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第七章
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「どうして勇者の館に入らないの?」
「だって、ミシェルが入るなって…」
「もう入っても良いって言われたらどうする?」
「だって……そう言ってくれるミシェルはもういないんだよ?」
「…だから、良いって言われたら入る?」
「……入れない」
「どうして?」
「だって、だって…そこにミシェルはいない。誰もいない…。僕には入れない…」
「僕が一緒に入ってあげるよ。だから、ミシェルに会いに行こう?」
「ミシェルは死んでしまった…。みんな、みんな…ミネルヴァもマールクもメリクもアレースも…」
「大丈夫だよ。ねっ?」
長い首を僕に巻き付けるようにしていたアルシャントが少し離れ人型になった。そこには、僕たちより少し若い男の子が立っていた。服は僕と同じ。白銀のローブをフワリと肩に掛けて恥ずかしそうにする。
「アルシャント!そんな可愛い姿になれるのか?」
ダレルが驚いて、まるで友だちのように話しかける。
「似合ってますよ」
イーノックに言われて、くるりとその場で一回りしてみんなに見せた。
「そう言えば、父上の執務室の奥の過去の文献に、人型になれると書いてあったな。その時は学園に入る前の小さな子どもだって…。成長したんだな」
ジョナスが頭をひと撫でする。親しげに話しかけられたり、接することに慣れていないのかモジモジしている。
「その髪の色は白銀になるの?」
「うん」
漆黒の髪が白銀に変わった。
「ジュリと兄弟みたいだな」
アシュリーが僕の肩を抱きながら、僕とアルシャントを見比べる。
◇◇◇◇◇
昨夜歴代ミシェルの話を聞いているうちに、疑問に思ったことがあった。だって、こんな素敵なアイテムがあるなら寂しくなんかない。それなのに、この館にすら入れないのはどうしてなのだろう。
それは“死”に対する恐怖なのだろうか?母親が死にミシェルが死んだ。次々にやって来る勇者はみんな前回とは違う。それはアルシャントにとって受け入れられない事実。この館に入ることでその事実を認めてしまうようで怖かったのだろうか?
だから、また会えるって…死んでしまっているけれど、同じ時を生きているわけじゃないけれど、また会えるってわかったら、少しは寂しさを紛らわすことができるのではないだろうか?
今までは元気だったから気丈に振る舞っていた。勇者たちもアルシャントがそんなに寂しいとは思わなかった。今回の不調は寂しさからくる心の均衡が崩れたせいじゃないかな。だから、アシュリーもジョナスも弱っているとわからなかったんだ。
朝、アルシャントに会いに行く前に、それぞれの先代に会ったであろう三人にあるお願いをした。
「もう一度、あの羊皮紙の中に入って、アルシャントが会いに行っていいか聞いてきて欲しいんだ」
「聞きに行くのは構いませんが、アルシャントが入れるのですか?」
「それはミネルヴァに確認した」
「ミシェルにも」
「“怖気づいて、入れないんじゃないか?”と言いながら、会いたければいつでも会いに来いって言ってたよ」
アシュリーの言葉に頷いて、二階に上がりそれぞれの部屋に入った。
直ぐに一階で待つ僕たちのところに戻ってきた。こんなに早くては、貰えた返事はにべもないものだったのだろうか?不安な僕を見てダレルが謝る。
「ごめんな」
ああ、ダメだったんだ。ダレルの様子にマールクから良い返事が貰えなかったのだと思った。
「そんなに、時間経ったか?いや~なんか、あの羊皮紙の魔法のこととか聞いてたら、時間足りなくてさ…。凄いんだよ、みんな。今、学園でバーンズ先生と一緒にしてる研究のヒントがありそうで。また、夜に来るからって、泣く泣く出てきたんだ。だって、ジュリアンが待ってるって思ったらさ、待たせるの悪いし。許してくれよ」
「えっ?直ぐに戻ってきたよ?マールクはダメだって言わなかったの?」
「直ぐ?」
ダレルの後ろから降りてきたイーノックとジョナスも同じように驚いている。
「また聞くことが増えたよ。あの羊皮紙に入ってる時間は、どんなに長く居てもこちらでは一瞬なんだな」
三人は了承の返事をもらってきてくれた。
「だって、ミシェルが入るなって…」
「もう入っても良いって言われたらどうする?」
「だって……そう言ってくれるミシェルはもういないんだよ?」
「…だから、良いって言われたら入る?」
「……入れない」
「どうして?」
「だって、だって…そこにミシェルはいない。誰もいない…。僕には入れない…」
「僕が一緒に入ってあげるよ。だから、ミシェルに会いに行こう?」
「ミシェルは死んでしまった…。みんな、みんな…ミネルヴァもマールクもメリクもアレースも…」
「大丈夫だよ。ねっ?」
長い首を僕に巻き付けるようにしていたアルシャントが少し離れ人型になった。そこには、僕たちより少し若い男の子が立っていた。服は僕と同じ。白銀のローブをフワリと肩に掛けて恥ずかしそうにする。
「アルシャント!そんな可愛い姿になれるのか?」
ダレルが驚いて、まるで友だちのように話しかける。
「似合ってますよ」
イーノックに言われて、くるりとその場で一回りしてみんなに見せた。
「そう言えば、父上の執務室の奥の過去の文献に、人型になれると書いてあったな。その時は学園に入る前の小さな子どもだって…。成長したんだな」
ジョナスが頭をひと撫でする。親しげに話しかけられたり、接することに慣れていないのかモジモジしている。
「その髪の色は白銀になるの?」
「うん」
漆黒の髪が白銀に変わった。
「ジュリと兄弟みたいだな」
アシュリーが僕の肩を抱きながら、僕とアルシャントを見比べる。
◇◇◇◇◇
昨夜歴代ミシェルの話を聞いているうちに、疑問に思ったことがあった。だって、こんな素敵なアイテムがあるなら寂しくなんかない。それなのに、この館にすら入れないのはどうしてなのだろう。
それは“死”に対する恐怖なのだろうか?母親が死にミシェルが死んだ。次々にやって来る勇者はみんな前回とは違う。それはアルシャントにとって受け入れられない事実。この館に入ることでその事実を認めてしまうようで怖かったのだろうか?
だから、また会えるって…死んでしまっているけれど、同じ時を生きているわけじゃないけれど、また会えるってわかったら、少しは寂しさを紛らわすことができるのではないだろうか?
今までは元気だったから気丈に振る舞っていた。勇者たちもアルシャントがそんなに寂しいとは思わなかった。今回の不調は寂しさからくる心の均衡が崩れたせいじゃないかな。だから、アシュリーもジョナスも弱っているとわからなかったんだ。
朝、アルシャントに会いに行く前に、それぞれの先代に会ったであろう三人にあるお願いをした。
「もう一度、あの羊皮紙の中に入って、アルシャントが会いに行っていいか聞いてきて欲しいんだ」
「聞きに行くのは構いませんが、アルシャントが入れるのですか?」
「それはミネルヴァに確認した」
「ミシェルにも」
「“怖気づいて、入れないんじゃないか?”と言いながら、会いたければいつでも会いに来いって言ってたよ」
アシュリーの言葉に頷いて、二階に上がりそれぞれの部屋に入った。
直ぐに一階で待つ僕たちのところに戻ってきた。こんなに早くては、貰えた返事はにべもないものだったのだろうか?不安な僕を見てダレルが謝る。
「ごめんな」
ああ、ダメだったんだ。ダレルの様子にマールクから良い返事が貰えなかったのだと思った。
「そんなに、時間経ったか?いや~なんか、あの羊皮紙の魔法のこととか聞いてたら、時間足りなくてさ…。凄いんだよ、みんな。今、学園でバーンズ先生と一緒にしてる研究のヒントがありそうで。また、夜に来るからって、泣く泣く出てきたんだ。だって、ジュリアンが待ってるって思ったらさ、待たせるの悪いし。許してくれよ」
「えっ?直ぐに戻ってきたよ?マールクはダメだって言わなかったの?」
「直ぐ?」
ダレルの後ろから降りてきたイーノックとジョナスも同じように驚いている。
「また聞くことが増えたよ。あの羊皮紙に入ってる時間は、どんなに長く居てもこちらでは一瞬なんだな」
三人は了承の返事をもらってきてくれた。
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