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自由の始まり
従魔と報告
しおりを挟む盗賊のアジトを潰した後、妖狐のタマモを仲間にして
日が暮れる前に街まで戻ってきた
アオヤはそのまま報告のためにギルドを訪れていた。
なお、門番にはタマモの事を聞かれたが従魔にした事を
話すとギルドで従魔登録をした方がいいとの事なので
そのついでに盗賊と薬草採取の報告に来たという訳だ。
ギルドに入るとやはり此方に目を向けられる。
でも今回は俺というよりタマモの方に
視線がいってるような気がする。
まあ何にせよ、とりあえず受付の方に目を向け
フィオナさんのいるカウンターの列へ並び、
順番が来るまでタマモを撫でて時間を潰した。
「あっアオヤ様こんちにわ。
午前中に来られなかったので
今日は来ないと思っていました」
「フィオナさんこんにちわ。
午前中に来るとは言ってなかったと思うんですが」
「いえいえ、午前中は依頼の張り替えがごさいますので
他の皆様は朝早くから来ていますよ?
それでそこにアオヤ様の姿が
なかったもので聞いてみた次第です。
そう言えば装備を揃えたのですね。
白のコートが黒髪に良く似合ってますね」
「そういう事ですか。ありがとうございます。
今日は装備の確認ついでに森に行ってました。」
「そうなんですか。
それよりその子は従魔ですか?
従魔でしたら登録もしておきましょうか」
「お願いします。従魔登録をしにギルドにきたので。
あっ!後、森の近くの街道付近で
盗賊を見つけたので討伐したのですが
どうすればいいですか?一応死体を持ってきてますが」
「分かりました。
それより盗賊ですか?
死体を持ってきてるってどこにですか?」
「どこにって空間魔法にですが…」
「っ!!分かりました。
倉庫の方に行きましょう」
そう言って受付の業務を抜ける事を同僚に告げて
なにやら慌ただしく他の受付嬢が二階へ上がって行くのを
見て内心何かやったかなっと思いながら
案内されるまま、ギルドの奥へ行き併設された
倉庫までやってきた。
するとそこにはいかにも強そうな
めちゃくちゃガタイの良いオッサンが待っていた。
「お前がフィオナの言ってたアオヤか?」
「そうですが…
失礼ですがどちら様ですか?」
「俺はここのギルドマスターのベイルだ。
なんでも空間魔法を使ってるって話を聞いたもんでな
事実なら確かめておく必要があるんだ。
とりあえず盗賊の死体を出してくれ」
そう言われたのでなんで確かめるんだ?
って思いながらも言われた通りにその場に出した。
「本当に空間魔法を使ってるな
よし分かった、盗賊は懸賞金が掛かってないか
調べるから報酬は明日また来てくれや。
とりあえず何で俺が出てきたのかの説明をするから
俺の部屋まで来てくれ」
「分かりました」
この後、特に用事もなかったため了承し
ベイルの後をついてギルドマスターの部屋にきた。
その道中で約束とゴブリンの魔石を換金するために
査定に出した。
「とりあえずまあ座ってくれ
それで話なんだがな、空間魔法ってのは
使える奴が極端に少なくてな。
この王国でも3人しかいないんだ。
だからむやみに使わない方がいいってのと
こっちは私事で悪いんだがお前強いだろ?」
そう言い、真面目な話から
一転して好戦的な笑みを浮かべ
殺気とも言える闘争心を向けてきた。
(この人もしかしてアレな人か?)
「強いかどうかは分かりませんが
そこそこはヤレると思いますよ」
「何がそこそこだよ。
さっきの死体、首に一撃で仕留めてるじゃねーか
あんなもんそこそこでできるかよ。
しかも他に真新しい傷もないしな。
後、敬語じゃなくていいぞー」
「それはたまたまですよ。
この刀が業物なだけです
敬語についてはおいおいって事で。
慣れると自然になくなると思うので」
「まあそういうことにしといてやる。
話は以上だ。あー後盗賊退治したから
ランクをCまで上げておくぞー。
C rankの条件が人を殺せるかどうかだからな」
因みに、フィオナさんはお茶を出したら受付業務に戻った。
その話で終わりだそうなので部屋を出て、
薬草と魔石の金を受け取り、ギルドカードを渡して
ランクが変わってるのを確認と従魔の証を受け取り
タマモに付けてギルドを出る前に
フィオナさんに声をかけた。
「それでは帰りますね。
あと、様付けは落ち着かないので
もっとラフな感じで呼んでください。」
「分かりました。アオヤくんで大丈夫ですか?」
「えぇ大丈夫です
それではまた明日」
宿に戻ってきたアオヤたちは
女将に従魔ができた事を話して追加でお金がいるかを
聞いたところ他の部屋やこちらが世話する必要がなければ
そのままで大丈夫とのことだ。
食事に関してはその都度払えば問題ないらしい。
とりあえず2人分の食事と追加のお金を渡して、
持ってきてもらう。今日はオークステーキだ。
タマモも喜んでいるだろう。
機嫌よく鳴いて食べているしな。
食事を終えて鍵を受け取り部屋へと戻ってきた。
「さて、タマモ
明日はギルドに寄ってから外で鍛錬しよう。
盗賊のおかげで金はあるからな。」
「キュッ!」
そうなのだ。
あの盗賊たちかなり溜め込んでたみたいで、
金貨10枚と銀貨87枚銅貨4枚も持っていたので
しばらくは働かなくて大丈夫ではある。
それなら鍛錬とタマモの実力を見たいので
明日はその時間にあてるつもりなのだ。
最後に浄化を掛けて横になり、
タマモもアオヤの横に入って丸くなり
一緒に眠った。
翌朝6時頃に目が覚めるとタマモを起こして
朝食を取り、宿の延長手続きをしてギルドに向かった。
「おはようございますアオヤくん、タマモちゃん」
「おはようございますフィオナさん。
昨日の件で来ました。」
「キュッ!」
「はい。残念ながら盗賊に懸賞金は
掛かっていませんでした。
ですので人数分の討伐報酬で金貨3枚です。」
「そうでしたか、分かりました。
ありがとうございます。
すいません、今日は鍛錬しようと思ってたのですが
どこかいい場所はないですか?」
「それならギルドの修練場を使ってはどうです?
最近の人はほとんど使わないので
空いてると思いますが。」
そう言われたので使う事を伝えて
昨日の施設の反対側に移動した。
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