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第三章
02
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「だ、大丈夫だ。それで?わかったのか?」
「何が?」
わ~、会話してる。
こんなに話が続いたのは初めてだと思う。
「兄貴のことだよ」
「ああ、兄上が勝手に来るんだ。今までも来ないでって散々言ってるのにさ」
「俺が来るなと言ってたと言えばいい」
「一応言っとくよ。でも、僕が何を言っても聞かないと思うけどね」
ふんと不機嫌そうに教室に向かうアシュリーの後について僕も教室に向かった。
三年生になって寮の部屋が四人部屋から二人部屋になった。
どのように部屋割りがされるのかは知らないけれど、何か不都合があった時、喧嘩したとかいろいろな事情で変えて欲しいと寮父さんに願い出て受理されれば変わるらしい。
僕はアシュリーと同じ部屋で、喜んで良いのか哀しんで良いのか。
嬉しいよ?
変えて欲しいとは絶対に思わない。でも、話し掛けてくれないんだ。僕が話し掛けるとそれには答えてくれるけど、ぎこちない雰囲気は未だに緊張してしまう。
だって恥ずかしいから、綺麗な碧い瞳を見てると顔が赤くなるのがわかるから、逸らしてしまうんだ。
そしたら、やっぱり態度悪い奴って思われてるのか、アシュリーが不機嫌になるような気がするんだよね。
同室になって必然的にアシュリーの側にいることが増える。
何てったって同じ部屋なんだ。
そのうち同じベッドで寝ろとか言い出しそう……。
ん~それはないな。
「……あの…」
「ん?何だ?」
「どうして?」
ほんとに、どうしてこんなことになってるんだ。それはないなと思った『同じベッドで寝ろ』と言う命令を今されたばかりで戸惑う。
「ベッドは二人で寝られるようにした。問題はない」
問題だらけですけど…。
「嫌か…?」
なんか、今一瞬照れましたね?下を向いていて僕には背を向けているから表情はわからないけど、耳が赤いような…。ここは何と返事するべきか?男同士で同じベッド…明らかに普通じゃないと思う。しかし、僕はアシュリーが好き。そうだ。命令されたと言う大義名分があるなら恥ずかしいけどそれも有りかも…。
「良いよ」
パッと顔を上げ、こちらを向いたアシュリーの顔は命令したのに、その命令に従っただけなのに嬉しそうで、心がほっこりした。
だって、少し照れた赤い顔で「今日からな」なんて言われたら一晩でも早く一緒のベッドで寝たい!って言われたみたいで僕もきっと真っ赤な顔になってると思う。
「よ、よろしく、お願いします」
一緒に寝るようになって気付いたのは、僕は今まで熟睡できていなかったのではないかと言うことだ。
寝つきの良さ。前日の疲れは全く感じさせない爽快感。目覚めのすっきり感。目覚めて始めに目に入るアシュリーの寝顔に未だドキドキするものの、身体が軽くなったような気がするのは気のせいでは済まされないくらいの変化だった。
一緒に寝るようになって、変わったことがある。アシュリーが僕の目を見て話しかけてくるようになった。恥ずかしいけど、嬉しくって僕も目を見て返事をする。アシュリーの碧い瞳に見つめられるとドキドキする。
ある日、起きた時にアシュリーの胸に頭を乗せていてびっくりした。
「あっ、ご…」
いつも僕が先に目覚めるから大きな声を出したら起こしてしまう……。
「…構わない」
「起きてたの?」
「ああ、疲れてないか?」
「何が?」
「いつも、上を向いて寝ているから」
「全然平気。ごめんね、アシュリーは重かったよね?」
「ジュリアンが乗ったくらい何でもない」
「そう?…それじゃあさ…あの…」
「どうした?」
「…これからも…あの…」
「良いよ」
えっ…良いの?
嬉しくなって離れていた身体を腕を伸ばして抱き付いた。
「な、何を…」
「アシュリー、優しいね」
抱き付いた僕をアシュリーは怒ることなく抱きしめ返してくれた。僕の髪を丁寧に梳く手は優しくて、クラレンス兄上にいつも撫でられていた時のように凄く落ち着いた。
あんなに恥ずかしくて緊張していたのにクラレンス兄上の手よりも心地良い。
僕たちの日常は今までとあまり変わらない。ベッドの中以外は…。
僕はアシュリーの腕や胸に頭を乗せて寝る。アシュリーは腕を回して僕を抱き込むように寝る。しばらくすると、僕の頭に顔を付けて、鼻でスリスリしたり、多分…唇で触れる。
多分ってとこは見えないからだ。確かめるのも恥ずかしい。そうして、無言で眠りにつく。朝起きると、抱き付いている時があって慌てるけど、アシュリーは嫌がっていない。
寝ている間のことは僕も責任を取れないけど、潜在的に近寄りたいと、触れていたいと思っているからか抱きついている時の方が多いかもしれない。
「何が?」
わ~、会話してる。
こんなに話が続いたのは初めてだと思う。
「兄貴のことだよ」
「ああ、兄上が勝手に来るんだ。今までも来ないでって散々言ってるのにさ」
「俺が来るなと言ってたと言えばいい」
「一応言っとくよ。でも、僕が何を言っても聞かないと思うけどね」
ふんと不機嫌そうに教室に向かうアシュリーの後について僕も教室に向かった。
三年生になって寮の部屋が四人部屋から二人部屋になった。
どのように部屋割りがされるのかは知らないけれど、何か不都合があった時、喧嘩したとかいろいろな事情で変えて欲しいと寮父さんに願い出て受理されれば変わるらしい。
僕はアシュリーと同じ部屋で、喜んで良いのか哀しんで良いのか。
嬉しいよ?
変えて欲しいとは絶対に思わない。でも、話し掛けてくれないんだ。僕が話し掛けるとそれには答えてくれるけど、ぎこちない雰囲気は未だに緊張してしまう。
だって恥ずかしいから、綺麗な碧い瞳を見てると顔が赤くなるのがわかるから、逸らしてしまうんだ。
そしたら、やっぱり態度悪い奴って思われてるのか、アシュリーが不機嫌になるような気がするんだよね。
同室になって必然的にアシュリーの側にいることが増える。
何てったって同じ部屋なんだ。
そのうち同じベッドで寝ろとか言い出しそう……。
ん~それはないな。
「……あの…」
「ん?何だ?」
「どうして?」
ほんとに、どうしてこんなことになってるんだ。それはないなと思った『同じベッドで寝ろ』と言う命令を今されたばかりで戸惑う。
「ベッドは二人で寝られるようにした。問題はない」
問題だらけですけど…。
「嫌か…?」
なんか、今一瞬照れましたね?下を向いていて僕には背を向けているから表情はわからないけど、耳が赤いような…。ここは何と返事するべきか?男同士で同じベッド…明らかに普通じゃないと思う。しかし、僕はアシュリーが好き。そうだ。命令されたと言う大義名分があるなら恥ずかしいけどそれも有りかも…。
「良いよ」
パッと顔を上げ、こちらを向いたアシュリーの顔は命令したのに、その命令に従っただけなのに嬉しそうで、心がほっこりした。
だって、少し照れた赤い顔で「今日からな」なんて言われたら一晩でも早く一緒のベッドで寝たい!って言われたみたいで僕もきっと真っ赤な顔になってると思う。
「よ、よろしく、お願いします」
一緒に寝るようになって気付いたのは、僕は今まで熟睡できていなかったのではないかと言うことだ。
寝つきの良さ。前日の疲れは全く感じさせない爽快感。目覚めのすっきり感。目覚めて始めに目に入るアシュリーの寝顔に未だドキドキするものの、身体が軽くなったような気がするのは気のせいでは済まされないくらいの変化だった。
一緒に寝るようになって、変わったことがある。アシュリーが僕の目を見て話しかけてくるようになった。恥ずかしいけど、嬉しくって僕も目を見て返事をする。アシュリーの碧い瞳に見つめられるとドキドキする。
ある日、起きた時にアシュリーの胸に頭を乗せていてびっくりした。
「あっ、ご…」
いつも僕が先に目覚めるから大きな声を出したら起こしてしまう……。
「…構わない」
「起きてたの?」
「ああ、疲れてないか?」
「何が?」
「いつも、上を向いて寝ているから」
「全然平気。ごめんね、アシュリーは重かったよね?」
「ジュリアンが乗ったくらい何でもない」
「そう?…それじゃあさ…あの…」
「どうした?」
「…これからも…あの…」
「良いよ」
えっ…良いの?
嬉しくなって離れていた身体を腕を伸ばして抱き付いた。
「な、何を…」
「アシュリー、優しいね」
抱き付いた僕をアシュリーは怒ることなく抱きしめ返してくれた。僕の髪を丁寧に梳く手は優しくて、クラレンス兄上にいつも撫でられていた時のように凄く落ち着いた。
あんなに恥ずかしくて緊張していたのにクラレンス兄上の手よりも心地良い。
僕たちの日常は今までとあまり変わらない。ベッドの中以外は…。
僕はアシュリーの腕や胸に頭を乗せて寝る。アシュリーは腕を回して僕を抱き込むように寝る。しばらくすると、僕の頭に顔を付けて、鼻でスリスリしたり、多分…唇で触れる。
多分ってとこは見えないからだ。確かめるのも恥ずかしい。そうして、無言で眠りにつく。朝起きると、抱き付いている時があって慌てるけど、アシュリーは嫌がっていない。
寝ている間のことは僕も責任を取れないけど、潜在的に近寄りたいと、触れていたいと思っているからか抱きついている時の方が多いかもしれない。
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