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第七章
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緊張する旅にあっての楽しみは、何と言ってもその土地の特産品を味わうこと。名物は様々で、山間の地方では川魚を塩焼きで頂いたり、果物が美味しい地方では新鮮なものをたくさん食べた。果物が大好きな僕はアシュリーにそんなに食べたらお腹壊すよ?って心配されるほどだ。その土地ならではの食べ方も興味深い。
工芸品を見たりその作り方を学ぶのは王都にいてはできない経験で、初めてのことに目を輝かせて喜んだ。
そんな僕を優しい眼差しで見守るアシュリーは、この旅に出てからますます男らしくなって僕をドキドキさせる。ふとした時に目が合う。常に僕を気遣い近くにいてくれるから当たり前なんだけど、きっと見惚れてるからだ。ぼんやりと見ていると、笑顔でどうしたのって聞かれる。そして何でもないと言って下を向く。そんな僕たちを見てダレルが何してんだかと呆れてた。
テントで食べるアシュリーの料理も大好きだけど、食堂で食べるのはとても楽しい。地方に行けばジョナスの顔を見ても、アレース殿下に似てるとは言われなくなった。勿論顔は知ってると思うけれど、まさかこんな田舎に来るとは思わないのだろう。
僕たちの隣のテーブルは昼からお酒を呑み、ワイワイと騒がしい二人連れだ。父上もお酒を嗜まれるけれど、こんなに酔っ払ってしまうことはない。パーティーでもどこでもこんなに泥酔している人は見たことない。何かを早口で捲し立て、怒っているようだ。大柄な二人が騒いでいるのを周りの人も遠巻きに見てる。関わり合いになりたくない。お店の人も困り顔だ。しばらくすると、静かになった。視線を感じるけれど、何も言ってこないなら無視だ。アシュリーの陰に隠れ料理を楽しんだ。
「美味しいね、アシュリー」
「そうだな…これ、今度作ってみようか」
「作れるの?」
「ちょっと作り方聞いてくる。待っててね」
「えっ、あっ」
行かないでとは言えなかった。どれだけアシュリーに依存してるんだと自分でも呆れてしまう。
不安になる原因がわかっても、解決していないので僕のこの気弱な心が変わるわけもなく…。北の山が一歩ずつ近づくとその弱い部分は僕を苦しめる。
アシュリーが席を立って暫くした時だった。何気なく先ほど騒がしかったテーブルを見たら男と目が合った。何故かニヤけた笑いで、もう一人に目配せして席を立つ二人連れ。
「おいおい、何ジロジロ見てんだよ!?」
僕の肩を掴み乱暴に揺さぶる。
「痛っ!」
太い指でがっちりと掴まれた肩が痛い。確かに一瞬目は合った。でも、ジロジロなんて見ていない。直ぐに視線を逸らしたではないか?
「僕、そんなに見てませんから。言いがかりはやめてください」
「おい、聞いたか?僕だってよ!」
二人はガハガハと下卑た笑い声をあげる。隣に座っていたジョナスが僕の肩から男の手を払いのけて、捻りあげた。
「ここでは店に迷惑がかかります。外で話しましょうか?ダレル、イーノック、ジュリアンも。さあ、行くぞ」
ダレルが男たちの分も会計を済ませ、お店の人に心配しなくても大丈夫だと告げている。
ジョナスは小柄ではないけれど、不埒な二人連れからしたら細いだろう。その細い腕で、難なく太い腕を拘束するのでびっくりしたのかぽかんとしている。もう一人をイーノックが同じようにすると食堂に居た人たちにうるさくしてすみませんと誤っている。
騒ぎを聞いてアシュリーが厨房から戻ってきた。
「ジュリ!」
『アシュ…』
アシュリーの腕の中で安堵の息を吐き、ダレルとともに外に出た。心細さはあったけれど、こんな生身の男に絡まれようが怖くはない。肩を掴む手を吹き飛ばさなかったのはお店の迷惑になると思ったからだ。
「さあ、どういうつもりか言ってもらおうか?」
穏やかな口調ではあるけれど、ジョナスはかなり怒っている。その証拠に食堂の裏手にあった木に、身動きが取れないように足首から肩まで男を括り付けた。両腕を後ろで括るだけでは気が済まなかったのだろう。
工芸品を見たりその作り方を学ぶのは王都にいてはできない経験で、初めてのことに目を輝かせて喜んだ。
そんな僕を優しい眼差しで見守るアシュリーは、この旅に出てからますます男らしくなって僕をドキドキさせる。ふとした時に目が合う。常に僕を気遣い近くにいてくれるから当たり前なんだけど、きっと見惚れてるからだ。ぼんやりと見ていると、笑顔でどうしたのって聞かれる。そして何でもないと言って下を向く。そんな僕たちを見てダレルが何してんだかと呆れてた。
テントで食べるアシュリーの料理も大好きだけど、食堂で食べるのはとても楽しい。地方に行けばジョナスの顔を見ても、アレース殿下に似てるとは言われなくなった。勿論顔は知ってると思うけれど、まさかこんな田舎に来るとは思わないのだろう。
僕たちの隣のテーブルは昼からお酒を呑み、ワイワイと騒がしい二人連れだ。父上もお酒を嗜まれるけれど、こんなに酔っ払ってしまうことはない。パーティーでもどこでもこんなに泥酔している人は見たことない。何かを早口で捲し立て、怒っているようだ。大柄な二人が騒いでいるのを周りの人も遠巻きに見てる。関わり合いになりたくない。お店の人も困り顔だ。しばらくすると、静かになった。視線を感じるけれど、何も言ってこないなら無視だ。アシュリーの陰に隠れ料理を楽しんだ。
「美味しいね、アシュリー」
「そうだな…これ、今度作ってみようか」
「作れるの?」
「ちょっと作り方聞いてくる。待っててね」
「えっ、あっ」
行かないでとは言えなかった。どれだけアシュリーに依存してるんだと自分でも呆れてしまう。
不安になる原因がわかっても、解決していないので僕のこの気弱な心が変わるわけもなく…。北の山が一歩ずつ近づくとその弱い部分は僕を苦しめる。
アシュリーが席を立って暫くした時だった。何気なく先ほど騒がしかったテーブルを見たら男と目が合った。何故かニヤけた笑いで、もう一人に目配せして席を立つ二人連れ。
「おいおい、何ジロジロ見てんだよ!?」
僕の肩を掴み乱暴に揺さぶる。
「痛っ!」
太い指でがっちりと掴まれた肩が痛い。確かに一瞬目は合った。でも、ジロジロなんて見ていない。直ぐに視線を逸らしたではないか?
「僕、そんなに見てませんから。言いがかりはやめてください」
「おい、聞いたか?僕だってよ!」
二人はガハガハと下卑た笑い声をあげる。隣に座っていたジョナスが僕の肩から男の手を払いのけて、捻りあげた。
「ここでは店に迷惑がかかります。外で話しましょうか?ダレル、イーノック、ジュリアンも。さあ、行くぞ」
ダレルが男たちの分も会計を済ませ、お店の人に心配しなくても大丈夫だと告げている。
ジョナスは小柄ではないけれど、不埒な二人連れからしたら細いだろう。その細い腕で、難なく太い腕を拘束するのでびっくりしたのかぽかんとしている。もう一人をイーノックが同じようにすると食堂に居た人たちにうるさくしてすみませんと誤っている。
騒ぎを聞いてアシュリーが厨房から戻ってきた。
「ジュリ!」
『アシュ…』
アシュリーの腕の中で安堵の息を吐き、ダレルとともに外に出た。心細さはあったけれど、こんな生身の男に絡まれようが怖くはない。肩を掴む手を吹き飛ばさなかったのはお店の迷惑になると思ったからだ。
「さあ、どういうつもりか言ってもらおうか?」
穏やかな口調ではあるけれど、ジョナスはかなり怒っている。その証拠に食堂の裏手にあった木に、身動きが取れないように足首から肩まで男を括り付けた。両腕を後ろで括るだけでは気が済まなかったのだろう。
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