マンは、話す代わりに爽やかな笑みを浮かべ、手を差し出した。どうやら話すことは諦めて表情だけで答えることにしたようだ。しかし、その笑顔とは裏腹に目は笑っていない。
というかその目はバキバキにキマっている。ナーゴは小さく悲鳴をあげてから彼の手を握った。
「ナーゴが怖がるのも無理無いわよね」
「最初ナーゴのことモンスターだと思ったみたいだしね~」
アイルとミナセは、勝者マンに声をかけた時の事を思い出したのか困ったような顔をした。
「なんだと……!? その場にいたなら俺が勝者マンと戦うことになっていたかもしれん」
「にゃ!? ジーさん……仲間思いだにゃあ……ナーゴ感動だにゃ……」
(照)
なぜか勝者マンは照れたような顔で頭を掻いた。
「照れてんじゃないのにゃ!! 危うくナーゴ死ぬところだったのにゃ! おぉ゛ん!?」
な、ナーゴがブチ切れてるな……眉が吊り上がって尋常じゃない怒りだ。こんなナーゴは初めて見たかもしれない。まぁ、それはちょっと置いとくか……。
俺は、ナーゴを落ち着かせて地面にあの植物ボスの絵を描いた。
「よし、ボス攻略の最終確認するぞ。アイルは魔力を溜めて待機。いつでも火炎魔法放てるようにしておいてくれ」
「まっかせといて!」
「ジーク、ミナセはそれぞれツボミ触手を破壊。ナーゴと勝者マンで最後の1本を破壊してくれ」
ツボミ触手の図にバツを振っていく。次に花のような頭部にバツを。そして最後にコアに丸を振った。
「3本の触手を同時に破壊した直後にアイルが頭部の花を燃やす。俺は花からアイルを守りつつ最後にコアをやる。質問は?」
全員の顔を見ると、ミナセが手を上げた。
「あ、鎧さん。今回は私が配信してもいい?」
「構わないぜ。配信は基本的にどんどんやってくれ。情報はできるだけ流したいからな」
「オッケ~♪」
パッと笑顔になったミナセが腰のポーチからドローンを出し、空へと飛ばす。映像をリンクさせるとかでアイルとナーゴもドローンを飛ばし、俺達の周囲をクルクルと回った。
「準備オッケーだよ! みんながんばろ~!」
ミナセの元気な声と共に、俺達はボスに向かった。
◇◇◇
~ミナセ~
「キシャアアアアアア!!!」
みんなが配置につく。ツボミ触手の前にカズ君、私、ナーゴと勝者マン。3回も予行練習したんだ。きっと大丈夫。
視線の先で花のようなモンスターが雄叫びを上げる。円のように牙が生えた顔、怖いなぁ……。
鎧さんが、アイルちゃんを守るように聖剣アスカルオを構えた。あんなヤツからアイルちゃんを守るなんて鎧さんすご。
「ボーっとするなミナセ、俺達もやるぞ」
カズ君の声で自分の頬を叩く。そうだよね。最近鎧さんやアイルちゃん達に任せっきりだったから気合い抜けてたかも。
「ふぅ……やるぞ~」
気合いを入れた所でドローンが私の前を横切る。一呼吸おいて、コメントが一斉に流れ始めた。
〈ミナセちゃんの配信にみんな映ってるんだ!〉
〈森かぁ~〉
〈コクーンタワー見えるし西新宿エリアかな?〉
〈久々のジークリードの尻……っ!!〉
〈良いケツしてるわねぇ!!〉
〈尻姉に同調してるヤツいて草〉
〈鉄塊の武史の所のネキやんけ〉
〈ロード・デザレアか:wotaku〉
〈どんなモンスターなんだ!?〉
〈教えてウォタクニキ!〉
〈植物型モンスター「デザレア」種の最高位。:wotaku〉
〈だからロードかぁ~〉
〈的確に部位破壊しないと物理も魔法も効かないボス:wotaku〉
〈ヤババババババババババ!?〉
〈クッソ強いやんけ!!〉
ふぅん、あのモンスター「ロード・デザレア」って言うのか。私達も初めて見たのにウォタクさんよく知ってるな。
あ、ダメダメ! 集中集中! 私がタイミング遅れたらみんなに迷惑かけちゃう。
全身に魔力を溜めて物理防御上昇と速度上昇、物理攻撃上昇を発動する。
目の前には人を丸呑みできそうな大きな口を持ったツボミ触手。カズ君とナーゴを見る。みんなが頷いたのを確認して触手に向かって駆け出した。
〈あの口……人間丸呑みサイズすぎだろ!〉
〈怖ええええええ!?〉
〈よく行けるな!?〉
〈ミナセを映すよりジークリードの尻を〉
〈僕はミナセちゃんの方がいいんだ!〉
〈ワイもミナセちゃんのお尻の方が〉
〈うるせぇ!!!!!!!〉
〈ヒェッ!? 尻姉ガチギレやんけ!〉
〈怖いんだ!?〉
〈心に余裕を持たないとジークリードのファンが減るわよ♡〉
〈すまん……尻が……遠のいたから……〉
〈素直www〉
〈……:wotaku〉
「キジャアアアアアア!!!」
触手が大口を開けて襲いかかる。その一撃をしゃがんで避けて拳を構えた。
よし、狙い通り。これなら鎧さんと考えた攻撃ができる。
ツボミ触手は反射魔法を体全体に張ってる。なら、私が地に足を付けた状態でアレをやったら……きっとこの触手自身もそんなこと想定していないはず。この為に私は3回の戦闘でこの攻撃を温存したんだ。
金のロッドを地面に突き刺し、私の頭上にあるツボミ触手に拳を叩き付けた。
「障壁魔法!!」
拳が当たる直前、その拳に障壁魔法を展開。ヤツの反射魔法と私の障壁魔法がぶつかる。一瞬、両脚にずしりと重みが走った後、ツボミ触手が空中に跳ね上がった。
「ギシャアアアアア!?」
〈うえええええあああ!?〉
〈パンチ1発で跳ね飛ばしたんだ!?〉
〈障壁魔法と反射魔法をぶつけた。反発で逆に威力が上がったように見える:wotaku〉
〈やべええええ!?〉
〈強っよ!?〉
近くの木を足場にして飛び上がり、跳ね上がった顔にもう一度拳を放つ。
「ギッ!?」
再び反射魔法が発動して触手の顔が地面に叩きつけられる。すぐに障壁魔法を解除。触手と顔の繋ぎ目に組み付く。触手の顔は地面に激突した衝撃でピクピクと痙攣してる……後はねじ切るだけだね。
「こっちは準備いいよ!」
「了解にゃ! ほら早く行くにゃ!」
「勝者ナイフッ!!」
ナーゴと勝者マンが触手に飛びかかる。勝者マンがツボミ触手の顔にナイフを突き刺す。何度も何度も突き刺して、その顔の原型が無くなっていく。
〈グッッッロ!!!〉
〈勝者マンやんけ!!〉
〈久々に見たわ勝者マンw〉
〈アカBANされて以来やな!〉
〈461さん達と協力なんて胸熱なんだ!〉
〈ボスを倒すのに協力したようだな:wotaku〉
〈勝者マン返り血浴びすぎw〉
「貰ったにゃ!!」
勝者マンが顔と戦っている間にナーゴが触手と顔の付け根を狙って走る。その両手からシャキンとクローが展開して、顔の根元を引っ掻き始めた。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!」
クローによって削れる触手の付け根。私もそろそろ決めにかからないと。
「う、うあああああ……っ!!」
ブチブチと繊維が千切れるような音と一緒に触手を引きちぎっていく。
〈ミナセちゃん力強ぇ……〉
〈え、待って、ホントに補助役?〉
〈強化魔法の影響もあるが相当鍛えてるな:wotaku〉
〈怒らせたらヤバそう〉
〈たまらん〉
〈搾られたい〉
〈キショコメ来たw〉
〈カッコいいんだ!〉
よし、こっちもあとひと押し。後はカズ君だけ。
「ジークリード!!」
カズ君の名前を呼ぶ。カズ君は、襲いかかるツボミ触手の攻撃をヒラリと躱し、隙を狙ってその付け根にバルムンクの一撃を放った。
「ミナセ! ナーゴ! 合わせろ!!」
カズ君の合図でボロボロになった触手を全力で引きちぎる。横を見ると、ナーゴと勝者マンが根元にクローとナイフを突き刺して切断する所だった。
「ギシャアアアアア!?」
「ギィィィィィィィ!?」
「ギアアアアアアァァァ!?」
雄叫びと共に本体から切断されるツボミ触手達。それが放っていた反射魔法が消えて、ロード・デザレアを包んでいた反射魔法の光が消える。
「待ってたわ!! 火炎魔法!!」
その瞬間を見計らって、魔力を溜め続けていたアイルちゃんが火炎魔法を放つ。弧を描いて飛んで行く火球が、5枚の花びらを持つロード・デザレアの顔面に直撃する。
「ギジャア゛ァァアアアアアアアアア!?」
燃え盛る炎。ヤツの茎のコアが無防備になった。そこに向かって鎧さんが飛ぶ。ロード・デザレアの葉を飛び移り、聖剣アスカルオを構えた。
「オラァッ!!!」
ヤツのコアにアスカルオの刀身が突き刺さる。コアがビシリとヒビ割れた直後、ロード・デザレアの巨大な体はゆっくりと地面に倒れ込んだ。
〈え? もう終わり?〉
〈もしかしてロード・デザレアって弱い?〉
〈楽勝じゃん!〉
〈ダメージほとんど受けなかったもんなぁ〉
〈見かけ倒しか~?〉
〈もっと戦闘見たかったなぁ〉
ロード・デザレアからレベルポイントの光が溢れ出して私達のスマホに吸い込まれて、私のスマホから電子音が聞こえた。
『レベルポイントを3000pt獲得しました』
〈え、3000ポイント?〉
〈触手倒したミナセちゃんが3000ptってことは……〉
〈1万pt超えじゃないかアイツ!?〉
〈ハンターシティの不死鳥並みじゃん!〉
〈いや、それより強いんじゃね!?〉
〈クッソ強えええ!?〉
〈え、461さんパーティがソイツを瞬殺したってことか!?〉
〈ヤベェ……〉
〈作戦も、力量も素晴らしい:wotaku〉
〈ヤバすぎぃ!?〉
〈ひゃだ!? みんな強くなったじゃない!?〉
〈めちゃくちゃカッコいいんだ!!〉
〈尻が見たい〉
さっきまで敵の強さを疑ってたコメントの流れが一気に変わる。自分達では気付かなかったけど、みんな凄く強くなってる……この新宿に来てから特に。
「お~やったな~!」
「私の魔法見てくれた!?」
奥で鎧さんとアイルちゃんが喜んでる。それで一気にボスを倒した実感が湧いた。
「やったにゃ! ミナセちゃん!」
ナーゴが駆け寄って来る。勝者マンはまだ触手を攻撃してるけど……。
「ミナセ、ほら」
後ろから声をかけられる。振り返ると、私のロッドを持ったカズ君がそこにいた。恥ずかしそうな顔で私のロッドを差し出してくれるカズ君。
楽しい。
私……今、最高に楽しい!!
もし、過去に戻れるなら昔の自分に伝えたい。私にはこんなに頼もしい仲間がいて、ダンジョンのことを好きになってるって!
絶望しそうな状況の新宿迷宮。だけど、私は……私達なら、絶対クリアできる! どんなことも絶対乗り越えられる!
「カズ君!」
「お、おい!?」
嬉しくなってカズ君に飛び付くと、彼は顔を真っ赤にした。
〈ひゃだ!? そういうことなの!?〉
〈羨ましいんだ!〉
〈ワイにも抱き付いてくれ!〉
〈いや、絞られたい〉
〈キショコメ自重しろwww〉
〈私の尻がぁ……〉
〈尻姉ショック受けてるやんw〉
「あ!? 違うってみんな! 嬉しくてつい!」
この後、何故か温かいコメントばかりが流れた。
俺達は勝者マンを加えてあの植物ボスの所まで戻ってきた。
「……ということだ。勝者マン、アンタにはナーゴと一緒に3本目のツボミ触手の破壊を頼みたい。タイミングを合わせられるか?」
「勝者! ……」
勝者マンは何かを言おうとして、諦めたようにコクリと頷いた。先ほどからずっとこの調子だ。勝者〇〇と話そうとしては日常会話は思い付かないようで黙り込んでしまう。まぁ、会話にはならないが意思疎通は取れるから問題はないだろう。
「ナーゴ、勝者マンに指示してやってくれるか?」
「にゃ、にゃあ……がんばるにゃあ……」
(笑顔)
勝者マンは、話す代わりに爽やかな笑みを浮かべ、手を差し出した。どうやら話すことは諦めて表情だけで答えることにしたようだ。しかし、その笑顔とは裏腹に目は笑っていない。
というかその目はバキバキにキマっている。ナーゴは小さく悲鳴をあげてから彼の手を握った。
「ナーゴが怖がるのも無理無いわよね」
「最初ナーゴのことモンスターだと思ったみたいだしね~」
アイルとミナセは、勝者マンに声をかけた時の事を思い出したのか困ったような顔をした。
「なんだと……!? その場にいたなら俺が勝者マンと戦うことになっていたかもしれん」
「にゃ!? ジーさん……仲間思いだにゃあ……ナーゴ感動だにゃ……」
(照)
なぜか勝者マンは照れたような顔で頭を掻いた。
「照れてんじゃないのにゃ!! 危うくナーゴ死ぬところだったのにゃ! おぉ゛ん!?」
な、ナーゴがブチ切れてるな……眉が吊り上がって尋常じゃない怒りだ。こんなナーゴは初めて見たかもしれない。まぁ、それはちょっと置いとくか……。
俺は、ナーゴを落ち着かせて地面にあの植物ボスの絵を描いた。
「よし、ボス攻略の最終確認するぞ。アイルは魔力を溜めて待機。いつでも火炎魔法放てるようにしておいてくれ」
「まっかせといて!」
「ジーク、ミナセはそれぞれツボミ触手を破壊。ナーゴと勝者マンで最後の1本を破壊してくれ」
ツボミ触手の図にバツを振っていく。次に花のような頭部にバツを。そして最後にコアに丸を振った。
「3本の触手を同時に破壊した直後にアイルが頭部の花を燃やす。俺は花からアイルを守りつつ最後にコアをやる。質問は?」
全員の顔を見ると、ミナセが手を上げた。
「あ、鎧さん。今回は私が配信してもいい?」
「構わないぜ。配信は基本的にどんどんやってくれ。情報はできるだけ流したいからな」
「オッケ~♪」
パッと笑顔になったミナセが腰のポーチからドローンを出し、空へと飛ばす。映像をリンクさせるとかでアイルとナーゴもドローンを飛ばし、俺達の周囲をクルクルと回った。
「準備オッケーだよ! みんながんばろ~!」
ミナセの元気な声と共に、俺達はボスに向かった。
◇◇◇
~ミナセ~
「キシャアアアアアア!!!」
みんなが配置につく。ツボミ触手の前にカズ君、私、ナーゴと勝者マン。3回も予行練習したんだ。きっと大丈夫。
視線の先で花のようなモンスターが雄叫びを上げる。円のように牙が生えた顔、怖いなぁ……。
鎧さんが、アイルちゃんを守るように聖剣アスカルオを構えた。あんなヤツからアイルちゃんを守るなんて鎧さんすご。
「ボーっとするなミナセ、俺達もやるぞ」
カズ君の声で自分の頬を叩く。そうだよね。最近鎧さんやアイルちゃん達に任せっきりだったから気合い抜けてたかも。
「ふぅ……やるぞ~」
気合いを入れた所でドローンが私の前を横切る。一呼吸おいて、コメントが一斉に流れ始めた。
〈ミナセちゃんの配信にみんな映ってるんだ!〉
〈森かぁ~〉
〈コクーンタワー見えるし西新宿エリアかな?〉
〈久々のジークリードの尻……っ!!〉
〈良いケツしてるわねぇ!!〉
〈尻姉に同調してるヤツいて草〉
〈鉄塊の武史の所のネキやんけ〉
〈ロード・デザレアか:wotaku〉
〈どんなモンスターなんだ!?〉
〈教えてウォタクニキ!〉
〈植物型モンスター「デザレア」種の最高位。:wotaku〉
〈だからロードかぁ~〉
〈的確に部位破壊しないと物理も魔法も効かないボス:wotaku〉
〈ヤババババババババババ!?〉
〈クッソ強いやんけ!!〉
ふぅん、あのモンスター「ロード・デザレア」って言うのか。私達も初めて見たのにウォタクさんよく知ってるな。
あ、ダメダメ! 集中集中! 私がタイミング遅れたらみんなに迷惑かけちゃう。
全身に魔力を溜めて物理防御上昇と速度上昇、物理攻撃上昇を発動する。
目の前には人を丸呑みできそうな大きな口を持ったツボミ触手。カズ君とナーゴを見る。みんなが頷いたのを確認して触手に向かって駆け出した。
〈あの口……人間丸呑みサイズすぎだろ!〉
〈怖ええええええ!?〉
〈よく行けるな!?〉
〈ミナセを映すよりジークリードの尻を〉
〈僕はミナセちゃんの方がいいんだ!〉
〈ワイもミナセちゃんのお尻の方が〉
〈うるせぇ!!!!!!!〉
〈ヒェッ!? 尻姉ガチギレやんけ!〉
〈怖いんだ!?〉
〈心に余裕を持たないとジークリードのファンが減るわよ♡〉
〈すまん……尻が……遠のいたから……〉
〈素直www〉
〈……:wotaku〉
「キジャアアアアアア!!!」
触手が大口を開けて襲いかかる。その一撃をしゃがんで避けて拳を構えた。
よし、狙い通り。これなら鎧さんと考えた攻撃ができる。
ツボミ触手は反射魔法を体全体に張ってる。なら、私が地に足を付けた状態でアレをやったら……きっとこの触手自身もそんなこと想定していないはず。この為に私は3回の戦闘でこの攻撃を温存したんだ。
金のロッドを地面に突き刺し、私の頭上にあるツボミ触手に拳を叩き付けた。
「障壁魔法!!」
拳が当たる直前、その拳に障壁魔法を展開。ヤツの反射魔法と私の障壁魔法がぶつかる。一瞬、両脚にずしりと重みが走った後、ツボミ触手が空中に跳ね上がった。
「ギシャアアアアア!?」
〈うえええええあああ!?〉
〈パンチ1発で跳ね飛ばしたんだ!?〉
〈障壁魔法と反射魔法をぶつけた。反発で逆に威力が上がったように見える:wotaku〉
〈やべええええ!?〉
〈強っよ!?〉
近くの木を足場にして飛び上がり、跳ね上がった顔にもう一度拳を放つ。
「ギッ!?」
再び反射魔法が発動して触手の顔が地面に叩きつけられる。すぐに障壁魔法を解除。触手と顔の繋ぎ目に組み付く。触手の顔は地面に激突した衝撃でピクピクと痙攣してる……後はねじ切るだけだね。
「こっちは準備いいよ!」
「了解にゃ! ほら早く行くにゃ!」
「勝者ナイフッ!!」
ナーゴと勝者マンが触手に飛びかかる。勝者マンがツボミ触手の顔にナイフを突き刺す。何度も何度も突き刺して、その顔の原型が無くなっていく。
〈グッッッロ!!!〉
〈勝者マンやんけ!!〉
〈久々に見たわ勝者マンw〉
〈アカBANされて以来やな!〉
〈461さん達と協力なんて胸熱なんだ!〉
〈ボスを倒すのに協力したようだな:wotaku〉
〈勝者マン返り血浴びすぎw〉
「貰ったにゃ!!」
勝者マンが顔と戦っている間にナーゴが触手と顔の付け根を狙って走る。その両手からシャキンとクローが展開して、顔の根元を引っ掻き始めた。
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!」
クローによって削れる触手の付け根。私もそろそろ決めにかからないと。
「う、うあああああ……っ!!」
ブチブチと繊維が千切れるような音と一緒に触手を引きちぎっていく。
〈ミナセちゃん力強ぇ……〉
〈え、待って、ホントに補助役?〉
〈強化魔法の影響もあるが相当鍛えてるな:wotaku〉
〈怒らせたらヤバそう〉
〈たまらん〉
〈搾られたい〉
〈キショコメ来たw〉
〈カッコいいんだ!〉
よし、こっちもあとひと押し。後はカズ君だけ。
「ジークリード!!」
カズ君の名前を呼ぶ。カズ君は、襲いかかるツボミ触手の攻撃をヒラリと躱し、隙を狙ってその付け根にバルムンクの一撃を放った。
「ミナセ! ナーゴ! 合わせろ!!」
カズ君の合図でボロボロになった触手を全力で引きちぎる。横を見ると、ナーゴと勝者マンが根元にクローとナイフを突き刺して切断する所だった。
「ギシャアアアアア!?」
「ギィィィィィィィ!?」
「ギアアアアアアァァァ!?」
雄叫びと共に本体から切断されるツボミ触手達。それが放っていた反射魔法が消えて、ロード・デザレアを包んでいた反射魔法の光が消える。
「待ってたわ!! 火炎魔法!!」
その瞬間を見計らって、魔力を溜め続けていたアイルちゃんが火炎魔法を放つ。弧を描いて飛んで行く火球が、5枚の花びらを持つロード・デザレアの顔面に直撃する。
「ギジャア゛ァァアアアアアアアアア!?」
燃え盛る炎。ヤツの茎のコアが無防備になった。そこに向かって鎧さんが飛ぶ。ロード・デザレアの葉を飛び移り、聖剣アスカルオを構えた。
「オラァッ!!!」
ヤツのコアにアスカルオの刀身が突き刺さる。コアがビシリとヒビ割れた直後、ロード・デザレアの巨大な体はゆっくりと地面に倒れ込んだ。
〈え? もう終わり?〉
〈もしかしてロード・デザレアって弱い?〉
〈楽勝じゃん!〉
〈ダメージほとんど受けなかったもんなぁ〉
〈見かけ倒しか~?〉
〈もっと戦闘見たかったなぁ〉
ロード・デザレアからレベルポイントの光が溢れ出して私達のスマホに吸い込まれて、私のスマホから電子音が聞こえた。
『レベルポイントを3000pt獲得しました』
〈え、3000ポイント?〉
〈触手倒したミナセちゃんが3000ptってことは……〉
〈1万pt超えじゃないかアイツ!?〉
〈ハンターシティの不死鳥並みじゃん!〉
〈いや、それより強いんじゃね!?〉
〈クッソ強えええ!?〉
〈え、461さんパーティがソイツを瞬殺したってことか!?〉
〈ヤベェ……〉
〈作戦も、力量も素晴らしい:wotaku〉
〈ヤバすぎぃ!?〉
〈ひゃだ!? みんな強くなったじゃない!?〉
〈めちゃくちゃカッコいいんだ!!〉
〈尻が見たい〉
さっきまで敵の強さを疑ってたコメントの流れが一気に変わる。自分達では気付かなかったけど、みんな凄く強くなってる……この新宿に来てから特に。
「お~やったな~!」
「私の魔法見てくれた!?」
奥で鎧さんとアイルちゃんが喜んでる。それで一気にボスを倒した実感が湧いた。
「やったにゃ! ミナセちゃん!」
ナーゴが駆け寄って来る。勝者マンはまだ触手を攻撃してるけど……。
「ミナセ、ほら」
後ろから声をかけられる。振り返ると、私のロッドを持ったカズ君がそこにいた。恥ずかしそうな顔で私のロッドを差し出してくれるカズ君。
楽しい。
私……今、最高に楽しい!!
もし、過去に戻れるなら昔の自分に伝えたい。私にはこんなに頼もしい仲間がいて、ダンジョンのことを好きになってるって!
絶望しそうな状況の新宿迷宮。だけど、私は……私達なら、絶対クリアできる! どんなことも絶対乗り越えられる!
「カズ君!」
「お、おい!?」
嬉しくなってカズ君に飛び付くと、彼は顔を真っ赤にした。
〈ひゃだ!? そういうことなの!?〉
〈羨ましいんだ!〉
〈ワイにも抱き付いてくれ!〉
〈いや、絞られたい〉
〈キショコメ自重しろwww〉
〈私の尻がぁ……〉
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数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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