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二十
願い-3
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エリンは、何かを所有するということがない。
城で暮らす上で、必要なものは何でも与えられたけれど、それらは全て、実際には主人であるアーシュラの持ち物だ。彼個人のものなど何一つない。そのことは、エリンにとっては、太陽が東から昇るのと同じくらい、当然で、何の違和感も感じないことだ。
しかし、そんな彼が唯一自分のものとして手元に置いている品が一つだけある。
それは、立派な緑色の宝石が埋め込まれた、女物の指輪だった。元の持ち主は彼の母、マイ=ブリット・カスタニエ。幼い息子と引き離される際、彼女が泣きながらエリンに手渡したものだ。
けれど、母親が恋しい時分にはその指輪に込められた想いが理解できず、それが分かるようになった頃には、既に母親への思慕は形を失っていた。
だから、指輪は長いこと、私室の引き出しに無造作に入れっぱなしになっていた。今まで、忘れていたといってもいい。
その指輪を、エリンは最近、取り出して眺めることが多くなっていた。手入れのされていない金細工はすっかり色あせ、全くみすぼらしいものになっていたけれど、埋め込まれた宝石は相変わらず美しく輝いて――そして、なぜか不思議なことに、記憶の中の緑色とは違う、赤紫色をしていた。
この指輪は、エリンが剣としてではなく、人として生まれついたことを証し立てる、唯一の品である。茜色の宝石は、そのことを静かにエリンに伝えようとしているような気がした。
サイズの合わない指輪を小指につけて、ランプにかざして覗きこむ。窓を叩く音が耳に届いたのは、そんな刹那のことだった。
「……?」
外を見ると、もう一時間も前に眠りについたはずの主が、寝間着のままバルコニーからこちらを覗いていた。驚いたエリンと目が合うと、彼女は窓を指してここを開けろと身振りする。
「ど……うか、なさいましたか?」
慌てて窓を開けて迎え入れた。
「ここのところ、お前が捕まらないのだもの。寝たふりをしてみたのよ」
夜気をまとって、アーシュラは悪戯が成功した子供のように笑う。
「お風邪を召されたらどうなさるつもりです」
「そうなればお前のせいね」
「殿下……」
どことなく他人行儀な物言いに、アーシュラは不満そうにエリンを見る。そして、彼の小指に嵌まったままの指輪に気がついたようだった。
「その指輪……」
「これは、その……」
あまり、彼女にそれを見せたことは無かったような気がする。何と説明すればよいかと悩むエリンだったが、アーシュラは呆れた様子で目を細めた。
「大切な指輪なのに、手入れもしていないのね」
「……ご存知で?」
「指輪のこと?」
「お話したことは無かったような……」
「呆れた。小さいころなくして大泣きしたの、忘れたのね」
「えっ……」
エリンが驚くと、アーシュラは小さく苦笑して言った。
「それが無いとお母様が迎えに来てくださらないって、言っていたわよ。わたくしも、可哀想になってしまって、ツヴァイと一緒に探してあげたの。覚えていない?」
「……いつ頃の話でしょうか」
「いつだったかしら。お前が城に来て、最初の頃だと思うけれど……」
「そんなことが……」
「お前は小さかったものね」
「そういえば……その……この石、こんな色をしておりましたでしょうか?」
「え?」
「記憶では、緑色だったような……」
「まぁ……エリン」
アーシュラはくすくす笑って、エリンの手を掴み、指輪を奪う。冷たい指が何気なく触れたことに、なぜか心臓が跳ねる。
「この宝石(アレクサンドライト)は、太陽の下で見ると緑色なのよ」
言われてみれば、そのことを誰かから聞いたことがあるような気がする。師だっただろうか。分からない。幼い頃のことは、自分では全部記憶しているようなつもりでいるのに。
「……殿下は、よく憶えておいでなのですね」
「当たり前でしょう。お前より二歳も年上なのだから」
久しぶりに歳上なのを威張るアーシュラに、ずっとずっと昔の彼女の面影を見つけて気が遠くなる。かつてあった自分と、今ここにいる自分が、まるで別の生き物のように思われた。
「ねぇ……エリン?」
呆然として佇む従者に、アーシュラは心配そうに首を傾げ、そして――おそらくは、指輪を返そうとしたのだろう――彼の手を取ろうとした。
「……!」
反射的に振りほどいて逃げてしまうエリンを、彼女は睨む。
「お前、最近へんよ。どうしてわたくしを避けるの?」
言いながら一歩進み出る。その歩幅の分、エリンは無意識に逃げていた。
「……避けてなどおりません。お側におります」
言葉はまるっきり言い訳めいた響きをはらむ。アーシュラは、いつもの彼女であれば、ますます不機嫌になるところだったが、今夜は逆に、悲しそうに肩を落とした。
「だけど……だけど、姿が見えない時が多すぎるし、話もしないようにしてるでしょう?」
弁解の言葉がない。あからさまな態度をとってしまっている自覚はあるし、アーシュラが気付かないとも思っていない。
「……申し訳ありません」
けれど、理由は言えないのだ。
「エリン……お前、もしかして本当に、わたくしの結婚に反対なの?」
「え……?」
暗い顔で恐る恐るそう口にするアーシュラに、エリンは目を丸くする。
「……どうして、そのようなことを?」
問いながら思い出す。そういえば、前に話をした時も、そんなことを言っていたような……
「お前とわたくしは違うんだって、ゲオルグに言われて、考えたの」
珍しくしおらしい調子で、真摯に彼女は続けた。
「わたくしが幸せになれば、お前も必ず幸せになるのだと、わたくしはずっとそう信じていたし、今もそう思っているわ。けれど……」
笑顔は剥がれ、思いつめたような青白い顔が現れる。
「けれどお前が、もしそう思っていないのなら、それは――」
「――アーシュラ」
答えを持たぬまま、エリンはその言葉を遮る。彼女にそんな誤解をさせるわけにはいかないと思った。
「あなたの幸せを……私が、喜ばないはずがありません。私の命は全て、あなたのものなのですから」
嘘はつけない。けれど――今言葉にできる真実なんて、このくらいのものだ。こんなもの、アーシュラにとっては当たり前すぎる言葉で、ただ型通りの気休めと取られても仕方がない。
「だったら、どうして今までどおり傍に居てくれないの? おかしいわ、エリン。ずうっと、子供の頃から一緒だったじゃない、わたくしたち。お前が居ないと……」
アーシュラは辛そうに瞳を揺らす。
「不安なのよ。とても」
細い指が改めてエリンの手を捕まえ、精一杯の力で掴む。
「それは……」
今ここで、アドルフの命令を無視して、彼女を安心させる台詞を口にすれば、これ以上主から遠ざかる必要はなくなる。彼女を傷つけることもない。自分たちは、今までどおりの二人でいられる。
それが一番、良いことなのではないのか。
けれど――――エリンの唇は、言葉を紡いでくれない。
「エリン……」
主の悲しげな声に、微かに苛立ちを感じた。
彼女は鈍感だ。今だって自分だけが寂しいようなつもりで……何も分かっていない。寂しいのは自分だって――……
城で暮らす上で、必要なものは何でも与えられたけれど、それらは全て、実際には主人であるアーシュラの持ち物だ。彼個人のものなど何一つない。そのことは、エリンにとっては、太陽が東から昇るのと同じくらい、当然で、何の違和感も感じないことだ。
しかし、そんな彼が唯一自分のものとして手元に置いている品が一つだけある。
それは、立派な緑色の宝石が埋め込まれた、女物の指輪だった。元の持ち主は彼の母、マイ=ブリット・カスタニエ。幼い息子と引き離される際、彼女が泣きながらエリンに手渡したものだ。
けれど、母親が恋しい時分にはその指輪に込められた想いが理解できず、それが分かるようになった頃には、既に母親への思慕は形を失っていた。
だから、指輪は長いこと、私室の引き出しに無造作に入れっぱなしになっていた。今まで、忘れていたといってもいい。
その指輪を、エリンは最近、取り出して眺めることが多くなっていた。手入れのされていない金細工はすっかり色あせ、全くみすぼらしいものになっていたけれど、埋め込まれた宝石は相変わらず美しく輝いて――そして、なぜか不思議なことに、記憶の中の緑色とは違う、赤紫色をしていた。
この指輪は、エリンが剣としてではなく、人として生まれついたことを証し立てる、唯一の品である。茜色の宝石は、そのことを静かにエリンに伝えようとしているような気がした。
サイズの合わない指輪を小指につけて、ランプにかざして覗きこむ。窓を叩く音が耳に届いたのは、そんな刹那のことだった。
「……?」
外を見ると、もう一時間も前に眠りについたはずの主が、寝間着のままバルコニーからこちらを覗いていた。驚いたエリンと目が合うと、彼女は窓を指してここを開けろと身振りする。
「ど……うか、なさいましたか?」
慌てて窓を開けて迎え入れた。
「ここのところ、お前が捕まらないのだもの。寝たふりをしてみたのよ」
夜気をまとって、アーシュラは悪戯が成功した子供のように笑う。
「お風邪を召されたらどうなさるつもりです」
「そうなればお前のせいね」
「殿下……」
どことなく他人行儀な物言いに、アーシュラは不満そうにエリンを見る。そして、彼の小指に嵌まったままの指輪に気がついたようだった。
「その指輪……」
「これは、その……」
あまり、彼女にそれを見せたことは無かったような気がする。何と説明すればよいかと悩むエリンだったが、アーシュラは呆れた様子で目を細めた。
「大切な指輪なのに、手入れもしていないのね」
「……ご存知で?」
「指輪のこと?」
「お話したことは無かったような……」
「呆れた。小さいころなくして大泣きしたの、忘れたのね」
「えっ……」
エリンが驚くと、アーシュラは小さく苦笑して言った。
「それが無いとお母様が迎えに来てくださらないって、言っていたわよ。わたくしも、可哀想になってしまって、ツヴァイと一緒に探してあげたの。覚えていない?」
「……いつ頃の話でしょうか」
「いつだったかしら。お前が城に来て、最初の頃だと思うけれど……」
「そんなことが……」
「お前は小さかったものね」
「そういえば……その……この石、こんな色をしておりましたでしょうか?」
「え?」
「記憶では、緑色だったような……」
「まぁ……エリン」
アーシュラはくすくす笑って、エリンの手を掴み、指輪を奪う。冷たい指が何気なく触れたことに、なぜか心臓が跳ねる。
「この宝石(アレクサンドライト)は、太陽の下で見ると緑色なのよ」
言われてみれば、そのことを誰かから聞いたことがあるような気がする。師だっただろうか。分からない。幼い頃のことは、自分では全部記憶しているようなつもりでいるのに。
「……殿下は、よく憶えておいでなのですね」
「当たり前でしょう。お前より二歳も年上なのだから」
久しぶりに歳上なのを威張るアーシュラに、ずっとずっと昔の彼女の面影を見つけて気が遠くなる。かつてあった自分と、今ここにいる自分が、まるで別の生き物のように思われた。
「ねぇ……エリン?」
呆然として佇む従者に、アーシュラは心配そうに首を傾げ、そして――おそらくは、指輪を返そうとしたのだろう――彼の手を取ろうとした。
「……!」
反射的に振りほどいて逃げてしまうエリンを、彼女は睨む。
「お前、最近へんよ。どうしてわたくしを避けるの?」
言いながら一歩進み出る。その歩幅の分、エリンは無意識に逃げていた。
「……避けてなどおりません。お側におります」
言葉はまるっきり言い訳めいた響きをはらむ。アーシュラは、いつもの彼女であれば、ますます不機嫌になるところだったが、今夜は逆に、悲しそうに肩を落とした。
「だけど……だけど、姿が見えない時が多すぎるし、話もしないようにしてるでしょう?」
弁解の言葉がない。あからさまな態度をとってしまっている自覚はあるし、アーシュラが気付かないとも思っていない。
「……申し訳ありません」
けれど、理由は言えないのだ。
「エリン……お前、もしかして本当に、わたくしの結婚に反対なの?」
「え……?」
暗い顔で恐る恐るそう口にするアーシュラに、エリンは目を丸くする。
「……どうして、そのようなことを?」
問いながら思い出す。そういえば、前に話をした時も、そんなことを言っていたような……
「お前とわたくしは違うんだって、ゲオルグに言われて、考えたの」
珍しくしおらしい調子で、真摯に彼女は続けた。
「わたくしが幸せになれば、お前も必ず幸せになるのだと、わたくしはずっとそう信じていたし、今もそう思っているわ。けれど……」
笑顔は剥がれ、思いつめたような青白い顔が現れる。
「けれどお前が、もしそう思っていないのなら、それは――」
「――アーシュラ」
答えを持たぬまま、エリンはその言葉を遮る。彼女にそんな誤解をさせるわけにはいかないと思った。
「あなたの幸せを……私が、喜ばないはずがありません。私の命は全て、あなたのものなのですから」
嘘はつけない。けれど――今言葉にできる真実なんて、このくらいのものだ。こんなもの、アーシュラにとっては当たり前すぎる言葉で、ただ型通りの気休めと取られても仕方がない。
「だったら、どうして今までどおり傍に居てくれないの? おかしいわ、エリン。ずうっと、子供の頃から一緒だったじゃない、わたくしたち。お前が居ないと……」
アーシュラは辛そうに瞳を揺らす。
「不安なのよ。とても」
細い指が改めてエリンの手を捕まえ、精一杯の力で掴む。
「それは……」
今ここで、アドルフの命令を無視して、彼女を安心させる台詞を口にすれば、これ以上主から遠ざかる必要はなくなる。彼女を傷つけることもない。自分たちは、今までどおりの二人でいられる。
それが一番、良いことなのではないのか。
けれど――――エリンの唇は、言葉を紡いでくれない。
「エリン……」
主の悲しげな声に、微かに苛立ちを感じた。
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