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二章
19:眠るエリノアとミカの提案
しおりを挟む聖ミルフィア魔法学院の寮の部屋に、夕陽が窓から差し込み、薄暗い室内を暖かく染めていた。
ミカが失神したエリノアを腕に抱え、サリアと共に用具入れから戻ってきた。
ミカの足音が木の床に響き、彼女が下段のベッドにエリノアをそっと寝かせた。
エリノアの金髪が乱れ、頬が紅潮し、濡れたスカートが彼女の太ももに張り付いている。
サリアのサキュバスの力で意識を失ったまま、彼女の息は浅く静かだった。
「ここなら…しばらく隠せるね」
ミカの声が穏やかに響き、彼女がエリノアの額に触れて熱を確かめた。
サリアはベッドの端に立ち、彼女の手が震えていた。
エリノアの蕩けた表情と濡れた姿が、彼女の胸に罪悪感と不安を刻んでいる。
ミカがエリノアのスカートを軽く整え、彼女に視線を移した。
ミカの瞳に冷静な光が宿り、サリアに近づく。
彼女の手がサリアの肩に触れ、ミカが静かに提案した。
「サリア、エリノアを説得して…エリノアを抱いて、こちら側に引き込むべきだよ」
ミカの声が落ち着いて響き、彼女の言葉がサリアの耳に突き刺さった。
サリアの身体がビクンと跳ね、彼女の瞳がミカを見た。
ミカの提案が理解を超え、サリアの頭が混乱で一杯になる。
彼女の唇が震え、言葉を探して呟いた。
「え…? ミカ、何!? 抱くって…引き込むって、どういう…?」
サリアの声が掠れ、彼女の手がミカの腕を掴んだ。
ミカがサリアの手を握り返し、彼女の瞳をしっかりと見つめた。
ミカの声が優しく、だが力強く続いた。
「サリア、落ち着いて聞いて。エリノアにはもうバレちゃったんだよ。このままじゃ学院に報告されて、私たち二人とも追放されるかもしれない。」
「でも…もしエリノアを説得して、サリアが抱くことで味方にできれば、秘密を守ってもらえるかもしれない」
ミカの言葉がサリアの心に響き、彼女の提案が現実的な解決策として迫ってきた。
サリアの瞳が揺れ、彼女の額に汗が滲んだ。
エリノアを抱く――そんな選択肢を想像もしていなかったサリアにとって、ミカの言葉は重く、混乱を増すだけだった。
彼女の手がミカの手を強く握り、サリアの声が震えた。
「でも…ミカ、私、そんなこと…! エリノア、私のこと嫌いだろうし…!」
サリアの呻きが部屋に響き、彼女の心に罪悪感と恐怖が交錯した。
ミカがサリアの頬に手を置き、彼女を落ち着かせるように微笑んだ。
彼女の声がさらに深く、サリアの心に届くように続けた。
「サリア、私だって不安だよ。でも…もしエリノアとセックスできれば、サリアのサキュバスの欲望が少しでも軽くなるかもしれない。」
「そうすれば、私が倒れる心配も減る。私はサリアを支えるために倒れるならいいって思ってたけど…実際倒れたら、サリアにうつ手がなくなって、不安だったんだ」
ミカの言葉がサリアの胸を締め付け、彼女の瞳に涙が滲んだ。
サリアの頭がぐるぐると回り、ミカの説得が彼女の心に重く響いた。
エリノアにバレた以上、もはや隠し通すことはできない。
学院にいられなくなる恐怖と、ミカが倒れるかもしれない不安が、サリアを追い詰める。
だが、エリノアを抱くという選択肢に、サリアの心はまだ抵抗していた。
彼女の声が小さく漏れた。
「ミカ…私、怖いよ…。エリノアが許してくれるか分からないし…私、ミカだけでいいのに…」
サリアの呻きが部屋に響き、彼女の瞳がミカを見つめた。
ミカがサリアを抱き寄せ、彼女の背中を優しく撫でた。
ミカの声が温かく、彼女の決意がサリアに伝わる。
「分かってるよ、サリア。私だってサリアだけでいい。でも…今はこうするしかないんだ。」
「私がエリノアを説得するから、サリアは私を信じてて。絶対にサリアを守るから」
ミカの言葉がサリアの心に染み込み、彼女の温もりがサリアの不安を少しずつ和らげた。
サリアの身体がミカに凭れかかり、彼女の瞳から涙がこぼれ落ちた。
ミカの現実的な判断と、彼女を支える覚悟が、サリアの心を動かしていた。
ベッドに横たわるエリノアの姿が、二人の視界に映り、部屋に緊張感が漂う。
サリアの手がミカの手を握り返し、彼女は小さく頷いた。
ミカの説得が、サリアのサキュバスの秘密を守るための新たな道を開く瞬間だった――。
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