一生のお願い。

kimera

文字の大きさ
1 / 1

一生のお願い。

しおりを挟む
「一生のお願い。」

忘れられなかった、私の大事なお母さん。

うちの家庭は貧乏だ
このことを知ったのは8歳の時だった。

幼いながらに貧乏ということを察していた私は
お母さんに
「○○買って!」
など言うことはなかった。
でも、当時の私はまだ幼稚で完璧に自分の心を操る
ことが出来なかったのだ、そのため偶に
「○○買って!一生のお願い!!」
と、おもちゃ屋さんで泣いて喚く時もあった。
その時お母さんは不思議なことに全て買ってくれた。
お金もないはずなのになんでだろう?と幼いながらに
疑問に思っていた。
調子に乗っていた私は「一生のお願い」が口癖だった

学年が上がっていくにつれ物欲も上がっていく
周りの子は携帯など自転車など色々なものを持ち始める、それに焦りを感じた私はお母さんにねだることが多くなっていった。

小学生5年生の私は

あと何回「一生のお願い」を言えるのか、など

考えてすらいなかった。

小学五年生の二学期、両親は離婚した。
働かない父を嫌に思った母は離婚届を渡し、一方的に別れを告げた。
私はもちろん、母に着いて行った。

理由は、
『一生のお願い』
を聞いてくれるから、買ってくれるから。

小学六年生の一学期、母に恋人ができた。
相手は大手企業の社長で、お金を沢山もっている。

私は嬉しかった。とってもとーっても嬉しかった。
『一生のお願い』をしなくても頼めばきっと買ってくれる、私は幸せになれる。

はずだった。









母は死んだ。
理由を私は知っている。

「一生のお願い」なんてのが口癖になった私は、父になった再婚相手にも簡単にそれを言うようになっていた。離婚した本当の父親に比べて随分懐が暖かい人だったので、私は母以上にお願いをした。父は嫌な顔ひとつせず欲しいものを与えてくれたし、母が死んでも変わらず愛を向けてくれた。

そして今は疎遠になってしまった父によると、私は母の死をそこまで悲しまなかったという。
聞けば、当時の私は母と「一生のお願い」を交わしたから死んでないんだと言い張って、まるで現実を受け入れない様子だったらしい。

母との思い出は沢山あるのに、その最後のお願いだけは思い出せない。
それを叶えたら、また母は現れてくれるだろうか。

私は何生分ものお願いを母にしてしまった。天国のあなたに、返せることはほとんど無いけれど。生き残された私が向こうへいつかいったら、最後のお願いを聞いてくれるだろうか。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

アルファポリスの禁止事項追加の件

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスガイドライン禁止事項が追加されるんでガクブル

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...