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第四章
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ゆっくり店内を見ながら入って行くと、昨日の店員さんが笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「彰、奥に居るよ。昨日のとこね」
「あ、ありがとうございます」
「ごゆっくり」
昨日も通された奥の席は、完全な個室にはなっていないけれど衝立と背の高い観葉植物で他の席からは見えないようになっている。
月島君もう来ていたんだ。
先に来て心を落ち着かせてから会いたいと思ってちょっと早く来たつもりだったけど…と思いながら奥の席に行くと、
「ユキ……来てくれたんだ。ありがとう。昨日はごめんな。…座って」
昨日と同じように向かい合って座った。
「昨日は直ぐに帰ったんだってな。何か飲む?お昼食べた?」
「はい、では紅茶を」
「それだけで良い?ケーキ、一緒に食べよ。…ケイさん…」
手を挙げてさっきの店員さんを呼ぶ。
「ここ、よく来るんですか?」
「うん…あのさ……」
「何するか決まった?」
「!……あっ、俺ホット。ユキは紅茶を……」
「アイスミルクティーをお願いします」
「ケーキもお願い」
「何にする?」
「任せるよ…ユキ、良い?」
「はい」
笑顔で頷くと、お返しとばかりに凄く安心したような笑顔の月島君が眩しい。
店員さん…ケイさんが「畏まりました」と席から離れると、
「あのさ……」
あっ、さっき何か言いかけてたよね。笑顔が消えて少し寂しく思う。
「はい?」
「…話し方、敬語崩してくれない?ごめん、警戒してるよね。昨日から強引で。『何、こいつ?』とか思ってる?
でも、今日来てくれた。すげー嬉しいんだ。だから、これ以上望んじゃいけないのかもしれないけど、出来たらさ普通に、友達と話すくらいには打ち解けてくれないかな?」
ずきり。
『友達』だよね。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
「彰、奥に居るよ。昨日のとこね」
「あ、ありがとうございます」
「ごゆっくり」
昨日も通された奥の席は、完全な個室にはなっていないけれど衝立と背の高い観葉植物で他の席からは見えないようになっている。
月島君もう来ていたんだ。
先に来て心を落ち着かせてから会いたいと思ってちょっと早く来たつもりだったけど…と思いながら奥の席に行くと、
「ユキ……来てくれたんだ。ありがとう。昨日はごめんな。…座って」
昨日と同じように向かい合って座った。
「昨日は直ぐに帰ったんだってな。何か飲む?お昼食べた?」
「はい、では紅茶を」
「それだけで良い?ケーキ、一緒に食べよ。…ケイさん…」
手を挙げてさっきの店員さんを呼ぶ。
「ここ、よく来るんですか?」
「うん…あのさ……」
「何するか決まった?」
「!……あっ、俺ホット。ユキは紅茶を……」
「アイスミルクティーをお願いします」
「ケーキもお願い」
「何にする?」
「任せるよ…ユキ、良い?」
「はい」
笑顔で頷くと、お返しとばかりに凄く安心したような笑顔の月島君が眩しい。
店員さん…ケイさんが「畏まりました」と席から離れると、
「あのさ……」
あっ、さっき何か言いかけてたよね。笑顔が消えて少し寂しく思う。
「はい?」
「…話し方、敬語崩してくれない?ごめん、警戒してるよね。昨日から強引で。『何、こいつ?』とか思ってる?
でも、今日来てくれた。すげー嬉しいんだ。だから、これ以上望んじゃいけないのかもしれないけど、出来たらさ普通に、友達と話すくらいには打ち解けてくれないかな?」
ずきり。
『友達』だよね。
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