461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第214話 攻略と仲良し

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 エイブロードが倒れたすぐ近くに、転移魔法陣が現れた。

 周囲を見渡すと、エイブロードが塞いだせいでこの空間から脱出できなくなってる。いつも思うけど、こういう転移魔法陣とかって誰が出してるのかな? 今度リレイラに聞いてみよう。

 そんな事を考えていると、エイブロードから溢れ出したレベルポイントの光が私達のスマホに吸収された。スマホから電子音声が流れる。

『レベルポイントを1500pt獲得しました』

〈合計で4500ptか……中々のボスだったな:wotaku〉
〈いや、中々って高すぎだろw〉
〈C級が倒せる相手じゃねぇ!!〉
〈雑魚達も入れたら何ポイント入ったんだ!?〉
〈ザックリだけどエイブラス80体にルブラス20体はいたな〉
〈エイブラス300ptにルブラス900ptだろ?〉
〈全部で46500pt!?〉
〈1人15000pt以上入ってるやんけ!〉
〈アホか!!〉
〈ビックリだお!〉
〈最近マジでランク分からなくなってきた〉
〈1回見直した方がええんちゃう?〉
〈関係無いんだ!3人とも強いんだ!〉
〈実際C級以上だろうしなぁ〉
〈少女は大人になってしまったのさ〉
〈おいwww〉
〈やめろw〉


 大量のコメントが流れ出す。C級以上かぁ……ホントにそうだったら嬉しいな。

「今日の夜に反省会を生配信するので皆さんいらして下さいね~」


〈乙ですわ!〉
〈絶対行くんだ!〉
〈僕もいくお!〉
〈当然だ〉
〈楽しみ~!〉
〈ヤンキーちゃんも来るよね!?〉
〈搾られたい〉
〈おいwwww〉
〈いきなりぶっ込むな!〉
〈キショコメwww〉


 モモチーがドローンに手を振って配信を終了する。反省会って……そんなの打ち合わせになかったわよ。モモチーまた勝手に決めて……ホント、勝手よねぇ。

「おい! 反省会配信ってなんだよ!? アタシは出ねえぞ!?」
「ブギッ!」

 ユイさんがモモチーに詰め寄る。わぁ……せっかくクリアしたのにまた喧嘩になるじゃない。

「何言ってますの? アナタとキル太が来ないと成立しませんわ。大活躍されていましたし」

「え?」
「ブギ?」

「それに、美少女なのですから視聴者のみんなも楽しみにしておりますわ。配信に出たのですから、その辺りを汲んであげないと」

「び、美少女……? アタシが……?」

 ユイさんの顔がどんどん赤くなる。反面、モモチーは当然という顔をしていた。モモチーがユイさんのマスクを剥ぎ取る。突然の彼女の行動にユイさんはビシリと固まってしまった。

「な……っ!? 何を……」

「うん。髪型も少し変えればもっと良くなりますわよ。んん? そういえばアナタ、ミナセさんにソックリですわね」

「な、な、な……いきなりマスク取るなんて何すんだよ!」

「あら、配信は終わってますから問題無いですわよ?」

「大アリだバカ女!」

 ユイさんがマスクを奪い返す。だけどその顔は怒っているように見えて照れているだけのように見える。容姿を褒められる事が少ないのか、ユイさんは顔を真っ赤にしていた。

 モモチーは、何かを悟ったようにポンと手を叩いた。

「そうですのね。アナタ、お姉様に内緒で配信活動を……っ! 身内の力を使わず成り上がろうとする姿勢……尊敬致しますわ!!」

「ち、違……っ!?」

「良いですわ! この大人気配信者・・・・・・にして天才・・ダンジョン配信者のワタクシが全力でアナタをプロデュースして差し上げますわ!」

 モモチーがユイさんの手を掴んでグイグイ引っ張っていく。何だか勘違いしてるんだけど……。

「ブギブギィ!!」

 ユイさんの肩に乗ったキル太がモモチーに抗議するように鳴き声をあげる。モモチーは横目でキル太を見てふっと笑みを浮かべた。

「アナタも、マスコットとしてユイさんを支えてあげて下さいまし。ヤンキー美少女と可愛いスライムマスコット……これは人気が出ますわよ!」

「ブギ?」

 え、キル太もなんだかまんざらでもない様子なんだけど……!?

「アイルさんが人気になると見抜いたワタクシの目に狂いは無いですわ!! さぁ! こうしてはおれません! 早く屋敷に帰りますわよ!」

 いつモモチーが私の事をそう評価したのよ……!!

 突っ込もうと思ったけど、やめた。アレは完全に記憶を改竄してる顔だわ。調子いい子よねぇホント。

「オーホッホッホ!!」

「な、何勝手に決めてんだよぉ……」
「ブギィ~」

 馬鹿笑いを上げるモモチーに顔を真っ赤にして涙目になるユイさん。キル太は何だか嬉しそう。みんな喧嘩していたようには見えないな。ダンジョン探索って攻略メンバーを仲良くする効果もあるのかな?

 一瞬、脳裏に新宿の事が思い浮かんだ。仲間のみんなやタルパちゃん、パララもん達に鯱女王……確かにそうかも。一緒に攻略してなかったらきっと話す事も無かったかもしれないな。


◇◇◇


 その後ハルフェルさんと合流して3人で冒険家Bでご飯を食べて、モモチーを迎えに来た高輪さん達の車でモモチーの屋敷に向かい、反省会配信をした。

 ユイさんは視聴者から可愛いとコメントを貰うたびに顔を真っ赤にして、その様子が本当に可愛いかった。

 モモチーとユイさんも喧嘩はするけど攻略前とは違っていて、随分仲良くなったように思う。というか、ユイさんとキル太なら本当に人気配信者になれるかもなぁと思った。

 その生配信で、ユイさんは配信者「ヤンナちゃん」と命名された。ヤンキー女だからヤンナちゃんって……モモチーのセンスは壊滅的だ。

 だけど、視聴者には意外に好評で、みんな配信を始めたら見に行くとコメントしていた。それに、ユイさんもなんだか嬉しそうだったし、私は口を挟まない事にした。


 ……。


 モモチー達の車で送って貰って、私が帰って来たのは21時を回った頃。家に帰ると、アスカルオを手入れしていたヨロイさんが「おかえり」と言ってくれた。


「リレイラさんと配信見てたぜ。スゲーじゃんアイル」

「ホント!?」

 ヨロイさんに褒められて嬉しくなる。顔がニヤケてしまって……マスクをしてて良かったな。

「あれ? リレイラは?」

「リレイラさんなら「作業がある」って自分の部屋でなんかやってるぜ。モニターで配信見てる時もスマホでなんかやってたし、仕事忙しいんじゃないか?」

 ヨロイさんがリビングにある42インチモニターを指す。こんな大画面で見てくれてたの? ちょっと恥ずかしいな。それにしてもリレイラ……休日でも仕事があるのね。何だか可哀想。

 その時、ガチャリと扉が開いて部屋からリレイラが出て来た。

「あ、アイル君! おかえり!」

 何だか焦った様子のリレイラ。どうしたんだろう?

「ありがとねリレイラ、仕事があるのに配信見てくれて」

「え? 仕事?」

 頭に「?」を浮かべるリレイラ。何だろうこの顔? ハッと我に返ったような顔をしたリレイラは、慌てたように両手を振った。

「あ、あああああそうだ! シィーリア部長からあの、その、あれだ! 書類についての質問がメールされてな! うん! 配信に集中できずにすまなかった!!」

「え、休みなのにシィーリアが……? 私から今度文句言ってあげるわ!」
「それは流石にダメだろ。俺からも」

「やめて!? じ、自分で解決するから!?」

 リレイラは何故か壁に手を付いてブツブツと呟きだしてしまう。

(この可能性をすっかり忘れていた……っ! 一緒に住んでいたらコメント送るのも隠れながらやらなければならないじゃないか普段は2人が一緒にダンジョンに行くから気にしてなかったがこのパターンは……でも正体明かすのは流石に管理局として問題あるし……)


 リレイラ、早口で何を言ってるんだろう?


 ヨロイさんと顔を見合わせた時、リレイラが握りしめていたスマホが鳴った。

「部長? 休みの日にかけて来るなんて珍……い、いえ! なにか? はい……はい、え? 管理局に……? はい」

 通話を終えたリレイラは、クルリとこちらを振り返った。

「シィーリア部長が来週の土曜に管理局へ来てくれと言っている」

「管理局?」
「なんでよ?」

 深呼吸したリレイラは、嬉しそうな顔で私達を見つめた。


「君達、新宿攻略メンバーにランクアップの話だ!」




 
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