エスポワールで会いましょう

茉莉花 香乃

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第四章

4ー03

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外へ出ると店の看板が見えた。

木のベンチの上に『エスポワール』と書かれた、オシャレに装飾されたプレートが掛かっていた。



◇    ◇    ◇    ◇    ◇



次の日、僕はエスポワールに来ていた。

今日、学校は休みなので橘裕樹として月島君に会うことが無くて良かった。

もし、会ってしまったら今日は来られなかったかもしれない。



昨日は突然の事に動揺して、店の中をゆっくり見られなかった。

店内は広くはないけれどテーブルとカウンターはどっしりとした木でできていて、使い込まれて存在感がある。照明は少し落としてあって、BGMで流れてるジャズも落ち着いた雰囲気がある。

僕は普段から喫茶店にはあまり、と言うかほとんど入ったことが無かった。
和希や奈津美、他の友達などと遊んだりする時はファストフードかファミレスで、精々が全国チェーンのカフェくらいだ。

今日、月島君に会うことは和希に言えずにいた。

心配してくれている和希にはちゃんと言った方が良いのは分かっているけど、「行くな」と反対されるのが怖かったんだ。

やっぱり、会いたい。

『ユキ』としてでも良いと思った。

だって僕は『ユキ』なんだ。

月島君の中でどうして僕が『ユキ』なのか分からないけど、僕を『ユキ』と呼ぶのは奈津美だけで、その奈津美のことを月島君が気にしていると言うことは……やっぱり僕が月島君にとっての『ユキ』なんだ。

あの噂で聞いた探している“とっても可愛い子”はおそらく僕じゃないだろう。

考えても分からない。

分かっているのは、僕が月島君に会いたいと言う思いだけ。
これだけ真っ直ぐ、自分の気持ちに向き合ったのは初めてかもしれない。


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