エスポワールで会いましょう

エピローグ

えぴろーぐー01

今日は裕樹がお弁当を持ってエスポワールに来てくれる。

今日、エスポワールは定休日なので、航さんとケイさんはデートに出掛けてる。

昨日帰る前に今日のデートの行き先を決めていた時、たまたま近くにいたケイさんが、

「俺たち居ないけどここ来て良いよ」

と言ってくれたので、じゃあと言うことで裕樹がお弁当を作ってくれることになった。

以前水族館に行った時作ってくれたけど、愛情いっぱいで幸せを感じた。

あの頃はまだ二人の仲は完全な相思相愛ではなかったけれど、裕樹の話しを聞いているとどうやら四月の出会いからお互いが好きになっていたようだ。

まあ、裕樹は、

「その時はまだ好きって気持ちには気付いていなかったよ？」

と可愛らしく言ってくるけど、

「そうだね、いつも彰を探してたかな」

なんて言われたら……閉じ込めてしまおうか？なんて思ってしまう。


裕樹が眼鏡姿でエスポワールへ来てからほぼ毎日デートしてる。

大体がエスポワールで話したり、勉強したり、ちょっと出掛けて映画観たり、また戻って来てご飯食べたり。

まあ、エスポワールが拠点になっている。

週に一度会ってる時は会うのにどこかへ出掛けると言う口実が必要な気がしてた。

だから、どこ行こうかと考えた。

でも今は「彰のそばに居られるならどこでも良いよ」と言ってくれる裕樹に目眩か起きそうだ。

大雨で行けなかった遊園地には行ったけどね。

だからデートするのは俺の家でも良いけど、姉貴が煩い。
いや、家に来ることには何の問題も無いんだ。
母も姉貴も裕樹を俺より可愛がるのが問題なんだ。

姉貴なんか奈津美さんよりタチが悪いと思う。

初めて裕樹を俺の家に連れて行った翌日、家に帰ったら、

「裕樹くんの為に服買ったの」

と言うから見てみたら、俺が見るのは良いよ…けど…これ着て何処歩くのさ！と思う程可愛い服を、

「今度うち来る時は必ずこれ着てきてね！」

と語尾にハートマークが見える笑顔で言われた。

姉貴のこんな笑顔はもしかしたら初めてかも知れない。

こんな恐ろしい所にはよっぽどのことがない限り連れては来られない。

裕樹は男にナンパされたこともある。

気を付けなければならない。

裕樹は自分の魅力に気付いてないからね。

誠も言ってた。
最早クラスの中では眼鏡と前髪は気休めだったと。

裕樹を一番に守ったのは奈津美さんとの噂だ。