銀鼠の霊薬師

八神生弦

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「お前、また……」
 
 桔梗ききょうが口を開くのも構わず、白銀しろがねは彼女の身体を反転させ、四つん這いにさせる。
 
「な、何を……?」
 
 熱い息が、桔梗の首もとにかかり、「声、出すなよ」と白銀のかすれた声がしたかと思うと、桔梗の秘部へと熱く硬いものがゆっくりと侵入して来た。
 
「──っぅ……」
 
 途中まで侵入して来たそれは、一気にずぷんと奥まで挿入され、いきなりの快感に桔梗は身体を痙攣させた。
 膣内が急に狭くなったので、白銀は苦しそうに眉を寄せる。
 
「はっ……もう少し、力抜いてくれ……」
 
「んぅ……無……理だ」
 
 白銀は桔梗の細い腰に両手を当て、勢いよく突き上げる。その度に、桔梗の身体はビクッと仰け反った。
 
「んっ、くっ、──はっ……」
 
 桔梗は枕に顔を押し付けて、声を抑えている。
 突き上げる度に、肌と肌の打ち付け合う音と、二人の吐息が混じり合った。
 
 
 
 ────噛みたつきたい……。
 
 桔梗の髪の毛の間から覗く白いうなじを見つめながら、白銀はそんな衝動と戦っていた。
 はっはっと荒く息をしながら、うなじへ口を寄せ、舌を這わせる。
 
 ────噛みたい、噛みたい、噛みたい。
 
 舌を這わせながら、ぐっと眼を瞑る。
 多分、これは自分の中にある鬼の本能だ。
 そんな事をしたら、鷹呀あいつと一緒になってしまう。桔梗の事も傷つける事になる。
 
「噛みたい……のか?」
 
「っ!!」
 
 枕に口を押し付けていた桔梗が、肩で息をしながら白銀を見る。
 
「いいぞ、噛んでも。求愛表現……なんだろう?」
 
「…………」
 
「お前のなら、大歓迎だ……あぅっ!!」
 
 白銀の動きが、急に激しくなる。
 
「あっあっ……白銀……もう、クるっ!!」
 
「はっ……俺もイきそうだ……」
 
 白銀は、桔梗の肌が傷つかないようにそっとうなじに歯を立てる。
 
「んっ……お前の、息……熱い」
 
「はっはっ……桔梗っ!!」
 
「──っんん、あぁっ!!」
 
 桔梗の背が、大きく仰け反りびくびくと痙攣する。同時に、白銀自身もきつく絞めつけられたまらず桔梗の奥へと精を放った。
 暫く脈動を続ける白銀を、自分の中で感じながら、桔梗は身体を捩ると白銀を見る。
 
「んっ……」
 
 繋がったまま、桔梗の片足を持ち上げ自分の方へと向かせると、白銀は桔梗の唇にそっと口付けた。
 
「その眼……」
 
 桔梗が白銀の頬に手を添え、顔を覗き込む。
 まだ息が整わないまま、浅い呼吸で白銀は黒く変わった眼で桔梗を見ている。
 
「眼……?」
 
 真ん中の金色の瞳が、困惑したように揺れた。
 
 怒りや興奮が引き金になるのか……。
 もう、自我を失う事は無いようたが……。
 
「いや、なんでもない」
 
 桔梗は白銀の首へ腕を絡め、抱きしめた。
 
 
 
 ※
 
 
 
「少し傷跡は残ってるが、もう大丈夫だろう」
 
 白銀の包帯を取り、左目を確認した桔梗は安堵のため息を漏らす。
 眼球にまで刃先が達していなかったのは幸いだった。
 
「ちょっと傷があった方が箔がつくってもんだ……それより、お前の傷はどうなんだ?」
 
 白銀の手が伸び、桔梗の首筋にそっと触れる。
 
「ごめん、昨日ちょっと激しくし過ぎたか?」
 
「ばっ……!!傷はそこまで深くない、平気だ」
 
 一気に耳まで赤くなった桔梗の反応を面白そうに見ていた白銀は、「婆さんにも薬作ってやるんだろ?」と、昨日のうちに干しておいた薬草の様子を見に立ち上がった。
 
 その時、庭にいる筈のキヨが声をあげた。
 何事かとふたり庭に出てみると、キヨが知らない男の手を取りうなずいていた。男の後ろにはその様子を見守るように女が立っている。
 
「キヨさん? その人は?」
 
「おお、桔梗殿。私の息子が帰って来てくれたんじゃ」
 
 聞くと、遠くで暮らしていた息子夫婦が、年老いたキヨの身を案じ一緒に住む為に帰って来たとの事だった。
 
「良かったな、キヨさん」
 
 袖で涙を拭う老婆にそう声をかけると、「そろそろ私たちも行こうと思う」と告げた。
 
 
 
 
 
 その日の昼過ぎ、そんなに急がんでもと引き止める老婆に「世話になった」と処方した薬を手渡すと白銀とふたり、歩きだす。
 老婆と息子夫婦は、姿が見えなくなるまで見送ってくれた。
 
 
「これから何処に行くつもりだ?」
 
「……さあな。どこか、安住の地でも探すか?」
 
 もう旅の目的も無くなり、早く言えば行く宛のないふたりだった。
 
 
 
 何処に行けばいいのか分からないというのも、結構不安になるものなんだなと思いながら、山道をひたすら歩いていく。
 
「見ろ、秋茜あきあかねが飛んでる……もう夏も終わるんだな」
 
 空を見上げると、青空を無数の蜻蛉とんぼが飛び交っていた。
 
 ふと、白銀が耳を澄ませる。
 
「桔梗、近くに滝があるぞ。音が聞こえる」
 
 桔梗が耳をそばだてるが何も聞こえては来ない。
 
「やはり、お前は動物並みだな」
 
 妙に関心をしながら、桔梗は歩を進めていたが。
 ぴたりとその足を止める。そして何かを考えるように、目の前のくうを凝視する。
 
「白銀……」
 
「ん? どうした?」
 
 切羽詰まったような桔梗の表情に、白銀は心配そうに歩み寄ると彼女は白銀を今にも泣きそうな顔で真っ直ぐに見た。
 
「滝のある場所わかるかっ!?案内してくれっ!!」
 
「なんだ、いきなり?」
 
「説明は行きながらするから、早くっ!!」
 
「……わかった」
 
 桔梗の様子に、何かただならない物を感じたのか。
 白銀は辺りを見回しながら暫く集中していたが「こっちだ」と走り出した。
 
 
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