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敦子サイド⑥
しおりを挟む神様は私に敦子と彼のどちらを選ぶか試しているの…?
「あのマジックはお母さんのために…あの貸してほしかったワンピースをお母さんがきて…ッ……」
敦子の瞳から涙があふれ出した。
ノートの文字が滲み出したので涙を止めようとしてみたがとまらなかった。
どうして泣いているのか自分でも理由はわからない
だけど切なくて、苦しくて。。。
涙がとまらなかった――
“10月9日
今日桜君のお父様から電話があった。
まさか桜って苗字だとは思わなかった。
あのさくら病院のご子息だなんて…
息子の将来を思うなら
もう会わないでくれと言われた。
狭いこの街で息子が不倫しているなんて知られたら…
そういわれてしまった。
不倫
私たちは結局は汚い関係
周りからはそういう風にしか見えない…”
「だからさっき病院であんなことを……次が10月10日…」
敦子はゴクリと唾を飲み込みページをめくった。
「え………?」
次のページは真っ白で何も書かれていなかった。
“ウィーーン”
手術室から先生が出てきた。
「先生!」
「手術は成功しました。出血を抑えられましたよ。ただ―」
「ただ?」
「開腹してわかりましたがガンは思ったより進行しています。今のうちに会わせたい人に会わせておいたほうがいいでしょう。」
「そんな…」
会わせたい人――
それは私にとって会わせたくない人でもある――
「あの、看護婦さん…」
「はい?」
「敦子…娘が昨日から連絡もとれなくて、病院にもいないみたいですけど知っていますか?」
「いえ…連絡とれないんですか?病院からもしてみましょうか?」
「すいません、お願いします。」
敦子の母は目が覚めたが敦子の姿がないことを心配した。
敦子は母親の前から一週間姿を消した――
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