告白ゲーム

茉莉花 香乃

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告白ゲーム

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涙腺をコントロールできなくなった。自分から別れる決意をしてここに来たのに…。

寺本からの決別の言葉を聞いて本当は別れたくなんかないと思っている心の奥の声が、涙腺と直結しているみたいだ。みっともない涙でぐちゃぐちゃの顔を隠したいのに、寺本は許してくれない。膝の上に座る僕を覗き込む。

「僕は…一年の時から、寺本くんが、好きだったから、嘘だってわかってても、一緒に…一ヶ月だけでも、側にいたいって。……告白なんかする、つもりはなかったけど、告白されたから、…良いかなって…。…何度も後悔した。…優しくされると辛かった。…きっと、冷たくされても、辛かったと思う。演技の練習なのかと諦めてたんだ」
「さっきから言ってるけど、なんで演技?」
「だって、僕に向ける、寺本くんの優しさの、触れる身体の意味が……欲しかった。演技の練習なんだと思ったら納得できた。期待しないように、一ヶ月だけ…一ヶ月だけだからって」

顔を同じ高さにして鼻同士をコツンと当てる。

「て、寺本くん、ここ、公園…」
「じゃあ、俺の部屋行こう」
「嫌だ…」
「どうして?」
「無理だよ。ゲームの続きはできない」
「俺がこんなに、好きなのに?博也は泣いてしまうくらい終わるのが嫌なのに?」
「ちょっとのことで不安になる。告白ゲームが頭から離れない。少なくともあの四人はゲームの続きだと思ってる。寺本くんもって……考えてしまう」

寺本の腕が僕の頭を包む。

頭に直接響く声は優しかった。

「やっぱり、一旦別れよう」

ピクリと震える身体は寺本の腕が全て受け止めてくれる。こんなに密着した破局は珍しいのではないか?

ああ、これで終わる。
服が濡れてしまうのに申し訳ないと思いながらも、壊れた涙腺は涙を流し続けた。

「改めて…博也、えっと佐久間。聞いてくれる?」

いきなり名字で呼ばれてツキリと胸が痛む。
だから、嫌だって言ったのに。

……でも、優しい声が続いた。

「佐久間、好きなんだ。俺と付き合ってくれる?」



◇◇◇◇◇



「俺、フラれたから」
「「「え~」」」
「どうしたんだよ?先週は順調だって言ってたじゃないか?」
「でも、一ヶ月続いたってこと?凄いよな」
「そうだけど…お前、本命だったろ?フラれたんなら仕方ないけど」
「やっぱ、藤井にはバレてた?」
「「「えっ?本命?」」」
「そうだよ。…博也」

月曜日の放課後、一ヶ月前と同じように五人で集まって話してる。そして、僕も同じように教室前の廊下で中の様子を伺ってた。

名前を呼ばれたから教室に入る。寺本が出入り口まで迎えに来てくれて、手を繋がれて四人の前に二人で並ぶ。

これ、罰ゲームに匹敵する恥ずかしさだ。

「改めて…フラれた後にもう一回告白してオッケーもらったから」
「「「え~」」」
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