沼堕ちプリンス~俺を選んでよ~

かのん

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サングラスと兄③

「こっちにいるって、この家から通うってことか?」


「正臣がいてくれるなら嬉しいけど、正臣のマンションのほうが病院近いじゃない」


「俺、最近激務でさ。結花が作ったご飯が食べたくて」


「え?私の?」


「夜勤の時は、弁当を届けてくれよ、結花。お小遣いあげるから」


「困るよ、急に言われても。バイトだってあるし」


「バイトって、カズが紹介した清掃だろ?兄ちゃんがお小遣いあげるから、バイトはもうするな」


「バイトはするなって、やっと続いているバイトなのに」


「そうやって、大学の授業以外でフラフラするからっ……」


「正臣、どうしたんだ。結花がバイトしたっていいだろ、大学生なんだし」


「そうよ~私達だって家にあんまりいないんだし」


「そうやって、父さんと母さんが放任するからっ……」


「放任するから、何よ?」


「風呂入ってくる」


「正臣はどうしたんだ」


「あの子シスコンで結花のこと大好きだからね~」


お兄ちゃんは、蒼さんのことは両親には言わないでくれたけど
私とどうしても蒼さんを会せないようにしたいみたい。



「お兄ちゃん、入っていい?」


「どうぞ」


お風呂からあがったお兄ちゃんは
私が作ったご飯を美味しい美味しいと言いながら
3杯もおかわりして、自分の部屋で勉強をしていた。


「勉強してたなら、今度でいい」


「べつに…復習してるだけだ」


「どうして、お父さんとお母さんに蒼さんのこと言わなかったの?」


「無駄な心配をかけさせたくないから」


「そう」


「彼氏が欲しいなら、俺が最高の男を見つけてきてやる。俺以上の男だから、何年かかるかわからんけどな」


「彼氏が欲しいわけじゃないし、蒼さんは友達だから」


「友達?」


「私にとって、初めての友達。だから、お兄ちゃんも好きになってくれたら嬉しいな」


「それは」


「せっかくできた友達なの!」


「相手は男だぞ!」


「男性であっても、友達は友達だもん」


「友達っていっても、男と女じゃ何があるか」


「私は私のままでいいって教えてくれたの。それがすごく嬉しかった」




「あいつがそんなことを?」


「すごく話しやすくて、いい人なの」


「仲良くなりたいって、本当に友達で?」


「お兄ちゃんが友達でもダメっていうなら、私、もうご飯作らない」


「結花、ご飯だけは」


「早く返事聞かせてね」


「とにかく!2人きりはだめ!夜に会うのも禁止!」


「友達なのに?もういい!」


「結花!」


お兄ちゃんにとっては
私は何もできない妹かもしれない。
いつも、お兄ちゃんに言われたとおりに行動してきた。
お兄ちゃんが言っていることは、たしかに正しかった。


高校を受験する時も
大学を受験する時も
でも…私にだって譲れないものもあるんだ。


「あそこが結花の家か」


大きくて、庭の手入れもされていて
きっと温かい家庭なのだろう。
暖かい部屋で温かいご飯
そして笑いの絶えない家族。


俺が小さい頃に育った
ボロボロで足の踏み場が無くて
酒とたばこの臭いが充満していた家と
正反対だ。

お兄さんの結花への愛情は
少し異常な感じもするけど
それだけ、結花のことが大事なんだろう。


俺に対してもあたりは強かった。
だけど、それでいい。
それぐらいのほうが
これから先、結花にどんな男が近づいても
お兄さんの目が黒いうちは
寄せ付けることはないだろう。


「ふっ……本当、黒い」


何でおれはこんなにも汚くなってしまったんだろう。
人の欲、嘘、だまし合いに駆け引きを
たくさん見てきてしまっているから。


これだけ汚れていたら
以前みたいに綺麗になることはできないだろうけど
それでも、少しは綺麗になりたい。
結花のそばにいれたら、それが叶うんじゃないかって思うんだ。

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