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第七章
7ー06
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「ホント、学校と全然雰囲気違うな」
「前髪も無いからだね~」
「可愛いだろ?」
「彰君!」
恥ずかしいから……。
「ホント、ベタ惚れだな」
「『ユキ』だもんね~」
「そうだよ」
「…?」
どうして二人は『ユキ』のこと、知ってるのかな?
「一緒に探して貰ってたんだ。ほらあの日、この二人も一緒に居たんだ」
「名前がわかったって大変だったんだから」
「そうだよ、僕たちも見たからさ『ユキ』を」
「神田さんに告白するし」
「あれはびっくりしたね」
「いくら確かめたいって言ってもそこまでするとは、思わなかったからな」
「そうそう」
二人で顔を見合わせて、仲良さそうだな。
「昨日来た」
「誰が」
「奈津美さん」
「「「 ? 」」」
「呼べって言われた」
「強者だな」
宇喜多君が呆れたような、怯えたような複雑な顔で矢嶋君に抱きついてる。
それにしても、昨日そんなこと言われたんだ。
それから暫く四人で話した後、宇喜多君と矢嶋君は帰って行った。
◇◇◇◇◇
深いキスはまだ慣れない。
あれから、会う度にキスをしている。
最初もどかしく思っていた触れるだけのバードキスは、今では、密かに好きだったりする。その先を期待して益々感じちゃうようになってしまったんだけど…。
キスの合間に、時々彰の顔を見たりする。
かっこいい彰が可愛い顔になったり、欲情した大人の顔になったりするのは、僕がそうしていると感じられて嬉しい。
連絡先を交換してからもエスポワールには、ほとんど毎回お邪魔している。
マスターとケイさんは優しくて、たまにお手伝いするとコーヒーやケーキを奢ってくれる。
勿論裏方だけどね。
接客は彰が許してくれない。
彰は僕にキスをして、身体を弄った。
身体中にキスをした。
耳元でキスして、囁かれるとゾクソクする。
首筋もビクビクする。
僕もたまに彰の身体を触ったりする。彰は「くすぐったい」って言ってあまり触らしてくれないけど、いつも抱きついて誤魔化してその隙に触ったりする。
そして時々「キスして?」って強請ってみたりする。
自分からするのはまだ恥ずかしいけど、彰が喜んでくれるから、頑張ってする。
そうして……彰は少しずつ僕の身体を感じるようにしてしまって……
彰の欲情した瞳で見つめられるだけで僕の身体は反応を始めてしまう。
……そして僕たちは一つになれたんだ。
痛くって、恥ずかしくって、泣いてしまったけど、彰はとても優しかった。
ずっと『好き』って言ってくれた。
僕も泣きながら『好き』って言った。
とっても幸せ。
彰を大事にしたいなと思うんだ。
二人で歩いて行けるように。
「前髪も無いからだね~」
「可愛いだろ?」
「彰君!」
恥ずかしいから……。
「ホント、ベタ惚れだな」
「『ユキ』だもんね~」
「そうだよ」
「…?」
どうして二人は『ユキ』のこと、知ってるのかな?
「一緒に探して貰ってたんだ。ほらあの日、この二人も一緒に居たんだ」
「名前がわかったって大変だったんだから」
「そうだよ、僕たちも見たからさ『ユキ』を」
「神田さんに告白するし」
「あれはびっくりしたね」
「いくら確かめたいって言ってもそこまでするとは、思わなかったからな」
「そうそう」
二人で顔を見合わせて、仲良さそうだな。
「昨日来た」
「誰が」
「奈津美さん」
「「「 ? 」」」
「呼べって言われた」
「強者だな」
宇喜多君が呆れたような、怯えたような複雑な顔で矢嶋君に抱きついてる。
それにしても、昨日そんなこと言われたんだ。
それから暫く四人で話した後、宇喜多君と矢嶋君は帰って行った。
◇◇◇◇◇
深いキスはまだ慣れない。
あれから、会う度にキスをしている。
最初もどかしく思っていた触れるだけのバードキスは、今では、密かに好きだったりする。その先を期待して益々感じちゃうようになってしまったんだけど…。
キスの合間に、時々彰の顔を見たりする。
かっこいい彰が可愛い顔になったり、欲情した大人の顔になったりするのは、僕がそうしていると感じられて嬉しい。
連絡先を交換してからもエスポワールには、ほとんど毎回お邪魔している。
マスターとケイさんは優しくて、たまにお手伝いするとコーヒーやケーキを奢ってくれる。
勿論裏方だけどね。
接客は彰が許してくれない。
彰は僕にキスをして、身体を弄った。
身体中にキスをした。
耳元でキスして、囁かれるとゾクソクする。
首筋もビクビクする。
僕もたまに彰の身体を触ったりする。彰は「くすぐったい」って言ってあまり触らしてくれないけど、いつも抱きついて誤魔化してその隙に触ったりする。
そして時々「キスして?」って強請ってみたりする。
自分からするのはまだ恥ずかしいけど、彰が喜んでくれるから、頑張ってする。
そうして……彰は少しずつ僕の身体を感じるようにしてしまって……
彰の欲情した瞳で見つめられるだけで僕の身体は反応を始めてしまう。
……そして僕たちは一つになれたんだ。
痛くって、恥ずかしくって、泣いてしまったけど、彰はとても優しかった。
ずっと『好き』って言ってくれた。
僕も泣きながら『好き』って言った。
とっても幸せ。
彰を大事にしたいなと思うんだ。
二人で歩いて行けるように。
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