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第一章
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「いつもの護衛はいないのか?」
「今日は一人しかいなくって。その一人もさっきあっちに行っちゃって…」
「そうか、護衛が戻ってくるまで俺がここにいてやる」
少し偉そうだけど、でも口調は優しくて嬉しかった。
それからアシュリーが近くにいてくれたから誰からも声を掛けられることはなかった。
初めて話したアシュリーは今までのよそよそしさはなくて、少し照れているのかはにかむ笑顔は僕を一瞬で虜にする。
「今日は一段と可愛いな。ドレスもよく似合ってる。この前のピンクのも良かったけど、今日の水色のドレスは清楚な感じで、いつもと雰囲気が違っていて、とても良い」
ボソッと呟く声は僕だけにしか聞こえない小さなもので、いつも遠くから見ていた姿とは違い真っすぐ僕に向かう視線にドキドキした。
可愛いと言われたことに多少の違和感はあるけど、僕の事は女の子と思っているからそれは最高の褒め言葉なんだろう。
その最高を僕に向けられたことや、『いつも君を見ていたよ』と言われたみたいで嬉しさと恥ずかしさで顔を上げられなくなった。
それからしばらくして「申し訳ございません」と慌てた感じて戻ってきた護衛に「戻って来なくて良かったのに」と言いそうになって慌てた。
そんなアシュリーは明らかに女好きだ。五、六歳の頃からアシュリーの周りは女だらけだ。
取り巻きのように必ず女の子がいて、手下のような男の子も二人従えていた。
身分では同じなのだから僕が見劣りするわけじゃないけど、アシュリーはいつ見ても華やかだった。
小さい頃から女好きだったけれど学園に入学してからもそれは変わらない。女子寮に出かけては女の子と会話を楽しみ、仲間を引き連れて、女の子のクラスに顔を出す。
そして僕には入学して直ぐに「双子じゃないのか?」「女の子のいとこはいないのか?」と聞いてきて、「いとこがいるよ」と返事すると途端に笑顔になった。
「いとこの瞳の色は?」と更に質問されて「ブラウン」と答えると疑いの目を向けて「そうか…」と哀しげに呟いてそれっきり話しかけてはこなかった。
僕には小さな頃からの友だちがいる。
使い魔のギルだ。
真名はギルバート・イヴァンジェリン・ジョンストーンと言う。
長いし、ややこしいので覚えるのが大変だった。
兄上たちに遊んで貰えない時に遊んでくれたり、寝室で一緒に寝たりした。
モフモフの毛並みで触っていると落ち着くんだ。
いつもは小型の犬のような愛くるしい姿だけど、僕を背中に乗せて走り回れるくらいの大きさになれる。
よく、庭の橋を渡り、その先にある花畑まで連れて行ってもらった。
まあ、こっちが本来の姿なのだろう。
もしかしたらもっと大きくなれるのかな?
普段は僕がしている指輪の中に隠れている。
この指輪は成長するにつれて太くなる指に合わせて、内径が変わる魔法がかけられていて、物心ついた時から僕の右手の人差し指にある。
入学する時に父上に聞いたら、指輪をはめたまま学園に行っても良いと言われた。
と言うことはギルバートも一緒に行っても良いと許可が出たと言うことだ。
指輪にはラブラドライトがはめ込まれていて、角度によって色合いが変化する石は見ていて飽きない。
一見濃い青色の石は地味に見えるけど、キラキラと輝く光で注目されるのが嫌だったから、目眩しの魔法をかけた。
寮に入って直ぐに、ギルバートには驚かされた。
いつもの小型の犬サイズより小さくなって僕の前に現れた時は「どちらさまですか?」と言いそうになった。
「何だよ、わからね~の?」
と呆れ気味で言われた。
シゲシゲと観察する僕にいつもの姿に戻って「ほんとに、ジュリアンは…」と溜息までつかれた。
わからなかった、と言うよりは驚いた方が強い。
気は明らかにギルバートのものだったから疑いようもなかったけど、あまりの可愛さに言葉が出なかったんだ。
僕の手のひらに乗るくらいの小ささで、四本脚は変わらないけど、脚が…脚が短くて、それがまた可愛さを増長している。
「今日は一人しかいなくって。その一人もさっきあっちに行っちゃって…」
「そうか、護衛が戻ってくるまで俺がここにいてやる」
少し偉そうだけど、でも口調は優しくて嬉しかった。
それからアシュリーが近くにいてくれたから誰からも声を掛けられることはなかった。
初めて話したアシュリーは今までのよそよそしさはなくて、少し照れているのかはにかむ笑顔は僕を一瞬で虜にする。
「今日は一段と可愛いな。ドレスもよく似合ってる。この前のピンクのも良かったけど、今日の水色のドレスは清楚な感じで、いつもと雰囲気が違っていて、とても良い」
ボソッと呟く声は僕だけにしか聞こえない小さなもので、いつも遠くから見ていた姿とは違い真っすぐ僕に向かう視線にドキドキした。
可愛いと言われたことに多少の違和感はあるけど、僕の事は女の子と思っているからそれは最高の褒め言葉なんだろう。
その最高を僕に向けられたことや、『いつも君を見ていたよ』と言われたみたいで嬉しさと恥ずかしさで顔を上げられなくなった。
それからしばらくして「申し訳ございません」と慌てた感じて戻ってきた護衛に「戻って来なくて良かったのに」と言いそうになって慌てた。
そんなアシュリーは明らかに女好きだ。五、六歳の頃からアシュリーの周りは女だらけだ。
取り巻きのように必ず女の子がいて、手下のような男の子も二人従えていた。
身分では同じなのだから僕が見劣りするわけじゃないけど、アシュリーはいつ見ても華やかだった。
小さい頃から女好きだったけれど学園に入学してからもそれは変わらない。女子寮に出かけては女の子と会話を楽しみ、仲間を引き連れて、女の子のクラスに顔を出す。
そして僕には入学して直ぐに「双子じゃないのか?」「女の子のいとこはいないのか?」と聞いてきて、「いとこがいるよ」と返事すると途端に笑顔になった。
「いとこの瞳の色は?」と更に質問されて「ブラウン」と答えると疑いの目を向けて「そうか…」と哀しげに呟いてそれっきり話しかけてはこなかった。
僕には小さな頃からの友だちがいる。
使い魔のギルだ。
真名はギルバート・イヴァンジェリン・ジョンストーンと言う。
長いし、ややこしいので覚えるのが大変だった。
兄上たちに遊んで貰えない時に遊んでくれたり、寝室で一緒に寝たりした。
モフモフの毛並みで触っていると落ち着くんだ。
いつもは小型の犬のような愛くるしい姿だけど、僕を背中に乗せて走り回れるくらいの大きさになれる。
よく、庭の橋を渡り、その先にある花畑まで連れて行ってもらった。
まあ、こっちが本来の姿なのだろう。
もしかしたらもっと大きくなれるのかな?
普段は僕がしている指輪の中に隠れている。
この指輪は成長するにつれて太くなる指に合わせて、内径が変わる魔法がかけられていて、物心ついた時から僕の右手の人差し指にある。
入学する時に父上に聞いたら、指輪をはめたまま学園に行っても良いと言われた。
と言うことはギルバートも一緒に行っても良いと許可が出たと言うことだ。
指輪にはラブラドライトがはめ込まれていて、角度によって色合いが変化する石は見ていて飽きない。
一見濃い青色の石は地味に見えるけど、キラキラと輝く光で注目されるのが嫌だったから、目眩しの魔法をかけた。
寮に入って直ぐに、ギルバートには驚かされた。
いつもの小型の犬サイズより小さくなって僕の前に現れた時は「どちらさまですか?」と言いそうになった。
「何だよ、わからね~の?」
と呆れ気味で言われた。
シゲシゲと観察する僕にいつもの姿に戻って「ほんとに、ジュリアンは…」と溜息までつかれた。
わからなかった、と言うよりは驚いた方が強い。
気は明らかにギルバートのものだったから疑いようもなかったけど、あまりの可愛さに言葉が出なかったんだ。
僕の手のひらに乗るくらいの小ささで、四本脚は変わらないけど、脚が…脚が短くて、それがまた可愛さを増長している。
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