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天使と出会った
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夜の街
ネオンでキラキラ輝いていて
毎日みている俺でも綺麗だと思うのに
君は見えないんだね
俺の顔も…
「ねぇ、あの人カッコイイ!」
「知ってる!あの人雑誌で見たことある!」
「レジェンドの雅だよね!?生だとさらにカッコイイ!」
雅はちらちらと自分をみながらヒソヒソ話をしている女の子達に微笑かける。そして近づいていく。
「え!?何ちょっとこっち来ない!?」
興奮している女の子達の前に雅はひざまづいた。
「もし時間があるなら、一緒に飲みませんか?」
白いスーツに整った顔にスタイルでまさしく王子様のよ
うだった。
「キャーー行きます!飲みます!飲みます!」
女性達は自分がお姫様のように扱われたのが嬉しかっ
た。
雅はスッと立ちひざまづいた膝を手で払った。
(あ~あ、せっかくのスーツが汚れた。でも、こいつら全員来るならクリーニング代ぐらいにはなるしいいか。)
ホストとしての自分は王子を演じているが、実際は店にきてお金になるなら何でもよかった。
口と腹の中で思っていることは違った。
「キャッ…」
「え!?」
“ドンッ…”
「痛ッ…」(誰だよぶつかってきたの!)
後ろを振り返ると白いワンピースを着た女性が座っていた。
街のネオンが女の子の白いワンピースに彩って、物語に出てきそうな綺麗なドレスになっていた
「あ、えっと、大丈夫?」(とりあえず大丈夫とか聞いておこう。)
雅がうつむいている女性に話しかける。
女性がゆっくりを顔をあげた。
(天使みたいだ・・・)
長い黒髪に長いまつげ、クリクリの大きな瞳に吸い込まれそうだった。
色白の肌に頬だけがチークを塗ったかのようにピンク色になっていた。
女性が雅の顔や体を触ってくる。
「え?いや、ちょっと、あの…」
「あなたは怪我は・・・?」
「俺は大丈夫だよ。君は?」
「私も大丈夫。ぶつかってごめんなさい。ただ…杖がないみたいで…」
女性は地面を触って一生懸命探している。
(あ、目が見えないのか…)
「はい、これ…」
「ありがとう。」
「あの…ホストクラブに行きたいから連れて行って欲しいの。」
「え?俺?」
女性は首を縦に振る。
「じゃあ一緒に行こうよ。今から雅のお店に行こうと思っていたから。」
女性達が誘って一緒に行くことになった。
(ホスト馴れしている感じじゃないけど大丈夫なのかよ。)
杖をついて歩いている女性がこけないか、ちゃんと後ろをついてきているのか気になって雅はチラチラとみていた。
「お、雅さん~新規のお客様いっぱいじゃないですか。あれ?あの子純情そうな感じですね。」
従業員が雅に話かけてきた。
「あ・・・たぶんあの子は初めてじゃないかな?目が見えないみたいだからフォローしてあげて。」
「え!?初めてで目が見えないの!?ラッキー♪色々頼んじゃおう!雅さんが来るまで俺ついておきますね!」
「おい、ちょっと・・・」
「初めまして、直人です。あ、こっちの席にどうぞ~雅さん後でくるからね。」
雅は不安そうに白いワンピースの女の子に視線を送るが、直人に案内されながら女性はテーブルに座っている。
「雅君早く!こっちで飲もうよ!シャンパン入れるから!」
「あ、うん。ごめんごめん。」
(目が見えないから気になるんだきっと。自分の客に集中しよう。)
“バシャッ・・・!”
「何すんだよ!」
直人が女性に水を頭からかけられていてビショビショになっていた。
「どうしたんだよ!?」
雅が直人に近づくと
「注文聞いたらいきなり水かけてきて…雅さんの客なんで雅さんが相手してもらってもいいですか?俺こっちのテーブル入るんで。」
雅は恐る恐るテーブルへ向かう。
「大丈夫?濡れてない?」(まぁ濡れてないだろうけど…一応優しく聞いてみるか。)
“パシッ”
「痛ッ…」
女性が雅が差し出したハンカチを振り払った。
「嫌々ならハンカチくれなくてもいいし、嫌なのに何でハンカチ差し出すの?」
「え…」
(目見えてないはずだから表情なんてわかんないよな!?てか俺心で思っていること呟いているのか!?)
「さっきだってぶつかった時、本当はむかついたんでしょ?私が悪かったんだし、そういえばよかったのに…」
「…なんでそう思ったの?」
「私は目は見えないけど、その分耳とか感性がすごくいいの。さっき横にいた直人って人?あの人私が目が見えないからって色々注文しようとしていた。そういうのがわかるの。」
この女性の前では丸裸にされているような感じだった。
「今あなたは私にココロ読まれて不愉快になっているんじゃない?そんな空気を感じる。」
別にホストクラブで王子のキャラを演じるのが嫌ではなかった。
だけど好きでもなかった。
ただそのキャラが定着してしまったし、女の子が喜ぶからそうしていただけだ。
「全然王子様のキャラではないのに無理している感じ…」
「ハハッ…鋭いね。」
「でも…」
出会ってからこの時初めて目があった。
“ドキッ・・・”
この胸のときめきも彼女に伝わるのだろうか。
「あなた時々私のこと心配してみてくれた。その気持ちが嬉しかった。ぶっきらぼうだけど優しいのね。」
そういって優しく微笑かける彼女は、今まで出会ってきた女性とはまるで違った。
少女のようだけど顔立ちなどは大人で
真っ白なワンピースが物語っているように汚れの知らない女性という感じだった。
「あ、ごめん、飲み物何にする?お酒は飲めるの?ソフトドリンクもあるよ。」
「じゃあ、オレンジジュースで。」
「分かった。あ、オレンジで。」
雅はスタッフに声をかける。
「そういえばどうしてホストクラブへ?初めてだよね?」
「…今日私誕生日なの。20歳になったの、だからお祝いでホストクラブに。」
「え!?誕生日なの!?」(え…てか家族とか友達とか彼氏とかは…)
「フフッ…」
「え?何?」
「家族は私が高校生の時事故で…友達は幼馴染が一人いるんだけど今日出張でいないの。彼氏ももちろんいないわ。」
「あ、ごめん。色々勘ぐっちゃって。」
「幼馴染がね、本当は今日ホストクラブに連れて行ってくれるって約束してくれていたの。お姫様みたいに扱ってくれて盛大にお誕生日祝ってくれるよって。」
「盛大にって…」(その分お金使っちゃうだろー)
「だから今日お金たくさん持ってきたの!」
そういって彼女がお財布の中身をみせてくれたが一万円だった。
(このソフトドリンクと席についただけで一万円だよ!)
「え?もしかして足りない?」
「うん…もうこのドリンクと席についただけで一万だね…」
「そっか…でもホストクラブに来れただけでも満足♪」
「え?それだけで?」
「外はキラキラ光っていて綺麗だったし、ぶつかって不機嫌にさせてしまってもこうやってお店に連れてきてくれたし。」
「でもそれはお客になれば俺の売り上げが上がるし」(地が出てしまった汗)
「理由が何であれ、親切にしてもらっただけでも嬉しい。いつもは家に引きこもっているから、こうやって人の優しさに触れられただけで幸せだよ。今日はありがとう。」
そうやってにっこり微笑む彼女は本当に天使のようだった。
優しさとかってどういうのだったっけ?
いつも人を利用して、お金のことしか考えてなくて、今日までどうやって生きてきたんだろう。
同じ白の服を着ているのに俺の服は真っ黒でドロドロだ。
彼女なら素の自分を愛してくれるかもしれない。
彼女は俺にとって天使みたいだった。
このドロドロな俺を綺麗にしてくれる気がした。
自分にまっすぐで厳しいところもあるけどw
でも本当は優しくて思いやりがあって相手の気持ちを汲み取ってくれる。
そんな彼女の側にずっといたい。
ネオンでキラキラ輝いていて
毎日みている俺でも綺麗だと思うのに
君は見えないんだね
俺の顔も…
「ねぇ、あの人カッコイイ!」
「知ってる!あの人雑誌で見たことある!」
「レジェンドの雅だよね!?生だとさらにカッコイイ!」
雅はちらちらと自分をみながらヒソヒソ話をしている女の子達に微笑かける。そして近づいていく。
「え!?何ちょっとこっち来ない!?」
興奮している女の子達の前に雅はひざまづいた。
「もし時間があるなら、一緒に飲みませんか?」
白いスーツに整った顔にスタイルでまさしく王子様のよ
うだった。
「キャーー行きます!飲みます!飲みます!」
女性達は自分がお姫様のように扱われたのが嬉しかっ
た。
雅はスッと立ちひざまづいた膝を手で払った。
(あ~あ、せっかくのスーツが汚れた。でも、こいつら全員来るならクリーニング代ぐらいにはなるしいいか。)
ホストとしての自分は王子を演じているが、実際は店にきてお金になるなら何でもよかった。
口と腹の中で思っていることは違った。
「キャッ…」
「え!?」
“ドンッ…”
「痛ッ…」(誰だよぶつかってきたの!)
後ろを振り返ると白いワンピースを着た女性が座っていた。
街のネオンが女の子の白いワンピースに彩って、物語に出てきそうな綺麗なドレスになっていた
「あ、えっと、大丈夫?」(とりあえず大丈夫とか聞いておこう。)
雅がうつむいている女性に話しかける。
女性がゆっくりを顔をあげた。
(天使みたいだ・・・)
長い黒髪に長いまつげ、クリクリの大きな瞳に吸い込まれそうだった。
色白の肌に頬だけがチークを塗ったかのようにピンク色になっていた。
女性が雅の顔や体を触ってくる。
「え?いや、ちょっと、あの…」
「あなたは怪我は・・・?」
「俺は大丈夫だよ。君は?」
「私も大丈夫。ぶつかってごめんなさい。ただ…杖がないみたいで…」
女性は地面を触って一生懸命探している。
(あ、目が見えないのか…)
「はい、これ…」
「ありがとう。」
「あの…ホストクラブに行きたいから連れて行って欲しいの。」
「え?俺?」
女性は首を縦に振る。
「じゃあ一緒に行こうよ。今から雅のお店に行こうと思っていたから。」
女性達が誘って一緒に行くことになった。
(ホスト馴れしている感じじゃないけど大丈夫なのかよ。)
杖をついて歩いている女性がこけないか、ちゃんと後ろをついてきているのか気になって雅はチラチラとみていた。
「お、雅さん~新規のお客様いっぱいじゃないですか。あれ?あの子純情そうな感じですね。」
従業員が雅に話かけてきた。
「あ・・・たぶんあの子は初めてじゃないかな?目が見えないみたいだからフォローしてあげて。」
「え!?初めてで目が見えないの!?ラッキー♪色々頼んじゃおう!雅さんが来るまで俺ついておきますね!」
「おい、ちょっと・・・」
「初めまして、直人です。あ、こっちの席にどうぞ~雅さん後でくるからね。」
雅は不安そうに白いワンピースの女の子に視線を送るが、直人に案内されながら女性はテーブルに座っている。
「雅君早く!こっちで飲もうよ!シャンパン入れるから!」
「あ、うん。ごめんごめん。」
(目が見えないから気になるんだきっと。自分の客に集中しよう。)
“バシャッ・・・!”
「何すんだよ!」
直人が女性に水を頭からかけられていてビショビショになっていた。
「どうしたんだよ!?」
雅が直人に近づくと
「注文聞いたらいきなり水かけてきて…雅さんの客なんで雅さんが相手してもらってもいいですか?俺こっちのテーブル入るんで。」
雅は恐る恐るテーブルへ向かう。
「大丈夫?濡れてない?」(まぁ濡れてないだろうけど…一応優しく聞いてみるか。)
“パシッ”
「痛ッ…」
女性が雅が差し出したハンカチを振り払った。
「嫌々ならハンカチくれなくてもいいし、嫌なのに何でハンカチ差し出すの?」
「え…」
(目見えてないはずだから表情なんてわかんないよな!?てか俺心で思っていること呟いているのか!?)
「さっきだってぶつかった時、本当はむかついたんでしょ?私が悪かったんだし、そういえばよかったのに…」
「…なんでそう思ったの?」
「私は目は見えないけど、その分耳とか感性がすごくいいの。さっき横にいた直人って人?あの人私が目が見えないからって色々注文しようとしていた。そういうのがわかるの。」
この女性の前では丸裸にされているような感じだった。
「今あなたは私にココロ読まれて不愉快になっているんじゃない?そんな空気を感じる。」
別にホストクラブで王子のキャラを演じるのが嫌ではなかった。
だけど好きでもなかった。
ただそのキャラが定着してしまったし、女の子が喜ぶからそうしていただけだ。
「全然王子様のキャラではないのに無理している感じ…」
「ハハッ…鋭いね。」
「でも…」
出会ってからこの時初めて目があった。
“ドキッ・・・”
この胸のときめきも彼女に伝わるのだろうか。
「あなた時々私のこと心配してみてくれた。その気持ちが嬉しかった。ぶっきらぼうだけど優しいのね。」
そういって優しく微笑かける彼女は、今まで出会ってきた女性とはまるで違った。
少女のようだけど顔立ちなどは大人で
真っ白なワンピースが物語っているように汚れの知らない女性という感じだった。
「あ、ごめん、飲み物何にする?お酒は飲めるの?ソフトドリンクもあるよ。」
「じゃあ、オレンジジュースで。」
「分かった。あ、オレンジで。」
雅はスタッフに声をかける。
「そういえばどうしてホストクラブへ?初めてだよね?」
「…今日私誕生日なの。20歳になったの、だからお祝いでホストクラブに。」
「え!?誕生日なの!?」(え…てか家族とか友達とか彼氏とかは…)
「フフッ…」
「え?何?」
「家族は私が高校生の時事故で…友達は幼馴染が一人いるんだけど今日出張でいないの。彼氏ももちろんいないわ。」
「あ、ごめん。色々勘ぐっちゃって。」
「幼馴染がね、本当は今日ホストクラブに連れて行ってくれるって約束してくれていたの。お姫様みたいに扱ってくれて盛大にお誕生日祝ってくれるよって。」
「盛大にって…」(その分お金使っちゃうだろー)
「だから今日お金たくさん持ってきたの!」
そういって彼女がお財布の中身をみせてくれたが一万円だった。
(このソフトドリンクと席についただけで一万円だよ!)
「え?もしかして足りない?」
「うん…もうこのドリンクと席についただけで一万だね…」
「そっか…でもホストクラブに来れただけでも満足♪」
「え?それだけで?」
「外はキラキラ光っていて綺麗だったし、ぶつかって不機嫌にさせてしまってもこうやってお店に連れてきてくれたし。」
「でもそれはお客になれば俺の売り上げが上がるし」(地が出てしまった汗)
「理由が何であれ、親切にしてもらっただけでも嬉しい。いつもは家に引きこもっているから、こうやって人の優しさに触れられただけで幸せだよ。今日はありがとう。」
そうやってにっこり微笑む彼女は本当に天使のようだった。
優しさとかってどういうのだったっけ?
いつも人を利用して、お金のことしか考えてなくて、今日までどうやって生きてきたんだろう。
同じ白の服を着ているのに俺の服は真っ黒でドロドロだ。
彼女なら素の自分を愛してくれるかもしれない。
彼女は俺にとって天使みたいだった。
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