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第四章
05
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目覚めるとまだ夜みたいで、ベッドの傍に置いてある照明からは柔らかい明かりが見える。
まだアシュリーに跨がっていて、頭を支えられて抱きしめられていた。そんなに時間は経ってないようだ。一瞬のとこだったのだろうか?
「あっ、気付いた?大丈夫?」
「ごめん…気絶しちゃったんだね」
大丈夫そうだなと呟くと僕の額にキスをした。
「思い出した?」
「僕はミシェルの生まれ変わりなんだね…」
「そうだよ」
「アシュリーはミネルヴァの生まれ変わり?」
「そうだ」
思い出したと言うよりも人の記憶がごっそり雪崩れ込んで来た感じで、整理がつかない。
それに、楽しいばかりの記憶じゃない。
辛く、切ない思いが心を締め付ける。馴染んでいない他人の…全くの他人でもないのかもしれないけど…記憶にどう対処していいかわからない。気絶してしまったのもそのせいだろう。少しの間、考えるのを放棄しちゃったんだ。
「僕たちは長い時を…この時を…待っていた?初代さまは幸せじゃなかったの?」
「ミネルヴァさまは真剣にミシェルさまを愛されたんだよ。だから、きっと幸せだったと思う」
「…アシュリーも初代さまの記憶があるの?普通はないと聞いたことあるけど」
「俺はちょっと違うかな」
「ねえ…アシュリーはミネルヴァさまの気持ちだけで僕を好きになったの?僕はアシュリーだから好きになったんだよ。僕はジュリアンだ…。ミシェルじゃない…アシュリーは?アシュリーは僕が…」
「違うよ、ありがとう。俺もジュリアンと同じ気持ちだ」
「でもさ、初めてアシュリーを見た時、直ぐに好きになった。もしかして…」
「そうかもしれない。俺もそうだから。でも、俺たちは俺たちだよ。クラレンスが義務かと聞いたのを覚えている?」
「そう言えば…」
「それじゃ、その時の俺の返事も覚えてる?」
「確か…違うと答えてた」
「そうだよ、俺も俺の意思だ。小さな頃からジュリアンを見てた。ジュリアンだけ見てた。流石に俺も小さい頃は力を上手くコントロールできなくってさ、女の子と思ってたんだ」
「そうなの?」
「だって、ほら…」
「まあ…あのカッコはね…」
「うん、ごめん」
「良いんだ…仕方ないよ。いつわかったの?」
「入学して直ぐにわかったんだけど、女の子じゃないからさ…確かめるために女子寮行ったり、女子の教室行ったりした。それで、やっぱりジュリアンが探してる子だとわかったんだ」
「僕を探しに女子寮行ってたの?」
「そうだよ?探しにって言うか確かめにだな。だって、ジュリアンはジュリアンだし、でも男だし、なんでかなって思ってた。今から思うと父上に聞いたら直ぐにわかったんだけど、まさか女装のこと知ってるとは思ってなかったしさ」
「なんだ……そうか…そうなんだ……へへっ」
思わず目の前のアシュリーにキスをする。
嬉しい。
驚きながらも触れるだけだった僕の唇を割り開き舌を差し込まれた。
「…あっ…」
「…可愛いい、ジュリ…どうしたの?」
「えっ?だって…アシュリーは女の子が好きだから女子寮行ってると思ってたから…嬉しいなって……へへっ」
「知ってたの?」
「うん…だって、いつも探してたから」
「そうか…気にしてた?」
「うん…だから話しかけちゃダメかなって…」
「なんでだよ?」
「えっ、僕の事無視してたでしょ?だから、嫌われてると思ってた…ふふっ…」
「無視なんて…してない…俺は…」
「好きだって言ってくれてからも…ちょっとは気にしてたんだよね…。でも、信じようって」
「そうなんだ。信じてくれる?俺は…」
「うん。今ならわかる。僕の事、気にかけてくれてた。魔法の授業の時も、アシュリーが側にいるとコントロールが楽なんだ。バーンズ先生に言われたの?」
「違うよ?俺が先生にお願いしたんだ。一年生の時、魔法の授業の後は疲れてただろ?だから、なんとかしてあげたいって思ったんだ。先生もジュリアンの事は気にしててさ、ミシェルってことも知ってたし…。俺が知ってるのに驚いてたけど、直ぐに許してくれたよ」
「先生も知ってたんだ…。三年生になった時、僕嬉しかった…ずっと一緒に過ごせて。だから一緒に寝ろって言われた時も…ほんとはすっごく嬉しかったんだ。ただ、アシュは女の子が好きだって思ってたから辛かったのは確かだけどね」
まだアシュリーに跨がっていて、頭を支えられて抱きしめられていた。そんなに時間は経ってないようだ。一瞬のとこだったのだろうか?
「あっ、気付いた?大丈夫?」
「ごめん…気絶しちゃったんだね」
大丈夫そうだなと呟くと僕の額にキスをした。
「思い出した?」
「僕はミシェルの生まれ変わりなんだね…」
「そうだよ」
「アシュリーはミネルヴァの生まれ変わり?」
「そうだ」
思い出したと言うよりも人の記憶がごっそり雪崩れ込んで来た感じで、整理がつかない。
それに、楽しいばかりの記憶じゃない。
辛く、切ない思いが心を締め付ける。馴染んでいない他人の…全くの他人でもないのかもしれないけど…記憶にどう対処していいかわからない。気絶してしまったのもそのせいだろう。少しの間、考えるのを放棄しちゃったんだ。
「僕たちは長い時を…この時を…待っていた?初代さまは幸せじゃなかったの?」
「ミネルヴァさまは真剣にミシェルさまを愛されたんだよ。だから、きっと幸せだったと思う」
「…アシュリーも初代さまの記憶があるの?普通はないと聞いたことあるけど」
「俺はちょっと違うかな」
「ねえ…アシュリーはミネルヴァさまの気持ちだけで僕を好きになったの?僕はアシュリーだから好きになったんだよ。僕はジュリアンだ…。ミシェルじゃない…アシュリーは?アシュリーは僕が…」
「違うよ、ありがとう。俺もジュリアンと同じ気持ちだ」
「でもさ、初めてアシュリーを見た時、直ぐに好きになった。もしかして…」
「そうかもしれない。俺もそうだから。でも、俺たちは俺たちだよ。クラレンスが義務かと聞いたのを覚えている?」
「そう言えば…」
「それじゃ、その時の俺の返事も覚えてる?」
「確か…違うと答えてた」
「そうだよ、俺も俺の意思だ。小さな頃からジュリアンを見てた。ジュリアンだけ見てた。流石に俺も小さい頃は力を上手くコントロールできなくってさ、女の子と思ってたんだ」
「そうなの?」
「だって、ほら…」
「まあ…あのカッコはね…」
「うん、ごめん」
「良いんだ…仕方ないよ。いつわかったの?」
「入学して直ぐにわかったんだけど、女の子じゃないからさ…確かめるために女子寮行ったり、女子の教室行ったりした。それで、やっぱりジュリアンが探してる子だとわかったんだ」
「僕を探しに女子寮行ってたの?」
「そうだよ?探しにって言うか確かめにだな。だって、ジュリアンはジュリアンだし、でも男だし、なんでかなって思ってた。今から思うと父上に聞いたら直ぐにわかったんだけど、まさか女装のこと知ってるとは思ってなかったしさ」
「なんだ……そうか…そうなんだ……へへっ」
思わず目の前のアシュリーにキスをする。
嬉しい。
驚きながらも触れるだけだった僕の唇を割り開き舌を差し込まれた。
「…あっ…」
「…可愛いい、ジュリ…どうしたの?」
「えっ?だって…アシュリーは女の子が好きだから女子寮行ってると思ってたから…嬉しいなって……へへっ」
「知ってたの?」
「うん…だって、いつも探してたから」
「そうか…気にしてた?」
「うん…だから話しかけちゃダメかなって…」
「なんでだよ?」
「えっ、僕の事無視してたでしょ?だから、嫌われてると思ってた…ふふっ…」
「無視なんて…してない…俺は…」
「好きだって言ってくれてからも…ちょっとは気にしてたんだよね…。でも、信じようって」
「そうなんだ。信じてくれる?俺は…」
「うん。今ならわかる。僕の事、気にかけてくれてた。魔法の授業の時も、アシュリーが側にいるとコントロールが楽なんだ。バーンズ先生に言われたの?」
「違うよ?俺が先生にお願いしたんだ。一年生の時、魔法の授業の後は疲れてただろ?だから、なんとかしてあげたいって思ったんだ。先生もジュリアンの事は気にしててさ、ミシェルってことも知ってたし…。俺が知ってるのに驚いてたけど、直ぐに許してくれたよ」
「先生も知ってたんだ…。三年生になった時、僕嬉しかった…ずっと一緒に過ごせて。だから一緒に寝ろって言われた時も…ほんとはすっごく嬉しかったんだ。ただ、アシュは女の子が好きだって思ってたから辛かったのは確かだけどね」
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