461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第217話 ランクアップ会議

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 ~461さん~

 俺とアイルとリレイラさんは、シィーリアに呼び出されて霞ヶ関のダンジョン管理局へと来ていた。

 リレイラさんに案内されて向かった会議室の前には、ジーク、ミナセにナーゴ……俺達のパーティメンバーが待ってくれていた。

「あ! もう~鎧さんとアイルちゃん遅いよ~!」
「ずっと待ってたにゃ!」

 ミナセとナーゴの怒ったような顔に焦ってしまう。この前軽蔑したような目を向けて来たのは俺の妄想だよな……?

 2人は何事もないようにアイルとリレイラさんと話していて、それを見てちょっと安心した。

 ……ん?

「どうしたジーク? なんか元気無くねぇか?」

「あ、いや……気にしないでくれ」

 ジークにいつものような覇気が無い。どうしたんだ?

 ジークが目を逸らして扉を開ける。中を覗き込むと、会議室の中には新宿迷宮の攻略メンバーが集まっていた。 


「あ! 461さんなのだ!」


 部屋の奥からパララもんが駆け寄ってくる。その後ろにはポイズン社長に武史、エルフのフィリナが。3人は、何故だか真剣な表情でパララもんを見守っていた。何してんだ3人とも?

「うわ~」

 パララもんは、大袈裟な動きで躓くと、俺の方に倒れ込んで来た。


「ツマズイタノダ~」


 なんか、台詞が棒読みなのは気のせいか?

 倒れ込んで来た彼女を受け止めようとすると、俺達の間にサッと何かが割り込んだ。俺の代わりに、「その誰か」がパララもんを抱き止める。

「のだっ!?」

「パララもん? いつからそんな小芝居するようになったわけ?」

 パララもんを受け止めたのはアイルだった。彼女からバッと離れたパララもんは、何故か笑顔のまま低い声を出した。


「アイルちゃん? なんで邪魔するのだ?」


「パララもんが分かりやすいことするからじゃない?」


 2人とも笑みを浮かべているが何故か近寄り難い雰囲気。武史達が「あかんかったかぁ」とか何やらヒソヒソ話をしてる。何かするつもりだったのだろうか?

 戸惑っているとリレイラさんが耳打ちして来た。

「彼女達は何をやっているんだ?」

「さぁ? なんですかね?」


「のだだだだだだっ! そこを通すのだっ!」
「通す訳ないでしょっ!!」


 アイルとパララもんは、しばらく格闘戦のようなものを繰り広げていた。



◇◇◇

 武史達やタルパ、勝者マンに挨拶していると、1番最後に鯱女王オルカが入って来た。部屋着のようなジャージ姿の鯱女王はキョロキョロと周囲を見て、入り口横の壁にもたれかかった。

 全員集まった事を確認して、シィーリアが部屋奥に設置されたテーブルの前に立つ。

「休みの日に集まって貰ってすまぬの。平日ではどうしても都合が付かぬ為今日にさせて貰った」

 シィーリアが俺達を見渡す。テーブルが片付けられただだっ広い会議室。その1番前にはシィーリア。俺とアイル、ナーゴ、ジークにミナセがシィーリアの前。俺達の後ろに武史達パーティの4人、タルパ、鯱女王、勝者マンは扉近くに。最後にリレイラさんがシィーリアの隣に立った。

「あれ? シンがいないわね」

 アイルがキョロキョロと部屋の中を見回す。そういえば、新宿攻略以降シンを見ていないな。タルパの所に新宿迷宮から無事に出たと連絡があったようだが、ここにまでいないなんて妙だ。

「なぁシィーリア? シンはいないのか?」

 質問すると、シィーリアはバツの悪そうな顔をする。

「ああ……すまん。そのシンという探索者は連絡がつかなくての。その者のランク付けは後日行うつもりじゃ」

 連絡が? やっぱなんかあったのか? シンのヤツ。

 考えていると、シィーリアがコホンと咳払いをした。

「では始めるぞ? 管理局でお主達のランクを協議した。現在お主達はランクがバラバラじゃが、新宿迷宮をクリアした者達をそのままにしておくのは問題があるとの結論になった」

「じゃあボク達はどうなるのだ?」

 パララもんの質問に、シィーリアが長いタメを作る。静まり返る探索者達。彼女は全員の顔を見渡してからゆっくりと口を開いた。


「それなのじゃが……ランク査問委員会からは新宿迷宮攻略メンバーを全員Sランク・・・・・・にしたいと要望が出ておる」


「え、Sランクなのだ!?」


 周囲がザワザワと騒ぎ出す。いきなりすっ飛ばすなぁ……俺今Cランクだから何段階上がるんだ?

 でも、それが決定事項なら全員集める必要なんてないよな。各担当から通達しておしまいのはずだ。わざわざ集めたのはなんでだ?

 鯱女王がスッと手を上げる。

「それって、行政のイベントとかどうなるの?」

「Sランクに上がった者には依頼が来るじゃろう。必然的に、現在鯱女王が行っている各イベントへの出席は分散される形になるの」

「ホント? やった!」

 鯱女王が珍しく子供のように喜んだ。行政イベント? そんなのSランクになったら出なきゃいけないのかよ? マジか……。

 俺達の空気を察したのか、シィーリアは慌てて補足を入れた。

「そのじゃな、隠しておったわけでは無いんじゃが、一応、そういうデメリットがあるからの。それぞれの意思を尊重して決定しようと思った訳じゃ」

 なるほどな。その為にわざわざ呼び出したってことか。選択できるなら答えは1つだな。


「じゃあ俺はパスだな。ダンジョン探索ができなくなったら意味ねぇし」


 俺が断ると、みんな口々に声を上げる。

「ヨロイさんがSにならないなら私もならないわ」

「俺も同意見だ。救出任務が滞るのは問題だからな」
「私もカズ君と一緒でいいかな」

「時間無くなって料理できなくなったら困るにゃ!」

 俺達のパーティ以外のみんなも口々に自分達の考えを話し出す。ポイズン社長達も、フィリナがこの世界に慣れるまでイベントなんかは避けたいと言っていた。

「わ、私も……みなさんを差し置いてSランクというのは、ちょっと……」

 タルパも遠慮がちに断る。唯一勝者マンが手を挙げるか唸っていたが、手を上げようとした所で思い止まったようだった。

「イベントで血塗れの勝者マンが出て来たら村おこしどころかホラーツアーになっちゃうにゃあ」

 ナーゴが言うと、大袈裟にビビったような動きをする勝者マン。ナーゴが「失礼だにゃ!」とキレながら勝者マンを追い掛ける。

 やっぱり勝者マンには怖えぇな……ナーゴ……。

 ナーゴと勝者マンが走り回り、みんなが口々にデメリットが無ければなぁと口にする。シィーリアは俺達を見てため息を吐いた。

「まぁ、こうなると思っておったのじゃ。ではこれより順番に面談をする。お主達の実情を反映した形でランクを取りまとめよう」

 リレイラさんとシィーリアが長机を設置してパイプイスを置く。パララもん達から順番に、面談が始まった。


 ……。


 2時間ほどの時間をかけて面談した結果、俺達のランク付けはこんな感じになった。


 Sランクは変わらず鯱女王1人。

 Aランクはジーク、ミナセ、ポイズン社長、パララもん。

 Bランクは俺、アイル、タルパ、武史、フィリナ、勝者マン。

 Cランクはナーゴ。

 今回初ランク付けのフィリナや、 Aランク組、武史のようにランク上昇を拒否したメンバー以外はみんな1ランクずつアップ。俺もシィーリアからせめてAランクに……と言われたが、やめた。

 武史も「まだ Aに上がるには修行が足りない」と言っていたし、まぁいいよな。本人の意思ならランク上昇しなくても。

「皆謙虚じゃのぅ……じゃが、妾個人としてはお主達の功績はぜひ讃えたい。よって、このような処置を加えさせて貰うのじゃ」

 シィーリアがパチンと指を鳴らすと、俺達のスマホが同時に起動した。彼女が魔法を使ったのか、空中に浮いたスマホに探索者情報が載っている画面が写る。

 そこをよく見ると、俺達の探索者名に金のバッジみたいなマークが付いていた。


「お主達が新宿迷宮の初攻略者として分かるよう『エキスパート』の称号を授ける。皆がお主達を尊敬の眼差しで見つめるじゃろう」


 シィーリアの計らいかぁ。どうしても称号を与えたかったようだ。実際、彼女にとってもこういう処置をしないと落とし所が無いのだろう。

 俺としてはランク付けは納得の結果かなと思う。アイルも相当成長したしBは妥当だろう。本当は Aでも良いくらいだが……アイルが自分でBと言うならそれで良いだろう。


 次にアイルがランクが上がる時は、俺も一緒にA級に上がるかな。


 当のアイルはというと……自分よりナーゴの心配をしていた。

「ナーゴは良かったの? Bにもなれたんじゃない?」

「大丈夫にゃ! 戦闘は全然だしにゃ~」

 ナーゴも含めてみんな納得したような顔をしている。みんなが納得したなら良い感じにまとまったんじゃないか?


「クソッ……余計な事聞くんじゃなかった……ッ!!」


 唯一、鯱女王だけが悔しそうに頭を抱えていた。


―――――――――――

ダンジョン管理局探索者情報。

探索者名
461ヨロイさん

ランク
B (エキスパート)

装備
・フリューテッドアーマー
・聖剣アスカルオ

詳細
栃木から来た全身鎧の探索者。新宿迷宮ラビリンス初攻略メンバーの1人。ボス攻略時には探索者達の司令塔を務めた。




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