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第177話 絶望。
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~鉄塊の武史~
「お。おいパララもん……嘘やんな? 俺のこと騙しとるんやろ?」
「こんな嘘言わないのだ!!」
「そ、そうや! 作戦なんやろ? 死んだフリして奇襲かけるつもりなんや!!」
無言で首を振るパララもん。その瞬間、自分の中で何かが壊れる音がした。
「た、武史さん……落ち着いて……」
「社長が死ぬはず無い!! こんな簡単に死ぬはず無いやろ!! なぁ!!」
フィリナの肩を掴んで問い詰める。彼女は、目に涙を溜めながら視線を逸らした。その仕草で事実を突き付けられてしまう。これは冗談なんかじゃないのだと。
そんな……嘘や……嘘やろ。
「おい~? いつまで待たせるんだよ? 早く来いよ人間。飽きたらエルフ以外全員殺しちまうぜ?」
周囲を見る。ガランドラの部下達は俺達を取り囲んで戦闘を眺めていた。ガランドラのヤツ……他のヤツに手を出させやんように言ったんか……。
逃げ道は無い、か。
「もうダメだ……」
「嫌ぁ……」
来堂とミーナは完全に戦意喪失しとる。コレじゃあ戦えん。
……クソ。
「怒鳴ってすまんかった……フィリナ、他の奴ら頼めるか」
「は、はい。武史さん、どうするつもりですか?」
「俺は……」
大剣を握り締める。
まだや。ここを切り抜けたら絶対何とかなる。他の探索者なら社長を何とかできるかもしれへん。諦めんな俺……今は俺しか戦えるヤツがおらんのやぞ!!
「お、なんだ? そこの男死んじまったか? 弱いな~!! ガハハハハハ!!」
胸糞悪い笑い声を上げるガランドラを見た瞬間、猛烈に殺意が湧いた。
「うおおおおおおおおおお!!!」
大剣に魔力を溜めながら全力で走る。許さん、許さん、許さん!!
「お前は絶対ぶっ殺したる!!」
ヤツの懐に飛び込む、ガランドラの放った拳が俺の顔面に直撃するが、鉄壁でまだ耐えられる。コイツが俺を舐めとるなら、思い知らせたるだけや!!!
「岩烈斬!!」
ガランドラの肩に大剣を叩き込む。ヤツは、余裕の笑みを浮かべながら俺を殴った。
「キレてどうすんだぁ? キレて俺に勝てるのかよ?」
「うるせええええええええ!!!」
ヤツに殴られても構わず大剣を振るう。体を捻るように大剣を構えて魔力を溜める。
「オラ死ねぇ!!!」
ガランドラの拳をギリギリで躱し、技を放った。石流岩烈斬。それを零距離で奴の足元に叩き込む。
「自爆攻撃かよ!?」
「お前を倒せるならなんだってやったる!!!」
剣先が地面に接触した瞬間、衝撃波が発生し、地面が爆ぜる。無数の土砂が俺とガランドラに向かって吹き飛んできた。
「ガァ!?」
ガランドラは攻撃に怯んどる。反面、俺は鉄壁のお陰で土砂如き屁でもない。再び大剣を構える。先程一撃を叩き込んだ肩を狙って再び技を放つ。
「岩烈斬!!!」
「ぐっ!? テメェ……無駄だと言ってるだろうが!!」
舞い上がる土砂と肩の痛みからか、ヤツの拳が大振りになる。コレだけ分かりやすい軌道なら俺でも避けられる。俺は魔力を溜めながら拳を避け、先程と同じ箇所めがけて魔力を解放する。
「岩烈斬!!!」
「ぐあっ!?」
同じ箇所に3度の岩烈斬を受け、ヤツの肩はダメージを負っていた。あの箇所だけに攻撃を集中すればいける。ヤツを瀕死にして人質にすればこの包囲網も突破できる!
「岩烈斬!!」
「がはあああああぁ!? や、やめろ!!」
4度目の攻撃。ガランドラの悲鳴が大きくなる。明らかに苦しんだ声……いける。
「これでぇぇえ……終わりやああああ!!!!」
「やめろおおおおおおお!?」
5度目の岩烈斬を発動する。ズタズタになったヤツの体。このまま決めたる!!!
待っとれよ社長。コイツを倒してここから脱出したらすぐに──。
「はぁ……ま、こんな所か」
ガランドラの冷静な声が聞こえた瞬間、視界が跳ね上がった。
「がっ!?」
なんや? 俺はなんで空を見とるんや?
顎を蹴り上げられたと気付いた時には遅かった。目の間に高く上げられたガランドラの足。それが、俺に振り下ろされる。踵落としを顔面に喰らい、俺は地面に叩き付けられた。
「が……あ゛っ……!?」
「俺の演技も中々だろ? 勝てると思っちまったか? あ?」
腹部を蹴られ地面を転がる。ガランドラは歩いて来ると執拗に俺を蹴り飛ばした。
「あ~久々にムカついたぜ。雑魚が勝てると勘違いした顔ってのはどうしてこんなにムカつくんだろうなぁ!!!」
再び腹を蹴られる。衝撃が体を駆け巡りうめき声を上げてしまう。
「おいベイルスト、回復薬」
「はっ!」
ヤツの部下がビンを投げる。ガランドラは、それを掴むと怪我を負った肩にかけた。ジュウジュウという音と共に傷口が塞がってしまう。
「痛つつ……技受けてやったんだから感謝しろよ」
ヤツは、俺を足で転がすとしゃがみ込み、顔を覗き込んだ。
「う……こ、殺す……お前は……」
「テメェには無理だな」
ガランドラが俺の髪を掴んで持ち上げる。無理矢理見せられた先には泣きじゃくるパララもんがいた。奴は俺の顔を覗き込んでニタリと笑みを浮かべた。
「おう、ムカつくからよ。お前の前であのガキ殺すわ」
「や……めろ!!」
奴の顔面を殴り付けようとして顔を地面に叩き付けられる。痛い……鉄壁があったとしてもとんでもない痛みや。コイツ、さっきまで全く本気じゃなかったんかよ!
「口だけかぁ? オラ起きてこいよ。俺を殺してみろ」
無理やり起きあがろうとすると、ガランドラに拳を叩き付けられた。
「がはぁっ……っ!?」
「ほら無理ぃ。どうするかなぁ。ガキの腕か脚を折って逃げられなくするか。おいお前ら! そこのエルフを捕えろ! 後の人間は全員俺が殺す!」
「武史さん!! わ、私が守りますから……っ!」
フィリナが杖を向けた時、ガランドラが俺の顔を踏み付けた。
「エルフ女。魔法を使いやがったらこの男の頭を潰す」
「そ、そんな……」
フィリナが戸惑った隙を突いてリザードマンが彼女とパララもんを羽交締めにする。
「離しなさい! 卑怯者!!」
「離して!! ポイ君が……!! このままじゃ……!!」
「離せや……がぁ!?」
立ち上がろうとした瞬間、拳を叩き付けられる。
「ああ、あのガキ、女なのか。じゃあ別の方法もあるなぁ?」
「やめろ!!!」
ヤツの脚を掴む。拳を叩き付けられる。何でや……なんで体が動かん……俺は……。
「んで、お前に十分後悔させてから殺してやる。俺に勝てると一瞬でも考えちまったのがお前の失敗だ」
また顔面を殴られる。ダメや……ダメや……こんなことしとる場合ちゃうのに社長が……パララもんが……俺が……俺がもっと強かったら……。
「よし、そのガキ連れてこい!」
「ググア!」
「離して!! お兄ちゃん!! 嫌ぁあああ!!」
パララもんがいつもの話し方じゃない。それで不安になって、一気に焦燥感に襲われる。ダメや、ダメや。あんな能天気な兄妹が酷い目に遭うのはダメや。
「見てろよ? あのガキが殺して下さいって懇願するまで嬲ってやるからよ」
俺が……なんとか……なんとかせえへんと……。
「おい、何とか言えコラ。もっと喚いてくれよ? 楽しくねぇだろぉ?」
クソが……クソが……コイツ、絶対殺す。
「ん~? まだやる気ある顔してんなぁ? じゃあよ」
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「……なんだ?」
リザードマンの叫び声がガランドラの言葉を遮った。ガランドラの声に余裕が消える。突然ザワザワと騒ぎ出す周囲。なんや? 何が起こって……。
「ギャアォアアアア!?」
「ギィグ……ア゛ッ!?」
「何をしているリザード兵ども!! そんな人間などサッサと殺せ!!」
「アギッ!?」
「ギャウウアア!?」
近くでリザードマンを倒しとる奴がおる? ガランドラの部下が戸惑ったように周囲へ指示を出している。その中に聞こえる声。技名が聞こえる。誰や……この声?
「ダルク! ベイルスト! 一旦下がれ!!」
ガランドラの声にも焦りがある。奴らを焦らせる存在……?
ソイツが徐々に近づいて来る。
そして、俺のすぐ近くでリザードマンとの戦闘音が聞こえる。今度はハッキリと技名が聞こえた。
「鯱パンチ」
「グギャアアアアアアアアアアアアア!?」
胴体に風穴が空いたリザードマンが血飛沫を上げながら空を舞った。俺の目の前に転がったその頭をグシャリと機械製のブーツが踏み潰す。
「なんだ。竜人ってのは弱い者いじめしかできない雑魚ばかりなのか? 期待したのに」
不遜な女の声にゆっくりと顔を上げる。そこには機械製のブーツにガントレット、ライダースーツ、機械製のマスクをした女……。
鯱女王が立っていた。
「テメェ……女ぁ……殺されたいらしいな……」
「へぇ? 雑魚の君が僕を殺せるの?」
鯱女王が強調したように言うと、ガランドラは両腕を震わせた。
そ、そうや……パララもん達は……。
彼女達の方向へ目をやると、2人を押さえ付けていたリザードマン達は既に倒されており、少年とゴスロリ服を着た少女が彼女達を保護していた。
た、助けが……来たんか……。
顔を上げて周囲を見ると、そこには無数のリザードマンの死骸が転がっていた。奥にはダルクとベイルストという2体の竜人が見える。その表情にも焦りが。鯱女王は、ガランドラに脅威を感じさせる為に敢えてリザードマン達を皆殺しにしたように見えた。
「俺を挑発するなんざ……いい度胸してんじゃねぇか」
「ウダウダ言ってないでサッサと来なよ。トカゲ君」
鯱女王は、ガランドラを見つめて目を細めた。
「お。おいパララもん……嘘やんな? 俺のこと騙しとるんやろ?」
「こんな嘘言わないのだ!!」
「そ、そうや! 作戦なんやろ? 死んだフリして奇襲かけるつもりなんや!!」
無言で首を振るパララもん。その瞬間、自分の中で何かが壊れる音がした。
「た、武史さん……落ち着いて……」
「社長が死ぬはず無い!! こんな簡単に死ぬはず無いやろ!! なぁ!!」
フィリナの肩を掴んで問い詰める。彼女は、目に涙を溜めながら視線を逸らした。その仕草で事実を突き付けられてしまう。これは冗談なんかじゃないのだと。
そんな……嘘や……嘘やろ。
「おい~? いつまで待たせるんだよ? 早く来いよ人間。飽きたらエルフ以外全員殺しちまうぜ?」
周囲を見る。ガランドラの部下達は俺達を取り囲んで戦闘を眺めていた。ガランドラのヤツ……他のヤツに手を出させやんように言ったんか……。
逃げ道は無い、か。
「もうダメだ……」
「嫌ぁ……」
来堂とミーナは完全に戦意喪失しとる。コレじゃあ戦えん。
……クソ。
「怒鳴ってすまんかった……フィリナ、他の奴ら頼めるか」
「は、はい。武史さん、どうするつもりですか?」
「俺は……」
大剣を握り締める。
まだや。ここを切り抜けたら絶対何とかなる。他の探索者なら社長を何とかできるかもしれへん。諦めんな俺……今は俺しか戦えるヤツがおらんのやぞ!!
「お、なんだ? そこの男死んじまったか? 弱いな~!! ガハハハハハ!!」
胸糞悪い笑い声を上げるガランドラを見た瞬間、猛烈に殺意が湧いた。
「うおおおおおおおおおお!!!」
大剣に魔力を溜めながら全力で走る。許さん、許さん、許さん!!
「お前は絶対ぶっ殺したる!!」
ヤツの懐に飛び込む、ガランドラの放った拳が俺の顔面に直撃するが、鉄壁でまだ耐えられる。コイツが俺を舐めとるなら、思い知らせたるだけや!!!
「岩烈斬!!」
ガランドラの肩に大剣を叩き込む。ヤツは、余裕の笑みを浮かべながら俺を殴った。
「キレてどうすんだぁ? キレて俺に勝てるのかよ?」
「うるせええええええええ!!!」
ヤツに殴られても構わず大剣を振るう。体を捻るように大剣を構えて魔力を溜める。
「オラ死ねぇ!!!」
ガランドラの拳をギリギリで躱し、技を放った。石流岩烈斬。それを零距離で奴の足元に叩き込む。
「自爆攻撃かよ!?」
「お前を倒せるならなんだってやったる!!!」
剣先が地面に接触した瞬間、衝撃波が発生し、地面が爆ぜる。無数の土砂が俺とガランドラに向かって吹き飛んできた。
「ガァ!?」
ガランドラは攻撃に怯んどる。反面、俺は鉄壁のお陰で土砂如き屁でもない。再び大剣を構える。先程一撃を叩き込んだ肩を狙って再び技を放つ。
「岩烈斬!!!」
「ぐっ!? テメェ……無駄だと言ってるだろうが!!」
舞い上がる土砂と肩の痛みからか、ヤツの拳が大振りになる。コレだけ分かりやすい軌道なら俺でも避けられる。俺は魔力を溜めながら拳を避け、先程と同じ箇所めがけて魔力を解放する。
「岩烈斬!!!」
「ぐあっ!?」
同じ箇所に3度の岩烈斬を受け、ヤツの肩はダメージを負っていた。あの箇所だけに攻撃を集中すればいける。ヤツを瀕死にして人質にすればこの包囲網も突破できる!
「岩烈斬!!」
「がはあああああぁ!? や、やめろ!!」
4度目の攻撃。ガランドラの悲鳴が大きくなる。明らかに苦しんだ声……いける。
「これでぇぇえ……終わりやああああ!!!!」
「やめろおおおおおおお!?」
5度目の岩烈斬を発動する。ズタズタになったヤツの体。このまま決めたる!!!
待っとれよ社長。コイツを倒してここから脱出したらすぐに──。
「はぁ……ま、こんな所か」
ガランドラの冷静な声が聞こえた瞬間、視界が跳ね上がった。
「がっ!?」
なんや? 俺はなんで空を見とるんや?
顎を蹴り上げられたと気付いた時には遅かった。目の間に高く上げられたガランドラの足。それが、俺に振り下ろされる。踵落としを顔面に喰らい、俺は地面に叩き付けられた。
「が……あ゛っ……!?」
「俺の演技も中々だろ? 勝てると思っちまったか? あ?」
腹部を蹴られ地面を転がる。ガランドラは歩いて来ると執拗に俺を蹴り飛ばした。
「あ~久々にムカついたぜ。雑魚が勝てると勘違いした顔ってのはどうしてこんなにムカつくんだろうなぁ!!!」
再び腹を蹴られる。衝撃が体を駆け巡りうめき声を上げてしまう。
「おいベイルスト、回復薬」
「はっ!」
ヤツの部下がビンを投げる。ガランドラは、それを掴むと怪我を負った肩にかけた。ジュウジュウという音と共に傷口が塞がってしまう。
「痛つつ……技受けてやったんだから感謝しろよ」
ヤツは、俺を足で転がすとしゃがみ込み、顔を覗き込んだ。
「う……こ、殺す……お前は……」
「テメェには無理だな」
ガランドラが俺の髪を掴んで持ち上げる。無理矢理見せられた先には泣きじゃくるパララもんがいた。奴は俺の顔を覗き込んでニタリと笑みを浮かべた。
「おう、ムカつくからよ。お前の前であのガキ殺すわ」
「や……めろ!!」
奴の顔面を殴り付けようとして顔を地面に叩き付けられる。痛い……鉄壁があったとしてもとんでもない痛みや。コイツ、さっきまで全く本気じゃなかったんかよ!
「口だけかぁ? オラ起きてこいよ。俺を殺してみろ」
無理やり起きあがろうとすると、ガランドラに拳を叩き付けられた。
「がはぁっ……っ!?」
「ほら無理ぃ。どうするかなぁ。ガキの腕か脚を折って逃げられなくするか。おいお前ら! そこのエルフを捕えろ! 後の人間は全員俺が殺す!」
「武史さん!! わ、私が守りますから……っ!」
フィリナが杖を向けた時、ガランドラが俺の顔を踏み付けた。
「エルフ女。魔法を使いやがったらこの男の頭を潰す」
「そ、そんな……」
フィリナが戸惑った隙を突いてリザードマンが彼女とパララもんを羽交締めにする。
「離しなさい! 卑怯者!!」
「離して!! ポイ君が……!! このままじゃ……!!」
「離せや……がぁ!?」
立ち上がろうとした瞬間、拳を叩き付けられる。
「ああ、あのガキ、女なのか。じゃあ別の方法もあるなぁ?」
「やめろ!!!」
ヤツの脚を掴む。拳を叩き付けられる。何でや……なんで体が動かん……俺は……。
「んで、お前に十分後悔させてから殺してやる。俺に勝てると一瞬でも考えちまったのがお前の失敗だ」
また顔面を殴られる。ダメや……ダメや……こんなことしとる場合ちゃうのに社長が……パララもんが……俺が……俺がもっと強かったら……。
「よし、そのガキ連れてこい!」
「ググア!」
「離して!! お兄ちゃん!! 嫌ぁあああ!!」
パララもんがいつもの話し方じゃない。それで不安になって、一気に焦燥感に襲われる。ダメや、ダメや。あんな能天気な兄妹が酷い目に遭うのはダメや。
「見てろよ? あのガキが殺して下さいって懇願するまで嬲ってやるからよ」
俺が……なんとか……なんとかせえへんと……。
「おい、何とか言えコラ。もっと喚いてくれよ? 楽しくねぇだろぉ?」
クソが……クソが……コイツ、絶対殺す。
「ん~? まだやる気ある顔してんなぁ? じゃあよ」
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「……なんだ?」
リザードマンの叫び声がガランドラの言葉を遮った。ガランドラの声に余裕が消える。突然ザワザワと騒ぎ出す周囲。なんや? 何が起こって……。
「ギャアォアアアア!?」
「ギィグ……ア゛ッ!?」
「何をしているリザード兵ども!! そんな人間などサッサと殺せ!!」
「アギッ!?」
「ギャウウアア!?」
近くでリザードマンを倒しとる奴がおる? ガランドラの部下が戸惑ったように周囲へ指示を出している。その中に聞こえる声。技名が聞こえる。誰や……この声?
「ダルク! ベイルスト! 一旦下がれ!!」
ガランドラの声にも焦りがある。奴らを焦らせる存在……?
ソイツが徐々に近づいて来る。
そして、俺のすぐ近くでリザードマンとの戦闘音が聞こえる。今度はハッキリと技名が聞こえた。
「鯱パンチ」
「グギャアアアアアアアアアアアアア!?」
胴体に風穴が空いたリザードマンが血飛沫を上げながら空を舞った。俺の目の前に転がったその頭をグシャリと機械製のブーツが踏み潰す。
「なんだ。竜人ってのは弱い者いじめしかできない雑魚ばかりなのか? 期待したのに」
不遜な女の声にゆっくりと顔を上げる。そこには機械製のブーツにガントレット、ライダースーツ、機械製のマスクをした女……。
鯱女王が立っていた。
「テメェ……女ぁ……殺されたいらしいな……」
「へぇ? 雑魚の君が僕を殺せるの?」
鯱女王が強調したように言うと、ガランドラは両腕を震わせた。
そ、そうや……パララもん達は……。
彼女達の方向へ目をやると、2人を押さえ付けていたリザードマン達は既に倒されており、少年とゴスロリ服を着た少女が彼女達を保護していた。
た、助けが……来たんか……。
顔を上げて周囲を見ると、そこには無数のリザードマンの死骸が転がっていた。奥にはダルクとベイルストという2体の竜人が見える。その表情にも焦りが。鯱女王は、ガランドラに脅威を感じさせる為に敢えてリザードマン達を皆殺しにしたように見えた。
「俺を挑発するなんざ……いい度胸してんじゃねぇか」
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