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しおりを挟むかつてない弟子の暴挙に心は戸惑って焦燥し、本命は一人ながらも不特定多数と経験値は稼いでいるラグドルの肉杭に念入りに突かれ、容赦ない律動にシャルトリュスの体はあっちこっち軋んだ。
「だっ、だめっ……こらっ……今すぐやめなさい……っ」
ラグドルは密やかに歯軋りした。
ペルシアは許されたのに、自分はやっぱり駄目なのか、問題外なのか、そんな嫉妬が大いに逆巻いて貧相な腰に爪まで立てた。
「い、痛い……」
が、零れ落ちた悲鳴に琥珀の眼は揺らぐ。
骨身に染みついた彼への憧憬が荒ぶる本能を抑え込もうとする。
「お願いです……やめて、ラグドルくん……」
「……シャル……俺は……」
「き、君の……その、すごく大きいんです……」
「……」
「こんな大きいのに突かれ続けたら、私、だめになっちゃいます……ので」
逆効果とは正にこのことか。
一瞬にして本能は憧憬を逆に抑え込み、ラグドルは理性を手放した、結果、獣と化した。
「ああああっ、ちょ、っと、ラグドル君っ、君の上司に報告しますよっ!?」
「すりゃあいい、出来の悪い一番弟子は師匠を犯して狂ったみたいに種付けを繰り返したってな」
「えっっ!? あっ……待っ……ああっ……んっ……!」
起伏の浅い尻丘に引き締まった厚腰がぴたりと密着し、盛んに波打ち、シャルトリュスは堪らず嬌声を。
鼓膜まで興奮させたラグドルは咆哮する勢いで愛しの師匠を突き貫いた。
「いやっ……ぁっ……だ、め……っ……ああっ……!」
太く硬い強靭な肉杭に仮膣を攻め立てられてシャルトリュスの熱源は咽び泣くように濡れ出した。
透明な蜜が滴り、糸を引き、浅ましげに垂れる。
ふとそれを掬い上げた華奢な指。
「シャルトリュス、泣いてるの?」
いつの間に意識を取り戻していたペルシア。
自分の真上でラグドルに後ろから攻め立てられて途方に暮れているシャルトリュスの頬を撫でた。
「っ……ペルシア……っ……み、見ないで……見ちゃだめです……っ」
汗ばむ額やこめかみに髪を張りつかせ、悩ましげに顔を歪ませていたシャルトリュスの懇願をペルシアは平然と聞き流す。
「僕の大好きなひと。あなたをもっと見せて?」
嘆きっぱなしのシャルトリュスのしょっぱい唇にそれはそれは愛おしげに口づけした。
僕のなかでまだ眠っている、もうひとりの<僕>。
彼もあなたのことが大好きだよ、シャルトリュス?
澄みやかに晴れ渡る碧天にぼんやり浮かぶ白い月。
海を離れて空を悠々と泳ぐシーラカンスに鳥たちがとまって羽を休めたり鱗についた虫を食べたりしている。
「お仲間が泳いでるぞ、シャル」
荒城から然程離れていない、色とりどりの花が咲き渡る、虹色の蝶がふわふわ舞う広大な野原。
午睡に微睡むペルシアに膝枕してやっているシャルトリュス。
その傍らでごろ寝しているラグドル。
声をかけても反応しないシャルトリュスにラグドルは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「昨日のこと、まだ怒ってるのか」
癖になる手触りのプラチナブロンドを梳いてやりながら、シャルトリュスは、チラリと一番弟子に目をやった。
「あれはよろしくありませんよ」
「だから謝っただろ」
「私は君の相手を務める方の身を案じています。あんな粗暴な……」
「俺の相手、か」
「もっと壊れ物を扱うように優しくしないと」
「でも何回もいってただろ」
「やむなくですよ! 君が止めてくれないから!」
ついつい声を荒げればペルシアがもぞもぞと寝返りを打ち、シャルトリュスは慌てて自分の口を両手で塞ぎ、肩を竦めた。
頭の後ろで両腕を組んで仰向けになったラグドルは、やっぱり鈍感極まりない師匠に、疼く左目に、ため息を噛み殺した。
ラグドルの左目を潰したのはシャルトリュスだった。
見習い時代、ある街を襲った翼竜群討伐の際、治癒魔法の効かない残虐な毒が眼球に入り込んだ。
猛毒が全身へと回る前にシャルトリュスは一寸の迷いなく……。
『汝の左目よ、滅せよ』
左の目が最後に見た光景をラグドルは今でも鮮明に覚えている。
燃え盛る炎、紅蓮の波に呑まれた街、焼かれる者の叫び声。
それらを背にしても尚、唯一の弟子を安心させるように微笑んでいたシャルトリュスを。
恐ろしいくらい優しい先生。
俺の心臓は半永久にアンタのものだ。
「どんな夢を見ているのでしょうね」
上体を起こしたラグドルは長い黒髪を風にさざめかせて聖母じみた眼差しをペルシアに惜しみなく注いでいるシャルトリュスを見た。
そのなまっちろい頬に欲望のままにキスをした。
びっくりしたシャルトリュスはラグドルを見つめた。
ずっと眠りについていた、真(まこと)の恋が目覚めたのは、誰?
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