【R18】Sweet or Bitter

かのん

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社員旅行⑤ビター男子編②

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バスを降りると早苗は備品をバスから課長と下ろしてた。



「これ、今日は一旦会社に運ぶんですよね?車があったほうがいいですよね?トランクもあるし。」



「俺の車に乗せれば?」



「田所君…いいよ。課長と電車で運ぶから。そんなに多くないし。」



「俺も電車だから手伝おうか?」



先輩も加わってきた。



「いいんですか?」



「うん、同じ方向だし。」



「じゃあ如月さん行こうか。」



「はい!」



「社内のどこに置くの?」



「倉庫でいいかなって思うんですけど…」



早苗と課長と先輩の三人の声が遠くなる。








「――早苗。」









「え?」



三人がこちらを振り向いた。



「話があるから…俺の車に乗って?」



田所は課長と先輩の荷物を手に取り頭を下げる。



「お疲れ様でした。」



「え!?ちょっと待って…あ、お疲れ様でした。」



早苗も頭を下げて田所のあとを追いかける。



「え!?何!?あいつらできてるんですか!?早苗って呼んでましたよね?」


課長は返事をせず、二人の後姿を眺めていた。



「田所君、本当にいいの…?」



田所はトランクに無言で荷物をつめた。



「助手席に乗っておいて。」



「じゃあ…お邪魔します。」



“バンッ…”



「…」



「…」



車が発進してもお互い無言のままだった。



「あのさ!」



話を切り出したのは早苗のほうだった。



「私、昨日のこと忘れるから…」



「…は?」



「お酒飲んでたし…ね、そんな感じでしょ?」



(そんな感じってどんなだよ!さかったってことか!?)



「誰にも言わないから。」




「…別に言ってもいいんだけど。」



「いやいや、ダメでしょ!」



「…何で?」



「だって、田所君好きな人いるんでしょ?その子が知ったらさ…」



「…」













好きな奴ってお前だよ(゜ロ゜)!!











「はぁ…」



「?」



優衣は気を利かせて早苗のことを伏せたんだろうけど、まさかこれっぽっちも自分のことだなんて思ってないなんて…



キスもしたのに…



この間から思ってたけど男としてみてないんだろうな、きっと――



俺の好きな奴はお前だよって今言うべきか?



いや、今言っても120%振られるだけか



「車だと着くの早いね~ありがとう、車で送ってくれて。」



「別に…帰り道だし。」(本当は逆だけど。)



「一応明日返すとして、今日一日は倉庫の部屋でいいかなと思うんだけどどう思う?」



「あぁ、いいんじゃね?」



ダンボールや紙袋を二人で抱えて倉庫室へ向かった。



「あれ?ドア開いてる…よかった両手塞がっていたから♪」



(倉庫室って確か鍵が必要だったような?)



「あれ?電灯つかないや。電球切れてるのかな?」



「ここら辺でもいいんじゃね?」



「手前だと危ないから奥においておこうよ。」



“ガチャン…”




「今ドア閉まらなかった?」



「え?風で閉まっただけじゃないの?暗くて見えないね、本当。」



早苗は荷物を置くことしか頭になかった。



「あ~やっぱりドア開けたままだった…危ない危ない。」



警備員さんがドアを閉め、鍵まで閉めて警備室へ戻っていってしまった…
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