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第五章
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「何だよ、その謝り方は!」
ガイの頭をペチッと叩き、後頭部を押して頭を下げさせる。
「本当に申し訳ないことをしました。許してくれなんて言わないよ。ただ、これからは俺が責任持ってガイを叩き直すよ。だから、見てて欲しいんだ。
ガイはもともと社交的じゃない。王都の学園より、地元の方がガイにとっては合っていたかもしれない。俺はどこでもよかったけど、父上は俺をここに入れさせたかったんだ。ガイは当然のように、付いて来てくれた。嬉しかったよ。でも、俺に対する態度はますます固苦しくなる。
俺も悪かったんだ…意地になって…」
「ケント、もう良いよ。ただし、僕からガイにお願いがあるんだ」
「な、何?」
何を言われるかとケントが身構える。
ガイの僕に対する視線は謝りに来た人のものじゃないけど、神妙な態度は言われたことは聞いてやろうじゃないかと全てを受け入れる覚悟がみえた。
「ガイ、これからはケントに敬語て話しかけちゃダメだよ?」
「そ、それは…」
「…っ…ジュリアン、ありがとう」
僕の手を握りブンブンと上下に振る。剣ダコのある容姿とは違うゴツゴツの手で、涙を流さんばかりの喜び方に若干引いてしまう。そんなに嫌だったんだ…敬語で話されるの…。
「ケントさま!」
「ほら、さまはナシだよ。呼んでよ。普通にさ、友だち…そうか友だちなら、敬語なんておかしいだろ?」
「ケント…」
「ありがとう…これからは友だち…だな」
どこか、寂しそうなケントと、複雑な顔のガイはきっと同じことを思っている。
僕にはわかる。いつもケントと話しているとガイへの気持ちがどんなものかはわかるから。
「ねえ、ケントは友だちで良いの?」
「そうだな…、今よりは良いと思う。そう思わない?」
自分の気持ちを、僕が理解しているとわかっているからか、安心して笑顔が漏れる。
「ケントさま!」
ガイはそんなケントと僕の間に入り視線を遮った。
「ガイ」
今まで黙って僕たちの話を聞いていたアシュリーがガイに話しかける。
僕に睨みを利かせるガイは不意に話しかけられて、その顔のままアシュリーを見た。
「あのさ、なんでそんなに睨むの?」
僕を抱き寄せ、見せびらかすように頬にキスをするとその手を僕の髪に絡める。
「アシュ、恥かしい」
アシュリーの腕から離れようともがくけど、一層強く抱きしめられて諦めた。今更だよね…。
「ジュリアンは俺の!ここでキスでもなんでも、して見せようか?」
「ア、アシュ!」
『大丈夫、ジュリは可愛いから』
何が大丈夫かわからないよ…。ケントとガイは頬を赤らめてとんでもないことを言うアシュリーを唖然と見てた。
「じゃあ、ケントは?ジュリアンとケントの戯れ合いにいちいち反応してさ。猫が戯れてるみたいで可愛いだけなのに。あっ、可愛いのはジュリアンだけだから!ケントにはそんなふうには思わないよ」
ガイからの一瞬の殺気を感じて素早く反応する。
「これからケントはますますモテるよ。どうするの?指くわえて見てるの?応援する?それとも、片っ端から邪魔するの?今回のジュリアンにしたようなことをして、ケントがそれを喜ぶと思う?ガイはケントをどう思ってるの?」
いっぱい質問してガイを睨むけど、腕は僕に絡まったままだ。
「俺は…」
ガイの言葉を聞きながら、突然アシュリーが僕の顎を持つ。クイっと僕の顔を上げて唇を合わせた。舌がにゅるりと入り、絡まると声が漏れてしまう。
「ぁ、ふっ…んっ…」
恥ずかしさで顔が赤くなる。
「ケントの事好きなんだろう?自分のものにしてしまえよ。俺も散々ヘタレ、ヘタレって言われたけどお前、俺以上のヘタレだな」
「なっ…」
ガイは顔を真っ赤にして、怒ってるのか、照れてるのか複雑な顔をして俯いてしまった。
「俺は…、ケントさ…ケントの事が大切で、誰にも傷付けられないように守ってきた」
「その大切ってさ、好きってことだろ?」
「好き…?」
「自覚ないのか?それはれっきとした恋愛感情だと思うよ」
「ガイ、俺はお前のことが好きだよ」
ケントが叫ぶような声を出してガイに抱きついた。
「俺は……俺は、ケントの事が好きだ…」
ケントとガイが部屋を出てから、急いで朝食を食べ、急いで片付けをして八年生の授業が行われる場所へ急いだ。
ルシアン兄上とフランクさまに報告するのを忘れていたのだ。兄上の姿を見付けると走り寄り謝った。
「兄さま、心配掛けてごめんね」
「ジュリ…俺がどれだけ心配したかわかってる?ジュリが無事だって知っていたけど、顔を見て安心したかったんだ。俺の部屋まで来てくれると思ってたよ。それなのに…」
抱きしめられて身動きが取れない。ルシアン兄上は華奢な印象があるけれど案外強い。
「ルシアン、ジュリアンが困ってるよ?」
フランクさまも同じ教室にいらっしゃって心配顏で微笑まれた。
「もう少しこのままで」
「兄さま、ロドニー兄さまには言ってないよね?」
「当たり前さ!あいつに言うと、ややこしい。ジュリアンの事になると人が変わる」
「それはルシアンも同じだろう?」
「俺は冷静さ。でも、可愛い弟を誘拐されてみろ、落ち着いてなんかいられないだろ?普通!」
十四歳の弟に可愛いと言うことがおかしいとは思わない兄上だった。
ガイの頭をペチッと叩き、後頭部を押して頭を下げさせる。
「本当に申し訳ないことをしました。許してくれなんて言わないよ。ただ、これからは俺が責任持ってガイを叩き直すよ。だから、見てて欲しいんだ。
ガイはもともと社交的じゃない。王都の学園より、地元の方がガイにとっては合っていたかもしれない。俺はどこでもよかったけど、父上は俺をここに入れさせたかったんだ。ガイは当然のように、付いて来てくれた。嬉しかったよ。でも、俺に対する態度はますます固苦しくなる。
俺も悪かったんだ…意地になって…」
「ケント、もう良いよ。ただし、僕からガイにお願いがあるんだ」
「な、何?」
何を言われるかとケントが身構える。
ガイの僕に対する視線は謝りに来た人のものじゃないけど、神妙な態度は言われたことは聞いてやろうじゃないかと全てを受け入れる覚悟がみえた。
「ガイ、これからはケントに敬語て話しかけちゃダメだよ?」
「そ、それは…」
「…っ…ジュリアン、ありがとう」
僕の手を握りブンブンと上下に振る。剣ダコのある容姿とは違うゴツゴツの手で、涙を流さんばかりの喜び方に若干引いてしまう。そんなに嫌だったんだ…敬語で話されるの…。
「ケントさま!」
「ほら、さまはナシだよ。呼んでよ。普通にさ、友だち…そうか友だちなら、敬語なんておかしいだろ?」
「ケント…」
「ありがとう…これからは友だち…だな」
どこか、寂しそうなケントと、複雑な顔のガイはきっと同じことを思っている。
僕にはわかる。いつもケントと話しているとガイへの気持ちがどんなものかはわかるから。
「ねえ、ケントは友だちで良いの?」
「そうだな…、今よりは良いと思う。そう思わない?」
自分の気持ちを、僕が理解しているとわかっているからか、安心して笑顔が漏れる。
「ケントさま!」
ガイはそんなケントと僕の間に入り視線を遮った。
「ガイ」
今まで黙って僕たちの話を聞いていたアシュリーがガイに話しかける。
僕に睨みを利かせるガイは不意に話しかけられて、その顔のままアシュリーを見た。
「あのさ、なんでそんなに睨むの?」
僕を抱き寄せ、見せびらかすように頬にキスをするとその手を僕の髪に絡める。
「アシュ、恥かしい」
アシュリーの腕から離れようともがくけど、一層強く抱きしめられて諦めた。今更だよね…。
「ジュリアンは俺の!ここでキスでもなんでも、して見せようか?」
「ア、アシュ!」
『大丈夫、ジュリは可愛いから』
何が大丈夫かわからないよ…。ケントとガイは頬を赤らめてとんでもないことを言うアシュリーを唖然と見てた。
「じゃあ、ケントは?ジュリアンとケントの戯れ合いにいちいち反応してさ。猫が戯れてるみたいで可愛いだけなのに。あっ、可愛いのはジュリアンだけだから!ケントにはそんなふうには思わないよ」
ガイからの一瞬の殺気を感じて素早く反応する。
「これからケントはますますモテるよ。どうするの?指くわえて見てるの?応援する?それとも、片っ端から邪魔するの?今回のジュリアンにしたようなことをして、ケントがそれを喜ぶと思う?ガイはケントをどう思ってるの?」
いっぱい質問してガイを睨むけど、腕は僕に絡まったままだ。
「俺は…」
ガイの言葉を聞きながら、突然アシュリーが僕の顎を持つ。クイっと僕の顔を上げて唇を合わせた。舌がにゅるりと入り、絡まると声が漏れてしまう。
「ぁ、ふっ…んっ…」
恥ずかしさで顔が赤くなる。
「ケントの事好きなんだろう?自分のものにしてしまえよ。俺も散々ヘタレ、ヘタレって言われたけどお前、俺以上のヘタレだな」
「なっ…」
ガイは顔を真っ赤にして、怒ってるのか、照れてるのか複雑な顔をして俯いてしまった。
「俺は…、ケントさ…ケントの事が大切で、誰にも傷付けられないように守ってきた」
「その大切ってさ、好きってことだろ?」
「好き…?」
「自覚ないのか?それはれっきとした恋愛感情だと思うよ」
「ガイ、俺はお前のことが好きだよ」
ケントが叫ぶような声を出してガイに抱きついた。
「俺は……俺は、ケントの事が好きだ…」
ケントとガイが部屋を出てから、急いで朝食を食べ、急いで片付けをして八年生の授業が行われる場所へ急いだ。
ルシアン兄上とフランクさまに報告するのを忘れていたのだ。兄上の姿を見付けると走り寄り謝った。
「兄さま、心配掛けてごめんね」
「ジュリ…俺がどれだけ心配したかわかってる?ジュリが無事だって知っていたけど、顔を見て安心したかったんだ。俺の部屋まで来てくれると思ってたよ。それなのに…」
抱きしめられて身動きが取れない。ルシアン兄上は華奢な印象があるけれど案外強い。
「ルシアン、ジュリアンが困ってるよ?」
フランクさまも同じ教室にいらっしゃって心配顏で微笑まれた。
「もう少しこのままで」
「兄さま、ロドニー兄さまには言ってないよね?」
「当たり前さ!あいつに言うと、ややこしい。ジュリアンの事になると人が変わる」
「それはルシアンも同じだろう?」
「俺は冷静さ。でも、可愛い弟を誘拐されてみろ、落ち着いてなんかいられないだろ?普通!」
十四歳の弟に可愛いと言うことがおかしいとは思わない兄上だった。
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