25 / 53
7-3
「――もしかして、これも配信してるのかな」
ベッドの上で佐江原にマウントをとられていた伊吹生は穴があくほどに漆黒の彼を見つめる。
「生配信だったら、とんでもないことになりそうだね」
ロックされていた部屋のドアを蹴破って入ってきたのは、キャップにマスクにレザーグローブ、上下の服もスニーカーも全て黒に統一した凌貴だった。
(……どうして凌貴がここに……?)
深い酩酊感に打ちのめされながらも、ノックも確認もせず部屋へいきなり突入してきた彼に伊吹生は動揺を禁じ得ない。
週末の大人びた私服姿とはまたガラリと雰囲気の違う、何やら物騒なコーディネートをした凌貴は、荒々しい行為とは裏腹に実に落ち着いた物腰で両腕を組んだ。
「ひょっとして四股中?」
「ッ……」
「ごめんね、さすがにわかるよ、冗談が過ぎたね」
黒ずくめの闖入者に呆気にとられている佐江原に、凌貴は、ゆっくりと目を向ける。
「承認欲求丸出しの意地汚い下品なオメガにまんまと捕まっちゃったんだよね」
「だ……誰……」
「え? 伊吹生君のことを調べていたくせに僕のことを知らないの?」
「……」
「まぁ、そうだね、ずぶの素人で脳のない下品オメガに仕える奴隷ベータの調査なんてたかが知れてるか」
周囲の部屋にもドアを蹴破る音は聞こえただろう。
面倒ごとに巻き込まれたくないのか、誰一人やってくる気配はなかった。
「いつまで伊吹生君に乗っかってるつもりかな」
ほとんどの肌を黒に隠し、唯一、外気に剥き出しになっている闇夜色の双眸が冷たげな光を帯びる。
「退け」
惜しみない敵意を振り翳してアルファは命令した。
「……いや……」
しかし胎底に狂気を孕んでいる聞き分けの悪いオメガは命令を拒む。
「せっかく手に入れたんだもん……ボクの王子さま……」
拒まれた凌貴の眼光がさらに研ぎ澄まされた。
まだ慈悲の残されていた敵意がれっきとした殺意に変わる。
伊吹生の上から頑なに退こうとしない佐江原を標的にし、殺気漲る手を伸ばそうとした。
「やめろ……ッ」
標的に届く前に空中でピタリと止まった凌貴の手。
「彼のことはもういいから……俺を助けてくれ、凌貴……」
伊吹生は凌貴に助けを求めた。
そうでもしないと……。
「……わかったよ、伊吹生君」
伊吹生に乞われた凌貴は夥しい殺気を緩める。
佐江原の細腕を掴むとベッドから強引に引き剥がし、躊躇なく床へ突き飛ばした。
そうして四つの拘束具をスムーズに外し、発熱しきっている伊吹生を丁重に軽々と抱き上げ、床の上に這い蹲った佐江原を板についた高慢ぶりで見下ろした。
「王子様は攫われてしまいました、おしまい」
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話
ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/
fujossy https://fujossy.jp/books/31185
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。