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前編
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三体のゾンビが神父のジェイドに襲い掛かろうとしていた、正にその瞬間。
終末の腐臭を孕んだ重たげな空気に三発の銃声が鳴り響いた。
「ッ……!!」
見事、それぞれ眉間を撃ち抜かれて崩れ落ちていくゾンビ。
しゃがみこんでいたジェイドは震える視界に彼を捉えた。
黒ずくめで重装備、ご丁寧にガスマスクまでつけ、片腕を真っ直ぐに伸ばして斜めに構えられたショットガン。
生温い風にミリタリージャケットの裾が大きく靡いていた。
長身で見るからに強そうな男。
他にも数人、仲間だろうか、似たような出で立ちの者が背後に立っている。
見るからに戦闘能力ナシ、細身のスレンダー体型で切れ長な双眸がストイックな色気を放つ二十七歳のジェイドの元へ、男はアーミーブーツで瓦礫を踏み鳴らしてやってきた。
「あ……あの……ありがとうございます……」
腰が抜けて立てないでいるジェイドが震える声で礼を言えば。
男はガスマスクを勢いよく外し、世にも鋭い不敵な青水晶の双眸でジェイドを見、ぞんざいに笑った。
「俺のタイプだ」
(えっ?)
それは予告もなしに突然始まった。
ゾンビ繁殖。
ゾンビ革命。
街は毎日ゾンビハザード、ゾンビパレード状態。
それでも人々は戦う。
生きるため。
愛する人を守るため。
人とゾンビの攻防戦、勝つのはどちらか……。
そんな世界の片隅でジェイドは悲鳴を上げた。
「やめてくださいッ……こんなの聞いてないッ、聞いてないです!」
ジープに乗せられてジェイドが連れてこられた先は、厳重なバリケードとトラップに守られた街外れに建つ別荘だった。
とある富豪が持ち主で、その富豪は家族とメイドもろともゾンビ化し、それらを一蹴して今は別の人間が使用していた。
「ガタガタ文句抜かすな、神父、男だろ、腹括れ」
今現在、ジェイドを肩に軽々と担いでゴージャスな階段を上っているヴィッカス、その仲間の根城となっていた。
ヴィッカスは元傭兵だった。
銃の扱い、戦闘においてはスペシャリストであり、どんな窮地に追い込まれようと生き抜くスキルを持っている彼は、こんな終末世界において何とも頼もしい存在に値するはずなのだが……。
「命を助けてやったんだ。体くらい寄越せ」
如何せん、性格に問題あり。
仲間内でも「外道」「鬼畜」と呼ばれ、自己中心的、俺様、仲間がゾンビ化したら即座に無慈悲に死刑執行、というような輩であった。
「ヴィッカス、神父様を手籠めにするつもり? あんた呪われるわよ?」
「リディソン、もうとっくに俺も含めてこの世界は呪われてる、これ以上の呪いがあるか?」
階下で呆れ返っている仲間のリディソン、その兄のマイラスはため息をつく。
こうなるともう誰もヴィッカスを止められない。
「嫌です……ッ嫌ですーーーー……ッ!!」
ただ空しく神父の悲鳴が別荘中に木霊するのみ……。
プールを囲むようにしてぐるりと広がる南国リゾート風に造られた高級感溢れる建物。
その奥の一室、毛足豊かな絨毯の上に脱ぎ捨てられた服と武器の数々。
「もう……ッ……やめ……!」
広い広いベッドの上で紡がれ続けるジェイドの悲鳴。
「も……ッ何回目……もぉ、嫌です……ッ」
これでもかと抉じ開けられた両足。
ベッドに押し倒されるなり全ての服を剥ぎ取られ、聖書を捲ってきた清らかな両手による抵抗などいとも簡単に捻じ伏せられ、ジェイドはヴィッカスに……犯された。
「まだ三回目だ、神父」
同じく全裸になっていたヴィッカスはうっすら笑う。
細身の神父を嬉々として凌駕する雄々しく引き締まった肉体。
ちらばる傷跡が男の戦歴を物語る。
「……いや……」
滑らかな肌を上気させてジェイドはヴィッカスを拒み続けた。
一休みなど一切ナシ、絶え間なく攻められ続けて声はすっかり嗄れている。
延々と萎えている神父のペニスが哀れみを誘う。
二回、ジェイドの肉奥で傲慢に精を放っていたヴィッカスは、戯れに。
「あっっ……?」
自身の唾液で濡らした利き手でジェイドのペニスを意外なくらいゆっくり丁寧に愛撫した。
「やッ……やめてください、私に……触らないで……ッ」
「遠慮するな、神父」
上体を倒したヴィッカスは双方の狭間で神父の性器をじっくりしごきながら、涙に満ちた切れ長な双眸を間近に覗き込んだ。
「そういえば、名前、まだ聞いてなかったな……俺はヴィッカスだ、神父、名前は?」
「ううっ……こんなこと……神の道に背いてしまって……ッ罪深い……」
神父の言葉にヴィッカスはさもおかしそうに笑う。
「もっと堕落させてやる」
ヴィッカスにキスされてジェイドは目を見開かせた。
「神父様、大丈夫?」
「ヴィッカスには俺達も手を焼いていてな、止められなくてすまなかった」
半日かかった悪夢の同衾がやっと終わり、ヴィッカスが部屋を去れば、リディソンとマイラスの兄妹が様子を見にジェイドの元へやってきた。
ヴィッカスのブカブカなシャツを着、後はすっぽんぽん、ブランケットに包まったジェイドは兄妹に力なく首を左右に振ってみせる。
「貴方がたに罪はありません……あの、私の服は……?」
「あ。これ? ゾンビの血がくっついてるけど着る?」
「……」
よく似た顔立ち、ヴィッカスには劣るが戦闘力には長けている兄妹がジェイドを気遣っているところへ風呂上がりのヴィッカスが戻ってきた。
「兄妹こぞって神父の見舞いか。それとも3Pのお誘いか?」
胸板、腹筋、戦う者として鍛え抜かれた即戦力に漲る上半身を晒していたパンイチのヴィッカスは。
「わ……!?」
ブランケットごとジェイドを抱き上げた。
「今度はお前を洗ってやる、神父」
「ちょっと待って……っぇぇぇ……な、何かお尻からでて……ッいやーーー……ッ!」
大股で部屋を去っていったヴィッカス、残された兄妹はよく似た端整な顔を見合わせる。
「「気の毒に、神父様」」
「あっあっ……そんな……掻き回さないでくださぃ……ッ」
長く筋張った指二本がジェイドの尻孔をぬぷぬぷと行き来する。
無駄に広いガラス張りのバスルーム、壁に縋りつく神父に密着したヴィッカスは全身濡れそぼった彼の耳元で囁きかけた。
「ちゃんと掻き出さないと……孕むだろ……?」
「ッ……私は男ですッ、そんなッ、冒涜ッ、あ……ん……!」
暴かれたばかりの前立腺をグリグリと小刻みに擦り上げられてジェイドは喉を反らした。
「神父も感じるんだな」
「か、感じてなんか……そんなこと……ッ」
「本当に? 感じてないか? ほら、こういうのは……どうだ?」
「~~~ッ……だめっっ……ソコぉ……変……っ」
(私が私でなくなるような)
ああ、神よ、お赦しください。
どうか私に道をお示しください……この男に惑わされない、真っ当な道を……。
「お祈りの時間か、神父」
跪いて頭を垂れ、両手を組んでいたジェイドはヴィッカスをシカトした。
黒ずくめの服、ナイフやらショットガンやら手榴弾やら、武器をたんまり装備していたヴィッカスはフンと笑う。
「それなら俺のために祈ってくれ」
「……?」
「これから食糧調達だ。あんたの元に戻ってこれるよう、頼む」
(……知りません……私のことメチャクチャにしておきながら、図々しい)
神父らしからぬキレ気味なジェイドはヴィッカスに祈りなど捧げなかった。
そして。
「遅いな」
「出発して二日経過。普通ならその日の内に帰ってくるのに」
帰ってこないヴィッカス。
サイズの合う服がないため、相変わらず上にシャツ一枚、ブランケットを頭からかぶって過ごしていたジェイドは昨日からずっと表情を曇らせていた。
(私が一言でも祈ってさえいれば……べ、別に特別な感情じゃない、人は誰もが隣人、心配するのは当然のこと)
「神父様、元気ないわ」
「ヴィッカスのことでご心労かけさせてすまない」
「べ……ッ別にあんな男、心配してなどッ……あ、違う……ええ、そうですね……心配……ですね……はぁ……」
様子がおかしい神父に顔を見合わせる兄と妹。
結局、その日もヴィッカスは別荘に帰らなかった。
広い広いベッドで横向きに丸まって目を閉じたジェイド。
眠れない。
ずっと心がざわめいて安らぐことができない。
(あの男がいなければ私はゾンビに殺されていた。もしかすると、それが神の示す道だった?)
あのとき、私が。
そうすれば、あの男は。
「……ヴィッカス……きっと……帰ってきますよね……」
「ただいま、神父」
心臓が総毛立つ思いでジェイドが目を開ければ。
黒ずくめで重装備の出で立ちをしたままのヴィッカスがいつの間にベッド脇に立って自分を覗き込んでいた。
「!!!???」
「ゾンビじゃないぞ」
「ななな、いいい、一体いつ……いつ帰ってきたんですか!?」
「たった今だ。驚かそうと思ってこっそり入ってきた」
「あなたバカですか!!!!」
食糧調達に行った街でゾンビの大行進に遭遇し、建物の片隅でやり過ごし、時間をロスしたヴィッカス。
「今、俺を名前で呼んだか?」
「ッ……呼んでませんッ……ちょ、何ですか、やめ……やめてくださ……っ」
ブーツを履いたままベッドにギシリと乗り上がるなり、赤面して嫌がるジェイドを掻き抱いてヴィッカスは言う。
「あんたとセックスすることばかり考えてた」
「な……何を……っ……あ……っ」
「絶対に生き抜いて、またあんたを喘がせてやるって。そればかり考えていた」
黒の革手袋を片方だけ外し、ジェイドの全身に掌を辿らせて、ヴィッカスは求めていた体温を心行くまで確かめる。
「こんなにも完璧な理想、生まれて初めてだ、神父」
「……、……です」
「うん?」
「私の名は……ジェイドです、ヴィッカス」
(どうしよう、熱い、体が、とても)
「あ……ぁ、だめ……っあっ……い、や……!」
ベッドから下ろされて、ベッドにしがみつかされて、後ろから。
限界まで膨れ育ったペニスで肉奥を蹂躙されてジェイドはぎゅっとシーツを握りしめた。
突かれて、擦り上げられ、抉られて、穿たれ、打ちつけられて。
逞しい脈動を肉伝いに感じて彼の息遣いを痛感した。
「あ……っあ……っ……ヴィッカス……ヴィッカス……っ」
ベッドに顔を伏せ、突かれる度に全身を揺らめかせて甘い声を迸らせるジェイドにヴィッカスは興奮が止まらない。
「あ……っ?」
一端、ジェイドから引き抜くと、ベッドに仰向けに押し倒し、またすぐに捻じ込んだ。
薄闇に艶めく唇に深くキスしながら。
「ン……ん……」
ガチャガチャと装備を小うるさく鳴らすヴィッカスに絡みついたジェイドの足。
両腕も広い肩にぎこちなく纏わりつかせて怖々と抱きしめる。
ジェイドの不慣れな抱擁にヴィッカスは滾った。
柔らかな肉奥に硬く膨れ育ったペニスを一頻り叩きつけた。
「んっ、っ、ン、ッ……ンンっ……ふ……ぁ」
何度も角度を変えては唇奥まで隈なく貪って。
息苦しそうに表情を歪め、睫毛を痙攣させているジェイドを薄目がちに見つめながら。
その最奥で絶頂の雫を惜し気もなく放った。
「あっっっ」
「は……ッ……」
「ッ……や……っ、奥に……すごい……っあ……まだ……ヴィッカスのが、いっぱい……」
執拗に腰を振って最後の一滴までしっかり注ぎ込む。
肌同士を限界まで密着させ、蠕動する内壁で肉杭をしぶとくしごかせ、搾り出すように。
劣情を煽り立てる禁欲的な神父の奥の奥まで自身の欠片で満たした。
「あ、ン、あ、あ……っ……あ……はぁ……」
微痙攣を繰り返す仮膣からヴィッカスのペニスが糸を引いて引き抜かれた。
くたりと脱力したジェイドの虚脱しかかっている扇情的な様にヴィッカスは見惚れ、そして床に跪くなり、虚空に遠慮がちに反っていたジェイドのペニスを、ぱくりと。
「ッッッ……ヴィッカス、なにやって、ッ」
抵抗の念も手放すまでに思いきり、容赦なく、ジェイドはヴィッカスに強く強く吸い上げられた。
「あーーーー……ッッッ」
いまだかつて経験のない口内抱擁。
生温い唇の内側に閉じ込められる。
慈悲のない獰猛な舌に余すことなく舐め嬲られる。
びっしょりと濡らされ、双球まで揉みしだかれ、勢い任せにむしゃぶりつかれた。
「ンんんンっ……だめ、です、こんなッ……こんなこと……だめ……だめなのに……ッ……あ、あ、あ、あ、あ……ッッ、ッッ……!!!!」
為す術もなく哀れなまでに仰け反って、ジェイドは、ヴィッカスの唇に堕落した。
「いや……もぉ、はいらな……ッあっ……あっ……っ……っ」
「俺とあんたのこども……きっと多方面に渡って敵ナシ、無敵だぞ、ジェイド……」
「ばっ……ばかっ……ヴィッカスのばか……っ」
堕落の味は鋭く不敵な蜜の味。
終末の腐臭を孕んだ重たげな空気に三発の銃声が鳴り響いた。
「ッ……!!」
見事、それぞれ眉間を撃ち抜かれて崩れ落ちていくゾンビ。
しゃがみこんでいたジェイドは震える視界に彼を捉えた。
黒ずくめで重装備、ご丁寧にガスマスクまでつけ、片腕を真っ直ぐに伸ばして斜めに構えられたショットガン。
生温い風にミリタリージャケットの裾が大きく靡いていた。
長身で見るからに強そうな男。
他にも数人、仲間だろうか、似たような出で立ちの者が背後に立っている。
見るからに戦闘能力ナシ、細身のスレンダー体型で切れ長な双眸がストイックな色気を放つ二十七歳のジェイドの元へ、男はアーミーブーツで瓦礫を踏み鳴らしてやってきた。
「あ……あの……ありがとうございます……」
腰が抜けて立てないでいるジェイドが震える声で礼を言えば。
男はガスマスクを勢いよく外し、世にも鋭い不敵な青水晶の双眸でジェイドを見、ぞんざいに笑った。
「俺のタイプだ」
(えっ?)
それは予告もなしに突然始まった。
ゾンビ繁殖。
ゾンビ革命。
街は毎日ゾンビハザード、ゾンビパレード状態。
それでも人々は戦う。
生きるため。
愛する人を守るため。
人とゾンビの攻防戦、勝つのはどちらか……。
そんな世界の片隅でジェイドは悲鳴を上げた。
「やめてくださいッ……こんなの聞いてないッ、聞いてないです!」
ジープに乗せられてジェイドが連れてこられた先は、厳重なバリケードとトラップに守られた街外れに建つ別荘だった。
とある富豪が持ち主で、その富豪は家族とメイドもろともゾンビ化し、それらを一蹴して今は別の人間が使用していた。
「ガタガタ文句抜かすな、神父、男だろ、腹括れ」
今現在、ジェイドを肩に軽々と担いでゴージャスな階段を上っているヴィッカス、その仲間の根城となっていた。
ヴィッカスは元傭兵だった。
銃の扱い、戦闘においてはスペシャリストであり、どんな窮地に追い込まれようと生き抜くスキルを持っている彼は、こんな終末世界において何とも頼もしい存在に値するはずなのだが……。
「命を助けてやったんだ。体くらい寄越せ」
如何せん、性格に問題あり。
仲間内でも「外道」「鬼畜」と呼ばれ、自己中心的、俺様、仲間がゾンビ化したら即座に無慈悲に死刑執行、というような輩であった。
「ヴィッカス、神父様を手籠めにするつもり? あんた呪われるわよ?」
「リディソン、もうとっくに俺も含めてこの世界は呪われてる、これ以上の呪いがあるか?」
階下で呆れ返っている仲間のリディソン、その兄のマイラスはため息をつく。
こうなるともう誰もヴィッカスを止められない。
「嫌です……ッ嫌ですーーーー……ッ!!」
ただ空しく神父の悲鳴が別荘中に木霊するのみ……。
プールを囲むようにしてぐるりと広がる南国リゾート風に造られた高級感溢れる建物。
その奥の一室、毛足豊かな絨毯の上に脱ぎ捨てられた服と武器の数々。
「もう……ッ……やめ……!」
広い広いベッドの上で紡がれ続けるジェイドの悲鳴。
「も……ッ何回目……もぉ、嫌です……ッ」
これでもかと抉じ開けられた両足。
ベッドに押し倒されるなり全ての服を剥ぎ取られ、聖書を捲ってきた清らかな両手による抵抗などいとも簡単に捻じ伏せられ、ジェイドはヴィッカスに……犯された。
「まだ三回目だ、神父」
同じく全裸になっていたヴィッカスはうっすら笑う。
細身の神父を嬉々として凌駕する雄々しく引き締まった肉体。
ちらばる傷跡が男の戦歴を物語る。
「……いや……」
滑らかな肌を上気させてジェイドはヴィッカスを拒み続けた。
一休みなど一切ナシ、絶え間なく攻められ続けて声はすっかり嗄れている。
延々と萎えている神父のペニスが哀れみを誘う。
二回、ジェイドの肉奥で傲慢に精を放っていたヴィッカスは、戯れに。
「あっっ……?」
自身の唾液で濡らした利き手でジェイドのペニスを意外なくらいゆっくり丁寧に愛撫した。
「やッ……やめてください、私に……触らないで……ッ」
「遠慮するな、神父」
上体を倒したヴィッカスは双方の狭間で神父の性器をじっくりしごきながら、涙に満ちた切れ長な双眸を間近に覗き込んだ。
「そういえば、名前、まだ聞いてなかったな……俺はヴィッカスだ、神父、名前は?」
「ううっ……こんなこと……神の道に背いてしまって……ッ罪深い……」
神父の言葉にヴィッカスはさもおかしそうに笑う。
「もっと堕落させてやる」
ヴィッカスにキスされてジェイドは目を見開かせた。
「神父様、大丈夫?」
「ヴィッカスには俺達も手を焼いていてな、止められなくてすまなかった」
半日かかった悪夢の同衾がやっと終わり、ヴィッカスが部屋を去れば、リディソンとマイラスの兄妹が様子を見にジェイドの元へやってきた。
ヴィッカスのブカブカなシャツを着、後はすっぽんぽん、ブランケットに包まったジェイドは兄妹に力なく首を左右に振ってみせる。
「貴方がたに罪はありません……あの、私の服は……?」
「あ。これ? ゾンビの血がくっついてるけど着る?」
「……」
よく似た顔立ち、ヴィッカスには劣るが戦闘力には長けている兄妹がジェイドを気遣っているところへ風呂上がりのヴィッカスが戻ってきた。
「兄妹こぞって神父の見舞いか。それとも3Pのお誘いか?」
胸板、腹筋、戦う者として鍛え抜かれた即戦力に漲る上半身を晒していたパンイチのヴィッカスは。
「わ……!?」
ブランケットごとジェイドを抱き上げた。
「今度はお前を洗ってやる、神父」
「ちょっと待って……っぇぇぇ……な、何かお尻からでて……ッいやーーー……ッ!」
大股で部屋を去っていったヴィッカス、残された兄妹はよく似た端整な顔を見合わせる。
「「気の毒に、神父様」」
「あっあっ……そんな……掻き回さないでくださぃ……ッ」
長く筋張った指二本がジェイドの尻孔をぬぷぬぷと行き来する。
無駄に広いガラス張りのバスルーム、壁に縋りつく神父に密着したヴィッカスは全身濡れそぼった彼の耳元で囁きかけた。
「ちゃんと掻き出さないと……孕むだろ……?」
「ッ……私は男ですッ、そんなッ、冒涜ッ、あ……ん……!」
暴かれたばかりの前立腺をグリグリと小刻みに擦り上げられてジェイドは喉を反らした。
「神父も感じるんだな」
「か、感じてなんか……そんなこと……ッ」
「本当に? 感じてないか? ほら、こういうのは……どうだ?」
「~~~ッ……だめっっ……ソコぉ……変……っ」
(私が私でなくなるような)
ああ、神よ、お赦しください。
どうか私に道をお示しください……この男に惑わされない、真っ当な道を……。
「お祈りの時間か、神父」
跪いて頭を垂れ、両手を組んでいたジェイドはヴィッカスをシカトした。
黒ずくめの服、ナイフやらショットガンやら手榴弾やら、武器をたんまり装備していたヴィッカスはフンと笑う。
「それなら俺のために祈ってくれ」
「……?」
「これから食糧調達だ。あんたの元に戻ってこれるよう、頼む」
(……知りません……私のことメチャクチャにしておきながら、図々しい)
神父らしからぬキレ気味なジェイドはヴィッカスに祈りなど捧げなかった。
そして。
「遅いな」
「出発して二日経過。普通ならその日の内に帰ってくるのに」
帰ってこないヴィッカス。
サイズの合う服がないため、相変わらず上にシャツ一枚、ブランケットを頭からかぶって過ごしていたジェイドは昨日からずっと表情を曇らせていた。
(私が一言でも祈ってさえいれば……べ、別に特別な感情じゃない、人は誰もが隣人、心配するのは当然のこと)
「神父様、元気ないわ」
「ヴィッカスのことでご心労かけさせてすまない」
「べ……ッ別にあんな男、心配してなどッ……あ、違う……ええ、そうですね……心配……ですね……はぁ……」
様子がおかしい神父に顔を見合わせる兄と妹。
結局、その日もヴィッカスは別荘に帰らなかった。
広い広いベッドで横向きに丸まって目を閉じたジェイド。
眠れない。
ずっと心がざわめいて安らぐことができない。
(あの男がいなければ私はゾンビに殺されていた。もしかすると、それが神の示す道だった?)
あのとき、私が。
そうすれば、あの男は。
「……ヴィッカス……きっと……帰ってきますよね……」
「ただいま、神父」
心臓が総毛立つ思いでジェイドが目を開ければ。
黒ずくめで重装備の出で立ちをしたままのヴィッカスがいつの間にベッド脇に立って自分を覗き込んでいた。
「!!!???」
「ゾンビじゃないぞ」
「ななな、いいい、一体いつ……いつ帰ってきたんですか!?」
「たった今だ。驚かそうと思ってこっそり入ってきた」
「あなたバカですか!!!!」
食糧調達に行った街でゾンビの大行進に遭遇し、建物の片隅でやり過ごし、時間をロスしたヴィッカス。
「今、俺を名前で呼んだか?」
「ッ……呼んでませんッ……ちょ、何ですか、やめ……やめてくださ……っ」
ブーツを履いたままベッドにギシリと乗り上がるなり、赤面して嫌がるジェイドを掻き抱いてヴィッカスは言う。
「あんたとセックスすることばかり考えてた」
「な……何を……っ……あ……っ」
「絶対に生き抜いて、またあんたを喘がせてやるって。そればかり考えていた」
黒の革手袋を片方だけ外し、ジェイドの全身に掌を辿らせて、ヴィッカスは求めていた体温を心行くまで確かめる。
「こんなにも完璧な理想、生まれて初めてだ、神父」
「……、……です」
「うん?」
「私の名は……ジェイドです、ヴィッカス」
(どうしよう、熱い、体が、とても)
「あ……ぁ、だめ……っあっ……い、や……!」
ベッドから下ろされて、ベッドにしがみつかされて、後ろから。
限界まで膨れ育ったペニスで肉奥を蹂躙されてジェイドはぎゅっとシーツを握りしめた。
突かれて、擦り上げられ、抉られて、穿たれ、打ちつけられて。
逞しい脈動を肉伝いに感じて彼の息遣いを痛感した。
「あ……っあ……っ……ヴィッカス……ヴィッカス……っ」
ベッドに顔を伏せ、突かれる度に全身を揺らめかせて甘い声を迸らせるジェイドにヴィッカスは興奮が止まらない。
「あ……っ?」
一端、ジェイドから引き抜くと、ベッドに仰向けに押し倒し、またすぐに捻じ込んだ。
薄闇に艶めく唇に深くキスしながら。
「ン……ん……」
ガチャガチャと装備を小うるさく鳴らすヴィッカスに絡みついたジェイドの足。
両腕も広い肩にぎこちなく纏わりつかせて怖々と抱きしめる。
ジェイドの不慣れな抱擁にヴィッカスは滾った。
柔らかな肉奥に硬く膨れ育ったペニスを一頻り叩きつけた。
「んっ、っ、ン、ッ……ンンっ……ふ……ぁ」
何度も角度を変えては唇奥まで隈なく貪って。
息苦しそうに表情を歪め、睫毛を痙攣させているジェイドを薄目がちに見つめながら。
その最奥で絶頂の雫を惜し気もなく放った。
「あっっっ」
「は……ッ……」
「ッ……や……っ、奥に……すごい……っあ……まだ……ヴィッカスのが、いっぱい……」
執拗に腰を振って最後の一滴までしっかり注ぎ込む。
肌同士を限界まで密着させ、蠕動する内壁で肉杭をしぶとくしごかせ、搾り出すように。
劣情を煽り立てる禁欲的な神父の奥の奥まで自身の欠片で満たした。
「あ、ン、あ、あ……っ……あ……はぁ……」
微痙攣を繰り返す仮膣からヴィッカスのペニスが糸を引いて引き抜かれた。
くたりと脱力したジェイドの虚脱しかかっている扇情的な様にヴィッカスは見惚れ、そして床に跪くなり、虚空に遠慮がちに反っていたジェイドのペニスを、ぱくりと。
「ッッッ……ヴィッカス、なにやって、ッ」
抵抗の念も手放すまでに思いきり、容赦なく、ジェイドはヴィッカスに強く強く吸い上げられた。
「あーーーー……ッッッ」
いまだかつて経験のない口内抱擁。
生温い唇の内側に閉じ込められる。
慈悲のない獰猛な舌に余すことなく舐め嬲られる。
びっしょりと濡らされ、双球まで揉みしだかれ、勢い任せにむしゃぶりつかれた。
「ンんんンっ……だめ、です、こんなッ……こんなこと……だめ……だめなのに……ッ……あ、あ、あ、あ、あ……ッッ、ッッ……!!!!」
為す術もなく哀れなまでに仰け反って、ジェイドは、ヴィッカスの唇に堕落した。
「いや……もぉ、はいらな……ッあっ……あっ……っ……っ」
「俺とあんたのこども……きっと多方面に渡って敵ナシ、無敵だぞ、ジェイド……」
「ばっ……ばかっ……ヴィッカスのばか……っ」
堕落の味は鋭く不敵な蜜の味。
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