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禁断の出張③
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課長の指が早苗の中でゆっくりと動いていた。
「…はぁッ…」
早苗の気持ちがいいポイントを知っている課長の指によって、どんどん頭が真っ白になっていった。
「すごいッ…イィっ…」
全身に、特に子宮に力が入ってくる。
「早苗…」
気持ちがいいんだけど――
身体は気持ちがいいのに
心が寂しい…
なんだかポッカリと穴が開いている気がするのは何で?
“ゴロゴロゴロッ…”
薄暗い部屋に雷の光がカーテンの隙間から差し込んだ。
課長の指輪を見て、ハッと我に返った。
「課長!!」
早苗の大きな声に課長も動きを止めた。
早苗は無言で下着を履き、服装の乱れを直した。
「課長、すいません…できないです。」
課長の指輪を見ながら自分の思いを告げると課長も早苗が自分の指輪に目線をやっていることに気づいた。
早苗は自分の荷物を持って部屋の外に出て行った。
“ザアァァァ…”
雷はもう鳴っていなかったが、雨はまだ土砂降りでホテルのエントランスから一歩を踏み出すことができなかった。
タクシーで駅に向かうことにし、タクシー乗り場に向かおうと思った時――
“ピリリリリリッ…”
電話の着信音だったため、急いでカバンから携帯を取り出した。
携帯の表示を見ると――
【田所君】
「…はい。」
「…」
「もしもし…」
「…」
「…電話かけてきて無視するの…?」
「……何をいえばいいかわかんなくて…」
「……」
「今度はそっちが無視かよ。」
「…」
「お前…今外にいるの?」
「え…?」
「雨の音が電話からすっごく聞こえるから。」
「今ホテルのエントランスにいる…」
「どこのホテル?」
「○○…」
「そこで待っとけ。」
「待つっていっても…あ…」
車で1時間はかかる場所だった。
「うそ…」
電話が切れてから10分ぐらいで田所の車が早苗の前に現れた。
「どうして…?」
「いいから乗れよ。」
「お邪魔します…」
“パタン…”
「…課長は?」
「…課長は…まだホテルだと思う。」
「…何かあった?何で外にいるの?」
「ッ……」
早苗は何も答えず黙り込んでしまった。
「…はぁ。」
田所は深いため息をついてハンドルの寄りかかった。
「俺さ…あのバーベキューの日…あんまりこんなこと言いたくねぇっていうか…恥ずかしいんだけどヤキモチやいてさ…」
「…」
「ちなみに今も妬いてる。」
「田所君…」
「早苗…俺…」
「…うん。」
「来年アメリカ行くんだ。」
「………え?」
デジャブかと思った…
今日二人の男性からアメリカに行くと言われるなんて思ってもいなかった。
「親父の会社を継ぐために海外でたくさんのこと学んでこようと思う。親父の会社をもっとグローバルな会社にしたい。」
「…いつ帰ってくるの?」
「わからない。半年かもしれないし三年とかかもしれない。」
「…」
「不安定だからお前を連れていくこともできないけど…でも待っていてほしいって思う。勝手なのはわかってるんだけどさ。」
「田所君…」
「日本でお前が待っていたら…早苗が日本で自分を待っていてくれるって思ったらガムシャラに頑張れそうな気がするんだ。」
「課長か俺か選んで…もし俺にしてくれるなら、いつになるかわかんないけど待っててほしい。」
優しくて、甘い夜も過ごせて
独身に戻ろうとしているスイーツ男子についてアメリカに行くか
不器用で苦い夜しか過ごしていないけど
自分の殻を破って自分の道を進もうとしているビター男子を待ち続けるか
Sweet or Bitter?
あなたならどっちを選ぶ?
私は――
スイーツ男子もビター男子もどちらも選ばない
「…はぁッ…」
早苗の気持ちがいいポイントを知っている課長の指によって、どんどん頭が真っ白になっていった。
「すごいッ…イィっ…」
全身に、特に子宮に力が入ってくる。
「早苗…」
気持ちがいいんだけど――
身体は気持ちがいいのに
心が寂しい…
なんだかポッカリと穴が開いている気がするのは何で?
“ゴロゴロゴロッ…”
薄暗い部屋に雷の光がカーテンの隙間から差し込んだ。
課長の指輪を見て、ハッと我に返った。
「課長!!」
早苗の大きな声に課長も動きを止めた。
早苗は無言で下着を履き、服装の乱れを直した。
「課長、すいません…できないです。」
課長の指輪を見ながら自分の思いを告げると課長も早苗が自分の指輪に目線をやっていることに気づいた。
早苗は自分の荷物を持って部屋の外に出て行った。
“ザアァァァ…”
雷はもう鳴っていなかったが、雨はまだ土砂降りでホテルのエントランスから一歩を踏み出すことができなかった。
タクシーで駅に向かうことにし、タクシー乗り場に向かおうと思った時――
“ピリリリリリッ…”
電話の着信音だったため、急いでカバンから携帯を取り出した。
携帯の表示を見ると――
【田所君】
「…はい。」
「…」
「もしもし…」
「…」
「…電話かけてきて無視するの…?」
「……何をいえばいいかわかんなくて…」
「……」
「今度はそっちが無視かよ。」
「…」
「お前…今外にいるの?」
「え…?」
「雨の音が電話からすっごく聞こえるから。」
「今ホテルのエントランスにいる…」
「どこのホテル?」
「○○…」
「そこで待っとけ。」
「待つっていっても…あ…」
車で1時間はかかる場所だった。
「うそ…」
電話が切れてから10分ぐらいで田所の車が早苗の前に現れた。
「どうして…?」
「いいから乗れよ。」
「お邪魔します…」
“パタン…”
「…課長は?」
「…課長は…まだホテルだと思う。」
「…何かあった?何で外にいるの?」
「ッ……」
早苗は何も答えず黙り込んでしまった。
「…はぁ。」
田所は深いため息をついてハンドルの寄りかかった。
「俺さ…あのバーベキューの日…あんまりこんなこと言いたくねぇっていうか…恥ずかしいんだけどヤキモチやいてさ…」
「…」
「ちなみに今も妬いてる。」
「田所君…」
「早苗…俺…」
「…うん。」
「来年アメリカ行くんだ。」
「………え?」
デジャブかと思った…
今日二人の男性からアメリカに行くと言われるなんて思ってもいなかった。
「親父の会社を継ぐために海外でたくさんのこと学んでこようと思う。親父の会社をもっとグローバルな会社にしたい。」
「…いつ帰ってくるの?」
「わからない。半年かもしれないし三年とかかもしれない。」
「…」
「不安定だからお前を連れていくこともできないけど…でも待っていてほしいって思う。勝手なのはわかってるんだけどさ。」
「田所君…」
「日本でお前が待っていたら…早苗が日本で自分を待っていてくれるって思ったらガムシャラに頑張れそうな気がするんだ。」
「課長か俺か選んで…もし俺にしてくれるなら、いつになるかわかんないけど待っててほしい。」
優しくて、甘い夜も過ごせて
独身に戻ろうとしているスイーツ男子についてアメリカに行くか
不器用で苦い夜しか過ごしていないけど
自分の殻を破って自分の道を進もうとしているビター男子を待ち続けるか
Sweet or Bitter?
あなたならどっちを選ぶ?
私は――
スイーツ男子もビター男子もどちらも選ばない
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