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俺が付き合ってる人は学校のセンセイだ。
もちろんみんなにはナイショの関係です。
体育教師で、背ぇ高くて、スッキリ短い黒髪で、黒ジャーが恐ろしく似合ってて、めちゃくちゃオトナで、かっこよくて、カレーが大好きで、そんでそんで……!!
「目ぇ開けたまんま寝てるのか、佐藤」
そーそー、これこれ!!
学校以外では「コーイチ」って呼んでくれるけど、学校では名字で呼ばれる、この切り替えがね、もうね、たまんねーーー!!
「期末が終わったからって気を抜き過ぎだ」
「いだだッ!」
午後イチの体育の授業、準備運動中にセンセイを盗み見していたら、バレた当事者にグーで頭の天辺をゴリゴリされた。
「コーイチ、今ので頭に穴開いたんでない?」
「あのドリルげんこつ、記憶飛ぶんだよな」
近くにいたトモダチに心配される。
しょっちゅう「ドリルげんこつ」を喰らっている俺は、まーなかなか痛いんだけど、授業中のスキンシップに浮かれてピースサインを送った。
「……穴、開いたな」
「……脳にな、可哀想に」
「おいっ、どーいう意味だ!」
「佐藤、うるさいぞ」
「いだだだだッ!!」
友達に向かって喚いていたら、体育館のステージ前に戻ったはずの先生がまたやってきて二度目の「ドリルげんこつ」を容赦なく喰らった。
郊外の峠道途中にある展望公園のだだっ広い駐車場。
人気はなくて、かなりの間隔をおいて数台の車が停まってるだけ。
七時過ぎ、辺りは暗くて、外灯には虫がブンブンいっぱい……うん、見ないようにしよ。
「もうすぐ誕生日だな」
冷房がよーく効いた、センセイの愛車ワーゲンの中。
制服着たままの俺は、女子バスケの指導後でTシャツ姿の体育教師を凝視した。
「なんで知ってんの!?」
「前にコッチが聞いてもいないのにお前がしつこく言ってきたんだろうが」
「お……覚えててくれたんだぁ……」
「一学期の期末の後は俺の誕生日、何回も耳元で言われて嫌でも覚え込まされた」
放課後の秘密のデート。
ハンドルに両腕を乗っけて、顔だけ助手席に傾けて、センセイは質問してきた。
「コーイチ、お前、どうしたい」
ほ・れ・な・お・す。
いやー、まさか男の中の男みたいな体育教師のこと好きになっちゃうなんて、入学当時は怖くておっかなくて、むしろ苦手だったのに、無駄に振り撒かれる男前オーラにヤられて、去年の夏休み直前、つまり一学期終業式に玉砕パーン覚悟で俺から告って、なんと、その場でオッケーもらって、テヘヘ……ヘヘヘ……。
「ヘヘヘ……」
「おい、また夢の中か」
「焼肉食べたい!」
「焼肉か」
「そんで海行きたい!」
「泳ぐのかよ」
膝にスクバを乗せた俺は首を左右にブンブン振った。
「夕方の海! 定番で王道っぽいじゃん! The・デートっぽくない!?」
「……」
「あ! また鼻で笑った! また俺のことバカにしてる!」
フッ……と笑われて、オトナっぽい笑い方に心臓をバクバクさせつつ憤慨していたら頭を撫でられた。
「ガキくせぇ」
なんかひどいこと言われたけど、うん、よしとしましょー。
センセイのおっきな手で頭ナデナデされんの、好きなんだ。
「ドリルげんこつ」もクセになるけど、やっぱり断然コッチがいい。
「俺、まだ十六歳のガキだもん、おっさんのセンセイと比べたらヨユーでピチピチだもん」
「おっさん言うな、俺はまだ二十代だ」
「二十八じゃん、今年二十九で三十路寸前じゃん」
そう言ったら頭ナデナデが「ドリルげんこつ」に早変わりした。
「いだぃッ、一日に何回もされたらガチで穴開く!」
楽しみすぎて逆にツライ。
センセイと初めて過ごす誕生日。
付き合い始めてほぼほぼ一周年デート。
想像しただけで胸がパーン弾けそーだ。
「そろそろ帰るか」
俺ね、センセイのこと、大好き。
一年前より、もっと好きになってる。
これからだって、もっともっと好きになる自信ある。
ただ、だけど、ね。
一つだけ不満があって……さ。
もちろんみんなにはナイショの関係です。
体育教師で、背ぇ高くて、スッキリ短い黒髪で、黒ジャーが恐ろしく似合ってて、めちゃくちゃオトナで、かっこよくて、カレーが大好きで、そんでそんで……!!
「目ぇ開けたまんま寝てるのか、佐藤」
そーそー、これこれ!!
学校以外では「コーイチ」って呼んでくれるけど、学校では名字で呼ばれる、この切り替えがね、もうね、たまんねーーー!!
「期末が終わったからって気を抜き過ぎだ」
「いだだッ!」
午後イチの体育の授業、準備運動中にセンセイを盗み見していたら、バレた当事者にグーで頭の天辺をゴリゴリされた。
「コーイチ、今ので頭に穴開いたんでない?」
「あのドリルげんこつ、記憶飛ぶんだよな」
近くにいたトモダチに心配される。
しょっちゅう「ドリルげんこつ」を喰らっている俺は、まーなかなか痛いんだけど、授業中のスキンシップに浮かれてピースサインを送った。
「……穴、開いたな」
「……脳にな、可哀想に」
「おいっ、どーいう意味だ!」
「佐藤、うるさいぞ」
「いだだだだッ!!」
友達に向かって喚いていたら、体育館のステージ前に戻ったはずの先生がまたやってきて二度目の「ドリルげんこつ」を容赦なく喰らった。
郊外の峠道途中にある展望公園のだだっ広い駐車場。
人気はなくて、かなりの間隔をおいて数台の車が停まってるだけ。
七時過ぎ、辺りは暗くて、外灯には虫がブンブンいっぱい……うん、見ないようにしよ。
「もうすぐ誕生日だな」
冷房がよーく効いた、センセイの愛車ワーゲンの中。
制服着たままの俺は、女子バスケの指導後でTシャツ姿の体育教師を凝視した。
「なんで知ってんの!?」
「前にコッチが聞いてもいないのにお前がしつこく言ってきたんだろうが」
「お……覚えててくれたんだぁ……」
「一学期の期末の後は俺の誕生日、何回も耳元で言われて嫌でも覚え込まされた」
放課後の秘密のデート。
ハンドルに両腕を乗っけて、顔だけ助手席に傾けて、センセイは質問してきた。
「コーイチ、お前、どうしたい」
ほ・れ・な・お・す。
いやー、まさか男の中の男みたいな体育教師のこと好きになっちゃうなんて、入学当時は怖くておっかなくて、むしろ苦手だったのに、無駄に振り撒かれる男前オーラにヤられて、去年の夏休み直前、つまり一学期終業式に玉砕パーン覚悟で俺から告って、なんと、その場でオッケーもらって、テヘヘ……ヘヘヘ……。
「ヘヘヘ……」
「おい、また夢の中か」
「焼肉食べたい!」
「焼肉か」
「そんで海行きたい!」
「泳ぐのかよ」
膝にスクバを乗せた俺は首を左右にブンブン振った。
「夕方の海! 定番で王道っぽいじゃん! The・デートっぽくない!?」
「……」
「あ! また鼻で笑った! また俺のことバカにしてる!」
フッ……と笑われて、オトナっぽい笑い方に心臓をバクバクさせつつ憤慨していたら頭を撫でられた。
「ガキくせぇ」
なんかひどいこと言われたけど、うん、よしとしましょー。
センセイのおっきな手で頭ナデナデされんの、好きなんだ。
「ドリルげんこつ」もクセになるけど、やっぱり断然コッチがいい。
「俺、まだ十六歳のガキだもん、おっさんのセンセイと比べたらヨユーでピチピチだもん」
「おっさん言うな、俺はまだ二十代だ」
「二十八じゃん、今年二十九で三十路寸前じゃん」
そう言ったら頭ナデナデが「ドリルげんこつ」に早変わりした。
「いだぃッ、一日に何回もされたらガチで穴開く!」
楽しみすぎて逆にツライ。
センセイと初めて過ごす誕生日。
付き合い始めてほぼほぼ一周年デート。
想像しただけで胸がパーン弾けそーだ。
「そろそろ帰るか」
俺ね、センセイのこと、大好き。
一年前より、もっと好きになってる。
これからだって、もっともっと好きになる自信ある。
ただ、だけど、ね。
一つだけ不満があって……さ。
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