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「瑠唯ね、モルモットにさわったの」
「食肉用に家畜化されて今は実験動物としても使用されているテンジクネズミの一種だね」
「ふわふわでかわいかった」
「ちゃんと手は洗った?」
「にんじんあげて、だっこもした」
「あんな小さな生き物、僕だったら落っことして壊しそう。瑠唯は小さくてか弱い生き物にも親切で優しくて偉いね」
(噛み合ってるのか、この会話は)
ソファで瑠唯を真ん中にして伊吹生は兄弟のお茶に付き合っていた。
(遊園地で子どもへの接し方に慣れていたのは弟がいたからか)
「ウサギにもさわった」
今日の遠足について一つ一つ楽しそうに報告する瑠唯に凌貴は微笑ましそうに相槌を打つ。
年の離れた弟に対しては優しい兄らしい。
(その優しさをオメガやベータにも分けてやれたらいいのにな)
ただ甘いだけかと思いきや、深みのある香り高いホットココアを啜っていた伊吹生は仲睦まじい兄弟を隣にして肩を竦めた。
「伊吹生お兄ちゃんはウサギさわったことある?」
純真無垢な笑顔を向けられ、まだ幼い小学生で顔立ちは凌貴とそっくりではあるが、明確な性格の違いをしみじみと痛感する。
「伊吹生お兄ちゃんはウサギとかモルモットとか、か弱い生き物にはそれはもう優しいんだよ、偽善的なくらい」
凌貴に「お兄ちゃん」などと呼ばれ、その意味深な言葉に伊吹生は一切反応せずにホットココアを飲み続けた。
両手でマグカップを持ち、ちょっとずつホットココアを飲む瑠唯のサラサラな髪を梳いていた凌貴は伊吹生に向かって言う。
「僕は頑丈で壊れにくい生き物がいいな」
「それって、ゾウ? ライオン? オオカミ?」
「オオカミか。いいね。群れを率いるリーダーなんか特に強そう」
「みんなのリーダー。かっこいい」
「ね? かっこよくて気高くて美しくて」
「けだか……けだかくて」
「そう。弱いものより、そんな完璧なものを完膚なきまでに壊しちゃう方が楽しそうだよね」
「かん……かんぷ……かんぷなき……」
「おい。子どもにしていい話か、それ」
意味深にも程がある話に普段なら声を荒げているところだが、小さな瑠唯がいるため、伊吹生は冷静さを努めて注意した。
「伊吹生お兄ちゃんは真面目で厳しいね」
クッキーをサクサクかじる瑠唯を挟んで凌貴がひっそりと笑いかけてくる。
ホットココアを飲み干した伊吹生は、長居は無用だと立ち上がった。
「そろそろ帰る」
「えっ。伊吹生お兄ちゃん、もう帰っちゃうの……?」
「……」
上機嫌でお喋りしていたはずが、途端に大きな瞳を潤ませてしょ気た瑠唯に伊吹生は狼狽える。
「……もうちょっといようか」
「わぁ。やったぁ。はい、クッキー、どうぞ」
「ありがとう、瑠唯」
「どういたしましてー」
「食肉用に家畜化されて今は実験動物としても使用されているテンジクネズミの一種だね」
「ふわふわでかわいかった」
「ちゃんと手は洗った?」
「にんじんあげて、だっこもした」
「あんな小さな生き物、僕だったら落っことして壊しそう。瑠唯は小さくてか弱い生き物にも親切で優しくて偉いね」
(噛み合ってるのか、この会話は)
ソファで瑠唯を真ん中にして伊吹生は兄弟のお茶に付き合っていた。
(遊園地で子どもへの接し方に慣れていたのは弟がいたからか)
「ウサギにもさわった」
今日の遠足について一つ一つ楽しそうに報告する瑠唯に凌貴は微笑ましそうに相槌を打つ。
年の離れた弟に対しては優しい兄らしい。
(その優しさをオメガやベータにも分けてやれたらいいのにな)
ただ甘いだけかと思いきや、深みのある香り高いホットココアを啜っていた伊吹生は仲睦まじい兄弟を隣にして肩を竦めた。
「伊吹生お兄ちゃんはウサギさわったことある?」
純真無垢な笑顔を向けられ、まだ幼い小学生で顔立ちは凌貴とそっくりではあるが、明確な性格の違いをしみじみと痛感する。
「伊吹生お兄ちゃんはウサギとかモルモットとか、か弱い生き物にはそれはもう優しいんだよ、偽善的なくらい」
凌貴に「お兄ちゃん」などと呼ばれ、その意味深な言葉に伊吹生は一切反応せずにホットココアを飲み続けた。
両手でマグカップを持ち、ちょっとずつホットココアを飲む瑠唯のサラサラな髪を梳いていた凌貴は伊吹生に向かって言う。
「僕は頑丈で壊れにくい生き物がいいな」
「それって、ゾウ? ライオン? オオカミ?」
「オオカミか。いいね。群れを率いるリーダーなんか特に強そう」
「みんなのリーダー。かっこいい」
「ね? かっこよくて気高くて美しくて」
「けだか……けだかくて」
「そう。弱いものより、そんな完璧なものを完膚なきまでに壊しちゃう方が楽しそうだよね」
「かん……かんぷ……かんぷなき……」
「おい。子どもにしていい話か、それ」
意味深にも程がある話に普段なら声を荒げているところだが、小さな瑠唯がいるため、伊吹生は冷静さを努めて注意した。
「伊吹生お兄ちゃんは真面目で厳しいね」
クッキーをサクサクかじる瑠唯を挟んで凌貴がひっそりと笑いかけてくる。
ホットココアを飲み干した伊吹生は、長居は無用だと立ち上がった。
「そろそろ帰る」
「えっ。伊吹生お兄ちゃん、もう帰っちゃうの……?」
「……」
上機嫌でお喋りしていたはずが、途端に大きな瞳を潤ませてしょ気た瑠唯に伊吹生は狼狽える。
「……もうちょっといようか」
「わぁ。やったぁ。はい、クッキー、どうぞ」
「ありがとう、瑠唯」
「どういたしましてー」
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