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バカクズ魔術師に媚薬で×××されました
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うはー、ドンピシャと心の中で呟いた。
かろうじて声に出して言わなかったのは、口いっぱいにパンを頬張っていたおかげだった。
「あら、良かったわね。彼ったら今ご機嫌みたいよ?」
そう言って頭上を旋回するのは使役している精霊だった。
正しく言えば、使役を精霊本人に許可されている。
本来の主は別でいるらしいが、気が付いた時にはもう自分の物だった。誰かから奪ったであろう貴金属類の中に召喚陣が刻まれた宝石付きのネックレスがあった。仮名でいいから名前を付けろと本人たちに口やかましく言われたので、精霊2匹のうち白いほうを『天使』と、黒い方には『悪魔』と名付けた。
特に彼らの能力を活用する気もなかったが、話し相手にはちょうどいいとネックレスは首から下げたままにしている。
天使はチラリとルイの視線の先を見て、フンと鼻を鳴らして消えた。何か気に入らないことでもあったのだろうか。主従関係はないに等しいので天使も悪魔も好きに現れたり消えたりする。あんまりやかましいと手で潰してしまうが、特にダメージはないようで平然とした様子でまた姿を見せたりする。
気まぐれな精霊のことを把握しようとしても疲れるだけだ。
もぐもぐとクルミパンを咀嚼して、飲み込む。見つめた先の男は視線に気付いたのか、こちらに近付いてきていた。
「やあ。きみがこの町の薬師さんかな?」
「いいや、薬師ではあるけれど、この町にはちょっと寄っただけ。行商人みたいなもんだ」
ルイの本業は物取りだったが、スリや強盗・空き巣で生計を立てていますなんて言ったら国から国へと渡り歩くことはできない。きちんとした職業証明ができないと関所で入国拒否されてしまう。表向きは薬師という肩書きだった。実際に調合も自分でやるので、あながち嘘ではない。副業みたいなものだ。
そうかと何故か嬉しそうに言って、男は隣に座る。ルイは気のないフリをして「今日は店じまいだよ。薬が欲しいなら明日また来なよ」と言う。実際、売れるほどの薬は今持ち合わせがないし、薬草もこの町の近くの森で手に入れようと思っていたから在庫がない。
それでも男はニコニコとしながらも移動する様子はなかった。
「俺はシモン。きみは?」
「ルイ。アンタ、騎士?」
「魔法使いだ。ああ、この国だと魔術師って言い方をするのかな」
「見えねーな。鍛え方が農夫には見えないし、指のタコは剣を使ってるヤツのそれだ」
「よく見てるね。嘘をついているわけじゃない。俺も各国を周ってるから、道中はそれなりに危ない目に遭うもんでね。ガタイが良いのは自分の身を守るために鍛えている。それだけの理由だよ」
魔法が使えるならお得意の魔法でなんとかすりゃいいじゃねーかとは思ったが、これ以上の詮索はやめた。見た目はドンピシャなのはそれはそうなのだが、なんだか関わり合いになってはいけない雰囲気を感じた。
なんだろう、この違和感は。
むずむずするような座りの悪さに眉をひそめる。
「用がないならおれもう行くよ。明日はやいんだ」
「東の洞窟に行くから?」
「……いや? 東の洞窟なんて今はじめて聞いたな」
なぜコイツが東の洞窟のことを知っているのかは気になるところだが、まさしくその通り、おれは明日東の洞窟と呼ばれる場所へと出向くつもりだった。ついてこられても嫌なので、とりあえず否定しておく。
ふむ、とシモンは頷いた。
早々に「じゃあな」と話を切り上げて手を振る。引き止められるかと思ったがあっさりと手を振り返された。
まったく、何だったんだアイツ。底知れない不気味さがある男だった。
□□□□□
翌朝、まだ朝露が落ち切っていない頃にルイは出発した。
別に誰かに見られて困ると言うこともないが、念のためだ。精霊たちも一応、ついてきているんだかいないんだか分からないような距離感で旋回していた。
「ねぇ、ルイ。帰らない?」と、天使はそればかり言う。「あなたの性欲が常軌を逸してるのはもう仕方ないと思ってるの、私。でも流石に今回はやめたほうがいいと思う。だってさすがに、東の洞窟よ? もし万が一のことがあったら本当に私どうしたらいいか分からないわ……」
「天使ちゃんは本当に本当にホンットーにうるさくてうるさくて敵わないな。なぁ、ルイ。正直なところを言ってやれよ。おまえもそう思うだろ? 常々そう思ってるんだろ?」と悪魔が軽い口調で同調を求めてくる。「ったく。過保護なんだよ、おまえは。そもそもルイがおれたちの言うことを素直に聞いたことがあったか? こっちが何か言えばプチッと潰されてきたくせに、なぁんにも学習してないんだな」
「だって心配じゃない。悪魔は心配じゃないって言うの? この薄情者」
「いいか? 鼻垂らしたクソガキでも良い年した大人でも万年発情バカでも、自分がやったことの責任ってやつは自分自身で取るしかないんだよ。だからこれからこのバカが何をしてどんなことになろうとも、このバカは自分のやったバカな行為の尻拭いを自分自身で取らなきゃいけないの。アンダスタン?」
「だからこそ心配してるのに! 悪魔ってバカね! 単細胞!」
「バカはおまえだバカ」
大半を聞き流していたが、会話の内容の大部分は悪口だった。何でこいつらおれの悪口言い合ってるんだろうと溜息を吐きたくなる。だからついてこなくていいって言ったのに。
天使は悪魔が言うところの過保護を発動して絶対についてくると譲らないし、天使が行くならおれもーと悪魔も欠伸をしながら追従していた。
なんだか行くまでの道程で疲れてしまった。萎えそうだ。
朝から何度かの溜息をついたところで、ふと視線を空へと向けた。まだうすぼんやりとして体にまとわりつくような霧も出ている。しかし目には見えないが何かの気配を感じたのだった。
「ああ!」
「……何だよ」
天使が突然大声を出すので振り返れば、セルフプチをしたところだった。セルフプチとはつまり、勝手に姿を消すことだ。それだけならいつものことなので気にしないが、消える直前に叫んだのは気になる。
「何であいつあんな大声を……あれ?」
悪魔もセルフプチをしてしまったようだった。シンと静まり返った周囲を見回して、何となく嫌な感じがする。先程まであれだけ静かになってほしいとは願ったが、こんな雰囲気にしてくれなんて頼んでいない。なんだよ。何があるって言うんだ。
ぞわぞわと背筋を這いあがる怖気を断ち切るように早足で目的地を目指す。たしか事前に調査した限りではもうすぐ着くはずなのだ。目的地――つまりは東の洞窟に。
歩を進めて数分、ようやく東の洞窟へと辿り着いたときにはすっかり息が上がっていた。はぁ、はぁと息を吐きながら、手頃なところに荷物を置く。もう少しおどろおどろしい雰囲気のところを想像していたが、意外にもランタンが点在していた。その炎の色が紫なので、おそらくは魔法で、(この国では魔術と言うらしいが)半永久的に点灯するようにしてあるのだろう。
しかしこれには助かった。手元が見えないと些か不便だ。
ルイは荷物の中から羊皮紙を引っ張り出した。書いてある文字を見つめ、洞窟の入り口に向かって呪文を唱える。
"閉じろ!"
たった一言だったが、古代語だったため発音が難しかった。成功していれば触ったときに蜘蛛の巣のような膜の感触があると聞いていたので、腕を伸ばしてみればなるほど、目に見えないそれに触れた。
よしよし。成功。
ようやくだ。小躍りしたい気分になりながら、洞窟の奥へと進んだ。
壁面にはどこから染み出したか水が流れている。ランタンの明かりを頼りに進んでいくと、桃色の発光が徐々に見えてきた。
「はぁぁぁぁぁ……コレだよ、コレェ……」
ようやく最奥まで辿り着き、目の前のモノに対して拍手喝采した。本当に手を叩いて飛び上がった。それくらい嬉しかったのだ。
ルイの探し求めていたもの、それは媚薬だった。媚薬といっても、媚薬そのものではない。媚薬の原料となる植物の生息地がここだった。
淡く光を放ち、風もないのにゆらゆらと揺れるキノコをうっとりと見つめた。一本で大体50回分くらい。それくらいの媚薬が生成できる。なんて素晴らしい楽園だ。
一応、薬師という肩書きも嘘でない。簡単な薬なら作れる。むしろ媚薬作りのためにスキルを磨いたと言ってもいい。
以前どこかで聞いたことがある。どこかのお貴族様の令嬢をヤク漬けにしてしまったバカの話。どこで聞いたかは思い出せないが、それを思い出して閃いたのだ。
媚薬で似たような状況になってみよう、と。
特別相手がいるわけでもないので、セルフで気持ち良くなる手段の幅を広げようと思ったわけだ。レッツ、ヤク漬けオナニー。
ヒュー、オレって冴えてるぅ~。このお天才ちゃんめ。
自画自賛が止まらない。ここ数年で最も自分を褒めたい。サイッコーだぜ、おれ様ちゃん。
ご機嫌で、原料たるキノコを切り取っていった。用意してきていたカゴにドンドンと詰め込む。もちろんこれで一儲けしようと考えてはいるが、それにしても効能を身をもって知っておくほうが先だ。
あらかた採り終えて顔を上げる。そろそろ太陽も高く上がったころだろうかと洞窟の入り口あたりを見た。
爽やかな朝日が差し込んでいる。
うん、絶好のオナニー日和だ。
このキノコは非常に優秀なのだ。あらかじめ図鑑で調べておいたので予習はバッチリ。傘の部分を捻って外すと、中央が空洞になっていた。
おあつらえ向きの天然オナホール。筒の中はたっぷりとぬるついた液体が詰まっていて、そこにちんこを入れればとろけるような心地になるであろうことは容易に想像がついた。
心臓が期待で高鳴っている。ばくばく、どくどく。急いでズボンを脱ぎ捨て、ゆっくりと性器を入れると、底知れない快感に思わず天を仰いだ。
気持ち良い。抱かれる側に回ることが多いけど、まだ男としての機能は失っていない。腰が止まらなかった。ずちゅずちゅと水音が洞窟内に響く。目を閉じると耳まで犯されているような気分になってきた。
ぼたぼたとキノコから溢れ出たローションもどきが地面に落ちる。壁面に体を預け、突き上げるように腰を動かす。
「あっ、……んぁっ、いく、いくっ!」
喘ぎ声が反響してうるさい。奥で異常者の登場に驚いて身を潜めていたコウモリたちが一斉に飛び立った。あわれな野生動物だ。奴らに何の罪もない。悪いのは全部性欲だ。欲情を掻き立てるキノコがここに生えているのが悪い。
恨むならオナホールキノコだけにしとけよ。おれは恨むな。
出入り口に殺到するコウモリたちを遠い目をして見送った。
罪なキノコだ、まったく。
さーてと。無粋な観客もいなくなったことだし、次はディルドキノコにしてあーそぼ。
気を取り直して、先程のオナホールとして使ったキノコより小振りなものを探す。四つん這いになって血眼でディルドにするキノコを探す姿は親には決して見せられない。いや、おれの親もういないんだけどさ。
鼻歌まじりに探していると、ちょうど良い大きさのディルドもといキノコを見つけた。ちょっと形が歪で反り返っている。これだよ、ここいうのがいいんだよ。
カリ首の部分が太過ぎず、大き過ぎず。スルンと入る大きさなのが気に入った。
先程のオナホールキノコからローションを垂らす。てろてろと濡れたそれを見て口の中に唾が湧いた。
そのへんの粗チンとは比べ物にならない。ザ・ビッグマグナム。おれの今日のお供。
期待を胸に、地べたに俯せになった。岩が剥き出しで肘とか膝とか痛い。でも我慢だ。千里の道も一歩から。アナニーの道もちんぽからだ。
久々に後ろに突っ込むせいで頭が沸騰しそうだった。
先端で入り口をつつくと、期待するように腹の中がうごめく。この感覚がたまんねぇ。カリ首を難なく呑み込み、竿の部分までぐぷぐぷと遠慮なく突っ込んだ。
「きもちいー……キノコだぁいすきぃ……」
キノコで中を掻き回す。根元まで突っ込んで、ずるりと引き抜く。いつかどこかで誰かとヤったときのことを思い出した。その時に見つけた一番気持ち良いところ。腹の内側の壁を擦ると呆気なく達した。
面白いくらいに精液が飛んだ。初めてのセックスのときと同じくらい興奮した。毎回「初めてだよ」とカマトトぶるせいで、どれが本当の初めてか自分でも覚えてないけど。
「やー、極楽極楽。ええもん見つけましたわ」
あとは全部薬にしてヤク漬けオナニー用兼商品にするつもりだったが気が変わった。二個、三個は自分用にしよ。
るんるんでケツとちんこを綺麗にして収穫を再開した。
その時だった。
「えっ」
入口付近に人影があった。それだけならまだいい。魔術で封をしたので問題ない。だがしかし、人影はそのまま何の障害もないかのように洞窟に入ってきたのだ。
「えっ、は? え?」
戸惑いながら岩陰に身を隠す。こわいこわいこわい。何で魔術による障壁を突破できたんだ? 呪文が間違えていた? 何か手順を飛ばした? そもそもアレ誰?
頭の中でぐるぐると考えながら、どこかに別の出口がないかと探してみても一方通行で出るにも入るにも一つしかないことを何度か来ているので熟知している。もうにっちもさっちもいかない状況なのは明白だった。
腹を決め、ええい、ままよ!と侵入者の前へと躍り出る。相手は驚いたように硬直し、そしてすぐに握り込まれた右手が突き出される。そのぎこちないが無駄のない動きに戸惑いながら、一旦避けてから、侵入者の腹を蹴り飛ばした。
そのまま倒れ込んでびくともしない。
「えっ、大丈夫? 痛かった? おーい…………死んでないよね?」
動かない相手に恐る恐る近づいて爪先で相手を少し蹴ってみる。それでもピクリともしなかった。えー、どうしよう。
「――ルイ?」
しばらく思考停止していると急に声をかけられて飛び上がってしまう。うひゃあと情けない声をあげた。
顔を上げると、そこには長身の男が立っていた。
特徴的な肉体と下がり眉。おれが大好きな要素が詰まっているけど、どことなく胡散臭い男。
昨日、飯屋で話しかけてきた奴だ。名前は確かシモン。
何でここにいる。
気分は犯罪者だった。でもこれおれ悪くないよね。人の結界に勝手に入ってきた奴が悪いんだもん。不法侵入っつーか、正当防衛と言ってもいい。ちょっと足が当たったくらいで勝手に倒れるほうに問題があるといいますか。
でも分かってるよ。おれもバカじゃない。問題はシモンからこの状況がどう見えたかってことだ。うーん、蹴り飛ばしたように見えちゃったカナ。そんなつもり一ミリもなかったんだけどね。
ぎこちなく笑いかけると、シモンは人好きのする笑みを口元に浮かべた。
「知り合い? こんなところで二人きりなんて随分と親しいんだね」
「は? いやいやいやいや、ちゃんと見て。好きで一緒にいると思う? おれは被害者。多分こいつストーカーだわ。うん、絶対そう。こんな辺鄙なところにある洞窟に好んでくるやつなんて、みーんなカスな変態って決まってるから。いやー、こわかったな。シモンが来てくれなかったらどうなってたことか。このいかにもヘンタイ御用達の形したちんこ……じゃなくてキノコも真っ青なマグナムでブチ犯されてたかも」
「俺は何もしてないけどね。せっかくだからルイがモブに犯されてるところも見たかったのにな。のしてしまったものは仕方ない。今回は諦めよう」
言って良いこと悪いことがある。ビックリした。こいつ本音と建前が逆になるタイプのカスだ。
好青年面してるのに中身が残念だと勃つもんも勃たねー。
さっきまで元気だった股間が小さく縮こまっている。こんなにちんちん萎え萎えになったの、おれハジメテ。
シモンから距離を取りつつ、その場を脱出しようとした。
最悪なことに洞窟の入り口に仁王立ちしている。ここ以外に出入りできるところはないから、この倫理観ブッ壊れ男を倒さないとおうちに帰れない。
「あのさぁ。何でシモンはここに来たの? もしかして同業? キノコを探しに来たなら少し分けてあげるから、そこどいてくれると嬉しいんだけど」
「同業なわけないだろ。ルイを追いかけてきたんだよ。媚薬好きだもんね。何回もこの辺りで姿を見かけるって聞いたからさ。何日か張ってれば絶対に来ると思ったよ」
確定でストーカーだった。何なんだよ。今日は犯罪者日和か?
ストーカー二名、傷害罪ついでに窃盗罪の一名。
三人の犯罪者が揃い踏みだ。最悪の三つ巴だった。
ちなみにここのキノコ、もちろんおれの所有物じゃない。自然に生えてるものだからみんなのものと思いきや、土地自体はどっかの貴族が王様から下賜されたらしい。お貴族様の所有地にあるキノコを勝手に採取して売ろうとしてるわけだから、それなりに重罪。捕まったら腕の一本や二本は跳ねられちゃうかも。
こっそりやる分には完全犯罪だったのに、あいにく今回は目撃者が二人もいる。まいったなぁ、困ったなぁ。
ちらりと目線を向けるとシモンは「嬉しい?」と訳わかんない質問をしてきた。
「嬉しいわけねーだろ。困ってんのが見て分かんない?」
「何で困ってるの?」
「もしシモンがおれのしたことをお貴族様に告げ口したら人生終わっちゃうでしょーが。おれやだよぉ。もう捕まんのヤダ。監獄送りになんてされたら囚人のおっさんたちに犯されて毎日イキ狂っちゃう」
「それはいいね。良かったじゃん。ルイがいかにも好きそうなシチュエーションだ」
おっしゃるとおり。でも嫌いじゃないけど飽きるんだよね。
「万が一、タイミングが悪くて粗チンしかいなかったら地獄じゃん。巨根を探すのも大変なんだよ。自由に世界に羽ばたいて巨根探ししたいよぉ。ついでに媚薬で気が狂うくらいセックスしたい」
考えただけで後ろの穴が疼く。素直な身体だ。素直すぎるくらいだ。てか本当に熱い。……え?
恐る恐るお尻に触れる。柔らかさは相変わらずパーフェクトだ。さすがおれの尻。ある日森の中巨根さんに出会ったときのことを想定して常にベストコンディションを維持してる。
問題は中のほうだった。
「なんか、おしりがめちゃくちゃ熱いんですけど……」
ムズムズする。痒みまで出てきた。
堪らずバックルに手をかけてベルトを引き抜く。シモンがヒューと囃し立てるように口笛を吹くけど構っていられない。
指を入れると、痒みが引いていった。しかし未だに熱い。先程のローションが中に残っていたせいで、とろとろと指にまとわりついてきた。
一人だったら、このまま一発抜いてしまいたいが、今はシモンがいる。クッソ、邪魔だな。早くどっか行かねーかな。
そんな葛藤を察したのだろう。一歩近づいてくるから後退する。脱ぎ捨てたズボンに足を取られて尻餅をついた。
あ。やばいかも。
反射的にそう思った。獲物を狙う目で見下げられて貞操の危機を感じないほど鈍感じゃない。何がシモンを駆り立てたのか分からないけど、多分ちんこ見て興奮しちゃったんだろうな。おれもさっきキノコ見て大興奮だったし。男ってみんなそう。みんなバカ。
四つん這いで逃げていたところを捕まえられた。足首を掴まれてジタバタと暴れる。
「やだー! おれをグッチョングッチョンのメッタメタのトロットロに犯してメスイキさせる気なんでしょ!? エロ本みたいに! 河原に捨てられた人妻陵辱もののエロ本みたいに、それはもうベチョベチョに!」
「願望が溢れ出てるよ」
それはそう。だってシモンの外見だけは好みなんだもん。それに後ろが本当に熱い。斜め読みしていた植物図鑑の記述を必死で思い出そうとする。
ローションには媚薬効果があるんだっけ。まずい。さっき前も後ろも満遍なく塗りたくった。
前は拭き取れたが、後ろはどうにもならない。媚薬効果の打ち消し方なんて、古今東西共通だ。精子をぶっかけて中和させるしかない。
着実におれの服を一枚一枚剥ぎ取っていく男を見上げた。もはや抵抗の意思はない。ていうか馬乗りになっているので動けない。
せめて普通サイズのちんぽでありますように。できれば巨根でありますように。
そんなおれの願いが神に届いたのだろう。ぶるん、と大きなモノがお目見えしたとき、内心で特大のガッツポーズをした。そそり立つ立派なブツは、いままでに見たことがないくらいデカイ。巨根コンテストがあったら、ぶっちぎりで王者だ。
ごくりと唾を呑み込み、自ら手を伸ばした。
□□□□□
ディルドキノコで慣らした後ろは大変良い具合だった。
シモンは膝裏を掴んで、足を折り曲げる。足の間に体を割り込ませ、つんつんと性器の先で入口をつついてきた。
「入れていい?」
準備は万端だ。分かってるはずなのに言わせたいんだろう。あえて乗ってやる。なぜならおれはサービスの良い男。男心がなんたるやも熟知しているので、この怠いやり取りが気分を盛り上げることも勿論理解している。
頷くのと同時に押し入ってきた。ぐ、ぐっと突き入れられて、堪らず背を反らした。露わになった喉元をじっと見つめてくる視線には気付いている。
「キノコより、気持ち良い」
「そんなのと比べられてもなぁ」
「奥トントンして。……あッ、ぁああっ」
言ったとおりにしてくれた。ディルドでは届かないところをえぐられて嬌声を上げる。激しく突かれて、あまりの快感に意識を削り取られていく。
「やだ、やだぁ……いっちゃう、すぐいくっ」
「逃げないよ。もっとこっちおいで」
下生えが臀部に触れる。逃げられないように太腿を抱えられ、指が肌に食い込む。最奥まで犯されて嫌々と首を振るとシモンは嬉しそうに頬を緩めた。
「きもちーね。このまま奥に出そっか。精子いっぱいかけないと治らないもんね」
ばちゅばちゅと酷い音がする。だんだんと身体に力が入らなくなってきて、全部シモンの言いなりだった。支配下に置かれているという感覚が何より気持ち良い。
膝をついて後ろを向かされる。おしりだけ突き出す体勢を強いられた。激しくされると膝が浮く。岩肌に爪を突き立てた。
「しもん、しも、ん……っ」
「んー?」
「でちゃうぅ……いきそ……あ、やっ、やぁっ!」
中を締めつけて達した。先走りで既に濡れていた地面に精子が混ざる。オナニーのときより濃い。頭の中が痺れて、まともに考えられない。それなのにシモンは痙攣する腸壁を容赦なく責めたてる。
気持ち良くて変になりそう。勝手に涙がぼろぼろと出てくる。もう限界って思ってるのに、ずりずりと乳首が地面に擦れるとそっちでも快感を拾いたくなる。
「ちゅーしたい。……だめ?」
「舌べーってして」
「べ?」
我ながらかわい子ぶっている自覚はあった。真っ先に本命をねだるのは上手くない。多少遠回りしてでも、この男から与えられる快楽を享受したい。
小さく舌を出すと、正常位に変えた彼が舌先に吸いついてくる。夢中で厚い舌を受け入れ、それが口内を蹂躙し始めると足を身体に巻きつけた。
もっとくっついて、人肌を感じたい。汗で滑る肌にしがみついて、当初の目的なんてほとんど頭から抜け落ちたまま、お互いの肉体を貪り合う。
「胸も触って?」
してほしいことが全部口から出てくる。言うとおりにしてくれると思ったのに、はじめシモンは無視をした。
むくれながら自分で触ろうとすると手を弾かれる。ずくずくと突き入れて乱してくる。ここに胸への刺激が加わったらもっと気持ち良い。
「しもんん……おっぱいしてよぉ……乳首くりくりしてギューって摘んで」
ハァーと深い溜息が降ってくる。
再三のおねだりに折れたようだった。
“傀儡となれ!”
指をパチンと鳴らす音がした。
瞬きをして見つめると、動いたのは倒れていたはずのストーカー一号だった。
「ゲッ。これゴーレムじゃん! おっまえ、やったな!」
「俺の操り人形くんだよ」
「何が操り人形くんだよ、だ! さては隙を見てゴーレム使ってむりやり犯すつもりだったんだろ。この、けだもの! 最悪、最低!」
よろよろと立ち上がった無貌の人形にドン引きした。さっきは逆光で見えなかったけど、蹴り飛ばしたストーカー一号は傀儡だった。ゴーレムは魔術師が操るものだ。目の前でくつくつと笑い声を上げる男を睨んだ。
道理でおかしいと思った! モブに犯されてるおれを見たいがためにゴーレムまで作るアホいる!? いるわ、ここに。大馬鹿だ。
今すぐにちんちんを引き抜いてほしいくらいだったが、残念ながら今とてもイイところなのだ。中は充分に解れてて激しく突き上げられてると何回でもメスイキできるし、ここに乳首への刺激が加わったら最高だ。
中断するべきか迷っている間に膝上に跨るように乗せられる。自重で更に深いところまで犯されて、もうひんひんと喘ぐしかなかった。
例の操り人形くんとやらが、背後から手を伸ばしてくる。
不穏な指先が胸の突起に触れて、擦り合わせてくる。さすがにこれはやりすぎ。やめさせたいのに、操り人形くんのテクがすごかった。
ぐにぐにと柔らかい小粒の木の実みたいだった乳首をつねられて甘く吐息を漏らす。
「いきそ?」
「ぅん……あっ、あッ、いく、いくっ」
精子をシモンの腹にぶっかけるのと同時に中に出された。熱いものがじんわりと広がっていくのが分かる。それで一旦は収まるかと思ったが、そう上手くいかないのが世の常だ。
ぐったりと仰向けで余韻に浸った。直接地べたに寝転ぶと背中が痛いから操り人形くんを下敷きにしている。いまだに乳首への執拗な弄りを忘れないプロ精神には感服する。おかげで甘イキが止まらない。
ちんちんの先がピクピクと震えて精子を垂れ流している。
悪くない。あと三十分はこれで楽しめると思って油断していたのが間違いだった。
シモンがカゴに詰め込んだキノコを掴み取る。中ほどを捻ってローションで手をベタベタにしながら近づいてきたとき、おれは操り人形くんの腕の中だった。
つまりはシモンがやりたい放題できる準備は整っていたというわけ。
全身に塗り広げられていくローションに血の気が引いていく。同時にピリピリと痺れを起こすくらいの火照りに襲われた。
「第二ラウンドいこうか」と、シモンが悪魔みたいに笑った。
□□□□□
寝転がったシモンの上でぴょんぴょん跳ねた。
腕は後ろで操り人形くんに掴まれてるから動かせない。前髪が目にかかって鬱陶しいし、汗も拭いたいのに、手が使えないせいで不便だ。
シモンは緩急のない抽送に早々に飽きたようだった。
「ルイってこんなにエッチ下手だったっけ」
「へ、へたじゃないぃ……」
「じゃあ、わざとイイところ外してるの? 性に奔放で貞操観念ゆるゆるの俺のルイはどこ行っちゃったの」
おまえのじゃないって言いたいのに、下からの突き上げに耐えられない。姿勢を保っていられない。シモンの上に倒れ込むと、「もー。堪え性のない」と不満そうな声が落ちてきた。
操り人形くんへの術は解いてもらった。首筋に腕を絡みつかせて抱きつく。身体全部が揺れてる。熱いところに触れてほしい。気持ち良いのが欲しい。
奥を犯されて歓喜に泣く。そのままいっぱい精子で満たされて、一瞬の脱力ののちに再び小さくなった性器でつつかれる。
「ちっちゃいのも好きになってきたかも」
そんな生意気を口にできたのも少しの間だけだった。すぐさま硬さを取り戻した怒張に責められて浅く息をする。
「おっき、おっきいぃ、とんじゃうっ、あっ、やあっ」
「やめないよ。今日はいっぱいしようね。ルイが二度と俺のこと忘れられないくらい」
「わすれないっ! わすれないから、もっとごつごつしてぇっ」
ほんとぉ?と言いながら三日月みたいに目を細める。その表情には既視感があった。
何か忘れてる気がするのに思い出せない。
腰を叩きつけられると、全部どうでも良くなってきてしまう。泡立つほどに犯されて、今がもう昼なのか夜なのかさえも分からない。
「ん、んぁっ、そこ好きっ!」
中をぎゅうううと締めつけてイッた。
「も、限界……無理……」
一緒に達したようで、どくどくと精液を流し込まれているのが分かった。
中出しする男って独占欲強いって言うよね――って、昔だれかに言われた気がするんだけど、誰だっけ。
「……おれ、前にもおまえとヤッたことある?」
ぼんやりしながら聞く。
多分そうなんだろうなって思ったら、案の定「どうせ忘れるくせに」と鼻で笑われた。
やっぱ会ったことあるんじゃん。じゃあ最初からそう言えよ。
よっこいしょーと上半身を起こして、改めて顔を確認しようとした。
なんでか知らんけど、怒った雰囲気を感じたから尚更確かめたかった。それなのにシモンのご機嫌は思っていた以上に悪かったらしい。
“忘却しろ!”
ボフンと煙に包まれて、意識が酩酊する。
何度か瞬きをして正気に戻った。全身キノコのローションでベタベタ。どんなオナニーしたらこうなるんだよと自分にツッコミを入れたところで、なんだかしっくりこない。
首を傾げながら、いつものように『天使』と『悪魔』を呼び戻した。
かろうじて声に出して言わなかったのは、口いっぱいにパンを頬張っていたおかげだった。
「あら、良かったわね。彼ったら今ご機嫌みたいよ?」
そう言って頭上を旋回するのは使役している精霊だった。
正しく言えば、使役を精霊本人に許可されている。
本来の主は別でいるらしいが、気が付いた時にはもう自分の物だった。誰かから奪ったであろう貴金属類の中に召喚陣が刻まれた宝石付きのネックレスがあった。仮名でいいから名前を付けろと本人たちに口やかましく言われたので、精霊2匹のうち白いほうを『天使』と、黒い方には『悪魔』と名付けた。
特に彼らの能力を活用する気もなかったが、話し相手にはちょうどいいとネックレスは首から下げたままにしている。
天使はチラリとルイの視線の先を見て、フンと鼻を鳴らして消えた。何か気に入らないことでもあったのだろうか。主従関係はないに等しいので天使も悪魔も好きに現れたり消えたりする。あんまりやかましいと手で潰してしまうが、特にダメージはないようで平然とした様子でまた姿を見せたりする。
気まぐれな精霊のことを把握しようとしても疲れるだけだ。
もぐもぐとクルミパンを咀嚼して、飲み込む。見つめた先の男は視線に気付いたのか、こちらに近付いてきていた。
「やあ。きみがこの町の薬師さんかな?」
「いいや、薬師ではあるけれど、この町にはちょっと寄っただけ。行商人みたいなもんだ」
ルイの本業は物取りだったが、スリや強盗・空き巣で生計を立てていますなんて言ったら国から国へと渡り歩くことはできない。きちんとした職業証明ができないと関所で入国拒否されてしまう。表向きは薬師という肩書きだった。実際に調合も自分でやるので、あながち嘘ではない。副業みたいなものだ。
そうかと何故か嬉しそうに言って、男は隣に座る。ルイは気のないフリをして「今日は店じまいだよ。薬が欲しいなら明日また来なよ」と言う。実際、売れるほどの薬は今持ち合わせがないし、薬草もこの町の近くの森で手に入れようと思っていたから在庫がない。
それでも男はニコニコとしながらも移動する様子はなかった。
「俺はシモン。きみは?」
「ルイ。アンタ、騎士?」
「魔法使いだ。ああ、この国だと魔術師って言い方をするのかな」
「見えねーな。鍛え方が農夫には見えないし、指のタコは剣を使ってるヤツのそれだ」
「よく見てるね。嘘をついているわけじゃない。俺も各国を周ってるから、道中はそれなりに危ない目に遭うもんでね。ガタイが良いのは自分の身を守るために鍛えている。それだけの理由だよ」
魔法が使えるならお得意の魔法でなんとかすりゃいいじゃねーかとは思ったが、これ以上の詮索はやめた。見た目はドンピシャなのはそれはそうなのだが、なんだか関わり合いになってはいけない雰囲気を感じた。
なんだろう、この違和感は。
むずむずするような座りの悪さに眉をひそめる。
「用がないならおれもう行くよ。明日はやいんだ」
「東の洞窟に行くから?」
「……いや? 東の洞窟なんて今はじめて聞いたな」
なぜコイツが東の洞窟のことを知っているのかは気になるところだが、まさしくその通り、おれは明日東の洞窟と呼ばれる場所へと出向くつもりだった。ついてこられても嫌なので、とりあえず否定しておく。
ふむ、とシモンは頷いた。
早々に「じゃあな」と話を切り上げて手を振る。引き止められるかと思ったがあっさりと手を振り返された。
まったく、何だったんだアイツ。底知れない不気味さがある男だった。
□□□□□
翌朝、まだ朝露が落ち切っていない頃にルイは出発した。
別に誰かに見られて困ると言うこともないが、念のためだ。精霊たちも一応、ついてきているんだかいないんだか分からないような距離感で旋回していた。
「ねぇ、ルイ。帰らない?」と、天使はそればかり言う。「あなたの性欲が常軌を逸してるのはもう仕方ないと思ってるの、私。でも流石に今回はやめたほうがいいと思う。だってさすがに、東の洞窟よ? もし万が一のことがあったら本当に私どうしたらいいか分からないわ……」
「天使ちゃんは本当に本当にホンットーにうるさくてうるさくて敵わないな。なぁ、ルイ。正直なところを言ってやれよ。おまえもそう思うだろ? 常々そう思ってるんだろ?」と悪魔が軽い口調で同調を求めてくる。「ったく。過保護なんだよ、おまえは。そもそもルイがおれたちの言うことを素直に聞いたことがあったか? こっちが何か言えばプチッと潰されてきたくせに、なぁんにも学習してないんだな」
「だって心配じゃない。悪魔は心配じゃないって言うの? この薄情者」
「いいか? 鼻垂らしたクソガキでも良い年した大人でも万年発情バカでも、自分がやったことの責任ってやつは自分自身で取るしかないんだよ。だからこれからこのバカが何をしてどんなことになろうとも、このバカは自分のやったバカな行為の尻拭いを自分自身で取らなきゃいけないの。アンダスタン?」
「だからこそ心配してるのに! 悪魔ってバカね! 単細胞!」
「バカはおまえだバカ」
大半を聞き流していたが、会話の内容の大部分は悪口だった。何でこいつらおれの悪口言い合ってるんだろうと溜息を吐きたくなる。だからついてこなくていいって言ったのに。
天使は悪魔が言うところの過保護を発動して絶対についてくると譲らないし、天使が行くならおれもーと悪魔も欠伸をしながら追従していた。
なんだか行くまでの道程で疲れてしまった。萎えそうだ。
朝から何度かの溜息をついたところで、ふと視線を空へと向けた。まだうすぼんやりとして体にまとわりつくような霧も出ている。しかし目には見えないが何かの気配を感じたのだった。
「ああ!」
「……何だよ」
天使が突然大声を出すので振り返れば、セルフプチをしたところだった。セルフプチとはつまり、勝手に姿を消すことだ。それだけならいつものことなので気にしないが、消える直前に叫んだのは気になる。
「何であいつあんな大声を……あれ?」
悪魔もセルフプチをしてしまったようだった。シンと静まり返った周囲を見回して、何となく嫌な感じがする。先程まであれだけ静かになってほしいとは願ったが、こんな雰囲気にしてくれなんて頼んでいない。なんだよ。何があるって言うんだ。
ぞわぞわと背筋を這いあがる怖気を断ち切るように早足で目的地を目指す。たしか事前に調査した限りではもうすぐ着くはずなのだ。目的地――つまりは東の洞窟に。
歩を進めて数分、ようやく東の洞窟へと辿り着いたときにはすっかり息が上がっていた。はぁ、はぁと息を吐きながら、手頃なところに荷物を置く。もう少しおどろおどろしい雰囲気のところを想像していたが、意外にもランタンが点在していた。その炎の色が紫なので、おそらくは魔法で、(この国では魔術と言うらしいが)半永久的に点灯するようにしてあるのだろう。
しかしこれには助かった。手元が見えないと些か不便だ。
ルイは荷物の中から羊皮紙を引っ張り出した。書いてある文字を見つめ、洞窟の入り口に向かって呪文を唱える。
"閉じろ!"
たった一言だったが、古代語だったため発音が難しかった。成功していれば触ったときに蜘蛛の巣のような膜の感触があると聞いていたので、腕を伸ばしてみればなるほど、目に見えないそれに触れた。
よしよし。成功。
ようやくだ。小躍りしたい気分になりながら、洞窟の奥へと進んだ。
壁面にはどこから染み出したか水が流れている。ランタンの明かりを頼りに進んでいくと、桃色の発光が徐々に見えてきた。
「はぁぁぁぁぁ……コレだよ、コレェ……」
ようやく最奥まで辿り着き、目の前のモノに対して拍手喝采した。本当に手を叩いて飛び上がった。それくらい嬉しかったのだ。
ルイの探し求めていたもの、それは媚薬だった。媚薬といっても、媚薬そのものではない。媚薬の原料となる植物の生息地がここだった。
淡く光を放ち、風もないのにゆらゆらと揺れるキノコをうっとりと見つめた。一本で大体50回分くらい。それくらいの媚薬が生成できる。なんて素晴らしい楽園だ。
一応、薬師という肩書きも嘘でない。簡単な薬なら作れる。むしろ媚薬作りのためにスキルを磨いたと言ってもいい。
以前どこかで聞いたことがある。どこかのお貴族様の令嬢をヤク漬けにしてしまったバカの話。どこで聞いたかは思い出せないが、それを思い出して閃いたのだ。
媚薬で似たような状況になってみよう、と。
特別相手がいるわけでもないので、セルフで気持ち良くなる手段の幅を広げようと思ったわけだ。レッツ、ヤク漬けオナニー。
ヒュー、オレって冴えてるぅ~。このお天才ちゃんめ。
自画自賛が止まらない。ここ数年で最も自分を褒めたい。サイッコーだぜ、おれ様ちゃん。
ご機嫌で、原料たるキノコを切り取っていった。用意してきていたカゴにドンドンと詰め込む。もちろんこれで一儲けしようと考えてはいるが、それにしても効能を身をもって知っておくほうが先だ。
あらかた採り終えて顔を上げる。そろそろ太陽も高く上がったころだろうかと洞窟の入り口あたりを見た。
爽やかな朝日が差し込んでいる。
うん、絶好のオナニー日和だ。
このキノコは非常に優秀なのだ。あらかじめ図鑑で調べておいたので予習はバッチリ。傘の部分を捻って外すと、中央が空洞になっていた。
おあつらえ向きの天然オナホール。筒の中はたっぷりとぬるついた液体が詰まっていて、そこにちんこを入れればとろけるような心地になるであろうことは容易に想像がついた。
心臓が期待で高鳴っている。ばくばく、どくどく。急いでズボンを脱ぎ捨て、ゆっくりと性器を入れると、底知れない快感に思わず天を仰いだ。
気持ち良い。抱かれる側に回ることが多いけど、まだ男としての機能は失っていない。腰が止まらなかった。ずちゅずちゅと水音が洞窟内に響く。目を閉じると耳まで犯されているような気分になってきた。
ぼたぼたとキノコから溢れ出たローションもどきが地面に落ちる。壁面に体を預け、突き上げるように腰を動かす。
「あっ、……んぁっ、いく、いくっ!」
喘ぎ声が反響してうるさい。奥で異常者の登場に驚いて身を潜めていたコウモリたちが一斉に飛び立った。あわれな野生動物だ。奴らに何の罪もない。悪いのは全部性欲だ。欲情を掻き立てるキノコがここに生えているのが悪い。
恨むならオナホールキノコだけにしとけよ。おれは恨むな。
出入り口に殺到するコウモリたちを遠い目をして見送った。
罪なキノコだ、まったく。
さーてと。無粋な観客もいなくなったことだし、次はディルドキノコにしてあーそぼ。
気を取り直して、先程のオナホールとして使ったキノコより小振りなものを探す。四つん這いになって血眼でディルドにするキノコを探す姿は親には決して見せられない。いや、おれの親もういないんだけどさ。
鼻歌まじりに探していると、ちょうど良い大きさのディルドもといキノコを見つけた。ちょっと形が歪で反り返っている。これだよ、ここいうのがいいんだよ。
カリ首の部分が太過ぎず、大き過ぎず。スルンと入る大きさなのが気に入った。
先程のオナホールキノコからローションを垂らす。てろてろと濡れたそれを見て口の中に唾が湧いた。
そのへんの粗チンとは比べ物にならない。ザ・ビッグマグナム。おれの今日のお供。
期待を胸に、地べたに俯せになった。岩が剥き出しで肘とか膝とか痛い。でも我慢だ。千里の道も一歩から。アナニーの道もちんぽからだ。
久々に後ろに突っ込むせいで頭が沸騰しそうだった。
先端で入り口をつつくと、期待するように腹の中がうごめく。この感覚がたまんねぇ。カリ首を難なく呑み込み、竿の部分までぐぷぐぷと遠慮なく突っ込んだ。
「きもちいー……キノコだぁいすきぃ……」
キノコで中を掻き回す。根元まで突っ込んで、ずるりと引き抜く。いつかどこかで誰かとヤったときのことを思い出した。その時に見つけた一番気持ち良いところ。腹の内側の壁を擦ると呆気なく達した。
面白いくらいに精液が飛んだ。初めてのセックスのときと同じくらい興奮した。毎回「初めてだよ」とカマトトぶるせいで、どれが本当の初めてか自分でも覚えてないけど。
「やー、極楽極楽。ええもん見つけましたわ」
あとは全部薬にしてヤク漬けオナニー用兼商品にするつもりだったが気が変わった。二個、三個は自分用にしよ。
るんるんでケツとちんこを綺麗にして収穫を再開した。
その時だった。
「えっ」
入口付近に人影があった。それだけならまだいい。魔術で封をしたので問題ない。だがしかし、人影はそのまま何の障害もないかのように洞窟に入ってきたのだ。
「えっ、は? え?」
戸惑いながら岩陰に身を隠す。こわいこわいこわい。何で魔術による障壁を突破できたんだ? 呪文が間違えていた? 何か手順を飛ばした? そもそもアレ誰?
頭の中でぐるぐると考えながら、どこかに別の出口がないかと探してみても一方通行で出るにも入るにも一つしかないことを何度か来ているので熟知している。もうにっちもさっちもいかない状況なのは明白だった。
腹を決め、ええい、ままよ!と侵入者の前へと躍り出る。相手は驚いたように硬直し、そしてすぐに握り込まれた右手が突き出される。そのぎこちないが無駄のない動きに戸惑いながら、一旦避けてから、侵入者の腹を蹴り飛ばした。
そのまま倒れ込んでびくともしない。
「えっ、大丈夫? 痛かった? おーい…………死んでないよね?」
動かない相手に恐る恐る近づいて爪先で相手を少し蹴ってみる。それでもピクリともしなかった。えー、どうしよう。
「――ルイ?」
しばらく思考停止していると急に声をかけられて飛び上がってしまう。うひゃあと情けない声をあげた。
顔を上げると、そこには長身の男が立っていた。
特徴的な肉体と下がり眉。おれが大好きな要素が詰まっているけど、どことなく胡散臭い男。
昨日、飯屋で話しかけてきた奴だ。名前は確かシモン。
何でここにいる。
気分は犯罪者だった。でもこれおれ悪くないよね。人の結界に勝手に入ってきた奴が悪いんだもん。不法侵入っつーか、正当防衛と言ってもいい。ちょっと足が当たったくらいで勝手に倒れるほうに問題があるといいますか。
でも分かってるよ。おれもバカじゃない。問題はシモンからこの状況がどう見えたかってことだ。うーん、蹴り飛ばしたように見えちゃったカナ。そんなつもり一ミリもなかったんだけどね。
ぎこちなく笑いかけると、シモンは人好きのする笑みを口元に浮かべた。
「知り合い? こんなところで二人きりなんて随分と親しいんだね」
「は? いやいやいやいや、ちゃんと見て。好きで一緒にいると思う? おれは被害者。多分こいつストーカーだわ。うん、絶対そう。こんな辺鄙なところにある洞窟に好んでくるやつなんて、みーんなカスな変態って決まってるから。いやー、こわかったな。シモンが来てくれなかったらどうなってたことか。このいかにもヘンタイ御用達の形したちんこ……じゃなくてキノコも真っ青なマグナムでブチ犯されてたかも」
「俺は何もしてないけどね。せっかくだからルイがモブに犯されてるところも見たかったのにな。のしてしまったものは仕方ない。今回は諦めよう」
言って良いこと悪いことがある。ビックリした。こいつ本音と建前が逆になるタイプのカスだ。
好青年面してるのに中身が残念だと勃つもんも勃たねー。
さっきまで元気だった股間が小さく縮こまっている。こんなにちんちん萎え萎えになったの、おれハジメテ。
シモンから距離を取りつつ、その場を脱出しようとした。
最悪なことに洞窟の入り口に仁王立ちしている。ここ以外に出入りできるところはないから、この倫理観ブッ壊れ男を倒さないとおうちに帰れない。
「あのさぁ。何でシモンはここに来たの? もしかして同業? キノコを探しに来たなら少し分けてあげるから、そこどいてくれると嬉しいんだけど」
「同業なわけないだろ。ルイを追いかけてきたんだよ。媚薬好きだもんね。何回もこの辺りで姿を見かけるって聞いたからさ。何日か張ってれば絶対に来ると思ったよ」
確定でストーカーだった。何なんだよ。今日は犯罪者日和か?
ストーカー二名、傷害罪ついでに窃盗罪の一名。
三人の犯罪者が揃い踏みだ。最悪の三つ巴だった。
ちなみにここのキノコ、もちろんおれの所有物じゃない。自然に生えてるものだからみんなのものと思いきや、土地自体はどっかの貴族が王様から下賜されたらしい。お貴族様の所有地にあるキノコを勝手に採取して売ろうとしてるわけだから、それなりに重罪。捕まったら腕の一本や二本は跳ねられちゃうかも。
こっそりやる分には完全犯罪だったのに、あいにく今回は目撃者が二人もいる。まいったなぁ、困ったなぁ。
ちらりと目線を向けるとシモンは「嬉しい?」と訳わかんない質問をしてきた。
「嬉しいわけねーだろ。困ってんのが見て分かんない?」
「何で困ってるの?」
「もしシモンがおれのしたことをお貴族様に告げ口したら人生終わっちゃうでしょーが。おれやだよぉ。もう捕まんのヤダ。監獄送りになんてされたら囚人のおっさんたちに犯されて毎日イキ狂っちゃう」
「それはいいね。良かったじゃん。ルイがいかにも好きそうなシチュエーションだ」
おっしゃるとおり。でも嫌いじゃないけど飽きるんだよね。
「万が一、タイミングが悪くて粗チンしかいなかったら地獄じゃん。巨根を探すのも大変なんだよ。自由に世界に羽ばたいて巨根探ししたいよぉ。ついでに媚薬で気が狂うくらいセックスしたい」
考えただけで後ろの穴が疼く。素直な身体だ。素直すぎるくらいだ。てか本当に熱い。……え?
恐る恐るお尻に触れる。柔らかさは相変わらずパーフェクトだ。さすがおれの尻。ある日森の中巨根さんに出会ったときのことを想定して常にベストコンディションを維持してる。
問題は中のほうだった。
「なんか、おしりがめちゃくちゃ熱いんですけど……」
ムズムズする。痒みまで出てきた。
堪らずバックルに手をかけてベルトを引き抜く。シモンがヒューと囃し立てるように口笛を吹くけど構っていられない。
指を入れると、痒みが引いていった。しかし未だに熱い。先程のローションが中に残っていたせいで、とろとろと指にまとわりついてきた。
一人だったら、このまま一発抜いてしまいたいが、今はシモンがいる。クッソ、邪魔だな。早くどっか行かねーかな。
そんな葛藤を察したのだろう。一歩近づいてくるから後退する。脱ぎ捨てたズボンに足を取られて尻餅をついた。
あ。やばいかも。
反射的にそう思った。獲物を狙う目で見下げられて貞操の危機を感じないほど鈍感じゃない。何がシモンを駆り立てたのか分からないけど、多分ちんこ見て興奮しちゃったんだろうな。おれもさっきキノコ見て大興奮だったし。男ってみんなそう。みんなバカ。
四つん這いで逃げていたところを捕まえられた。足首を掴まれてジタバタと暴れる。
「やだー! おれをグッチョングッチョンのメッタメタのトロットロに犯してメスイキさせる気なんでしょ!? エロ本みたいに! 河原に捨てられた人妻陵辱もののエロ本みたいに、それはもうベチョベチョに!」
「願望が溢れ出てるよ」
それはそう。だってシモンの外見だけは好みなんだもん。それに後ろが本当に熱い。斜め読みしていた植物図鑑の記述を必死で思い出そうとする。
ローションには媚薬効果があるんだっけ。まずい。さっき前も後ろも満遍なく塗りたくった。
前は拭き取れたが、後ろはどうにもならない。媚薬効果の打ち消し方なんて、古今東西共通だ。精子をぶっかけて中和させるしかない。
着実におれの服を一枚一枚剥ぎ取っていく男を見上げた。もはや抵抗の意思はない。ていうか馬乗りになっているので動けない。
せめて普通サイズのちんぽでありますように。できれば巨根でありますように。
そんなおれの願いが神に届いたのだろう。ぶるん、と大きなモノがお目見えしたとき、内心で特大のガッツポーズをした。そそり立つ立派なブツは、いままでに見たことがないくらいデカイ。巨根コンテストがあったら、ぶっちぎりで王者だ。
ごくりと唾を呑み込み、自ら手を伸ばした。
□□□□□
ディルドキノコで慣らした後ろは大変良い具合だった。
シモンは膝裏を掴んで、足を折り曲げる。足の間に体を割り込ませ、つんつんと性器の先で入口をつついてきた。
「入れていい?」
準備は万端だ。分かってるはずなのに言わせたいんだろう。あえて乗ってやる。なぜならおれはサービスの良い男。男心がなんたるやも熟知しているので、この怠いやり取りが気分を盛り上げることも勿論理解している。
頷くのと同時に押し入ってきた。ぐ、ぐっと突き入れられて、堪らず背を反らした。露わになった喉元をじっと見つめてくる視線には気付いている。
「キノコより、気持ち良い」
「そんなのと比べられてもなぁ」
「奥トントンして。……あッ、ぁああっ」
言ったとおりにしてくれた。ディルドでは届かないところをえぐられて嬌声を上げる。激しく突かれて、あまりの快感に意識を削り取られていく。
「やだ、やだぁ……いっちゃう、すぐいくっ」
「逃げないよ。もっとこっちおいで」
下生えが臀部に触れる。逃げられないように太腿を抱えられ、指が肌に食い込む。最奥まで犯されて嫌々と首を振るとシモンは嬉しそうに頬を緩めた。
「きもちーね。このまま奥に出そっか。精子いっぱいかけないと治らないもんね」
ばちゅばちゅと酷い音がする。だんだんと身体に力が入らなくなってきて、全部シモンの言いなりだった。支配下に置かれているという感覚が何より気持ち良い。
膝をついて後ろを向かされる。おしりだけ突き出す体勢を強いられた。激しくされると膝が浮く。岩肌に爪を突き立てた。
「しもん、しも、ん……っ」
「んー?」
「でちゃうぅ……いきそ……あ、やっ、やぁっ!」
中を締めつけて達した。先走りで既に濡れていた地面に精子が混ざる。オナニーのときより濃い。頭の中が痺れて、まともに考えられない。それなのにシモンは痙攣する腸壁を容赦なく責めたてる。
気持ち良くて変になりそう。勝手に涙がぼろぼろと出てくる。もう限界って思ってるのに、ずりずりと乳首が地面に擦れるとそっちでも快感を拾いたくなる。
「ちゅーしたい。……だめ?」
「舌べーってして」
「べ?」
我ながらかわい子ぶっている自覚はあった。真っ先に本命をねだるのは上手くない。多少遠回りしてでも、この男から与えられる快楽を享受したい。
小さく舌を出すと、正常位に変えた彼が舌先に吸いついてくる。夢中で厚い舌を受け入れ、それが口内を蹂躙し始めると足を身体に巻きつけた。
もっとくっついて、人肌を感じたい。汗で滑る肌にしがみついて、当初の目的なんてほとんど頭から抜け落ちたまま、お互いの肉体を貪り合う。
「胸も触って?」
してほしいことが全部口から出てくる。言うとおりにしてくれると思ったのに、はじめシモンは無視をした。
むくれながら自分で触ろうとすると手を弾かれる。ずくずくと突き入れて乱してくる。ここに胸への刺激が加わったらもっと気持ち良い。
「しもんん……おっぱいしてよぉ……乳首くりくりしてギューって摘んで」
ハァーと深い溜息が降ってくる。
再三のおねだりに折れたようだった。
“傀儡となれ!”
指をパチンと鳴らす音がした。
瞬きをして見つめると、動いたのは倒れていたはずのストーカー一号だった。
「ゲッ。これゴーレムじゃん! おっまえ、やったな!」
「俺の操り人形くんだよ」
「何が操り人形くんだよ、だ! さては隙を見てゴーレム使ってむりやり犯すつもりだったんだろ。この、けだもの! 最悪、最低!」
よろよろと立ち上がった無貌の人形にドン引きした。さっきは逆光で見えなかったけど、蹴り飛ばしたストーカー一号は傀儡だった。ゴーレムは魔術師が操るものだ。目の前でくつくつと笑い声を上げる男を睨んだ。
道理でおかしいと思った! モブに犯されてるおれを見たいがためにゴーレムまで作るアホいる!? いるわ、ここに。大馬鹿だ。
今すぐにちんちんを引き抜いてほしいくらいだったが、残念ながら今とてもイイところなのだ。中は充分に解れてて激しく突き上げられてると何回でもメスイキできるし、ここに乳首への刺激が加わったら最高だ。
中断するべきか迷っている間に膝上に跨るように乗せられる。自重で更に深いところまで犯されて、もうひんひんと喘ぐしかなかった。
例の操り人形くんとやらが、背後から手を伸ばしてくる。
不穏な指先が胸の突起に触れて、擦り合わせてくる。さすがにこれはやりすぎ。やめさせたいのに、操り人形くんのテクがすごかった。
ぐにぐにと柔らかい小粒の木の実みたいだった乳首をつねられて甘く吐息を漏らす。
「いきそ?」
「ぅん……あっ、あッ、いく、いくっ」
精子をシモンの腹にぶっかけるのと同時に中に出された。熱いものがじんわりと広がっていくのが分かる。それで一旦は収まるかと思ったが、そう上手くいかないのが世の常だ。
ぐったりと仰向けで余韻に浸った。直接地べたに寝転ぶと背中が痛いから操り人形くんを下敷きにしている。いまだに乳首への執拗な弄りを忘れないプロ精神には感服する。おかげで甘イキが止まらない。
ちんちんの先がピクピクと震えて精子を垂れ流している。
悪くない。あと三十分はこれで楽しめると思って油断していたのが間違いだった。
シモンがカゴに詰め込んだキノコを掴み取る。中ほどを捻ってローションで手をベタベタにしながら近づいてきたとき、おれは操り人形くんの腕の中だった。
つまりはシモンがやりたい放題できる準備は整っていたというわけ。
全身に塗り広げられていくローションに血の気が引いていく。同時にピリピリと痺れを起こすくらいの火照りに襲われた。
「第二ラウンドいこうか」と、シモンが悪魔みたいに笑った。
□□□□□
寝転がったシモンの上でぴょんぴょん跳ねた。
腕は後ろで操り人形くんに掴まれてるから動かせない。前髪が目にかかって鬱陶しいし、汗も拭いたいのに、手が使えないせいで不便だ。
シモンは緩急のない抽送に早々に飽きたようだった。
「ルイってこんなにエッチ下手だったっけ」
「へ、へたじゃないぃ……」
「じゃあ、わざとイイところ外してるの? 性に奔放で貞操観念ゆるゆるの俺のルイはどこ行っちゃったの」
おまえのじゃないって言いたいのに、下からの突き上げに耐えられない。姿勢を保っていられない。シモンの上に倒れ込むと、「もー。堪え性のない」と不満そうな声が落ちてきた。
操り人形くんへの術は解いてもらった。首筋に腕を絡みつかせて抱きつく。身体全部が揺れてる。熱いところに触れてほしい。気持ち良いのが欲しい。
奥を犯されて歓喜に泣く。そのままいっぱい精子で満たされて、一瞬の脱力ののちに再び小さくなった性器でつつかれる。
「ちっちゃいのも好きになってきたかも」
そんな生意気を口にできたのも少しの間だけだった。すぐさま硬さを取り戻した怒張に責められて浅く息をする。
「おっき、おっきいぃ、とんじゃうっ、あっ、やあっ」
「やめないよ。今日はいっぱいしようね。ルイが二度と俺のこと忘れられないくらい」
「わすれないっ! わすれないから、もっとごつごつしてぇっ」
ほんとぉ?と言いながら三日月みたいに目を細める。その表情には既視感があった。
何か忘れてる気がするのに思い出せない。
腰を叩きつけられると、全部どうでも良くなってきてしまう。泡立つほどに犯されて、今がもう昼なのか夜なのかさえも分からない。
「ん、んぁっ、そこ好きっ!」
中をぎゅうううと締めつけてイッた。
「も、限界……無理……」
一緒に達したようで、どくどくと精液を流し込まれているのが分かった。
中出しする男って独占欲強いって言うよね――って、昔だれかに言われた気がするんだけど、誰だっけ。
「……おれ、前にもおまえとヤッたことある?」
ぼんやりしながら聞く。
多分そうなんだろうなって思ったら、案の定「どうせ忘れるくせに」と鼻で笑われた。
やっぱ会ったことあるんじゃん。じゃあ最初からそう言えよ。
よっこいしょーと上半身を起こして、改めて顔を確認しようとした。
なんでか知らんけど、怒った雰囲気を感じたから尚更確かめたかった。それなのにシモンのご機嫌は思っていた以上に悪かったらしい。
“忘却しろ!”
ボフンと煙に包まれて、意識が酩酊する。
何度か瞬きをして正気に戻った。全身キノコのローションでベタベタ。どんなオナニーしたらこうなるんだよと自分にツッコミを入れたところで、なんだかしっくりこない。
首を傾げながら、いつものように『天使』と『悪魔』を呼び戻した。
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