461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第203話 新宿迷宮攻略報告書

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 461さん達が新宿迷宮を攻略した翌日。


 ──ダンジョン管理局事務所、シィーリアの執務室。


 ~シィーリア~


「……以上が新宿迷宮の攻略概要となります。他の担当者に聞き取りした内容も合わせ、こちらの資料にまとめました」

 リレイラが今回発生した事象をまとめた書類を差し出す。それを受け取ってパラパラとめくる。質問したい事ばかりじゃが……まずは精読してからじゃな。

「ご苦労じゃった。質問事項は週明けにメールを送る」

「はい。あ、あと……それとですね……」

 リレイラが急に顔を赤くしてモジモジする。その様子に察しがつく。半休をくれとか言うのじゃろうな。

「ああ、休みか? 良いぞ」

「ありがとうございます!」

 リレイラが差し出して来た申請書に印を押して総務課へ回すボックスへと入れた。そそくさと部屋から退出しようとするリレイラ。その背中を見ていると一言声をかけたくなってしまう。

「リレイラ」

「は、はい……なんでしょうか?」

「お主のお陰で皆が無事に帰って来れた。危険な役回りを引き受けてくれたこと、感謝する」

「……私は何もしていませんよ。全て彼らの力です」

「そうだとしても、妾は感謝している。それを伝えたかったのじゃ」

「……ありがとうございます」

 リレイラが竜人の情報を流していなければ皆はもっと消耗していたじゃろう。そうなっていた時、イァク・ザァドに勝つことができたかどうか……名を隠しての情報共有。誰からも感謝されず、危険だけが付き纏うことをやってくれたのじゃ。感謝しても足りないの。

 お主のおかげでジークもミナセも帰って来れた。妾は決して忘れはせんぞ、リレイラ。

「では、お先に失礼します」

「うむ、がんばるのじゃぞ。お主ならばきっと大丈夫じゃろう」

「な、ななななな何を……!?」

 「がんばれ」と言った瞬間、リレイラは顔をさらに赤くさせた。分かりやすい女子おなごじゃのう。

 リレイラが扉を出て行く。パタンと扉が閉まると、部屋の中が静まり返った。


 ……。


 魔族と人か。


 妾達の世界では無かった事じゃ。上手くいくと良いな、リレイラ。


 思えばあの子はいつも人との関係に悩んでおった。きっとその想いも、アヤツ・・・との日々があったからなのじゃろう。人知れず皆の為に、アヤツの為に……動いておった子じゃ、報われて欲しいの。


「……と、妾は仕事をせねば」


 渡された報告書に目を通していく、分かりやすく項目ごとに分けられた報告書のおかげで顛末がスラスラと頭に入って来る。今回はあまりに多くの事があったからの。

 竜人の転移、エルフの出現、イァク・ザァドの復活に……スキル継承システムの作動、か。

 報告書にヨロイから「生き残った竜人は保護して欲しい」との要望が伝えられている。管理局としても新宿に残したままにはしておけぬ。

 竜人達やエルフを保護してその後の処置を決めねば。

 軍に任せると何をするか分からん。管理局に竜人達の転移を秘匿していたような奴らじゃしな。

 管理局の管轄にして保護するのが最適か。エルフは探索者にして管轄下に。こちらはポイズン社長との連絡も取れておる。問題ないじゃろう。

 竜人は……保護する場所を決めねばな。洗脳が解けておらぬ者がいれば解いてやらねばならぬ。落ち着いたら聞き取り調査もじゃな。

 ページをめくっていく。モンスターも相当な力量を持つ個体ばかりだったようじゃの。攻略した探索者達のランクも協議しなければ。流石に新宿迷宮を攻略してそのままという訳にもいかん。少なくともクリアした者はAランク以上であるべきじゃろう。


 じゃがなぁ……他の国の管理局とランク付けの齟齬が出てはいかんしなぁ。シンガポールのビラルカのヤツはとにかくプライドが高くてうるさいし……。


 竜人達の転移の真相も突き止めねばなるまい。このままではこの世界の秩序が維持できぬ。管理局の権限をもっと強くしなければならないし、今回の事を画策した者の正体も突き止めなければ。


「ない、ない、ない……しなければならないばかり。うぅ……胃が痛い」


 じゃが、妾しかできぬ。同じ魔族が仕組んだ事ならば、尚更妾が守らねばならん。妾の愛する者達を。


 竜人とエルフの保護はすぐに動かなければ。次にやらなければならない事は……。

 電話を取り、直通の連絡先へと連絡を入れる。電話先の担当者は能天気な声を出した。


『はいは~い! こちら転移管理局・・・・・で~す!』


「久しぶりじゃの、ベルタ」

『シィーリア様ではありませんか~!? どうされました?』

ルガトリウム異世界への転移を段取りしてくれ」

『おや? こちらに住まいを移されたシィーリア様が転移とは、珍しいですね~!』

「妾とてたまには里帰りもする。最短で飛びたい」

「今のスケジュールですと~来週の金曜午後が最短ですかね~」

「かまわぬ。あとは魔王国へ伝令を頼む。魔王様への謁見を頼みたいと」

『了解で~す! スケジュール調整はお任せ下さ~い!』

 ガチャリと切れる通話。部下の者達が聞いたら怒るだろうな。彼らはこれほど簡単に本国へ帰れないのじゃから。だからこそ、妾もこの地へ居を構えることにした。彼らに寄り添うために。


「じゃが、事情が事情じゃ。許せ」



 会おう、魔王様に。


 魔王様に直接会って、その真意を確かめなければ先には進めんからの。


「来週の金曜か。それまでにエルフと竜人保護じゃな」

 まずやることが決まると、胃の痛みは若干マシになった。



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