36 / 52
第五章
5ー03
しおりを挟む
何言ってるの?
高校にも来たって事なのかな?
「どう言う事ですか?」
「ごめん…何度か行ったんだ。眼鏡掛けててびっくりした。前髪も……。可愛い顔が台無しだな。……それって、俺の所為?」
「違います」
「即答かよ……。でも、橘、見るたび明るくなって来て。声掛けるのなかなか勇気出なくて…今日こそって思った時に石原に…」
和希、また止めてくれたんだ。でも、どうして何も言ってくれなかったんだろう…。
当たり前か…。
また、下を向いてしまう事を和希が僕に言う筈ないよね。
「石原が『ストーカーですか?』って。そうだよな。立派なストーカーだよな…。
でも…裕樹……もう一度最初からやり直してくれないか?ずっとお前の事が好きだった。離れてから気付いたんだ。ずっと、忘れられなかった」
何を言っているんだろうこの人は?
本当に僕にした事を忘れているんじゃないだろうか?
そう言えば、告白の時にしか「好き」って言葉は聞かなかったんじゃないか…。
今更だよね。
「今度は誰の当て馬ですか?」
「えっ?それは…違うんだ」
もうこの人の言う事は信じない。
「知らなかったんですか?僕が知っていると。貴方の友達が親切に教えてくれたんです」
あの時の感情が蘇る。
でも涙なんか出ない。
そう言えば、あの時も泣かなかった。あの時は惨めすぎた。
「もう二度と会いません。小寺先輩。さようなら」
カフェを出てしばらく歩いた時、頬に冷たい物が伝って落ちた。
ようやく中学の時の気持ちに終止符を打つ事が出来たのかもしれない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
高校にも来たって事なのかな?
「どう言う事ですか?」
「ごめん…何度か行ったんだ。眼鏡掛けててびっくりした。前髪も……。可愛い顔が台無しだな。……それって、俺の所為?」
「違います」
「即答かよ……。でも、橘、見るたび明るくなって来て。声掛けるのなかなか勇気出なくて…今日こそって思った時に石原に…」
和希、また止めてくれたんだ。でも、どうして何も言ってくれなかったんだろう…。
当たり前か…。
また、下を向いてしまう事を和希が僕に言う筈ないよね。
「石原が『ストーカーですか?』って。そうだよな。立派なストーカーだよな…。
でも…裕樹……もう一度最初からやり直してくれないか?ずっとお前の事が好きだった。離れてから気付いたんだ。ずっと、忘れられなかった」
何を言っているんだろうこの人は?
本当に僕にした事を忘れているんじゃないだろうか?
そう言えば、告白の時にしか「好き」って言葉は聞かなかったんじゃないか…。
今更だよね。
「今度は誰の当て馬ですか?」
「えっ?それは…違うんだ」
もうこの人の言う事は信じない。
「知らなかったんですか?僕が知っていると。貴方の友達が親切に教えてくれたんです」
あの時の感情が蘇る。
でも涙なんか出ない。
そう言えば、あの時も泣かなかった。あの時は惨めすぎた。
「もう二度と会いません。小寺先輩。さようなら」
カフェを出てしばらく歩いた時、頬に冷たい物が伝って落ちた。
ようやく中学の時の気持ちに終止符を打つ事が出来たのかもしれない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
23
あなたにおすすめの小説
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ずっと好きだった幼馴染の結婚式に出席する話
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
幼馴染は吸血鬼
ユーリ
BL
「お前の血を飲ませてくれ。ずーっとな」
幼馴染は吸血鬼である。しかも食事用の血液パックがなくなると首元に噛みついてきてーー
「俺の保存食としての自覚を持て」吸血鬼な攻×ごはん扱いの受「僕だけ、だよね?」幼馴染のふたりは文化祭をきっかけに急接近するーー??
幸せごはんの作り方
コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。
しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。
そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。
仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる