エスポワールで会いましょう

茉莉花 香乃

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第二章

2ー02

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日曜日の早朝、自宅の部屋に奈津美が荷物を抱えて現れた。

「一緒にお出かけしましょう」

満面の笑みの奈津美が怖い。

「ユキの服はわたしが用意したからね」

えっ…語尾にハートが見える…。

奈津美は小さい頃から僕のことを《ユキ》と呼ぶ。《ゆうき》だよ?と何度訂正しても直さないのでもう諦めている。

「スカートは履かないよ!」
「嫌だ!当たり前じゃない……」

嘘だ。

中学生の時、罰ゲームとか言ってスカート履かせたじゃないか。
「嫌だ!」って言ったのにスカート履いたまま映画を観に行ったんだ…ああっ、黒歴史……。
セーラー服も着せられた事がある。
あれは流石に勘弁して欲しかったよ…。
家の外には連れ出され無かったけれど、写真をいっぱい撮られた。

どこか残念そうな奈津美は、しかしスカートは持っていないようだ。
でも、何やら不吉な予感がする。

「今日は眼鏡要らないからね~」
「良かった。実はまだ慣れないんだよね。休みの日くらい眼鏡無しで過ごしたい」

教室で眼鏡を外そうとすると、和希が怒るんだよ。
そう愚痴ると、奈津美は「感心、感心」と喜んでいた。

「奈津美、それにしても早くない?どこか遠くに行くの?」

買い物するにしても、映画を観るにもちょっと早過ぎるんじゃないかな。
あっ、奈津美の彼のところに一緒に行くの?嫌だよ。
日帰り出来る距離ではあるけれど……疲れる。
などと考えていたら、大きな鞄から次々と服が出てきた。

確かにスカートはなさそうだけど、何故かフリルとか見えるのは気のせいでしょうか……?
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