目には目をアルファにはアルファを

石月煤子

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8-11

「伊吹生のうそつき」
「……別に嘘なんか……」
「なんでもいうこと聞くって言ったのに。ワルイコにはお仕置きするよ、プレゼント君……?」

汗ばむ肌身を全て曝した伊吹生と視線を合わせたまま、凌貴は、伊吹生の両足を肩に引っ掛けて前屈みになる。
いわゆる屈曲位という体位だった。
二つ折りにしたしなやかな体に覆い被さると、体重をかけ、真上から深々とペニスを捻じ込んできた。

「くは……っ」

伊吹生の痛々しげな声が乾いた静寂を揺らす。
肉と肉が交わる粘ついた音も。
宙に浮いた爪先が虚空を忙しなく引っ掻いた。

「はぁっ、あっ、あっ、あっ……んっ、む……んんぅン……ッ」

キスされながら最奥目掛けて叩きつけられて伊吹生は凌貴の腕に爪を立てる。

後孔を押し拡げて成熟しきったペニスを出挿りさせ、締めつけを堪能するのと同時に緩みがちな唇までとことん貪って、凌貴は伊吹生の隅々まで味わう。

「ね、ほら……言って?」

伊吹生は涙ながらに凌貴を睨んだ。

「っ……好きだ……」

好意よりも怒りが込められた偽りでしかない告白に凌貴は満足そうに喉を鳴らす。

「もっと」

絶頂間近の張り詰めた亀頭を悶々とうねる仮膣最奥に押しつけ、狭まる内壁の狭間でペニスをしごかせ、虚しいはずの虚言を切に求めてきた。

「ぁっ……凌貴……好きだ……」
「僕も……好きだよ、伊吹生……大好き……全部、君の全部、僕の……ずっと僕のもの……」

一頻り律動した後に凌貴はピタリと静止する。

「…………はぁ…………」

獣めいた咆哮を零して一思いに。
唯一、無防備な一瞬を曝け出すことができるアルファの最愛なる仮膣に上質な子種を惜しげもなく注ぎ込んだ。




真夜中の街はぼやけた月の下で星座よりも生き生きと瞬いていた。

「ほら、どう? 見たがっていた夜景。気に入った?」
「……別にだな」
「でしょ」

裸身にナイトガウンを羽織った伊吹生は眼下に広がる夜景をぼんやりと見下ろす。

「でも今日は特別綺麗に見えるかな」

伊吹生を後ろからハグした外出着姿の凌貴は機嫌のよさそうな声色で戯言を吐く。

「伊吹生が一緒にいるからかな」
「……勝手にほざいてろ」
「伊吹生に告白されて嬉しかった」
「お前が無理矢理言わせたんだろうが」
「それでも。嘘でも。君のこと征服した感が溢れてきて堪らなかった」
「……ほざいてろ」

凌貴に頬擦りされて伊吹生はこれみよがしにため息をついた。

(全部嘘ならどれだけよかったか)

『……ほしい、凌貴……』

あれは俺の本音だった、凌貴――。
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